2010年08月05日
ブス会『女の罪』07/29-08/10リトルモア地下
ポツドール番外公演(過去レビュー⇒1、2)を作・演出されてきたペヤングマキ(溝口真希子)さんが、新たに立ち上げた演劇ユニット「ブス会*」の旗揚げ公演です(⇒掲載したオーディション情報)。
女同士の生々しい戦いを間近で楽しませていただきました。上演時間は約1時間10分。前売りは完売。当日券あり。
⇒CoRich舞台芸術!『女の罪』
舞台は小さなスナック。前回、前々回に比べると、設定も内容も性的ハードさの面ではやわらかくなっていましたね。普段は絶対口に出さないであろうことや、不意に出てしまった本音がぶつかりあうのが刺激的。
登場するのはスナックの店員や客など女性ばかり5人。私(=女)からするとカチンと来たり、ムカっと来たりするキャラばかりなんですが(笑)、5人の女優さんがそれぞれに魅力的で、ワハハと笑ってうっとり眺めて楽しみました。
会場が原宿で上演時間も短いですし、お友達(大人推奨)と気軽に観て、その後に食事で会話がはずみそうなお芝居だと思います。カップル同士だとしゃべりづらいネタかもしれないけど・・・(苦笑)。
【舞台写真:曳野若菜撮影(主催者より提供)】
ここからネタバレします。
夫に浮気されることを「私のセックスが誰かに盗られてる」と言い表すのが新鮮でした。そっか、言われてみれば、そうなのか(笑)。
美姫(安藤聖)は正義感が強くで女性にモテるタイプ。ママ(仲坪由紀子)はいい加減だけど人を追い詰めないので、求めなくても常に男が寄ってくるタイプ。夫がママと浮気している事実をつきとめた美姫は、外に出たママを追いかけます。なんとお酒の瓶を片手に持って。その後、美姫がママに瓶で殴りかかるかもしれない、もしかしたら殺しちゃうかも・・・と想像させます。
そこからは美姫とママ、そして周囲の女たちがそれぞれに違う主張を持った集団や、世界中の色んな国々に見えてきました。
装置や衣装のリアリティーにこだわった現代口語劇で、照明の変化はなく、音楽についてもカラオケが流れることで弾みをつけることはあっても、「お芝居の音響」的なものはなかったように思います。
終盤で私は上述のような演劇的な奥行きを感じ取れたので、照明や音響の演出を加えて、現場で交わされる会話以外の世界を広げてもいいんじゃないかと思いました。
出演:仲坪由紀子 岩本えり(乞局) 玄覺悠子 大樹桜 安藤聖
脚本・演出:ペヤングマキ(溝口真希子) 照明:伊藤孝(ART CORE design) 美術:田中敏恵 選曲:DJ dekka-ching 小道具・衣裳:大橋路代(パワープラトン) ヘアメイク:中西端美(ひなぎく) 舞台監督・音響:尾倉ケント(アイサツ) 演出助手・照明操作:豊永優美 写真撮影:曳野若菜 宣伝美術:冨田中理(Selfimage Products) 票券:徳橋みのり(ろりえ) WEB:rhythmicsequences 広報:石井裕太 宣伝協力:山田恵理子 制作協力:溝口美帆 酒井源司 制作補助:藤原みかん、渡辺治子(以上リトルモア地下) 制作・プロデューサー:増井めぐみ(リトルモア地下) 共催:リトルモア地下 企画・製作:プス会*
【休演日】8月5日休演日【発売日】2010/06/24 前売2800円、当日3000円 (整理番号付自由席、当日精算)
http://busukai.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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東京デスロックCONTEMPORARY SERIES #2『2001年-2010年宇宙の旅 <2001-2010 A Space Odyssey〉』08/04-08富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ水の広場特設野外ステージ
キラリ☆ふじみの芸術監督になった多田淳之介さんの劇団東京デスロックが、ホームであるキラリ☆ふじみの水の広場で行う野外公演です。初日に伺いました。上演時間は約1時間45分。
水の広場とは劇場公式サイトのTOPページの写真にもなっている、とてもきれいな場所です。広い池の中に丸いステージが設置されていました。観客は全員スタンディングという告知でしたが、ウッドデッキに三角座りをして観ている方が多数でしたね。私は途中から立って観ることに。
