2008年01月07日
2007年しのぶの観劇ベストテン
2007年の総決算
毎年恒例のしのぶの観劇ベストテンの発表です。去年に引き続き「心に残る10本」+αを選んでみました。2007年の観劇本数は324本(内、同じ作品を2回観たのは5作品)。
毎年「面白かった!」と思った作品の本数を数えて打率(笑)を発表してきたのですが、あまり参考にならない気がするので(打率高すぎなので)控えます。※2006年は6割7分1厘でした。
2006年11月末に私が関わっておりますCoRich舞台芸術!がオープンしたこともあり、2007年は演劇関係のお仕事も多数いただいて、新しいチャレンジが多い年でした。これからも観客の視点で演劇を楽しみながら、サイト運営を続けていきたいと思います。
■メルマガ号外■ ※初日の早い順
・こまつ座『私はだれでしょう』01/14-02/25紀伊國屋サザンシアター
・tpt『Angels in America 第1部&第2部』03/20-04/08ベニサン・ピット
・メジャーリーグ『野鴨』11/01-30シアター1010ミニシアター
■心に残る10本■ ※第1位以外は初日の早い順
★SPAC『巨匠』11/09-11静岡芸術劇場
・tpt『薔薇の花束の秘密』02/17-03/02ベニサン・ピット
・ハイバイ『おねがい放課後』プレビュー、本公演、お台場SHOW-GEKI城
・世田谷パブリックシアター『死のバリエーション』05/11-27シアタートラム
・東京ノーヴイ・レパートリーシアター『かもめ』06/01東京ノーヴイ・レパートリーシアター
・音楽座ミュージカル・Rカンパニー『アイ・ラブ・坊っちゃん』06/01-10東京芸術劇場 中ホール
・東宝ミュージカル『レ・ミゼラブル』06/08-08/27帝国劇場
・中野成樹+フランケンズ『遊び半分』09/20-24赤坂RED/THEATER
・THE SHAMPOO HAT『その夜の侍』09/29-10/08ザ・スズナリ
・パラドックス定数『東京裁判』11/29-12/02 pit北/区域
次点:OPAP(オパップ)『ゴーストユース』11/20-25 PURNUS HALL
■複数回観に行った公演(一部)■
・tpt『Angels in America 第2部』03/20-04/08ベニサン・ピット(2回)
・時間堂『ピンポン、のような』04/26-30王子小劇場(2回/ワーク・イン・プログレスを含む)
・時間堂『月並みなはなし』10/19-29王子小劇場(2回)
■国際共同製作かつ複数国にて上演■
・青年団国際演劇交流プロジェクト2007 日仏合同公演『別れの唄』04/05-08シアタートラム
・NODA・MAP番外公演『THE BEE(日本バージョン・ロンドンバージョン)』06/22-07/09、07/12-29シアタートラム
■企画■
・アートネットワーク・ジャパン『オズの魔法使い』08/25-09/01にしすがも創造舎 特設劇場
・エイブル・アート・ジャパン『「Stepping Stones」「血の婚礼」』10/12-14シアタートラム
■特に注目した個人・団体■
・多田淳之介(青年団演出部/青年団リンク・東京デスロック/青年団リンク・二騎の会)
関連レビュー⇒1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
・小指値
関連レビュー⇒1、2、3、4、5、6
▼演劇関係のお仕事▼
・FM西東京「たけがき2」第一土曜日レギュラー出演
・こりっち「CoRich舞台芸術まつり!2007」審査員
・フジテレビジョン「お台場SHOW-GEKI城・T★1演劇グランプリ」審査員
・FPAP「劇作家・演出家のための観劇ディスカッションツアー」アドバイザー
※CoRich舞台芸術!では色んな企画が開催されています!
「CoRich舞台芸術アワード!2007」(2008年1/7(月)投票〆切・1/11発表)
「劇場へ行こう!~駅前劇場編~」開催中!
