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REVIEW

2008年07月31日

空想組曲『僕らの声の届かない場所』07/31-08/04王子小劇場

 ほさかようさんが作・演出される空想組曲王子小劇場が主催する佐藤佐吉演劇祭2008参加作品です。

 王子小劇場での前作が面白かったので期待して伺いました。上演時間は約2時間強。

 ⇒演劇祭公式ブログ(飛鳥高校演劇部感想リレーあり!)
 ⇒シアターガイド賞選考ブログ
 ⇒CoRich舞台芸術!『僕らの声の届かない場所

 ≪あらすじ≫ CoRichより (役者名)を追加。
 ―「この絵は、まだ完成していない」―
 若手の画家が集う小さなアトリエ。
 その中でひと際異彩を放つ一人の画家(狩野和馬)。
 彼はあふれでるイメージを「物語」としてキャンバスに描いていく。
 しかしどの絵も完成させることができず、物語は結末を迎えずに放りだされる。
 ある日、アトリエに一人の少女(牛水里美)が現れる。
 光を求める二人が出会い、絵は次第に完成に近づいていく。
 しかしその結末は彼自身も予想しないものだった―
 ≪ここまで≫

 斜めになった舞台は、ステージ自体が絵の額のようなデザイン。キャンバスの上で絵描きの物語がつむがれていくロマンティックな美術です。上手奥の隅っこから、布がめくれるように開いて人物が登場するのも素敵。ただ、出はけは大変そうですが。

 黒の絵の具ばかりを使う気難しい絵描き・名村(狩野和馬)は、初めて自分の絵の意味をわかってくれる少女・茜(牛水里美)と出会い、彼女にだけは心を開くようになっていきます。
 名村と同じアトリエを使っている2人の絵描きたちとのエピソードと、名村の想像上の人物たちが登場する4つ(だったかな)の幻想的な短編とが組み合わさった構成でした。どれも魅力的な題材で、ほさかさんならではの毒を含んだポエティックで乙女チックな世界に浸り、うっとりしたり、しんみりしたり。
 これだけアイデアがあったら、お芝居が3本ぐらい作れるんじゃないかしら。少々盛り込みすぎな印象を受けました。

 茜役の女優さんは、実際にやってらっしゃる演技のほぼ反対のことをした方が良いんじゃないかと、観ていて思いました。彼女が泣いている時は笑った方がいいんじゃないかと思いましたし、笑っている時は泣いた(怒った)方がいいんじゃないかとも。たとえて言うと、手拍子の裏打ちをしているような感覚でした。個人的な感想ですが。

 ここからネタバレします。

 喪服の人々の短編悲劇はどれも素敵。特に「夜虫」(松崎史也)が良かったです。「何でも1つだけ願い事が叶う」話も良かったな~。作り物みたいな執事(牧島進一)が面白かった。

 オープニングだけのダンスは、きれいではあるのだけれど不要のようにも感じられました。1度だけでなく何度かダンスを使って欲しかったですね。名村の想像上の人々(喪服)が登場する時や、転換などでも演出として使える場所はあったんじゃないでしょうか。

 最後はブラックライトでステージを照らし、名村が残した真っ白なキャンバスも光ります。装置の魅力を生かしていて良かったですが、これもまた盛り込みすぎな気もしました。

佐藤佐吉演劇祭2008参加作品
出演:狩野和馬(InnocentSphere) 牛水里美(黒色綺譚カナリア派) 牧島進一(Studio Life) 齋藤陽介(ひょっとこ乱舞) 田口治(サラエンターテイメント所属) 松崎史也(Afro13)藤田美歌子(新宿芸能社) 石澤美和(SQUASH) 紫村朋子 中田顕史郎
脚本・演出:ほさかよう 舞台美術:松本わかこ 舞台監督:小林英雄 音響:天野高志(OFFICE my on) 照明:坂口美和 ムーブメント演出:金崎敬江(picoLoop%) ドラマターク:中田顕史郎 宣伝美術:岩根ナイル 制作:小山与枝乃(猫の手) 企画製作:空想組曲
前売り2800円・当日3000円 高校生1800円(当日券のみ要学生証) 全席指定 ★8月1日14:00の回は有料動員数に応じてチケット料金のキャッシュバックを行う<昼ギャザ>を実施いたします。
http://www.k-kumikyoku.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:45 | TrackBack

2008年07月30日

三条会・夏の野外公演『三条会の「真夏の夜の夢」』07/25-29千葉公園内 特設野外劇場

 関美能留さんが演出を手がける三条会の野外公演です(⇒過去レビュー)。夏の緑の中で「真夏の夜の夢」。ムード満点です。

 千秋楽の客席には「どっちが舞台なのかしら?」と思うぐらい、演劇人がいっぱい!もちろん家族づれもいらっしゃいました。三条会の野外公演はこれで3度目。客席と眺めると地域に根付いてきた感がありました。

公演公式Tシャツはほぼ完売。イラスト素敵ですもんね~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『三条会の「真夏の夜の夢」
 ⇒東京劇場に舞台写真あり!

