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2009年12月12日

【つぶやき】文化芸術について自分なりに考えてみました

 あと20日足らずで2009年が終わりますね。内閣府行政刷新会議「事業仕分け」は、私にとって今年一番の衝撃的な出来事となりそうです(関連エントリー⇒)。

 例えば仕分け人の評価コメントに「そもそも文化振興は国の責務か、民間中心で行うか、議論が必要。」(PDF)というものがあります。発言を短くまとめたものなので、文脈に沿っていない可能性もありますが、与党が行った会議の公式な結果としてインターネット上に公表されているので、どうしてもやり過ごすことができません。

 芸術文化から生きるために必要なことを学び、助けてもらい、いま幸せに生きることができている一日本国民として、相変わらずたいしたことは書けないですが、今感じていることを言葉にしておこうと思います。

 ⇒「事業仕分けへの意見募集」〆切は12/15(火)です!※メールのみ

 私は小学生の頃は漫画、中高生の頃は映画に夢中で、引きこもりにはならない程度ですが1人で家にいることが多く、学校が大嫌いでした。でも大学1年の時に学生演劇に出合い、はじめて本気になって友人と一緒に好きなことに没頭して、生まれ変わったように楽しくなりました。自分に変化をもたらし、人生を豊かにしてくれたのが、私にとってはたまたま演劇だったようです。

 大好きな新国立劇場で上演された井上ひさし作品(東京裁判三部作⇒)から、学校では教えてもらなかった戦争について、天皇制についての、自分の血肉になる知識が得られました。
 ⇒(財)新国立劇場運営財団は事業仕分けで「圧倒的に予算を縮減したい」(PDF)とまとめられている。

 ジェニー・シーレイさんの演劇創作ワークショップを見学し、「人間は一人ひとりが平等で、それぞれにかけがえのない存在である」ことを体と心で確信できました。
 ⇒1年後に東京都世田谷区の公共ホールであるシアタートラムで上演

 青年団の本拠地であるこまばアゴラ劇場では国際交流が盛んに行われており、世界を新しい切り口で見せてくれる若い才能がどんどん輩出されています。私は非常に安いチケット代で気軽に彼らの作品を鑑賞し、ともに成長することができているように感じています。
 ⇒こまばアゴラ劇場は文化庁芸術拠点形成事業の支援を受けている。

 勉強不足で申し訳ないですが、国が私たちから集めた税金が、文化芸術のためにどんな形で使われ、どのような経済効果を生んでいるのかを、私は正確には知りません。ただ自信を持って言えるのは、日本で生まれ育った私がこの国で鑑賞・体験した文化芸術は、私の人生を面白くしてくれて、今生きている喜びを実感させてくれる、世界中に自慢したいぐらい素晴らしいものだということです。

 若者のホームレスが増加し、自殺者は毎年3万人を超え、被爆国だというのに核廃棄物による環境汚染が進んでいる・・・そんなニュースばかりを目に、耳にします。未来への希望が持てそうにないこの国を、今も愛していて、できれば死ぬまでここで暮らしたいと思っているのは、日本が大切にしてきた文化芸術が、私を生きさせてくれたからです。そしてできればこれからも、私の大切な家族や友人らとともに、それらを享受したいと切望しています。

 最後に、元フランス文化大臣ジャック・ラング氏がシンポジウムでおっしゃったことを引用させていただきます。ニーチェの言葉だそうです。
 「ブルジョワのエリートにとって文化は飾りだろう。でも文化は、国民の魂であり、1つのシステムの基礎。社会の基盤である。」


カテゴリー:【演劇教育】

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:46 | TrackBack

【演劇教育】新聞記事「平田オリザ~文化は生きる力、新産業を生む力になる~」12/05朝日新聞be Saturday

 2009年12/5(土)の朝日新聞be Saturdayの一面および三面に、大きく平田オリザさんのインタビュー記事が掲載されました(文・山田厚史/写真・堀英治)。関連記事⇒

 ●「文化は生きる力、新産業を生む力になる」
  平田オリザ(劇作家・演出家・内閣官房参与)

