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2013年11月09日

シアタースタジオ・インドネシア『オーバードーズ:サイコ・カタストロフィー』11/09-13池袋西口公園

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チラシはこちらより

 本日、フェスティバル/トーキョー13(F/T13)が開幕しました!⇒記者懇談会の写真レポート あいにく風邪気味になってしまい、お昼から始まった数々の開幕イベントは全て見逃すという残念な日に(涙)。でもシアタースタジオ・インドネシアによる夜の野外公演『オーバードーズ:サイコ・カタストロフィー』だけは頑張って観に行きました。

 まず巨大な竹製の装置に圧倒されます。重なる屋根のように組まれた竹の内側で演技が行われるとばかり思っていたら、なんとスルスル登って、てっぺんまで!異空間に完全に連れ去られました。

 上演時間は約1時間。カイロがもらえたので寒さには耐えられました。対面客席で全席自由です。客席と舞台の間に柵があるので、たぶん上の方の席が見やすいじゃないかと思います。

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 ⇒CoRich舞台芸術!『オーバードーズ:サイコ・カタストロフィー

 シアタースタジオ・インドネシアは『バラバラな生体のバイオナレーション! ~エマージェンシー』で昨年のF/Tアワードを受賞し、今年の主催演目に選ばれました。私は残念ながら前作は見逃しています。演出家のナンダン・アラデアさんは先月、42歳で急逝されました(⇒F/T13ニュース)

 前知識なしで(というか、すべて忘れ去って)観始めました。言葉は全くわかりませんし、字幕もないので、ただ起こることを驚きながら眺め続けました。
 出演者は竹を登る5人と、巨大な銅鑼を叩いたり、お経のような声を発する、僧侶か仙人のような衣装を着た人との、合計6人の男性です。5人の衣装は腰の部分を隠すざっくりとした短パンだけで、上半身も足も露出しています。ものすごく鍛えられた体!背中の筋肉を見ているだけでも、ちょっと特別な、なんとなく神聖な心地になるほどです。竹の棒につかまって自在に登り降りする屈強な男性たちを見ながら、健全なる精神は健全なる身体に宿るのだろうな~などと考えました。

 装置から「竪穴式住居」「高床式倉庫」を連想し、出演者の衣装、そして肉体から、おそらく狩猟・採集生活をしていた時代の人類ではないか…と想像。ぶら下がっている大きな木の幹は、木そのものだったり、獲物だったり、船だったり、農具だったり、色んなものに見えました。池袋という都会にいながら、心はすっかり古代の地球を旅していました。

 1人だけぽっちゃり体型の方がいて、なんと1度、竹から滑って水の中に落ちたんです。怖かった…でもすぐに何ともなさそうに起き上って、またてっぺんまで登って行かれました。体が濡れてしまって、この寒いのに大丈夫かしらと少し心配にもなりました。どうかこれからも雨が降りませんように!

 2分間の作品紹介動画↓で屈強な男性たちをチラ見!

 ここからネタバレします。

 公式サイトによると「海と船、自然と人間」「1883年のクラカタウ山の大噴火と津波災害」を題材にしているんですね。なるほど、私の想像もそんなにハズレてはなかったみたい。ではあの仙人のような人は神または予言者、そして語り部だったのかしら。

 5人の男性全員が中央にぶら下がっている木の幹に乗って、立ち、竹の棒を櫂のように動かしながら、遠くを見つめる演技をしたとき、竹の空間は広い海になりました。この時、私も一緒に時空を超えた実感があり、感動しました。

 木の幹には数か所、丸い穴が貫通していて、その中に竹の棒を通して串刺し状態にします。イノシシや牛などの獲物を捕まえたのかしらと想像。竹をはずし、今度は木の幹のすこしへこんだ穴をすり鉢のように使って、何か小さなものを、竹ですり潰していました。何かしらの農具になったんですね。そして出来上がった粉を両の手ひらに大切そうに乗せて、客席の方へと持ってきてくれました。まるで捧げものをするかように、観客の目の前に。手に取ると、どうやら香木を粉砕したものだったようで、とてもいい香りがしました。野外の竹の空間で、かぐわしい自然の香りを嗅いで、またもや心は異空間へトリップ。