20080729_sanjyokai1.jpg
公演の入り口
 達者な役者さんばかりが揃っていて、彼らが全力で「夏夢」のセリフを言っているだけで、感動したり笑えてきたり。江戸川卍丸さん(劇団上田)が三条会に出てるのがすごい。ジャンルひとっとび。素敵でした。

 ほぼ円形の真っ白なステージ。衣裳に背番号をつけた役者さんがぐるぐる回るのは何かのレース?競馬みたい(笑)。
 
 ここからネタバレします。

 音楽(曲)に合わせて演技をするのは三条会の得意とするところ。選曲が相変わらず面白いし、自然と体がノってきちゃう。でも曲の終わりに演技を合わせてるように感じた時は、ちょっと残念でした。
 サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋 Bridge Over Troubled Water」が流れた時が一番面白かったです。もー合ってるんだか合ってないんだか全然わからない(笑)。SMAPの「世界に一つだけの花」も非常に微妙でグッド。

 最後の劇中劇(「ピラマスとシスビーの世にも悲しい喜劇」)には爆笑。おそらく今までに見た中で最も破壊力のある演出・演技だったような(笑)。

20080729_sanjyokai2.jpg
劇場の周囲。夕方に人が集まってくるワクワク感。

出演:大川潤子、榊原毅、立崎真紀子、橋口久男、中村岳人、渡部友一郎 大高浩一、桜内結う、鈴木史朗(A.C.O.A.) 江戸川卍丸(劇団上田)、小菅紘史(第七劇場)、征矢かおる(文学座)、中島愛子、山田裕子(第七劇場)
原作:W・シェイクスピア 翻訳:小田島雄志(白水社刊) 演出:関美能留 舞台美術:石原敬 照明:大迫浩二 宣伝美術:京 イラスト:harunachico市橋聡子 制作:久我晴子 主催:三条会
【発売日】2008/05/01 一般:前売3,300円 当日3,500円 学生:前売2,300円 当日2,500円
http://homepage2.nifty.com/sanjokai/02.html

Posted by shinobu at 23:55 | TrackBack

2008年07月28日

@@ has a headphone『いつでもここは夏である』07/25-28 STスポット

 快快篠田千明(しのだ・ちはる)さんが演出する、ダンスと演劇が融合したクラブイベントのような。「@@ has a headphone」は「アット・アット・ハズ・ア・ヘッドフォン」と読みます。

 1時間以上ずっと立って踊ってるなんて、今の私の生活だとほぼ皆無なんですよね。いい運動になりました~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『いつでもここは夏である
 ⇒北川陽子さんのブログ柴幸男さんのブログに舞台写真あり。

 ※月末で執筆できなかったため、2008/08/15に加筆。

 街の風景やアニメから構成された映像が、壁2面に大きく映写されます。アニメはたとえば「マインドゲーム」、「AKIRA」、「美少女戦士セーラームーン」、「ドラえもん」などなど。映像とライヴの双方向ですね。

 松島誠さんのダンスに引き込まれました。山崎皓司さんはいつもながらの愛嬌。脱いでもヤじゃない(笑)。
 山縣太一「俺がナイーブの部長なんすけど、そんでポジティブの副部長。」←これ最高ね。
 野上絹代さんが踊ってるとき、自分も体を楽しげに揺らすことができました。 

 残念だったのは、途中休憩がよくわからなくて自分がキョドってしまったこと(笑)。あと、無言のシーンはもっと削ったほうが良かったんじゃないかと思いました。

@@ has a headphone/1st LIVE here is summer,always summer
出演:山縣太一、野上絹代、松島誠、山崎皓司
演出=シノダ VJ=天野史朗/佐々木文美 DJ=U/深沢猛己 sound engineer=星野大輔 flyer=天野史朗 企画=篠田千明/@@ has a headphone 協力=急な坂スタジオ 提携=STスポット
各回予約限定35名!! 前売 2300円(1drink) 当日 2500円(1drink) ※all standing 
http://stspot.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:41 | TrackBack

