2012年07月16日
柿喰う客『無差別』09/14-24東京芸術劇場シアターイースト
柿喰う客『無差別』すごく良かった。今までに私が観た柿オリジナル作品でNo.1かも。最初はなぜに民話調?と思ったけど、荒々しく脈打つあらゆる命をことほぐ、祈りの演劇だった。野蛮で嫉妬深くて愚かでチャーミングな日本の神様が、劇場に降りてきてくれた。もうちょっと笑いが多い方が好みかな。
— 高野しのぶ (@shinorev) 2012, 9月 16
上演時間は1時間20分ぐらい。
※第57回岸田國士戯曲賞最終候補作品になりました(2013/12/29)。
⇒CoRich舞台芸術!『無差別』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
罪悪を犯し禁忌を破り、
運命を呪い現世を生きる。
神も仏も獣も人も、
無差別に陥る因果の罠。
柿喰う客、1年半ぶりとなる新作長編!
戦後日本の思想的転換を題材に
人間<テクノロジー>と神<自然>の調和と共存を描く!
≪ここまで≫
≪東京、福岡、大阪≫
東京芸術劇場リニューアル記念「eyes plus」柿喰う客、1年半ぶりとなる新作長編
出演:七味まゆ味、玉置玲央、深谷由梨香、永島敬三、大村わたる、葉丸あすか、中屋敷法仁
脚本・演出:中屋敷法仁 美術:原田愛 照明:松本大介 音楽:和田俊輔 音響:上野雅 振付:北尾亘 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:田中順子 演出助手:入倉麻美 舞台監督:棚瀬巧 宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:引地信彦 映像撮影:竹崎博人 広報:赤羽ひろみ 票券:北澤芙未子 制作助手:加藤恵梨花 制作:斎藤努 制作協力:ピクニック/righteye/PAMC 企画・制作:柿喰う客 主催:柿喰う客/ゴーチ・ブラザーズ
アリーナ7:4,800円(前売のみ、各回限定7席、読み方:アリーナセブン) 一般:3,800円 初日割引:3,500円 平日昼間割引:3,500円 乱痴気公演:3,800円(全キャストシャッフルにて上演)
全ステージ共通割引 敬老(60歳以上):3,500円/学生2000円/高校生以下1000円<※当日受付にて要証明> ≪当日料金≫各前売りより500円UP
http://kaki-kuu-kyaku.com/main/?p=2694
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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華のん企画『子供のためのシェイクスピア「ヘンリー六世 Ⅲ」』07/14-22あうるすぽっと
毎夏のお楽しみ、子供のためのシェイクスピアカンパニーの公演。今年は『ヘンリー六世 Ⅲ(第三部)』と『リチャード三世』(再演)の交互上演です。この2つは歴史劇の続編なんですね。私は時系列順に『ヘンリー六世 Ⅲ』を先に拝見。関連エントリー⇒1、2、3、4、5 ※開演前にイエロー・ヘルメッツによる歌のサービスがあります。劇場へはお早めにどうぞ。
『ヘンリー六世 Ⅲ』と『リチャード三世』の両方に登場するリチャード役を演じるのは、脚本・演出の山崎清介さんです。山崎さんが体調不良のため、東京公演初日と2日目の2ステージだけ、稽古場代役(アンダースタディー)の長本批呂士さんが代役をつとめられました。上演時間は約2時間10分(途中休憩15分を含む)。
東京公演の後、各地を回るツアー公演ですが、2作品が同時に観られるのは東京と大阪だけです。私は続けて観られたおかげでとてもわかりやすかったので、もしお時間あれば2作品ともぜひ。
⇒おけぴ「12/07/05 華のん企画『ヘンリー六世 Ⅲ』稽古場レポ」
⇒CoRich舞台芸術!『子供のためのシェイクスピア「ヘンリー六世 Ⅲ」「リチャード三世」』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
15世紀、イングランドの王座はランカスター家とヨーク家によって争われていた。
『ヘンリー六世 』第三部で描かれる王権争いの終結、
しかしそれは『リチャード三世』へと続く惨劇の序章でもあった・・・
≪ここまで≫