 写真↓中央の丸いものは、身長の高さぐらいはある金属製の銅鑼です。竹の梯子の影が映っています。
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フェスティバル/トーキョー13(F/T13)
出演:ゴディ・スワルナ、ヘンドラ・セティアワン、マブスティ、アデ・イイ・サリフディン オトン・ドゥラヒム ディンディン・サプルディン
演出:ナンダン・アラデア 舞台美術:オトン・ドゥラヒム 音響デザイン・映像オペレーター:エンリー・ジョハン・ジャオハリ デジタルムードメーターデザイン:タゥヒッド・ヌル・アザール 照明:オマン・アブドゥラフマン 舞台監督:ディンディン・サプルディン スタッフプロダクション、演出部:ファリッド・イブヌ・ワヒド、イスバトゥラァ・アリバスヤ 経理:ルディ・ルスタンディ 制作:ハサヌディン・サティビ、ラトゥ・セルフィ・アグネシア プロデューサー:セノ・ジョコ・スヨノ、アグス・ファイサル・カリム アドバイザー:ラノ・カルノ(バンテン州副知事)、H.マルワン、ジャトニカ・ナンガミハルジャ
東京公演スタッフ 技術監督:寅川英司 技術監督アシスタント:河野千鶴 舞台監督:弘光哲也 演出部:渡邊武彦、加藤由紀子、佐藤豪 照明コーディネート:佐々木真喜子(株式会社ファクター) 音響コーディネート:相川晶(有限会社サウンドウィーズ) 協賛:ガルーダ・インドネシア航空会社 後援:インドネシア共和国大使館 製作:フェスティバル/トーキョー、シアタースタジオ・インドネシア 主催:フェスティバル/トーキョー
【休演日】11月11日(月) 【発売日】2013/10/05 料金:自由席(整理番号付) 一般前売 3,500円(当日 +500円) 学生 3,000円、U18(18歳以下)1,000円(前売・当日共通、当日受付にて要学生証提示)
http://www.festival-tokyo.jp/program/13/overdose/

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:19 | TrackBack

【稽古場情報】水天宮ピット「小スタジオ1、2、3『2014年4月~9月使用期間分』選考申込受付中」※11/30〆切(郵送 or 持参)

 東京芸術劇場が運営する稽古場「水天宮ピット」が小スタジオ1・2・3について(⇒フロアアガイド)、2014年4月~9月の選考申込を受け付けています(⇒前回の告知エントリー)。

 以下、稽古場からいただいた情報です。小スタジオ3は広くはないですが、水天宮ピットの中でも格安で、利用料金は制作室付きで1日2,000円(8日以上なら長期割引あり)です。芸術団体の皆さん、どうぞご検討ください。

 ●水天宮ピット「H26年度上半期の小スタジオ選考申込」
  選考受付期間:2013年11月1日(金)~11月30日(土)※当日消印有効
  ⇒利用料金
  ⇒2010年・無料使用感想レポート(PDF)

◆H26年度上半期の小スタジオ選考申込開始◆

H26年度上半期の小スタジオ選考申込開始のお知らせです。

小スタジオ1または2をご希望の場合は使用希望スタジオに「小スタジオ」、
小スタジオ3をご希望の場合は「小スタジオ3」と明記してください。
※小スタジオ3は小スタジオ1・2と仕様が異なりますので、ご注意ください。

◎選考受付期間:2013年11月1日(金)~11月30日(土)※当日消印有効

◎使用期間:2014年4月1日(火)~2014年9月30日(火)

◎応募方法
  下記のURLから使用申請書と使用計画書をダウンロードし、ご記入ください。
  選考申込には、登録申請団体が主催した過去の公演チラシ(過去の活動実績)の提出が必要です。
  
  ※団体登録をしていない場合は団体登録申請書の同時提出が可能です。
  ※各様式は水天宮ピット窓口でも配布しています。

  ダウンロードURL
  『団体登録申請書』 →http://www.geigeki.jp/suitengu/pdf/entry.doc(Word)
  『使用申請書』→http://www.geigeki.jp/suitengu/pdf/shinsei.doc(Word)
  『使用計画書』→http://www.geigeki.jp/suitengu/pdf/plan.doc(Word)

  記入例:必ず記入例をご参照ください。
  『団体登録申請書』 記入例 →http://www.geigeki.jp/suitengu/pdf/entry_ex.pdf(PDF)
  『使用申請書』記入例 →http://www.geigeki.jp/suitengu/pdf/shinsei_ex.pdf (PDF)
  『使用計画書』記入例 →http://www.geigeki.jp/suitengu/pdf/plan_ex.pdf (PDF)