晴れた夏の夜、ちょっと強い目だけど気持ちのいい風が吹く中、水と木々と星空のある広い舞台に“人類”がいました。
⇒CoRich舞台芸術!『2001年-2010年宇宙の旅 <2001-2010 A Space Odyssey〉』
アーサー・C・クラーク著「2001年宇宙の旅」「2010年宇宙の旅」をもとに、東京デスロックの劇団員およびゲストの方が、贅沢なランドスケープをバックに人類の歴史と現在をあらわします。
多田さんが当日パンフレットに書かれてるとおり、インスタレーションのような作品でした。現代美術の展覧会に展示されてもいいぐらいの。そっか、CONTEMPORARY SERIES ですものね。
広~い舞台が気持ちいい!ビルにも電信柱の電線にもさえぎられない空を、あんなにゆったり眺められたのって久しぶり!しかも古代、現在、未来の空として味わえました。
上演時間はもう少し短くても良かったんじゃないかな~。あと、私の個人的な好みなんですが、役者さん同士のかかわりというか、言葉や感情の具体的な交流が観たかったですね。
↓この映画は観ました。「2010」は観てないです。
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ここからネタバレします。
開演の時。パっと暗くなって、映画「2001年宇宙の旅」のテーマ曲(シュトラウスの交響詩「ツァラストラはこう語った」の序奏)が流れます。遠くの木々をカラフルな照明で照らすのは静岡舞台芸術公園の野外劇場「有度」みたい!下手にあるメインホールのロビーの明かりがいっせいに点いて(ガラス張りなので外も明るくなります)、アトリエのロールカーテンがガーーーーーーーーーーっと上がるのにわっくわく!思わず笑いがこぼれました。キラリ☆ふじみが宇宙ステーションにも原始の森にも見えました。上手のアトリエはロケットに見えたな~(笑)。
映画に出てきた四角い石“モノリス”の話をゆっくり朗読で聴けました。最初の約30分間で人類誕生(ヒトザルがモノリスに触れた時)から2001年までひとっとび。
2001年から2010年までは役者さんがiPhoneとiPadを見ながら、年ごとに起こった事件を語っていきます。同時に夏目慎也さんも自分に起こった出来事を告白(←これが可笑しい)。夏目さんは重しを着て、水にぬれて、磔(はりつけ)になって、2001年に結成し今にいたる劇団東京デスロックの歴史を全身で体現。佐山和泉さんは朗読内容から思いついた言葉(単語)を即興で発語されているようでした。公式サイトによると即興もテーマだったようですね。
2010年までの出来事を振り返ったら、次は未来へと進んでいきました。2011年、2012年、2013年…2045年…。この作品を上演している“今”に、過去も未来もぎゅっと凝縮される感覚。
遠くからサックスを吹く大谷能生さんの姿が見え、景色全体を眺めたくなったので、立って後ろに下がりました。景色が広がって良かった。
最後はホールやアトリエの電気を全部消して、星空が明るく見えるぐらいの暗闇になってほしかったな~。明るいままのカーテンコールはちょっぴり物足りなさを感じました。
出演/東京デスロック [夏目慎也 佐山和泉 佐藤誠 間野律子 多田淳之介 橋本清] +日替りゲスト:坂口芳貞[文学座] サックス演奏・出演:大谷能生
構成・演出:多田淳之介 音楽:大谷能生 照明:岩城保 舞台監督:中西隆雄 舞台美術:濱崎賢二 音響:泉田雄太 演出助手:橋本清 宣伝美術:宇野モンド 制作:服部悦子 企画製作:東京死錠 助成:芸術文化振興基金 財団法人セゾン文化財団 主催:東京デスロック 財団法人富士見市施設管理公社
【発売日】2010/07/03 オールスタンディング・ワンドリンク付 日時指定・整理番号付 一般…前売・予約=3,000円/当日=3,500円 学生・シニア(65歳以上)…前売・予約/当日共=2,500円 ○未就学児のご入場はお断りしております。
http://deathlock.specters.net
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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