20091205_asahi_be_hirata1.JPG

 ≪記事の部分引用≫
 平田「文化・芸術は「おまけ」でも「癒やし」でもなく、「生きる力そのもの」です。苦しくなったときは支えにもなる。個性など他者との違いを際だたせる感性は、新産業を生み出す力になります。かつて村落共同体には伝統芸能が根付き、コミュニティーの通過儀礼にもなっていた。地域社会が崩壊し、私たちはそれに代わる教育の場をつくらなければならない。その1つが文化政策です。

 国際化の潮流の中で異文化を受け入れるには、自分を発信し、他者を認める教育が必要になる。観光や国際交流、地域振興が絡み合う文化政策をトータルにとらえる人材や組織をつくることが必要です。」
 ≪ここまで≫

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Posted by shinobu at 23:33 | TrackBack

【お知らせ】ひょっとこ乱舞『モンキー・チョップ・ブルックナー!!』の終演後のトーク[12/22(火)14時の回]に出演します

 劇団ひょっとこ乱舞の第22回公演『モンキー・チョップ・ブルックナー!!』の終演後のトークに出演させていただきます。

 ひょっとこ乱舞は広田淳一さんが作・演出される劇団です。今公演には看板俳優のチョウソンハさんも出演されます。過去レビュー⇒

 一観客としてその場で初めて作品を鑑賞し、疑問に思ったことを広田さんに率直に質問したいと思っています。年末の平日お昼の公演ですが、お時間のある方はぜひ。

 ●劇団ひょっとこ乱舞『モンキー・チョップ・ブルックナー!!
  会場:シアタートラム
  日時:12/22(火)14時開演の回終演後

 ⇒CoRich舞台芸術!『モンキー・チョップ・ブルックナー!!』★CoRichでカンタン予約!

Posted by shinobu at 17:51 | TrackBack

グリング『jam(再演)』12/09-23東京芸術劇場小ホール1

 2009年度「芸劇eyes」の3作目は、青木豪さんが作・演出される劇団グリングの活動休止公演です。⇒記者発表 レビュー⇒

 「日常のささやかな声に耳を傾ける」作風(パンフレットより)に大いに納得。大人が笑ってしみじみする、年の瀬にぴったりの、上質のストレート・プレイだと思います。どうぞ大人のデートに池袋へ。上演時間は約1時間45分。

 ※芸劇eyes作品ではスタンプカードを配布しています。「今後、東京芸術劇場によく来られる方にとっては、なにげに嬉しいプレゼント」だそうです!・・・と紹介しておきながら、私、グリングの1枚を持ち帰り忘れました(涙)。次回の『EKKKYO-!』でリベンジ。

 ⇒CoRich舞台芸術!『jam

 ≪あらすじ≫
 年末。軽井沢の小さなペンション。市民による「第九」ミュージカル(?)の本番が近付いている。東京から来てもらっていた指揮者(永滝元太郎)の送別会を開くため、ペンションのオーナー夫婦(中野英樹&萩原利映)ら数名がロビーに集合した。
 ≪ここまで≫

 ハイバイ『て(再演)』の時のように、客席が2方向から舞台を挟む形状。初演はザ・スズナリだったそうですので、演出は全然違っているのでしょう。私はロビー側の座席でした。当然ながら席によって見えたり見えなかったりするところはあります(役者さんの表情など)。でも、役者さんの背中を見ているだけでもその人物に何が起こっているのかは伝わってきますし、人と人との間にあるものの密度がとても濃いです。

 平凡で、優しくて、そして悲しい、ごくごく身近な大人たちの静かなブレークスルー。横幅が広くて風通しのいいペンションのロビーで、ベートーヴェンの「歓喜の歌」と、グリングの活動休止の意味も重なります。“今、ここ”で味わうライブ芸術である演劇の喜びも、笑いとともに味わえますし、何より、登場人物と同様平凡な人間である私自身が、「変わること」の残酷さを受け入れ、その先にはっきりとした光が見えた(ような気になった)ことを嬉しく思います。ありがとうございました。

 ここからネタバレします。

 オーナー夫婦は本当は夫婦ではありません。入り婿(中野英樹)の妻がジャムの材料にするブルーベリーを摘みに行って事故死して以来、妻の妹(萩原利映)が、婿とその息子と一緒に暮らしています。

