REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2011年12月16日

【オーディション】北京蝶々×池亀三太(ぬいぐるみハンター)「2012年4月公演のワークショップ&オーディション」※01/16〆切(メールのみ)

 大塩哲史さんが作・演出される劇団北京蝶々(関連記事⇒)と、劇団ぬいぐるみハンター(⇒過去レビュー)の作・演出家の池亀三太さんによるワークショップ・オーディションが開催されます。
 来年4月に王子小劇場で上演予定の、北京蝶々第17回公演(公演期間は2週間)に向けての出演者募集も兼ねています。ご興味ある役者さんはどうぞ。

 ●北京蝶々第17回公演『オーシャンズ・カジノ(仮)』
  東京公演/2012年4月18日(水)~4月30日(月・祝) 王子小劇場
 ・ワークショップ&オーディション ⇒詳細
  2012年1月21日(土)~22日(日)の昼夜4回開催。
  参加費:1,500円
  締め切り:2012年1月16日(月)24:00(メールのみ)

Posted by shinobu at 23:40 | TrackBack

日本の問題製作委員会『日本の問題』11/27-12/04ザ・ポケット

 『日本の問題』というテーマで8劇団が20分間の新作を発表する企画で、4劇団ずつA班とB班に分かれた2本立て公演です。毎ステージ終演後に座談会があり、12/3(土)マチネにゲスト出演させていただきました。⇒昨年は『Project BUNGAKU太宰治

 東日本大震災および原発事故が起こった今の『日本の問題』ですので、それなりに何かを予想、期待して劇場に来たお客様が多かったことと思います。私もその1人でした。
 8団体それぞれの手法、切り口で、当事者意識を持った問題提起や提案をされていたので、全体的には面白く拝見しました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『日本の問題
 ⇒CoRich舞台芸術!『学生版 日本の問題

 公演は終了。ここからネタバレします。

 トークでも最初に言いましたが、舞台美術が良かったですね~!8作品共通なのでシンプルにせざるを得ないところ、大胆というか少々乱暴(?)ともいえる装飾になっていました。床と同じく白色の大きな四角い柱がドサリと倒れたかのように、舞台上に置かれていたのです。つまり上手奥から下手手前に向かって斜めに、ひざの高さぐらいの段が堂々と横切っている状態。ベンチ、テーブル、橋、境界線などさまざまに利用・想像できました。丸い裸電球が10個ぐらいずつ、下手奥と上手手前に吊り下げられて、ちょっとおしゃれな照明器具のようになってるのも可愛らしかったですね。劇場の壁にたてかけられた複数のはしごも良かった。


【A班】
●経済とH『金魚の行方』
 脚本・演出:佐藤治彦 演出助手:石上慧 衣裳協力:小澤考太
 出演:三嶋義信/平岩久資(田上パル)/富士たくや/小金井篤(野良猫連盟)/内田龍/一色洋平(早稲田大学演劇研究会)/藤野マキ(演劇集団アクト青山)/生井みづき/池内ひろ美(評論家)/佐藤治彦(経済とH)

 今(と昔に)、日本で起こっている問題を羅列していきます。しゃべっている人を外側から見つめる第三者的な存在が常にいるため、冷静に眺めていられるのが良かったです。地震速報のアナウンスとACのCMは、今年3月と4月の私の記憶に直結していることを確認。


●Mrs.fictions『天使なんかじゃないもん』
 脚本・演出:中嶋康太
 出演:岡野康弘(Mrs.fictions)/今村圭佑(Mrs.fictions)/山口オン(elePHANTMoon)

 偽シスターとだめヤクザ2人組のとぼけた会話で、優しい笑いを次々と生み出しますが、実は誰もが深刻な問題を抱えていることがわかってきます。うまくできた脚本だと思いました。
 トークでとても良かったと話したあるセリフ・・・うーん、忘れちゃった。「美意識が(自分にかける)のろいになる」風な意味だったかな。その通りだと思いました。自分で自分にのろいをかけちゃうんですよね。


●DULL-COLORED POP『ボレロ、あるいは明るい未来のためのエチュード (Bolero, or an etude for a better future)』 
 作・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP) 演出助手:元田暁子(DULL-COLORED POP) アクティング・アドバザー:広田淳一(ひょっとこ乱舞)
 出演:東谷英人/大原研二/塚越健一/中村梨那(以上DULL-COLORED POP)/浅倉洋介/石井舞/岩瀬あき子(日穏-bion-)/川島佳帆里(TABACCHI)/窪田壮史/近藤強(青年団)/斉藤マッチュ/平佐喜子(Ort-d.d)/寺田ゆい/松崎映子/百花亜希/山本卓卓(範宙遊泳)/ワダタワー(クロカミショウネン18)/渡邊亮

