2010年03月13日
【セミナー情報】wonderland「劇評を書くセミナー こまばアゴラ劇場コース」2010年4月~7月開講※〆切4/15
wonderland(ワンダーランド)が主催する「劇評を書くセミナー」のご案内です。講師陣が豪華。劇評執筆にご興味のある方はぜひ。詳細は公式サイトでどうぞ。
■wonderland「劇評を書くセミナー こまばアゴラ劇場コース」
~舞台をみる。作・演出、振付家の話を聞く。劇評を書く。語り合う。~
日程:2010年4月~7月/各回とも土曜日14:00-16:30の予定
講師(順不同):平田オリザ、松井周、多田淳之介、岩井秀人、中野成樹、手塚夏子、佐々木敦、武藤大祐、小澤英実、水牛健太郎
定員:20人(定員に達し次第締め切り)+各回参加10人前後(予約必須)
会費:全8回
一般:2万5000円
ワンダーランド支援会員・こまばアゴラ劇場支援会員:2万3000円
各回:一般・会員とも3500円。
締切:2010年4月15日(木)
会場:こまばアゴラ劇場(5階稽古場)
主催:ワンダーランド(小劇場レビューマガジン)
時間堂『月並みなはなし』03/11-14座・高円寺2
演出家の黒澤世莉さんが主宰する時間堂。『月並みなはなし』は外部でも上演され、劇団でも再演を重ねる人気演目です(過去レビュー⇒1、2、3、4)。脚本も黒澤さんが手掛けられています。
「CoRich舞台芸術まつり!2010春」審査員として拝見しました(⇒91本中の10本に選出 ⇒応募内容)。上演時間は約1時45分。※レビューはCoRich舞台芸術!に書きます。
座・高円寺2に初めて入りました。とてもきれいで素敵な劇場だった~♪イスは赤いクッションで映画館のような心地よさ(シネコンほどではないですが)。あまり演劇公演では利用されない劇場なんですね。
⇒劇評『やわらかな手つきで世界を変える』(徳永京子)※wonderland 2007年10/31発行
⇒CoRich舞台芸術!『月並みなはなし』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
今より少し未来の秋の昼下がり、地球の温暖化が進み、ひとが月への移民をはじめたころの話。郊外のとあるレストランの、テラスのある一室では、移民候補者たちの残念会が催されていた。厳しい選考試験の中で最終選考まで残った優秀なひとびとだが、結果は落選。の、はずだった。けれど、管理官と呼ばれるひとの一言によって、状況は一変する。
「欠員がでたので、一名の代表者を選んでください。制限時間は60分」
信頼しあい、助け合ってきた仲間たち。
だからこそ一人は月へと送ろうと、お互いを労りあい、傷つけあいながら話しあう。恋人たちは、月と地球の距離をおそれ、気持ちがすれ違っていく。
時間堂がお贈りする「すごい、ふつうの演劇。ふつうの、すごい演劇」
≪ここまで≫
作品は3/10のプレビューに拝見し、3/12は演劇ジャーナリストの徳永京子さんがゲスト出演される、終演後のトークだけ拝聴しました。
トークに残っている観客に黒澤さんが「時間堂の作品を観るのが初めてのお客様はいらっしゃいますか?」と聞いたところ、半数以上の方が手を挙げていたように思います。座・高円寺という劇場に、お客様がついてきているのではないでしょうか。ありがたいし、嬉しいことですね。
第7回杉並演劇祭参加作品 / 後援 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
出演:鈴木浩司 菅野貴夫 大川翔子 園田裕樹 高島玲(髙島玲) 百花亜希 金子久美 木内コギト ※星野奈穂子が体調不良で降板、代役は原田優理子。
脚本・演出:黒澤世莉 舞台監督: 松下清永 舞台美術: 鎌田朋子 照明: 工藤雅弘 音響: 平井隆史 衣装:juno-rii 宣伝写真: 松本幸夫 宣伝美術: [図案]立花和政 [ヘア・メイク]増田加奈 Web制作: 小林タクシー ビデオ撮影: $堂 演出助手:原田優理子 / 元田暁子 パン:大和みゆき 制作:佐伯風土
