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2006年12月31日

2006年しのぶの観劇ベストテン

2006best10.JPG
2006年の総決算

 毎年恒例のしのぶの観劇ベストテンですが、今年は趣旨を変えて「心に残る10本」+αを選んでみました。2006年の観劇本数は347本(内、同じ作品を複数回観たのは4作品。重複本数は6本)。

 2005年は「面白かった!」と思った作品は347本中233本でした。打率は6割7分1厘・・・多すぎますよねぇ、いったい何が起こったんでしょうか(笑)。※2005年は4割1分4厘でした。

 何をもって「面白かった」と思うのかが、私の中で変化しているのかも知れません。とにかく2006年の私の観劇生活はかなり幸せだったということです♪作り手の方々のおかげです。ありがとうございました!

■メルマガ号外■ ※初日の早い順
・ラッパ屋『あしたのニュース』01/12-02/05THEATER/TOPS
・こまつ座『兄おとうと』01/19-02/05紀伊國屋ホール
・パルコ歌舞伎『決闘!高田馬場』03/02-26パルコ劇場
・俳優座劇場プロデュース『東京原子核クラブ』07/06-16俳優座劇場
・パルコ『トーチソング・トリロジー』11/20-12/07パルコ劇場


■心に残る10本■ ※初日の早い順
・渡辺源四郎商店『夜の行進』02/17-19こまばアゴラ劇場
・ポツドール『夢の城』03/02-12THEATER/TOPS
・チェルフィッチュ『三月の5日間』03/11-21六本木Super Deluxe
・tpt『皆に伝えよ!ソイレント・グリーンは人肉だと』03/29-04/16ベニサン・ピット
・劇団、本谷有希子(アウェー)『密室彼女』05/03-09ザ・スズナリ
・文学座+青年団『地下室』05/18-28アトリエ春風舎
・新国立劇場演劇『アジアの女』09/28-10/15新国立劇場小劇場
・演劇集団円『ロンサム・ウェスト』10/05-18ステージ円
・東京デスロック『再生』10/26-31アトリエ春風舎
・新国立劇場/静岡県舞台芸術センター(SPAC)『シラノ・ド・ベルジュラック』11/02-12新国立劇場中劇場


■複数回観に行った公演■
・チェルフィッチュ『三月の5日間』4回(会場に行ったのは7回)
・青空美人プロデュース『怪力』2回
・ハイバイ『無外流、津川吾郎』2回
・新国立劇場『エンジョイ』2回


■男優■
 ロベール・ルパージュ
 (世田谷パブリックシアター『アンデルセン・プロジェクト』06/23-07/08世田谷パブリックシアター)

・次点 山本芳郎
 (山の手事情社・Yamanote Fair2006『タイタス・アンドロニカス』01/13-22吉祥寺シアター)


■女優■
 麻実れい
 (tpt『三島由紀夫作「黒蜥蜴」ー江戸川乱歩原作によるー』11/24-12/20ベニサン・ピット)

・新人 杉村誠子
 (Ort-d.d U-30プロジェクトvol.2『サド侯爵夫人』08/30-09/03アトリエ・センティオ)


■企画■
TOKYOSCAPE
青年団
 「文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾
 「ソウル市民三部作連続上演
 青年団リンク、若手自主企画、サミットなど
佐藤佐吉演劇祭2006


■寄稿■
・wonderland『年末回顧特集「振り返る 私の2006」』

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Posted by shinobu at 22:08 | TrackBack

Happy Hunting Ground vol.9『冬のサボテン』サイスタジオコモネBスタジオ

 鄭義信(チョン・ウィシン)さん(Wikipedia)の戯曲の2作品同時上演です(過去レビュー⇒)。私は「冬のサボテン」を拝見しました。1度観たことがあったのですが、2度観てまた素晴らしい戯曲だと再確認。立見が出るほどの大盛況でした。
 Happy Hunting Ground(ハッピーハンティンググランド)は文学座の有志による自主公演ユニット(過去レビュー⇒)。俳優さん目当てに通ってしまいます。
 レビューは後ほどアップ予定。