 同じ主題が繰り返される名曲「ボレロ」が流れる中、次々と日本の首相が変わり、所信演説を行っていきます。タイトルにちゃんと「ボレロ」と「エチュード(即興)」が入っているんですね。作・演出の谷賢一さんが舞台上でゴングを鳴らし、タイムキーパーの役割を果たされていました。これは『タンゴ』の影響かしら。⇒谷さんのツイート

 トークで聞いたところ、最低限の構成・ルール以外はすべて即興だったようです。ある程度は即興だろうと思っていましたけど、そんなに大部分だとは気づかず。自立した役者さんたちが主体的に動いて柔軟に反応し合っていたから、「演技」「作品」に見えたのだと思います。私は舞台上でハプニング(予測不可能なこと)を起こす効果は大いにあると思いますが、演技については必ずしもいつも有効だとは思わないタイプの観客なので、「即興に見えなかった」のは成功だと受け取りました。


●風琴工房『博物学の終焉』
 脚本・演出:詩森ろば
 出演:鈴木シロー(A.C.O.A)/有吉宣人(ミームの心臓)/石田迪子/齋藤陽介

 「消滅」という科学技術(?)が発明され、廃棄物の問題がすべて解消された、遠い未来。でもその技術が刑罰にも流用され、過剰な言論統制がおこなわれていた。

 生徒が先生に向けていたピストルを自分に向けて撃った時、ギュっと胸が締め付けられました。彼は本当に先生に花束を渡したのだと思いました。とても良かった。


≪終演後の座談会≫
 出演(左から):詩森ろば 谷賢一 中嶋康太 佐藤治彦 松枝佳紀
 ゲスト:高野しのぶ

 日本の教育現場にある問題について、公立小学校のある授業を例にお話ししました。親がモンスターにならざるを得ない状況は、先生ががんじがらめになって苦しんでいることが原因かもしれないと考えたことがありまして。学校に演劇ワークショップの授業があればいいなと思います。
 ごく個人的なことですが、私のマイブームは「奉納する演劇」。演劇に限らず、芸術は「誰かに見せるもの」である前に「神様(のようなもの)に捧げるもの」なんじゃないかなぁ・・・と、最近よく考えます。※“神様”は特定の宗教をさすわけではないです。


【B班】

●ミナモザ『指』
 脚本・演出:瀬戸山美咲 ドラマターグ:中田顕史郎
 出演:山森信太郎 つついきえ

 火事場泥棒の男女2人。女性の死体の手に指輪がありました。でもその指はしっかり車のハンドルを握っています。男は指を切って指輪を盗ろうとしますが・・・。美しい作品でした。終演後のトークで「演出してみたい」と言っている演出家がいたのにもうなづけます。


●アロッタファジャイナ『日本の終わり』
 作・演出:松枝佳紀 演出助手:渡部直也
 出演:西村優奈(H・I・A)/阿部侑加/松浦希美(SPGプロモーション)/白勢未生/西谷尊典/若月里菜(加川事務所)/ナカヤマミチコ(アロッタファジャイナ)/佐々木美奈(さいたまネクスト・シアター)/泊帝/神山武士(BESIDE-b.i.a)/西村誠太/西村壮悟(四畳半ヤング)

 東京には優秀な人材が集まっている。でも大勢すぎて、その資源を有効活用できていない。だから東京以外の地域から上京してきた人を地元に“強制送還”することで、日本経済を活性化させる・・・という主張を持つ政治家(西村壮悟)が、とうとう首相になる。

 トークで作・演出の松枝佳紀さんが「善いヒットラー」といった表現をされていたような気がします(間違ってる可能性大です、すみません)。西村壮悟さんの演説が素晴らしかったですね。女子高生が出て来て自分のプライベートな話をしちゃうのは、面白いアイデアだとは思えず。でも「論文を演劇で表現する」という意図は明快で、成功していたと思います。
 東京に住んでいて、東京一極集中は幸福につながっていないと感じているので、各地域に人材が分散していくことには個人的には賛成ですね。“強制送還”は聞こえが悪いですが、過激な言葉のおかげで「もしそうなったら?」と考えてみたくなる効果があったと思います。


