2007年05月20日
小指値『オールテクニカラー』05/18-20半蔵門アーツファースト
小指値(こゆびち)は多摩美大出身のパフォーマンス集団です。先日のガーディアン・ガーデン公開二時審査会でのプレゼンテーションが素晴らしかったので、番外公演にもお邪魔してみました。
各回限定15席の小さな公演は1500円でグリーンカレー付き!美味しかったです。あ、パフォーマンスもめちゃくちゃ面白かった。上演時間は1時間弱。
⇒CoRich舞台芸術!『オールテクニカラー』
⇒舞台写真(2007/06/13)
≪あらすじ≫ 公演が終了しているのでネタバレします。
渋谷でホームレスの女の子と目が合った。追いかけてくるから彼氏の部屋まで連れてきて、一緒にグリーンカレーを食べた。そのままそのコは彼の家に住みついちゃった。いつもの4人組に1人の異邦人が加わって、ちょっと刺激的な日常。でも・・・。
≪ここまで≫
役者さんは開場時間から舞台にいて、観客と気さくに話したり準備運動をしたり、とてもリラックスした状態(に見えました)。開幕前から体感したことのない特別なムードがあり、わくわくしました。そして幕が開いて・・・むむ~、ものすごく面白かった。
作風はダンスのような身体表現と現代口語演劇がまざった感じで、自然な会話の途中で突然飛び跳ねたり、ある行動を全く関係ない動きで表現したり、登場人物が勝手に人間じゃなくなったり、もー自由自在。アイデア止まりではなく、ちゃんと狙いが定まったパフォーマンスになっています。
しっかりと地に足がついた状態で役柄を演じているし、鍛えられた体のダンス(動き)も堂々としていて見ごたえがあります。そう、めっちゃくちゃ堂々としてるんですよね。いったいこの存在の仕方はどこで、どうやって身につけられたのでしょうか。
演劇やダンスなどのジャンルの境界を自由に飛び越え、行き来して、自分たちが信じる面白さ、気持ちよさ、美しさをそのまま舞台に上げることに成功していると思います。若いカンパニーから新しいものが生まれてきていることを、ビシビシ感じました。
フリーターの一人暮らし、仲良し4人組のダブルデート、ホームレスの女の子との出会いとさよなら。渋谷、渋谷、渋谷・・・渋谷のイメージが肌感覚をともなって広がっていきます。最後は首都高の車の走行音とカーライトで渋谷を俯瞰。ホームレスの女の子と目が合うシーンが、終盤でもう一度出てきたのが良かったな~。
それにしても濃ゆ~い部屋だった。めちゃくちゃあつかましい白人女性観客がいて、ある意味、人生勉強にもなりました(笑)。
出演=池田拓哉(パパタラフマラ)、大久保亜美(mon)、飛田美紀、山崎皓司、篠田千明
作=オールテクニカラー 演出=篠田千明・大道寺梨乃 照明プラン=上田剛 制作=小指値 カレー作り=山崎皓司
1,500円 各回限定15席 要予約 ※食事付(グリーンカレー)
http://www.koyubichi.com/
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ONEOR8 B面公演『COLT GOVERNMENTS(コルトガバメンツ)』05/19、05/23-27イマジンスタジオ
ONEOR8(ワンオアエイト)は田村孝裕さんが作・演出される劇団です。田村さんは劇団外での執筆、演出もよくされています(過去レビュー⇒1、2、3、4、5、6)。B面公演は本公演(A面)とすると、そのカップリング
ライター招待のプレビューに伺いました。開幕前のクチコミ効果を狙い、観客の反応から作品をブラッシュ・アップするという素晴らしい企画です。こういう双方向のイベントが増えてきましたよね。初日は5/23(水)です。
★パンフレットと一緒に贅沢な資料をいただきました。ONEOR8の過去公演すべてを載せたオールカラーの1枚に感動。舞台写真が入ったCD-ROMも頂戴しました。
⇒CoRich舞台芸術!『COLT GOVERNMENTS』

