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2013年10月12日

【写真レポート】韓流ぴあ/ヤマハ株式会社『韓国ミュージカル俳優コンサート&トーク~キム・ダヒョン~』10/11YAMAHAホール

 今年の1月に上演された韓国ミュージカル『ウェルテルの恋』で主役ウェルテルを演じていたキム・ダヒョンさんが、日本で初めてソロ・コンサートに出演されました(⇒ダヒョンさんインタビュー)。『韓国ミュージカル俳優コンサート&トーク』の第1弾で、私はコンサートと、その直前に実施された記者会見に伺いました。

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 客席の盛り上がりがすごかった…!ダヒョンさんはミュージカル楽曲の一曲ずつに、役柄の心を込めて歌われて、まさに一球入魂ならぬ“一曲入魂”。会場のYAMAHAホールはマイクなしの生声も美しく響くクラシック音楽専門の劇場で、ピアノ、クラシックギター、ヴァイオリン、パーカッションというアコースティック楽器の伴奏とともに、とても贅沢な時間を過ごすことができました。

 『韓国ミュージカル俳優コンサート&トーク』は月例企画です。
 第2弾(11月14日)はキム・ジェボムさん(⇒チケット発売中! 過去レビュー⇒)。
 第3弾(12月20日)はキム・スンデさんチョン・ドンソクさん。 ⇒チョン・ドンソクさんインタビュー

 ⇒Korepo「「速報」キム・ダヒョン「韓国ミュージカル俳優コンサート&トーク」リハ見学&記者会見開催!
 ⇒マウムデロ(心のままに)「韓国ミュージカル&トーク 「キム・ダヒョンコンサート」

 ロビーで販売されていました↓

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【公開リハーサル&記者会見】

 キム・ダヒョンさんは、登壇するなりさっそく2曲披露してくださいました。

 司会:歌ってくださった2曲について教えてください。
 ダヒョン:最初にお聞かせした曲は、2013年1月に日本で上演した『ウェルテルの恋』の「足を踏み出すことができなければ」。日本での思い出が残っているので選びました。2曲目は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(⇒関連レビュー)から「The origin of love」。韓国で100回以上出演した作品です。20代の時、性に対するアイデンティティーについて自分でも色々と考えたり、悩んだりしまして、この曲を歌いながら何度も涙を流したこともあり、特に思い入れがあるので選びました。

 司会:今回はミュージカルではなくコンサートです。どういう心境ですか?
 ダヒョン:今、とてもわくわくしています。今日のために韓国で準備をしながらも、本当に日本でコンサートをするんだろうか…と、今日、この会場に来るまで全く実感が沸かなかった。でも今、こうして記者の方々とお会いして取材を受けてお話をしているうちに、だんだんと…今やっと実感が沸いてきた気がします。今日の公演は、自分もとても楽しみにしてました。以前にYADAというグループで歌手活動をしていた時から日本でコンサートをしたかったんです。ついにこの日が来たなという感じで、今日はとても意味のあるコンサートだと思います。とても嬉しいですし、この後のコンサートで観客の方たちとひとつになって楽しみたいと思います。

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 司会:選曲の基準について教えてください。
 ダヒョン:日本で『ウェルテルの恋』を上演したので、まずその中から選びました。そして『ヘドウィグ~』からも。ヘドウィグ役については非常にたくさん、色々な研究をしました。資料として日本で上演された『ヘドウィグ~』も観たんですが、自分たちが考えているようなことや、韓国で上演された『ヘドウィグ~』とは解釈の仕方がちょっと違うところがあって、すごく新鮮に感じるとともに驚きました。そういう意味でも『ヘドウィグ~』から選曲しました。韓国でヘドウィグを演じた役者さんの中では、私が一番美しいヘドウィグだったんではないかと思っているんですけれども、一番美しいヘドウィグだと自負している私が、日本に来て挑戦状をたたきつけたらどういう風になるかなと、ちょっと気になったりしています。また、ファンの方には好きな曲もあるでしょうし、『ヘドウィグ~』をご覧になった方も多いと思います。
 それ以外は、自分がやった作品の曲もありますし、やってみたかった作品からも選びました。テレビ番組「不朽の名作」で歌った曲も、今日は披露してみたいと思います。

 質問(しのぶより):やってみたかった作品とは?何という曲ですか?
 ダヒョン:やってみたかった役は、『レ・ミゼラブル』のマリウスです。20代の役なので、自分は30代だから無理かなと思ったり。関係者に聞いた時も「やるならば20代の俳優にしたいから」と言われてしまったので、もうできないかな~と思っています。僕は外見だと20代って言われることもあるんですけど。今日『レ・ミゼラブル』の中から歌うのは「Empty Chairs at Empty Tables」です。

【11月に開幕する主演ミュージカル「ガイズ&ドールズ」のスカイ役のイメージで、セクシーなムードの衣装を選んだそうです】
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 司会:『ジャック・ザ・リッパー』など、次々と話題作に出演されています。ミュージカル俳優として今、どんな思いで活動をされていますか?
 ダヒョン:ミュージカル俳優は私の夢だったものですから、今このように活動しているのは、自分が夢をかなえたという気持ちです。ミュージカルは総合芸術で、歌って踊って、すべてのものを一度にライブで皆さんに見せられる。ステージで自分も楽しみながら、皆さんと呼吸を合わせて共感することができたらいいなと思っています。
 日本でこのように公演ができることも嬉しく思っていまして、これから発展していくきっかけにもなるんじゃないかと思います。私は創作ミュージカルにとても思い入れがありますので、日本で色々な公演をしたり、コンサートをしたりできるのはとても嬉しいことです。また、日本に向かう飛行機の中で、ふと考えてみたんですが、韓流というとドラマ等のスター俳優やK-POPの方たちの公演などがメインでしょうから、ミュージカル俳優がこのようにコンサートをすることは、自分で考えてみても驚くべきことだなぁと思いました。このような機会を得たことをとても感謝していますし、活動をしながら恩返しをしていけたらなぁと思います。このご縁がいつまでも続くといいなと思っています。