★ポストパフォーマンストーク(PPT)
11日(木)19:30 松本甲太郎(JAXA月・惑星探査プログラムグループ)
12日(金)19:30 徳永京子(演劇ジャーナリスト)
13日(土)13:00 吉田小夏(青☆組主宰) /18:00 谷賢一(DULL COLORED POP主宰)
【発売日】2010/01/26 全席指定 ・前売/当日 3,300円 ・杉並割引/学生割引1,800円こりっち/劇団予約のみ。当日証明できるものをお持ち下さい。
◎Buy1 Get1 キャンペーン実施 前売券を2月15日(日)までにお振込みでご購入頂いたお客様は、お値段そのままでペアチケットになります!(各公演20枚まで)。ご家族・ご友人と楽しいひと時をお過ごしください。 *各種割引・クーポンは、併用できません。こりっち/劇団扱いのみ。
◎杉並割引/学生割引 座・高円寺のある杉並区にお住まい又はお勤めの方と、学生の方は、1,800円でご覧いただけます。
http://www.jikando.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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慶應高校・女子高校演劇部2009年度3月定期公演『ケージ』03/12-14千本桜ホール
慶應高校(男子&女子)の演劇部の発表会を拝見しました。作・演出の酒井一途さんは高校3年生。谷賢一さんの劇団DULL-COLORED POPの演出助手をするなど、10歳以上年上の作り手の公演にも関わってらっしゃいます。きっとインターネットを通じて始まった関係なのでしょう(私と谷さんもそうです)。時代の変化の早さに驚いている場合じゃないですね。
客席に品の良い保護者の皆さんが大勢いらっしゃる無料公演です。それにしても部活動としての公演を貸小屋で上演するなんて・・・ものすごく贅沢ですよね。大学受験がない生徒だからできるんでしょうね。上演時間は約1時間40分(だったかな)。
⇒CoRich舞台芸術!『ケージ』
≪あらすじ≫
家出をした高校3年生の3人組(山縣幸典・内田裕大・水野由佳子)。山奥のほぼ廃屋と化したペンション(?)まで遠出してきたのだが、そこには他の客も。居合わせた3人の大学生(有吉宣人・武井寛貴・上田郁子)は、なんと全共闘のメンバーだという。2009年の高校生と1969年の大学生が出会い、本音をぶつけあう。
≪ここまで≫
高校生が実年齢の役柄を素直に、品よく演じていて、澄んだ声と清潔な存在感がとてもみずみずしくて、美しいです。
題材がハードですので、例えば立てこもって籠城する場面のリアリティーには欠けましたが、10代の葛藤とそれを乗り越えた末の決意が伝わって来ました。今しか演じられない、今しか成立し得ないと思えるプラトニックなラブシーンが素晴らしかったです。
ここからネタバレします。
40年の時を超えて出会った若者たちですが、姿は目に見えるし会話もできるものの、体に触ることはできません。お互いがほんのり透き通ったように見えているという設定です。
逃走する大学生3人と三億円事件をからめ、全共闘の女・藤間(上田郁子)は実は高校生・姫岡(山縣幸典)の祖母だったという、凝った物語になっていました。ケージ=CAGE(鳥かご)=形似=啓示。
家出をしてきた大財閥の箱入り娘・黒岩(水野由佳子)が、全共闘に入って友達を見殺しにしたことを思い悩む眞人(まこと:武井寛貴)に、思いを伝えようとします。「あなたのそばに私がいることを、あなたのことを思っている人間がここにいることを信じてほしい(どうやったらわかってもらえるのかしら)」。見つめ合いながら、決して触れられない互いの手のひらを合わせる場面が美しいです。
脚本・演出の酒井さんが当日パンフレットにミュージカル『ラ・マンチャの男』のセリフ(歌詞?)を引用されていました。『ラ・マンチャの男』は私も大好きな作品です。
出演:山縣幸典 内田裕大 水野由佳子 有吉宣人 武井寛貴 上田郁子