ご記入いただいた書類は、水天宮ピットへ持参、または郵送にて受付いたします。

 ◎提出先
  〒103-0015 
   東京都中央区日本橋箱崎町18-14 
水天宮ピット
   TEL:03-6661-6901


※正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:53 | TrackBack

時間堂『森の別の場所』11/01-11シアター風姿花伝

 時間堂は黒澤世莉さんが演出される劇団です。今回はリリアン・ヘルマン作『森の別の場所』を黒澤さんが翻訳・演出。上演時間は約3時間(途中休憩1回を含む)。

 南北戦争直後のアメリカ南部の、とある成金一家のお話でした。強欲でワンマンの父に搾取・支配される2人の息子たち、そんな父に取り入る末娘、そして敬虔なキリスト教信者の母。急展開する最後の約45分間が面白かったです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『森の別の場所

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 街中が知っている「疑惑」の家族、騙しあいの一夜。

 戦争後、商売で成功した富豪として森の中に住むハバード家。
 夏の音楽会の夜、森の外からの来訪者によって家族内の危ういバランスが崩されていく。
 誰が騙し、誰が裏切り、誰がうまく出し抜くのか。
 決着は翌朝、誰の思いもよらない形でやってくる。

 南北戦争後の南部アメリカを舞台としたリリアン・ヘルマンの骨太かつ滑稽な家族劇を、黒澤世莉が鮮烈に新訳、時間堂の軽やかな演技体で走り抜く。

 すべての事実はその聖書に書いてある。
 ≪ここまで≫

 俳優の演技だけで見せていくスタイルで、3時間の大河ドラマを持たせるのは難しかったんじゃないでしょうか。シンプルな舞台美術で音楽も最小限で、照明もほとんど変わりません。衣装はがんばって用意されたんだろうと思います。なぜ床の色があんなに鮮やかな、くっきりとした緑色だったのかしら(「森」だから?)。どうせなら美術はブラックボックスにした方が、衣装が生えたんじゃないかな~。劇場の壁や階段を含む舞台の隅から隅まで、白い照明で照らしつくす必要はなかったと思います。むしろ何かに焦点を絞るために暗くする(ある部分を明るくする)方がよかったのではないかしら。

 役者さんは全体的に胸から上で(心と頭で)演技をされているように見えました。足腰が弱いというか、地に足がついていないというか。現代劇ではなく大河ドラマなので余計に気になったんだと思います。
 ヒザイミズキさんが演じた母のひたむきさが、度が過ぎて滑稽に見えて、笑えたのが良かったです。

 ここからネタバレします。これからご覧になる方はお読みにならないでくださいね。

 昔起こった殺人事件について、父のアリバイをくつがえす証拠を母が持っており(聖書に事実を書き残していた)、それを利用した長男が、父の会社や財産をすべて奪って自分のものにします。エンディングでは新たな暴君の誕生を示唆する空気がないわけではなかったですが、さらっとし過ぎだと思いました。照明なども含め、堂々と主張する演出も観たかったです。

≪東京、大阪≫ 時間堂・シリーズ発掘 01
出演:菅野貴夫、鈴木浩司、直江里美、ヒザイミズキ、阿波屋鮎美、長瀬みなみ、松井美宣、髙橋智哉、中谷弥生、西本泰輔、早川毅、原田紀行
作:リリアン・ヘルマン、翻訳・演出:黒澤世莉 照明:工藤雅弘 衣裳:阿部美千代 音楽:後藤浩明 演出助手:野邉紗保莉 宣伝美術:デザイン太陽と雲 スチール写真:松本幸夫 ヘアメイク:タカダヒカル Web 制作:小林タクシー ビデオ制作:$堂 主催・企画制作 : 時間堂
前売開始:2013 年 10 月 10 日(木)10:00 全席自由・日時指定・税込/購入順整理番号付き 前売・当日 一般:3,200 円 割チケ!:2,700 円  
・割チケ! 以下の条件を満たされた方は、2,700 円で観劇いただけます。 [時間割] 時間堂に関するものをお持ちくださった方 (グッズ・過去公演のフライヤー/パンフレットなど)[遠割]東京都 23 区外からお越しの方[森割] お名前に「森」の字が入っている方[淑女割]女性の方[劇割]演劇づくりに携わっている方[紳士割]男性の方
【全日程】 学割:学生の方(演劇養成所含む)受付にて学生証をご提示ください 【全日程】 リピ割:本公演をご覧いただくのが2回目以降の方。受付にて半券をご提示ください
※BUY1 GET1 キャンペーン(枚数限定)前売券を 10 月 17 日までにご購入いただいたお客様に、おひとり様分のお値段でペアチケットを差し上げます!ご家族・ご友人と楽しいひとときをお過ごしください。(カルテットオンラインのみでのお取り扱いです お申し込み後、時間堂からお振り込み先をご連絡します。ご入金の確認を以ってご予約完了です。各種割引の併用はできません。)
http://jikando.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:51 | TrackBack