●ろりえ『枯葉によせて(仮)』
 脚本・演出:奥山雄太 効果音:田中亮太 特殊小道具製作:田畑美穂 協力:(株)豪勢堂
 出演:杏実えいか/木村香代子/香西佳耶/松下伸二/松下結衣子

 今年3月に地震とは全く関係なく死んだ、ある男の奇想天外な旅路。
 奇抜な展開が刺激的だし、役者さんも達者だし、面白いはずなのにな・・・と不思議な疎外感のまま終幕。奥山雄太さんの作品は前に1度しか観ていないのですが、それよりはずっと脚本にも演出にも惹かれました。だからこそ、舞台から客席の方にもっと迫ってくるものが欲しかったのだと思います。


●JACROW『甘えない蟻』
 脚本・演出:中村暢明
 出演:猿田モンキー/中村哲人/藤沢玲花/蒻崎今日子(JACROW)

 夫の自殺現場に来た妻と娘、そして親戚の男性2人。
 家族、親戚の関係がおおざっぱに感じました。たとえば高校生の娘の、おじさんに対する態度が横柄すぎるように感じたり。
 他人に甘えることができずに自殺を選んでしまう日本人、多いと思います。


≪終演後の座談会≫
 出演(左から):松枝佳紀 奥山雄太 瀬戸山美咲 中村暢明
 ゲスト:「学生版 日本の問題」参加の6人の作・演出家

 うーん、学生はしゃべらないで質問するだけにした方が良かったんじゃないかしら。しゃべればしゃべるほどボロが出て・・・。


演劇で日本を変える。ProjectBUNGAKU太宰治の企画者松枝佳紀がしかける国家的演劇プロジェクト
【ゲスト】
11/27(日)14:00~開演 (A):池田健三郎さん(経済評論家・大樹総研所長)
11/27(日)19:00~開演 (B):河野太郎さん(衆院議員・自民党)
11/28(月)14:00~開演 (B):宇野常寛さん(評論家・「リトル・ピープルの時代」著者)
11/28(月)19:30~開演 (A):山田まりやさん(女優) 、切通理作さん(評論家・脚本家)
11/29(火)14:00~開演 (A):?
11/29(火)19:30~開演 (B):中村うさぎさん(小説家・エッセイスト)
11/30(水)14:00~開演 (B):小熊英二さん(社会学者・慶應義塾大学教授)
11/30(水)19:30~開演 (A):永井愛さん(劇作家・演出家)
12/01(木)14:00~開演 (A):内田春菊さん(漫画家・女優)
12/01(木)19:30~開演 (A):松尾貴史さん(俳優・コメンテーター)
12/02(金)14:00~開演 (B):金子修介さん(映画監督)
12/02(金)19:30~開演 (B):上野千鶴子さん(社会学者・東京大学名誉教授)
12/03(土)14:00~開演 (A):高野しのぶさん(現代演劇ウォッチャー)
12/03(土)19:00~開演 (B):「学生版 日本の問題」参加の6人の作・演出家
12/04(日)13:00~開演 (AB):坂手洋二さん/8劇団主宰
プロデューサー:松枝佳紀 プロデューサー補:佐藤治彦、今村圭佑 舞台監督:本郷剛史 美術:坂本 遼 照明:柳田 充(Lighting Terrace LEPUS) 音響:井出"PON"三知夫(LaSens) 学生版プロデューサー:酒井一途 宣伝写真:所幸則 Printing Direction:青山功 宣伝美術:ナカヤマミチコ 制作:日本の問題制作部、ナカヤマミチコ 飯塚なな子、会沢ナオト スチール撮影:笠井浩司 当日パンフレット:ゴトウユウヤ(声を出すと気持ちいいの会) 「日本の問題」企画者:松枝佳紀(アロッタファジャイナ)
【発売日】2011/10/15 前売券 : 3200円 / 当日券 : 3500円 A・Bセット前売券 : 6000円 大人版(8劇団)と学生版(6劇団)セット券 : 9000円 ※各割引チケットはすべて事前予約が必要となります。
http://nipponnomondai.net

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 21:45 | TrackBack

チェルフィッチュ『三月の5日間』12/09-11早川倉庫(熊本)