▼執筆▼
・fringe blog(1、2、3、4、5)
・wonderland寄稿「チェルフィッチュ、世界的超感染力のゆくえ」レポート
・インタビュー
脚本家 シャン・カーンさん
脚本家・演出家・俳優 岩井秀人さん
女優 水野美紀さん
女優 馬渕英俚可さん
・公式稽古場レポート『CLEANSKINS/きれいな肌』、レビュー
・記者発表(1、2)
・遠征・写真レポート(1、2、3、4、5、6)
・Workshop関連(1、2、3、4)
▼2007年を振り返って▼
・身体が震え、涙が止まらなくなるような感動をくれる作品は、比較的年齢が若い作り手のよるものが多かったです。ベテランや有名な作り手による作品が総じて面白くないのではありませんが、「今の若いやつは云々~」というありきたりなグチは気に留める必要がないと確認できました。
⇒宮田秀明の「経営の設計学」より「もっと、若い人に任せなさい~アポロ計画はなぜ成功したか」
⇒fringe blog「才能はあなた方が発掘するものでは」
・演劇を学校教育に生かす試みが、どんどん実践され成果を生んでいます。俳優ワークショップを見学する度に、学校などの公的施設で子供たちをはじめ市民が受けるべきものだと強く感じておりましたので、とても嬉しいです。これからも【演劇教育】というカテゴリーでレポート等を書いていきたいと思います。
⇒シンポジウム「演劇教育でガッコーを面白く!」の会「演劇人が、ガッコーを変える? 学びの場の最前線」
※注意を払って記事を掲載していますが、正確な情報は公式サイトでご確認ください。
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NODA・MAP『キル(再々演)』12/07-01/31シアターコクーン
野田秀樹さんが作・演出・出演されるNODA・MAP。12月から1月の2ヶ月間の東京公演はもう恒例ですね。妻夫木聡さんと広末涼子さんというスターを迎えた『キル』の再々演です(初演は1994年、再演は1997年)。
昨年末は妻夫木さんが声を枯らしているという感想をよく聞きましたが、年が明けて復活されたようです。上演時間は約2時間25分(途中休憩15分を含む)。
⇒CoRich舞台芸術!『キル』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
羊の国(モンゴル)の洋服屋の息子テムジンは、父の憎しみを受け成長するが、父はファッション戦争に敗れ命を奪われてしまう。
そんな父の遺志を受け継ぎ、祖先の名を冠したブランド「蒼き狼」による世界制覇の野望を抱き、羊毛の服で大草原のファッション界を制していく。
そして、腹心・結髪の仲介で絹の国(中国)から来た娘シルクと恋に落ちるが、シルクは絹の国に連れ去られてしまう。
怒ったテムジンは、祖国の羊を焼き捨て、敵国に攻め入りシルクを奪い返す。
やがて、妻となったシルクに息子バンリが誕生し、父と同じ宿命を背負ったテムジンは、今度は自分が息子にとって代わられる恐怖に襲われるようになる。
しかし、その後も外征を続け、ついに世界制覇の夢が達成するかに見えた時、西の羊(西洋)の地から、「蒼い狼」という偽ブランドが出現し、「蒼き狼」の行く手を阻む。
その制圧に遣わしたはずのバンリは消息を絶ち、新たなデザインさえも「蒼い狼」に盗まれ追い詰められるテムジン。
果たして「蒼い狼」は一体誰なのか? バンリなのか? 腹心の裏切りなのか?