脚本・演出:酒井一途 舞台監督:鴇澤勇貴 照明:関根悟 尾形康介 町田果南実 照明アドバイザー:田中雄一朗 音響:佐藤大志 大川いず実 中村友哉 末永黎緒 鎮目那波 衣装:水野由佳子 廣田英恵 藤原薫 宣伝美術・映像:田中博巳 演出助手:松本翔吾 藤榮愛香 舞台監督補佐:藤原光基 中村友哉 大道具:武井寛貴 中村友哉 植田尚 園田亮輔 小道具:尾形康介 梅木絢子 制作:有吉宣人 制作補佐:廣田英恵 高橋俊成 企画・製作:慶應高校・女子高校演劇部
【発売日】2010/01/30 全公演無料、席予約可能。
http://cage.ldblog.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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彩の国さいたま芸術劇場『ヘンリー六世』03/11-04/03彩の国さいたま芸術劇場大ホール
蜷川幸雄さんがシェイクスピア戯曲を演出される彩の国シェイクスピア・シリーズ第22弾。演目は昨年新国立劇場が三部作を一挙上演し、数々の演劇賞を受賞した『ヘンリー六世』です。今回は、松岡和子さんが翻訳し、河合祥一郎さんが新たに構成され、三部作が前・後編の二部作になっています。場面が入れ替わったりもしているようです。
前編・後編あわせて1日通し公演で、片方ずつは観られません。上演時間は約8時間30分(途中休憩15分、1時間、15分を含む)。
1時間の休憩で特製のお弁当(1000円)をいただきました(写真↓)。鳥のフライ、焼き魚、煮物、サラダなど盛りだくさん。ロビーで事前に予約が必要です。予約時に希望すればロビーの下の階のテラス席も確保してもらえます。
折り込みチラシに周辺のレストランの地図も入っていまいましたので、開演前にチェックすると良いと思います。
⇒CoRich舞台芸術!『ヘンリー六世』
真っ白なステージは2方向から客席に挟まれています。『コースト・オブ・ユートピア』に似ていますが、違うのはいつも舞台がある方の客席は数が少なく、後方が階段状の演技スペースになっていること。
新国立版と比較する視点で観ることになりました。新国立版が庭、地球、そして宇宙へと広がるランドスケープだとすると、さいたま版は劇画の顔のアップの連続。登場人物の目やひたいから怒り、悲しみがギラギラとほむら立つ様が目に見えるほど。
私はとにかく体力が持たないので(汗)『コースト・オブ・ユートピア』や『ヘンリー六世』などの3部作は、1部ずつ分けて観るようにしています。だから今作は終盤のシーンをちゃんと観て、咀嚼できたのかどうか自信がありません・・・。
ここからネタバレします。
≪前編あらすじ≫ 当日配布のキャスト表より
イングランド王ヘンリー五世の死により、その息子ヘンリー六世が王位を継承するが、年若い王は政治力を発揮できず、身内の摂政グロスター公爵とウィンチェスター司教は反発しあっている。フランスではジャンヌ・ダルクが皇太子シャルルと共に軍を率い、イングランド軍と激しく攻防する。イングランド国内では、ランカスター家(赤薔薇)とヨーク家(白薔薇)それぞれを支持する貴族たちが対立し、一触即発の状況が続いていた。イングランドとフランスの間に和平が締結し、ジャンヌは処刑される。サフォーク伯爵は自身の愛人フランスのレニエの娘マーガレットとヘンリーを結婚させ、ヘンリーの忠臣グロスターの妻の反逆をきっかけにグロスターを追い詰め、暗殺する。が、その後ヘンリーがサフォークを追放し、王妃は悲嘆に暮れる……。
≪ここまで≫
オープニング。白い床にこぼれた赤い血を、現代の掃除婦姿の年老いた女たちが拭き取っていきます。この時点で目頭が熱くなってしまいました。それは過去のあやまちを現代の人間がきれいにする(=しりぬぐいをする=隠ぺいする=痕跡をなくす=忘れる)姿。これから始まる血なまぐさい歴史劇のさまざまなエピソードが胸によみがえりました(新国立版を観ていたおかげですね)。