鄭義信の戯曲2作品を同時上演。『LOVE「冬のサボテン」「愛しのメディア」』
「冬のサボテン」出演=沢田冬樹/浅野雅博/櫻井章喜/石橋徹郎
「愛しのメディア」出演=細貝弘二/上川路啓志/太刀川亜希/山谷典子/頼経明子/藤崎あかね
ポケットシアター「動物園物語より」出演=古川悦史/助川嘉隆/上川路啓志
作:鄭義信 演出:高橋正徳 美術:乗峰雅寛 照明:賀澤礼子 音響・作曲:熊野大輔 衣装:大野典子 企画・制作:吉田 悦子・Happy Hunting Ground 主催:サイスタジオ・Happy Hunting Ground
前売り3300円 当日3500円 学生2000円 通し券6000円 ポケットシアター1000円
公式=http://www.saistudio.net/html/studio_performance_vol20.html
公式ブログ=http://blog.goo.ne.jp/hhgsai/

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Posted by shinobu at 16:36 | TrackBack

王子小劇場トリビュート001畑澤聖悟/いるかHotel『月と牛の耳』12/26-30王子小劇場

 畑澤聖悟さんの戯曲を取り上げる王子トリビュートの第2弾。『俺の屍を越えていけ』に続いて、谷省吾さんが作・演出されるいるかHotelの『月と牛の耳』を拝見しました。
 いるかHotelには2000年の東京公演で出会っており、少し懐かしい気持ちにもなりました。谷さんのことはアクサル公演でもお見かけしています。

 詳しいレビュー⇒休むに似たり。

 ≪作品紹介≫ 企画公式ページより
 ある特殊な病気を持つ父親と家族の「ある日」。
 格闘家一家がくり広げる、血湧き肉踊る愛のドラマ。
 今回、関西弁でパワーアップ。
 ≪ここまで≫ 

 舞台を東北から関西に変えて、言葉も関西弁に書き換えられていました。面白いアダプテーションですよね。こういうアイデアはぜひ色んな方言・言語でやってもらいたいなと思いました。

 ある病気で入院した格闘家・加賀谷(隈本晃俊)の病室。加賀谷の長男(入谷啓介)、長女(岸原香恵)、次男(奥田貴政)、次女(牧野亜希子)の四人兄弟がお見舞いにやってきます。はじまって15~20分ぐらいで父親の病気の種類については予想がつき、少しがっかり。私は病院・病気モノが苦手ですし、最近よく見かける設定だったんです。
 でも中盤以降から、長女の彼氏・徹(加藤巨樹)が加賀屋に対して抱いていた、強いあこがれの混じった敵対心が伝わってきて、設定や人間関係などは気にならなくなりました。人間はなぜか無性に欲しくなったり、勝ちたくなったりするんですよね。ただひたすら無心にそれを求め続ける姿は、端からは馬鹿みたいに見えるかもしれません。それでも人間は、あきらめずに欲しがり続けていいんだと思います。

 関西ノリのわかりやすいギャグやネタは作品全体を明るくするし微笑ましいですが、流れをブツっと切ってしまうのも避けられません。見せ場のシーンでいかにもな音楽が鳴るのももったいなかったです。登場する人がことごとく良い人ばかりに見えたのが残念。見るからに悪そうな人は道化扱いで(例:放射線技師)、簡単に処理しすぎなんじゃないかと思いました。言葉の裏側にある登場人物の本性に、もっと迫ってもらいたかったです。

 ここからネタバレします。

 加賀谷の病気は記憶が持続できないというものでした。1999年の春のある日を毎日繰り返して、何年も入院しています。

 4人兄弟も長女の夫・徹(加藤巨樹)もみな格闘技の訓練を積んでおり、加賀屋を師匠と仰いでいます。でも、熊も倒せるほど(嘘だろうが本当だろうが)強い加賀谷に対して、本気で「勝ちたい」と思っていたのは徹だけでした。4人の子供達は父親には絶対にかなわないと思い込んでいるんですね。一番弱そうな徹が一番勝ちたいと思っていたことにジーンと来ました。
 血の繋がっていない他人である徹の気持ちだけが、病気の加賀谷に伝わるというのは、できすぎたハッピーエンドだと言えるかもしれません。でも、「誰になんと言われようが、自分はこう思う(こうする)」という強い意志は、奇跡を起こすものだと思います。