 岡田利規さんの岸田國士戯曲賞受賞作である、チェルフィッチュ『三月の5日間』の100回記念ツアーです。2004年の初演以来、日本と海外でツアーを重ねています。13カ国27都市での上演にあわせて7ヶ国語に字幕翻訳され、フランス語と韓国語では戯曲が出版されました。本日12/16より神奈川公演が開幕します。どうやら完売続出との噂が・・・。

 私は初演から追いかけて、これまでに計6回観ています(過去レビュー⇒)。この戯曲名の由来でもあるバンド“サンガツ”の生演奏にも惹かれて、熊本公演初日(99回目のステージ)に伺いました。⇒サンガツのブログに写真あり
 上演時間は約1時間30分(途中15分の休憩を含む・その間サンガツの生演奏あり)。終演後には記念パーティーが催されました。 

 岡田さんは今年7月に神奈川県から熊本県にご家族と移住(避難)されました。御自身が暮らしはじめた街での初めての公演になったんですね。岡田さんは悲劇喜劇2012年1月号の「特集 2011年の回顧、2012年の抱負」に寄稿されています。チェルフィッチュの2011年の活動記録は演劇関係者必読かと。“小劇場すごろく”ではない道がこうやって具現化されてきたんですね。

 ⇒オシャレでもスタイリッシュでもなく『三月の5日間』の最新形
 ⇒CoRich舞台芸術!『「三月の5日間」100回公演記念ツアー

 岸田國士戯曲賞受賞作『三月の5日間』は白水社から出版されています。

三月の5日間
三月の5日間
posted with amazlet at 11.12.16
岡田 利規
白水社
売り上げランキング: 217201


 書籍「わたしたちに許された特別な時間の終わり」は第2回大江健三郎賞受賞作です。小説版「三月の5日間」と、「わたしの関係の複数」という2つの短編(中編?)が収録されています。

わたしたちに許された特別な時間の終わり (新潮文庫)
岡田 利規
新潮社
売り上げランキング: 13045

 ⇒公式サイトの作品解説

 山縣太一さんと松村翔子さん以外の役者さんは全員、私が『三月…』では観たことのない方々で、松村さんも今までとは違う役を演じてらっしゃいましたから、また新しく『三月…』と出会えました。ストーリーや演出はほぼ変わっていませんが、役者さんが違うと全然違いますね。登場人物の性格や背景が違うから。

 イラク戦争が私にとって「懐かしい昔」になっていることにショックを受けました。初演から7年を経て、この戯曲は重みも、悲惨さも増したと思います。ある場面でボロボロと涙があふれてしまい、最前列桟敷席だったので、恥ずかしかった(汗)。

 サンガツの生演奏に惹かれて熊本公演を予約しましたが、岡田さんがこの度の原発事故の影響でご家族と避難せざるを得なくなって、これから暮らす街として選んだ熊本という土地に、私も伺ってみたいと思ったからでもあります。飛行機に乗ってバスに乗って、テクテク歩いて到着した古い木造日本家屋。そこでチェルフィッチュ、サンガツ、スタッフの方々、そして観客の皆さんと出会って、一緒に2004年に生まれた現代日本の傑作舞台を味わった・・・。2011年3月11日を境に日本人は変わらざるを得なくなり、すでに大きく変化したことを実感しました。

 終演後のパーティーでは福岡、愛知から来た方々と歓談。とっても寒かったので熊本県産焼酎のお湯割りをいただきました。ケータリングのお食事も美味しかったです。最後には100回公演記念のケーキが振舞われました。
 
20111209_cake.JPG

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 ユッキーさん(松村翔子)とやりまくったミノベ君(山縣太一)が、「ホテルから出たら、(イラク)戦争は終わってるんじゃないか」と話すところ。山縣さんがお尻を板張りの床にドン!と落として、大きな音を鳴らしたんです。その後もしゃべりながら、四つん這いになってうずくまるようにして、足や手などで床をドン、ドン、と打ち付けました。怒りとあきらめ、悲しみの塊が、体と音とであらわされたように感じ、涙がぼろぼろあふれました。
 あれから、サダム・フセインが処刑され、ウサーマ・ビン・ラディンも殺害(?)され、六本木と渋谷を含む東京には放射性物質がまき散らされました。今、原発事故の被害者になってやっと気づいたのですが、恥ずかしながら私にとってイラク戦争は対岸の火事だったのかもしれません。
 ミノベ君は「英語話せるっていいよね」「アメリカに留学してたって、なんかいいよね」とユッキーのことを褒めます。これまでは「まあそう思うよね」とすんなり受け入れていたのですが、今回初めてひっかかりました。彼はアメリカがイラクを襲撃した戦争が早く終わって欲しいと思っているのに、「アメリカいいよね」と言っているんです。