せっかく床を拭き終わったのに、今度はいくつもの赤黒い肉塊が、天井からボトッ!ボトッ!と落ちてきました。それを無造作に拾い片付ける老婆たち・・・。私の中で何かがプツっと切れたかのように、目から涙がボッロボロ。「幕開けからこんな状態になるなんて、どうしようっ!」と焦ったのですが、(ありがたいことに?/残念ながら?)ここがピークでした。
大竹しのぶさんがジャンヌ・ダルクとマーガレットの2役を演じられてるとは知らず、驚きました。
子供の頃のヘンリー六世を演じられた子役の中島来星さんが素晴らしかった!ヘンリー六世は「あんなに小さい頃から既に王様だった男」なんですね。
マーガレット(大竹しのぶ)とサフォーク(池内博之)のラブシーンがたっぷりだったな~。
■1時間の大休憩
≪後編あらすじ≫ 当日配布のキャスト表より
密かに王位奪還の準備を進めていたヨークが出兵し、薔薇戦争が勃発する。戦いはヨーク家が優勢となり、ヘンリーはヨークに王位の譲渡を約束するが、マーガレットは大軍を率いて攻め寄せ、ヨークを刺殺する。両家激戦の末ヨーク軍が勝利し、ヨークの長男エドワードが新王として即位する。マーガレットたちがフランスに逃走し王ルイに助けを求めていたところへ、ヨーク家の支持者ウォリックがフランス王家との政略結婚を持ち込んできたが、イングランドからの使者により、エドワードが勝手に未亡人のエリザベスと結婚したことが明らかとなり、ウォリックは激昂しランカスター家に寝返る。しかしエドワード軍の追撃によりマーガレットは捕えられ、息子の皇太子は殺害される。そしてエドワードの弟リチャードは、ヨーク家の天下を不動のものにするためロンドン塔に幽閉されているヘンリーのもとへ向かい……。
≪ここまで≫
サフォークが死んだ後、池内博之さんはプランタジネットの3兄弟の1人として再登場されました。大竹さん演じるマーガレットと顔を合わせる場面もあるので、ちょっと違和感。
エンディングはオープニング同様、肉塊が落ちてきました。やるせなさが息苦しさになって、苦い味わい。とても良かったです。
セリフでは、「空前絶後の裏切り者!」に爆笑!
出演:上川隆也 大竹しのぶ 高岡蒼甫 池内博之 長谷川博己 草刈民代 吉田鋼太郎 瑳川哲朗 たかお鷹 原康義 山本龍二 立石涼子 横田栄司 手塚秀彰 青山達三 塾一久 木村靖司 妹尾正文 大川ヒロキ 石母田史朗 二反田雅澄 大富士 清家栄一 飯田邦博 新川將人 福田潔 星智也 福井博章 田島優成 太田周作 五味良介 宮田幸輝 川﨑誠司 遠山悠介 熊澤さえか 中島来星 亜蓮 羽子田洋子 大串三和子 佐藤禮子 田村律子 吉久智恵子
脚本:W・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 構成:河合祥一郎 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:勝柴次朗 衣裳:小峰リリー 音響:井上正弘 ヘアメイク:鎌田直樹 ファイトコレオグラファー:國井正廣 音楽:阿部海太郎 小道具デザイン:福田秋生 演出補:井上尊晶 舞台監督:白石英輔
【発売日】2009/11/14【通し券】S席=19,000円/A席=15,000円/B席=11,000円//学生B席=6,000円(劇場のみ扱い)※本公演は前編・後編あわせて1日通し公演、上演時間は約6時間の予定です(休憩除く)。※通し券に残席がある場合に限り、2010年1月下旬より前編券・後編券の発売を予定しております。※未就学児の入場はご遠慮ください。
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/p0311.html
http://shakespeare.eplus2.jp/article/127855991.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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