私が観た回の開演前の歌い手は若松力さんでした。曲名忘れちゃったな。
黒いコートに身を包んだ俳優が木製のイスと机を移動させ、おなじみの手拍子と群舞でスピーディーに場面転換。コートを脱ぐとカラフルな衣裳の人物が現れます。俳優1人で数役を演じる上、黒コートを着れば不特定な誰かになって、たちまちコロスの一団が形成されるので、演出の幅がとても広いです。戦闘場面では激しいアクションもあって、切れのある殺陣を見せてくださいました。このカンパニーの歴史を感じます。
シェイクスピアの歴史劇の物語展開は折り紙つきの面白さ。さらに、長編をカットしてわかりやすく構成し、子供も大人も笑えるギャグを存分に挟みこんで、テンポよく進めてくれます。長い独白を複数人に分担させることで、聴きやすく、理解しやすく、新しい面白さも増えるんですよね。また、かえって独白を際立たせる効果もあったように思います。もともと原作は長いセリフが多いですから、厳選されることで重みが増すのではないでしょうか。特にヘンリー六世(若松力)、リチャード(長本批呂士)が客席に向かってじっくり話す場面は印象に残りました。
ヨーク家の三男坊、背むしの醜いリチャードは、左手にシェイクスピア人形を持っています。醜さを“しゃべる左手”で表象しているんですね。いつもは山崎清介さんが腹話術のように人形を操い、常に1人2役状態で演技をされるのを、代役の長本批呂士さんも見事にやりきってらっしゃいました。独白(人形との対話だったりもする)もすごく良くて驚きましたね~!シェイクスピア人形のしゃがれ声まで似せていて凄いです。
ちょっと気になったんですが、私が観た回(7月15日の昼と夜)は、子供のお客様がほとんどいなかったです。見かけた小学生は2人ぐらいかしら?夏休み前だからなのかな。でもこの日は前売り完売だったので、大人の常連客で埋まったのかもしれません。
ここからネタバレします。
ランカスター家(白ばら)とヨーク家(赤ばら)の30年に渡る戦いは“ばら戦争”と呼ばれています。白ばらと赤ばらの旗は終盤になって出てきましたが、もうちょっと早めに出してもらった方がわかりやすかった気がします。衣裳やステージングでグループ分けははっきりしているとはいえ、1人の役者さんが複数役演じますので、誰が誰の敵・味方なのか、頭の中で少々混乱しました。特にウォリック(チョウヨンホ)とジョージ(山口雅義)、寝返りすぎ(笑)。
ヘンリー六世が実子への王位継承権をヨーク家に譲ったのは、これ以上、罪のない国民を王権争いの死闘に巻き込みたくなかったから。心優しくて弱い王、ヘンリー六世の心の声に、今までにはないほど共感している自分がいました。私も弱ってます。…と言いながら、続編の主人公となるリチャードの暴虐・残忍な独白にも惹かれまくりなんですがっ!(笑)
王座をめぐる復讐の輪廻の物語、二作交互上演!
≪東京、神奈川、茨城、静岡、福島、大阪、愛知、滋賀、長野、愛知、福岡、三重≫
出演:伊沢磨紀(マーガレット/ウェストモアランド) 佐藤誓(エドワード) 山口雅義(ジョージ/ノーサンバランド) 戸谷昌弘(ヨーク/モンタギュー) 若松力(ヘンリ―六世/王ルイ) 大内めぐみ(エリザベス/ラットランド/モンゴメリー) 谷畑聡(クリフォード/オクスフォード) チョウヨンホ(ウォリック) 佐藤真希(皇太子/ボーナ姫) 山崎清介(リチャード/人形[左手]) 長本批呂士(『ヘンリー六世』東京公演初日と2日目のみ出演)
原作=ウィリアム・シェイクスピア≪小田島雄志翻訳による≫ 脚本・演出:山崎清介 照明:山口暁 音響:角張正雄 衣裳:三大寺志保美 演出補:小笠原響 舞台監督:井上卓 プロデューサー:峰岸直子 企画製作:華のん企画 主催:華のん企画 稽古場アンダースタディー:長本批呂士
【発売日】2012/05/14 大人 5,000円 子ども(中学生以下) 3,000円 親子ペア(大人1+子ども1)6,800円※ 2公演通し券(『ヘンリー六世』1+『リチャード三世』1)8,500円※ ※華のん企画のみ取り扱い 当日学生割引(要学生証)4,200円
http://www.canonkikaku.com/information/shakespeare.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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