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 質問(しのぶより):日本でこれからどういう活動がしたいですか?
 ダヒョン:私は日本が好きなんだな~と自分でも思います。YADAの活動をしていた時も日本に行きたいと思っていましたし、昨日の夜、リハーサルを終えて食事のために街を歩いている時も、歩いているだけでとても気分が良くて、楽しい気持ちになりました。
 これから日本で活動するようになればと考えてみました。今までのように韓国で上演した作品を日本で再び上演したり、今日のようなコンサートをするのではなく、日本で上演されるミュージカルに出てみるのはどうかな、そういうのもいいんじゃないか、と。そんな機会があったらいいなと思います。CDを出すというお話もありまして、ミュージカルもいいですが、ミュージカルではない普通の曲のショーケースが出来たらいいなと考えたりもします。


 質問:ミュージカルでは衣装やメイク、舞台美術などがありますよね。でも今日はコンサートです。何を頼りに、舞台への集中力を高めていかれるのでしょうか?
 ダヒョン:おっしゃるとおりで、どうしたらいいか今でもまだよくわかりません(笑)。ここはとても素敵で立派なホールで、マイクなしでも歌が伝えられるので、何曲かはマイクを使わずに自分の生声を聴かせたい、そういう試みをしてみたいと思っています。演技の場合は動作だけでも伝えられるんですが、今日は立ったまま歌うので、今だにどうしていいかわからないところです。ただ、今日のホールはお客様一人ひとりと目を合わせられる距離感がとてもいいと思っていますので、観客の皆さんとアイコンタクトを取りながら、楽しいステージにできればいいなと思っています。

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【セットリスト】 ※パンフ通りです。実際は2と3が逆だったような気がしますが。

1 「ああ、ロッテ」 (『ウェルテルの恋』より)

2 「I am what I am」 (『ラ・カージュ・オ・フォール』より)

3 「Empty Chairs at Empty Tables」 (『レ・ミゼラブル』より)

4 「The origin of Love」 (『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』より)

5 「Sugar Daddy」 (『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』より)

6 「Wicked Little Town」 (『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』より)
 ダヒョンさんが「(トミー・ノーシスではなく)ヘドウィグとして歌ってみた」とおっしゃったように記憶しています。ドリーミーで柔らかい「Wicked Little Town」でした。

7 「ウェルテルの恋 メドレー <がっかりしないでください~我々は~一夜千年>」 (『ウェルテルの恋』より)

8 「足を踏み出すことができなければ」 (『ウェルテルの恋』より)

以下、アンコール

9 「希望事項」 (TV番組「不朽の名作」より) 
 TV出演時の動画↓

10 「微笑みながら私を見送ったその姿のように」 (TV番組「不朽の名作」より)
 TV出演時の動画↓


【コンサートの感想など】

 歌10曲の間にトークが何度もあって、歌唱力や演技力だけでなく人柄もよくわかる内容になっていました。韓国からもお客様が多数いらしていたようで、韓国語がわかる人と通訳を介する必要がある人の両方がいたために、客席では笑いや反応にタイムラグがありました。韓国ミュージカルの客層はすっかりボーダーレスですね。

 私がダヒョンさんに惹かれるのは、歌や演技における感情表現が豊かだからだと、今回のコンサートでも改めて確認しました。『ウェルテル~』のインタビューでおっしゃっていた“ディテール・キム”に今回も出会えました。記者会見でも「お客様とひとつになる」「皆さんと呼吸を合わせて共感する」とおっしゃっているように、ダヒョンさんは舞台上でつぶさにコミュニケーションをしているんですよね。
 
 それにしても、「自分のことを美しいと思っていて、それを堂々と公言する、実際に美しい男性」って、私の今までの人生で出会ったことなかったですねぇ…(笑)。『ウェルテルの恋』の時にすでに、ダヒョンさんがそういう俳優だと知っていたはずなんですが、また驚いてしまいました。コンサート中に「芸術高校を出る時にひっきりなしにスカウトがあった(けど演技の勉強をしたかったので大学に進学した)」ともおっしゃってましたね。“韓国で最も美しい”と自負されているヘドウィグは、確かに美しかったです。無邪気で可憐で壊れそうで…凌辱したくなるような(笑!)、ヘドウィグでした。

 ダヒョンさんが「日本のミュージカルに出てみたい」とおっしゃったことにも驚きました。実はそういう答えを期待した質問だったんです。日本語の勉強をされているようでしたので、本気なのだろうと思います。日本の『レ・ミゼラブル』でマリウス役にキム・ダヒョン、いかがでしょうか?!

 このコンサートの宣伝動画「韓国ミュージカル俳優キム・ダヒョンからメッセージが届きました♪」

Mlusical Concert &Talk Kim Dahyeon
出演:キム・ダヒョン(김다현)
バンド:松ケ下宏之(ピアノ/ギター) 小久保里沙(パーカッション) 雨宮麻未子(ヴァイオリン) MC:古家正亨 通訳:河井佳 記者会見挨拶:小田光太郎(ぴあ) 主催:韓流ぴあ/ヤマハ株式会社
全席指定6000円
http://www.yamaha.co.jp/yamahaginza/hall/eventlist.html#evt8120

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2013年10月12日 22:09 | TrackBack (0)