2008年07月27日

【演劇教育】めぐろティーンズプログラム2008演劇コース『夏休みワークショップ発表会』07/27めぐろパーシモンホール小ホール

20080727_meguro_teens_program.JPG
発表会

 めぐろティーンズプログラム演劇コースは、中学生・高校生を対象にした5日間のワークショップ。最終日に発表会があります。昨年に続いて今年も拝見しました。

 今年の講師は平田オリザさん。想田和弘監督がドキュメンタリー映画「青年団(仮)」を撮影されていました。

 ※月末で執筆できなかったため、2008/08/15に加筆。

■中学生・高校生による演劇作品発表 *印:アシスタント

『SECRET』
[出演]小座間遼子/菊地尚輝/木崎千温/黒瀬ななえ/小林奈央/堀之内瑠衣

『市長と絵本と図書館と』
[出演]島本恵里那/根本宗一郎/本橋研/工藤倫子*/村田牧子*/松浦智史(賛助出演)

『パーシモン商店街大さわぎ!』
[出演]長田咲紀/兼松柏衣/川合志歩/杉浦遼子/立花理沙子/中村陽介/横井沙由/若林潤

『魅惑の花火大会』
[出演]草間光太郎/今朝丸和歌/佐藤麻央/関口佳/佐山和泉*/渡辺香奈*


 ストーリー、配役などの枠組みを決めて、舞台上でほぼ即興で演技するチームもあり、作品の完成度の点では去年よりも低かったですね。今回は過程が重視されていたのでしょう(というか去年が本格的すぎたのかも・笑)。『魅惑の花火大会』が一番うまくまとまっていたように思います。
 ↓パーシモンホールのまわりには緑がいっぱい。
20080727_persimmon.JPG

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:平田オリザ 基本的に観客・参加者との質疑応答形式。

 参加者「演劇って、色んな種類があると思うんですが、何がいいんですか?」
 平田「演劇には制限が多い。小説や音楽よりもテクニック(ありき)で作る芸術だと思うんです。例えば舞台上に出てこない人はしゃべらない。舞台上に出てくる人が知っていることしかしゃべらない。舞台には、ある情報を知っている人と知らない人がいて、知っている方から知らない方へと滝の水が流れるように情報が伝達される。そこから観客は想像する。観ている人の想像力の助けをかりて存在するのが、演劇だと思います。それしか演劇が生き残る道はないと思います。」(意訳してます)


めぐろティーンズプログラム2008
■前半[ 演劇入門ワークショップ ] 
【日時】2008年5月11日(日)13:00~20:30/2008年6月8日(日)13:00~20:30
【講師】平田 オリザ(演出家・劇作家・青年団主宰)【前半参加費】1,000円 *当日精算
【対象】中学生・高校生。初参加者のみ応募を受け付けます。*前半のみの参加も受け付けます。*過去にめぐろティーンズプログラム「演劇入門ワークショップ」へ 参加している方は、後半からご参加ください。
■後半 [ 夏休みワークショップ + 発表会 ] 
【日時】 2008年7月23日(水)~27日(日) ※最終日は発表会。
【講師】平田 オリザ(演出家・劇作家・青年団主宰)【後半参加費】2,000円 *後半初日に精算
【対象】中・高校生。5日間出席でき、次のいずれかにあてはまること。○今回の前半「演劇入門ワークショップ」に参加していること。○2006年または2007年のめぐろティーンズプログラム「演劇入門ワークショップ」に参加していること。
[演出・指導]平田オリザ [演出助手]吉田小夏(青年団演出部/青☆組) [アシスタント]工藤倫子/佐山和泉/村田牧子/渡辺香奈 [協力](有)アゴラ企画 [区民サポーター]朝吹弓子/梶実千枝/徳永美穂子/山本郁子 [主催](財)目黒区芸術文化振興財団 [後援]目黒区教育委員会  [助成](財)地域創造
http://www.persimmon.or.jp/details/2008.teens.engeki.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:27 | TrackBack