プレビュー舞台写真
≪あらすじ≫
小学校の同窓会の帰り。信也(恩田隆一)、明夫(冨塚智)、正次(平野圭)の3人は、仲良し4人組だったのに一人だけ会に来なかった藤井(野本光一郎)の家に上がりこんだ。小学校時代の思い出を語るうちに、それぞれの胸の内と今の生活が明るみに・・・。
≪ここまで≫
イマジンスタジオに初めて伺いました。日比谷のニッポン放送の大きなビルの地下に、ものすごくきれいな空間が!記者会見などにも使われているそうです。フラットなスペースで客席に段差がなく、装置は少々簡略化されているように見えました(そういう演出なのでしょうけど)。舞台をパっと見た第一印象は「やりづらそうだな~・・・」でしたね。
その感覚に引きづられたのか、中盤までは役者さんの演技の荒さが気になってお話に入っていけませんでした。でも、あるきっかけからガツンと集中して観られるようになり、最後には男4人の今と昔の生活の匂いのようなものが、じんわりと感じ取れるようになりました。

プレビュー舞台写真
幼い頃、若い頃のつらい思い出って、ちょっと触れることすら恐怖になるぐらい、本人にとっては大きな痛手なんですよね。でも時が経てば、恐る恐るその禁断の箱を開けても、けっこう平気になってたりします。見ることができるようになったら、次はそれを肯定して愛してあげること。そうすれば今の自分がしっかりと立てるようになり、未来を見ることができるようになるんだなと、カーテンコールの可愛い男の子たちを眺めながら思いました。
初日は5/23(水)なのでまだまだお稽古の時間があります。幕が開く時にはかなり完成度が高くなっているのではないでしょうか。こういうの、嬉しいですね。
ここからネタバレします。

プレビュー舞台写真
いじめられキャラだった明夫(冨塚智)が実は変装していたとわかった時から、前のめりに舞台を観られるようになりました。同窓会の裏側が具体的に目に見えたからでしょうね。もっと前から入っていきたかったな~。
友達同士の気軽な日常会話のお芝居に、黒いランドセルと黄色い帽子を被って小学生になりきる回想シーンと、藤井が見る夢のシーンが挟まれます。夢の示す意味は最初はわかりづらいですが、最後にスっと腑に落ちて嬉しくなりました。違う中学に行くことを決心するぐらい嫌いだった「聖徳太子ゲーム」も「長嶋のモノマネ」も、もう一度見つめて、そして愛してあげることができたんですよね。
奥のふすまの裏の部屋にいる(ことになっている)お母さんのシーンは、今回のために新しく増やしたそうです。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:田村孝裕(ONEOR8作・演出)、岡本麗(女優)、徳永京子(演劇ライター)
岡本麗さんは田村さんと2度お仕事をされていて(『東おんなに京おんな』『猿股のゆくえ』)、徳永京子さんは2000年からずっとONEOR8をご覧になっているそうです。旧知のおともだちが勢ぞろいしたような、ほんわかあったかなトークでした。岡本さんは本当にキュートな方!田村さんは素朴で正直で・・・作品の印象そのままの好青年でした。
質疑応答では岡本さん、田村さんのファンの方々からの発言が多かったですね。あんなにはっきりと「ファンです!」なんておっしゃるんですから、相当熱心なファンなんだな~。

プレビュー舞台写真
出演=恩田隆一、冨塚智、野本光一郎、平野圭 声の出演=和田ひろこ
作・演出=田村孝裕 照明=和田典夫(満平舎) 音響=今西工 舞台監督=村岡晋/八木橋貴之 演出助手=伊藤俊輔(M★A★S★H) 宣伝美術=美香(pri-graphics) イラスト=とみつかさとし 舞台写真=山本圭ニ 票券=岡本愛子 中島まり子 制作=高田雅士 椎名浩子 協力=Habanera エムエイチ企画 主催=ONEOR8 ニッポン放送
【発売日】2007/04/22 前売3.000円 当日3.500円 全席自由(日時指定・整理番号付き自由席)
http://homepage2.nifty.com/oneor8/index.html※5月19日(土)プレビュー公演にライターさんご招待!
http://my.formman.com/form/pc/1lcCUiBycmTnfb7M/
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