 最後はミノベ君(鷲尾英彰)が銀行から戻って、ユッキー(松村翔子)にお金を渡して、2人で渋谷駅へ向かう場面です。その前に、この公演でたった1度だけの短い暗転がありました。裸電球の明かりがじんわり点くと、それまでよりちょっと暗い目の、赤みがかった空間になりました。いきなりレトロなムードになり、まるで夢の再現、または過去の回想のようでした。木の壁と床も良かったですね。

 サンガツには「5日間 (Five Days)」(⇒視聴できます ⇒ライブのレビュー)という曲があります。『三月…』とのつながりは一目瞭然ですよね。岡田さんはこの戯曲を執筆しながら「Five Days」をずっと聴いていたそうです(サンガツの小泉篤宏さんとのトークショーより)。六本木公演では途中休憩直前に流れていました。今回は休憩時間にライヴで堪能。山縣さんはその休憩中、音楽に合わせてずっと踊ってらっしゃいました。

 終演後のパーティーはとっても心地よかったです。寒かったけど(笑)。ホテルに滞在するミノベ役を演じ続け、これまでの全99ステージに出演したのは山縣さんだけ。記念ケーキのろうそくを吹き消されました。

20111209_cake_yamagata.JPG

 おまけ写真。帰りの空港で撮りました。熊本県のゆるキャラ「くまモン」です。私はかなり好き。

20111210_kumamon.JPG

"5 days in March" 100回公演記念ツアー
≪熊本、神奈川≫ 
出演:山縣太一、松村翔子、武田力、青柳いづみ、渕野修平、鷲尾英彰、太田信吾
脚本・演出:岡田利規 広報(熊本):古殿万利子 記録写真:伊藤菜衣子 主催:チェルフィッチュ 企画・製作:precog
【発売日】2011/10/15 前売一般3500円、当日一般4000円 シルバー割引3000円、U24チケット1750円、高校生以下割引1000円
http://chelfitsch.net/next_performance/
http://www.kaat.jp/pf/chel35.html


※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 17:44 | TrackBack

【オーディション】SPAC・静岡県舞台芸術センター「『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』出演俳優募集」※01/31〆切(郵送orメール)

 SPAC・静岡県舞台芸術センターが、芸術総監督の宮城聰さんが演出される『マハーバーラタ』(⇒過去レビュー)と『ペール・ギュント』(⇒過去レビュー)に出演する俳優を、各作品若干名募集しています。⇒詳細はこちら。

 お稽古は静岡で行われます。静岡から世界に向けて発信する舞台に、どうぞチャレンジしてください。

 ●SPAC15周年記念公演『マハーバーラタ』
 ●「ふじのくに⇔せかい演劇祭2012」オープニング作品『ペール・ギュント』
 ・書類選考後、2012年2月11日(土・祝日)に実技オーディションを実施。
 ・性別不問/年齢:18歳以上50歳以下/国籍不問、ただし日本語を解すること。
 ・4月上旬から公演最終日(千穐楽)までの稽古・本番に昼夜・毎日参加できること。(稽古オフは週1日)
 ・千穐楽=『マハーバーラタ』2012年6月23日/『ペール・ギュント』2012年6月3日
 ・受験料は無料
 ・応募締切は郵送・Eメールともに2012年1月31日(火)<必着>

Posted by shinobu at 16:56 | TrackBack

M&O plays プロデュース『アイドル、かくの如し』12/08-29本多劇場

 『ルート66』に続いて岩松了さんの新作を拝見(⇒感想ツイート)。新作が2本同時上演中って凄いですよね。宮藤官九郎さんが出演されています。大人計画『SAD SONG FOR UGLY DAUGHTER』では岩松さんと立場が逆だったんですよね。

 物語としては芸能界内の大人の恋愛群像劇ですが、岩松作品ならでは官能的な謎がそこかしこに。カーテンコールから客出しにかけての数分間、舞台美術がまるで生きているかのように見えました。上演時間は約2時間40分(途中休憩1回を含む)。  

 ⇒CoRich舞台芸術!『アイドル、かくの如し

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 弱小プロダクションに救世主のようにあらわれたアイドル!
 そのアイドルを育てたのは、芸能プロの社長夫婦
 宮藤官九郎主演で贈る岩松了新作は、ある芸能プロを舞台にした「平成夫婦善哉」
 そして岩松的アイドル論
 乞うご期待!!
 ≪ここまで≫
 