2008年07月26日

岡崎藝術座『三月の5日間』07/25-27川崎市アートセンター アルテリオ小劇場

 以前に『オセロー』(特別編)を電車の中でやったと噂を聞いて、とても気になっていた岡崎藝術座。演出の神里雄大さんのソロユニットのようです。

 大好きな『三月の5日間』を上演するということで、来月の上野公演に行こうかどうか迷っていたんですが、CoRichで初日の評判がすごくいいので、急遽新百合ヶ丘の方に行ってきました。

 面白かった~♪ラスト超~感動。でも刺激が強いので(笑)、夜の方がムードに合ってる気がします。上演時間は約1時間30分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『三月の5日間
 レビューはアップしたいと思っています。月末なのでちょっと難しいかも。すみません。

≪新百合ヶ丘、上野≫
出演:冨川純一 西田夏奈子  武谷公雄(バングラッシー)  砂生雅美 佐々木透 宇田川千珠子(青年団) 影山直文 中村早香(ひょっとこ乱舞) 尾原仁士  春日井一平(劇団上田) タカハシカナコ(劇団井手食堂)
作:岡田利規(チェルフィッチュ) 構成台本・演出:神里雄大 照明:高橋かおり(Hikari Honpo)  制作:elegirl label 制作協力:野村政之 助手:鈴木啓史 企画制作:岡崎藝術座 主催:岡崎藝術座
【発売日】2008/06/10 前売2,000円(全席自由・日時指定) 当日2,500円 新百合ヶ丘公演と上野公演共通チケットは3500円
http://okazaki.nobody.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 18:08 | TrackBack

劇団劇作家『劇読みVOL.2「ハルメリ」』07/22-27シアターグリーン BASE THEATER

 「ゴルゴダメール」に続いて黒川陽子さん作「ハルメリ」(第13回劇作家協会新人戯曲賞受賞)を拝見。演出は山本健翔さんです。

 めっちゃくちゃ面白かった!!!戯曲も演出も!

 ⇒CoRich舞台芸術!『劇読みVOL.2
 レビューは記録のみ。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 「いま私はクラブ・ハルメリに来ています……またしても若者達の……学生運動や安保闘争は……抵抗……しかし今回は違います。見てください。ハルメリを合言葉に、若者達が年配の大人達と一緒に踊っています!!」――ハルメリは優しさの思想。つまらない競争をやめ、全てを受け入れ合う。相手も自分も大した人間でないことを知り、微笑みの中に自分の居場所を見つける。「……そういう、冗談なんです」
 ≪ここまで≫

 役者さんはデスクトップパソコン、ノートパソコン、携帯電話の中にある戯曲を読みます。戯曲は舞台奥の壁のスクリーンにも映し出されます。携帯電話を持ってセリフを言う姿は現代そのもの!

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:西川信廣 黒川陽子 篠原久美子

 篠原「この作品は満場一致で人戯曲賞受賞に選ばれました。」

【キャスト】井上倫宏(演劇集団円)/宇佐美多恵子/内田亜希子/大地泰仁/岡野真那美/川端桜(pretty Pink Princess)/桑島貴洋/小泉真希/清水ひろみ/手塚美南子(天然工房)/浜野隆之(下井草演劇研究舎)/本田めぐみ(劇団ダルメシアン)/三原秀俊/山本悠生/矢原将宗(THEATRE MOMENTS)/相馬杜宇/上原英司/錦織伊代
演出=大内三朗、 関根信一(劇団フライングステージ) 山本健翔(ショウデザイン舎) 舞台監督=木村篤(SEVENTH FIELD) 音響=菊池弘二、前田有希子(青年劇場) 照明=瀬戸あずさ 衣装・小道具=青年劇場 制作=劇団制作社 協力=青年劇場、(株)メッセージ、劇団だるま座 宣伝デザイン=長谷川智史(circle design) 主催・企画・製作=劇団劇作家
全席自由:2,000円 全日程フリーパス:4,000円
http://www.gekisakka.net/kouen9.htm

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Posted by shinobu at 01:29 | TrackBack

2008年07月25日

reset-N『閃光』07/24-28王子小劇場

 作・演出の夏井孝裕さんのプライベートをさらけ出してる、かのような、渾身の演劇。王子小劇場が主催する佐藤佐吉演劇祭2008参加作品です。
 四方囲みの客席は全席自由席です。ステージ直前は桟敷ざぶとん席になります。開演時刻を過ぎると2階席からの鑑賞になるので、お早めに劇場へ。上演時間は約1時間20分。

 こんなに安心してreset-N初日を観に行ったのは久しぶりです(笑)。パンフレットにありますように、ドラマトゥルクの長島確さんの存在が大きいのだろうと思います。

 ⇒演劇祭公式ブログ(飛鳥高校演劇部感想リレーあり!)
 ⇒シアターガイド賞選考ブログ
 ⇒CoRich舞台芸術!『閃光』★CoRichから簡単予約!