 病院につとめる医者や放射線技師、看護士などにリアリティが感じられませんでした。加賀屋につきっきりで世話をする穐本祥子(大西千保)という若い女性については、裏の顔を匂わせるか、本当に純粋な人にするか、どちらかに徹底して欲しかったですね。偽善ぶった人に見えました。たとえば「マッサージをしましょう」と言って加賀谷を部屋に連れて行くのを意味深にして、兄弟にもっと露骨に批判的な態度を取らせて、まるで加賀屋を独り占めしようとしているようにも描けると思います。博愛の女神のようにするなら、無理矢理言い寄ってくる放射線技師にも分け隔てなく優しい女性じゃないとおかしいと思いました。

 4人兄弟についても、もっと関係を深く掘下げられるんじゃないかと思いました。たとえば次女と徹の間に何らかの卑猥なムードがあっても良かったと思います。具体的には、次女が“いまだに”姉の夫のことを「お兄さん」ではなく「徹さん」と呼ぶことについては、もっとひっかかりがあっていいと思いました。長女夫婦にはずっと子供が居ないわけですし。それに「普通に一所懸命生きている善人の徹が加賀谷の心を動かした」のでは物足りなさを感じます。徹も俗物として描いてくれた方が、奇跡に信憑性が増すと思います。病気で入院した加賀谷を捨てて、男と逃げて死んだ母親だけが、妙に鮮やかに悪者になってしまうのももったいないです。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:畑澤聖悟/谷省吾/黒澤世莉 司会:工藤千夏(渡辺源四郎商店ドラマターグ)

 出演された3人の作・演出家全員がサービス精神のある方々だったので、とても楽しい時間でした。特に畑澤さんの話は可笑しかった~!

 畑澤「タイトルの『牛の耳』は「牛耳る」から来ています。これは家長が交代する話です(言葉は正確ではありません)。」
 畑澤「谷さんがブルース・リーで出てきたシーンは僕も出ていたんですが、ドアからじーっと中を覗き込むだけの役でした。あそこは谷さんが絶対ブルース・リーをやるだろうなってわかってた(笑)。」
 畑澤「渡辺えり子さんに「『俺の屍をこえていけ』はマッチョイズムだ」と批判されて(中略)、「『赤貝』がいいんじゃない?」と言われたんですが(笑)、先日の王子小劇場プロデュース『俺の屍…』を見て思いました。あのタイトルは「いちご牛乳」がいいんじゃない!?」

畑澤聖悟作品連続上演
≪東京、兵庫≫
出演=隈本晃俊(未来探偵社)/宇仁菅綾/岸原香恵/横尾学/牧野亜希子/梁川能希/北次加奈子/加藤巨樹(劇団ひまわり/アクサル)/入谷啓介/大西千保(劇団ひまわり)/森崎正弘(MousePiece-ree)/奥田貴政(ego-rock)/永津真奈(ブルーシャトル/アライプ)/榊原大介/谷省吾*一部ダブルキャスト
作=畑澤聖悟 演出=谷省吾 舞台監督=永易健介 照明=三浦あさ子 音響=Alain Nouveau 舞台美術=宮田重雄 宣伝美術=東學 宣伝写真=伊東俊介 制作=宮崎由美、宇仁菅綾、岸原香恵 制作協力=スタッフステーション 製作総指揮=村守春樹
前売券¥2700円(日時指定・整理番号付)当日券¥3000円 学生/北区在住者/シニア(60歳以上)¥1500(当日券のみ・要証明書) 中高生グループ割引 3人=¥3900円(当日券のみ・要証明書)*28(木)15:00及び 29(金)15:00は【昼ギャザ】 *王子トリビュート通し券あり(劇場予約のみ)
2/26(火)初日終演後、ポストパフォーマンストーク(畑澤聖悟×谷省吾×黒澤世莉)あり
いるかHotel=http://www1.linkclub.or.jp/~irukahtl/
公式=http://www.en-geki.com/tribute/

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Posted by shinobu at 16:03 | TrackBack