 美人ピアニスト(松本紀保)を口説こうとする嫌われ者の指揮者(永滝元太郎)のドタバタや、たった1人の部外者(遠藤隆太)の携帯電話での“ありない相槌”など、わかっていても笑ってしまうコミカルな場面も見事。

レビューは短めです。
芸劇が注目する才能たち、「芸劇eyes」/グリング第18回活動休止公演
出演:中野英樹、萩原利映、小松和重、佐藤直子、澁谷佳世、永滝元太郎(劇団M.O.P.)、廣川三憲(ナイロン100℃)、松本紀保 遠藤隆太
※出演を予定しておりました杉山文雄は体調不良により降板いたしました。代わって遠藤隆太が出演いたします。
脚本・演出:青木豪 照明:日高勝彦 美術:田中敏恵 舞台監督:筒井昭善 効果:青木タクヘイ 効果オペレーター:吉岡英利子 演出助手:中村純壱郎 衣装・ヘアメイク:栗原由佳 演出部:伊倉真理恵 宣伝美術:高橋歩 宣伝写真:中西隆良 舞台写真:鏡田伸幸 制作:菊池八恵 企画制作・主催:グリング 提携:東京芸術劇場
【休演日】12月14日【発売日】2009/11/07 特割3,500円 前売4,000円 当日4,300円 (全席指定/税込) ※特割チケット:12/9(水)~11(金)は、前売りチケットに限り特別料金<3500円>にてご観劇いただけます。
http://www.gring.info/

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Posted by shinobu at 14:41 | TrackBack

フェスティバル/トーキョー09秋・快快『快快の「GORILLA」~岡田利規さんとのスペシャル企画』11/13-12/18東京芸術劇場前・特設ドーム

 ゴリラの写生大会に続いて、“F/T station”での快快(ファイファイ)のイベントを覗かせていただきました。⇒「F/T09秋」 ⇒記者発表  ⇒レビュー10

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 ゴリラの着ぐるみを着た快快のメンバーが、チェルフィッチュの岡田利規さんの代表作『三月の5日間』にチャレンジします。岡田さんご自身がゴリラたちを演出するという、かなりレアな(笑)状況。私は観劇後に立ち寄ったので、観られたのは最後の30分ほど。すっごく面白かったです。

 ゴリラは計4人(匹)。一番立派な体格のゴリラへの集中的な稽古でした。中に入っているのは山崎皓司さん。
 『三月の5日間』はご存じのとおり、長大な独白で成り立つ現代口語劇です。それだけでも手ごわいのに、“見かけがゴリラである”という要素も増えているのでかなり難しいだろうと思います。それでも、「しゃべって動いているのは山崎皓司だが、見かけはゴリラ」という状況に嘘をつかないで演技・演出するのがすごく面白い。

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 岡田「今のは面白かったと思う。でもいわゆるステレオタイプなゴリラ的動きが、といってもそんなのあるのかどうかはわからないんだけど(笑)、そういう動きはあまり面白くない。」(言葉は私のうろおぼえです)

 雨降りの寒い中、真剣勝負。しかも観客のことも無視しない(楽しませようとして、実際に楽しませてくれる)。今を本気で生きているアーティストの息遣いに触れられました。

 来週がとうとう最終日ですね。詳細は快快公式サイトでアップされます。

■12/18(金)19時30分頃~22時頃まで※入場無料
 ラスト!当然ぶちあげクロージングパーティー開催!
 DJは吉沢ダイナマイトさん!
 ゴリラがガチンコボクシングやります!
 やばいよゴリラどうなっちやうの!?
 人間の頭髪をつかったお習字もあり!

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ようこそ先輩\(^o^)/・チェルフィッチュ岡田利規さんとのスペシャル企画!・「これから ゴリラやりまーす」・快快がゴリラの着ぐるみを着て、チェルフィッチュの代表作・『三月の5日間』を公開稽古!・ゴリラが岡田さんにウッホッホな演出してもらいます
※入場無料。
http://faifai.tv/
http://festival-tokyo.jp/station/faifai.html

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Posted by shinobu at 00:48 | TrackBack