 イケてる芸能事務所のシャープな具象美術。でも「それは現実だとおかしいよね?」と気になるところが、さりげなく点在。たとえば上手のベランダとオフィスの間に仕切り(ガラス戸など)がないとか(もともとそういう内装かもしれませんが)。室内に、ブラインドで外からの視線を遮断できる会議室があるのは、『シェイクスピア・ソナタ』の着替え用の部屋みたい。足元だけがガラス張りで透けている壁も岩松作品らしいです。

 唐突な言葉。脈絡なく変わる話題。かみあわない会話。岩松さんのお芝居の登場人物は、自分で自分をコントロールできない(あえて直情的になる)人が大勢登場します。そして彼らは苛立っている。現状に、怒りをぶつけたがっている。観客はもちろん、もしかしたら登場人物自身も演じている役者さんも、なぜその言葉が出たのか、なぜその感情表現になるのかを、わかっていないかもしれません。謎を謎として舞台に乗せ、すばやく置き去りにしていくので、私は翻弄されます。それがとても心地いいのです。

 人の心の中には、ブラインドで遮断された中身のわからない秘密の小部屋があって、そこには誰か・何かがいるかもしれない。得体の知れない衝動が、いつどのように飛び出すかわからない。登場人物はみな不器用で失敗ばかりしますが、自分の中にあるものに正直である姿はすがすがしいですし、本気の衝動から生まれた事件が、日常に変化を起こしていくのだと思います。

 舞台装置が人間に見えた作品というと『ジェイプス~記憶の棲む家』を思い出しました。他にもあったかもしれませんがすぐには思いつかず。

 ここからネタバレします。

 想像上の人物がさらりと、さも当然のごとく現実に参加してるのがかっこいいです。むさくるしい格好の若い男性(金子岳憲)が大きなラジカセを持って登場します。最初は芸能事務所に所属しているミュージシャンかなと思ったのですが、違いました。彼は社長(夏川結衣)のお気に入りだった元所属俳優で、社長の想像上の人物でした。彼が自分でラジカセのスイッチを押して音楽(BGM)を鳴らすのが可笑しいです。他の人物とは違うこともよくわかりました。

 社長の夫(宮藤官九郎)が「味方を作れば同時に敵ができる。俺たちはそうやって生きている。」といった意味のことを力説していて、心底同感でした。私たちの日常に、ごく身近な場所に、自分で作り出した敵と味方がいるんですよね。事務所の中に敵がいるし、自分の心の中に鬼がいる。若いマネージャー(足立理)が「あの女(元事務の女性)を犯そう」と言い出す場面はそれが顕著だったと思います。彼の「ここに留まってはいられない」といった若者らしい苛立ちやむやみな反骨精神は、今後コントロールできるかどうかわかりませんし、余計で深刻な問題を起こす火だねは、事務所の中にあるんですよね。

 社長の夫(宮藤官九郎)の愛人(伊勢志摩)が、一度去ったのに舞い戻ってきます。彼女の真っ赤な帽子が、玄関の扉のガラスから透けて見えて、終幕。あれは愛人じゃなくて外部からやってくる敵、これから起こる事件の前触れを象徴しているのではないかと思いました。赤は血であり、恋の(煉獄の)炎であり。

≪東京、大阪、福岡、名古屋≫
出演:宮藤官九郎 夏川結衣 津田寛治 伊勢志摩 上間美緒 足立理 金子岳憲 宮下今日子、橋本一郎 岩松了
脚本・演出:岩松了 照明:沢田祐二 美術:伊藤雅子 音響:高塩顕 舞台監督:久保勲生 衣裳:戸田京子 ヘアメイク:大和田一美(APREA) 制作助手:土井さや佳 制作デスク:大島さつき 宣伝:竹内麻衣 吉田絵里(る・ひまわり) 制作協力:Little Giants プロデューサー:大屋亜由美 企画・製作:(株)森崎事務所(M&O PLAYS)
【休演日】12/12,19,26【発売日】2011/10/08 前売り・当日共6,800円(全席指定・税込)
http://www.morisk.com/plays/idol_index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。順不同。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
 便利な無料メルマガも発行しております。

メルマガ登録・解除 ID: 0000134861
今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ
Posted by shinobu at 11:00 | TrackBack