愛憎が渦巻く果てに、ついに「蒼い狼」が姿を現わし、「蒼き狼」との最後の戦いが始まる・・・・・。
≪ここまで≫
NODA・MAP本公演というと、有名スターや芸達者な舞台俳優さんが揃った豪華な舞台だというイメージが私の中で定着しています。今回の『キル』ももちろんそうですよね。3演目だそうですが私は初見です。
「キル」は着る、斬る、生キル・・・など複数の意味を含む言葉として頻繁に出てきます。野田さんの戯曲ならではの言葉あそびは、細かい部分まで集中して聞くと、勝手な深読みもできて面白いですよね。
個人的には、昨年の『ロープ』や『THE BEE』に比べると、胸にグっとくる瞬間が少なくて残念でした。言葉ばかりで説明されても、私はそんなに興味がそそられないんですよね。
カーテンコールで役者さんが並んだ時、11人しか居ないことにちょっとびっくり。もっと大勢いるように見えていました。11人でフル稼働なのでしょうね。何度も着替える衣裳がとてもかっこ良かったです。
ここからネタバレします。
テムジン役の妻夫木さんがミシンのそばで静かに死を迎える(のであろう?)、最後のシーンが良かったです。モンゴルの平原が見えるような気がしました。
≪東京、大阪≫
出演:妻夫木聡/広末涼子/小林勝也/高橋恵子/勝村政信/高田聖子/野田秀樹/市川しんぺー/村岡希美/山田まりや/中山祐一朗
作・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 照明:服部基 衣裳:ひびのこづえ 選曲・効果:高都幸男 ステージング協力:謝珠栄 ヘアメイク:河村陽子 舞台監督:瀬崎将孝 プロデューサー:北村明子 提携:Bunkamura 企画・製作:NODA・MAP
S席¥9500/A席¥7500/コクーンシート¥5500 当日券 中2階お立見 ¥3500/2階お立見 ¥2500
http://www.nodamap.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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スロウライダー『手オノをもってあつまれ!』01/04-07 THEATER/TOPS
山中隆次郎さんが作・演出・出演されるスロウライダーの初THEATER/TOPS進出作品。小劇場界の若手の中では、厚みのある演技を見せてくれる役者さんが揃っています。
劇場に入るなり美術が衝撃的!照明、音響のセンスもすごくかっこ良くて、前のめりになって鑑賞しました。ストーリーは少々複雑でしたね。開演前に当日パンフレットの用語集をよく読んでおかれると良いと思います。上演時間は約2時間。
⇒映画芸術WEBの山中隆次郎インタビュー
⇒CoRich舞台芸術!『手オノをもってあつまれ!』
舞台は真四角・純白の、メタリックにテカテカと光る空間でした。いわば近未来SF映画に出てきそうな密室のイメージです(実際は密室ではないですが)。舞台奥一面に垂れ下がるラメ入りのすだれは、キラキラと不規則な動きを生み、いかがわしさやチープさも付加して、異世界の深みをさらに増していました。上下(かみしも)にある重そうなドアも動く度に味がありましたね。
開幕の時、暗転してからパっと照明が点いた瞬間、白い空間が変貌します。これがめちゃくちゃかっこ良かった!
虹ヶ丘団地という架空の街に暮らす人々の、すさんだ生活が少しずつ明かされていきます。その世界でしか通用しない言葉が当たり前のように使われるので、意味がわからないことから生まれる不安感がないわけではなかったですが、予想外の出来事に翻弄される登場人物たちと一緒に、自分も探り探り物語の中に入っていくわくわく感がありました。これまた“前のめり”ですよ。
役者さん1人1人の存在感が粒だっているので、1対1の対話シーンではかなり楽しめたのですが、全体的にはパラパラと別個になっているように感じ、作品全体の大きなグルーブ感には至っていませんでしたね。だからなのか、上演時間も長く感じてしまい、もったいないと思いました。
お話の顛末の面白さよりも、時間の経過と共に変貌していく空間とその過程自体をじっくり楽しめたことが良かったです。演劇ならではの体験ですよね。
ここからネタバレします。後ほどアップ予定。予定です・・・。
出演:山中隆次郎、數間優一、日下部そう、金子岳憲、町田水城、山口奈緒子、松浦和香子、石川ユリコ、山田伊久磨、多門勝
作・演出:山中隆次郎 舞台美術=福田暢秀(F.A.T STUDIO) 照明=伊藤孝(ART CORE design) 照明操作=須賀谷沙木子 音響=中村嘉宏(atSound) 音響操作=小宮聖子 舞台監督=西廣奏 舞台監督補佐=シロサキユウジ 宣伝美術=土谷朋子(citron Wroks)・仲麻香 記録写真=西田航 記録映像=トリックスターフィルム WEB運営=栗栖義臣 当日運営=安元千恵 制作補佐=坂本明・三好映子 制作=三好佐智子 企画・製作=有限会社quinada(キナダ)
【発売日】2007/11/17 全席指定 未就学児童入場不可 前売2800円 当日3000円 リピーター割引 前売1800円(劇団予約のみ取扱い・半券提示)
http://www.slowrider.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。必ずしも正確な情報ではありません。
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