 中央に赤いベッドのあるステージ。黒い劇場に白い床。赤が利いていてスタイリッシュな空間です。
 私演劇と言い切ることができる作品ですね。でもたださらけ出すだけじゃなく、凝った構造も楽しめます。夏井さんがご本人として出演しているのも刺激的。

 2000年からreset-N作品を観てきた私ですが、創作過程や舞台裏は観客にはわかりません。知り得なかった(知りたかった?知りたくなかった?)裏話が漏れ出てきて、困ったらいいのか笑ったらいいのか。いや、基本的に笑いましたけど(笑)。reset-N初見の人はどう思うのかしら。

 どこからどこまでが実話なのかは観客には(おそらく作り手にも)わかりません。何が本当で何が創作なのかは重要ではないし、つきつめたって実は誰にもわからないことなんじゃないかしら。だったら全て夏井さんの体験談(実話)だと思った方が面白いと、私は考えます。その視点から観ると、演技でもっと上手にだまして欲しい気もしました(シーンによりますが)。初日で役者さんがまだ硬かったのもあると思います。

 先が読めないし、内容が刺激的だし、お芝居を観ている時はこの体験自体がとても面白いものでした。でも観劇直後は、終演後の拍手も含めて“男(夏井さん)”にグっと寄りかかられたような感覚があって・・・爽快、ではなかったですね。このねっとりした感覚はこれまでのreset-Nにはなかったものですし、おそらく今後、同じような体験はできなさそうです。劇団にとってエポックメイキングな作品であることは間違いないと思います。

 夏井さんの演技が自然で良かったです。自然じゃないのかもしれませんが。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 開幕の時、夏井さんが「いつものからはじめてください」と言って、いつもの音楽(reset-Nではオープニングに同じ曲を使っているのです)が鳴った時はプチ興奮(笑)。

 九重(原田紀行)とヒカル(松下好)がいる部屋。隣りに劇作家(金田淳)とその恋人(足立由夏)が住んでいます。九重とヒカルは劇が始まる導入として、“役柄を演じる俳優”になったりもします。劇作家と恋人の関係はコミカルなアクセントになっていて良かったですが、もっとスリリング(怖かったりエロティックだったり)になってもいいんじゃないかと思いました。
 脚本が書けない劇作家が出てくるお芝居って苦手なんですが、この作品は全然いやじゃなかったです。

 めがねの男(久保田芳之)とヒカル(松下好)は先生と生徒の関係で、誰とでも寝るヒカルは先生との間にもかつては肉体関係がありました。先生はヒカルにぞっこんで、「もう電話しないと約束したのに、約束を破ってごめんなさい。また電話します」「君が欲しいものは何?それをやってあげられるのは僕だけだ」「君は僕以外の誰とも付き合ったら(寝たら)だめだ」などと言います。同じようなことを言っている人が知り合いにいるので(笑)、妙なシンクロ。あと「演出家ってモテるのね~」って思って、まあ、がっかりもしましたし、安心もしました(笑)。←大きなお世話

 劇団員(長谷川有希子)が日本語のポップスを歌い、それを隣りで聴いていた九重(原田紀行)がラジオDJのように「reset-Nがお送りしました」と言って暗転、終幕。とぼけて脱力した笑いがかっこいいです。

佐藤佐吉演劇祭2008参加
出演:久保田芳之/原田紀行/長谷川有希子/金田淳/松下好(エグゼ)/足立由夏(InnocentSphere)/川原京 夏井孝裕
脚本・演出:夏井孝裕 ドラマトゥルク:長島確 グランドデザイン:massigla lab. 舞台監督:桑原淳 照明協力:伊藤孝(ART CORE) 音響:荒木まや 制作協力:藤田晶久(Pallet-Bullet) 宣伝写真:山本尚明  宣伝美術:quiet design productions ウェブ:笹香和・omni studio 主催:reset-N
【発売日】2008/06/16 前売り2,500円 当日3,000円 学生2,000円
http://www.reset-n.org/

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2008年07月24日

劇団劇作家『劇読みVOL.2「ゴルゴダメール」』07/22-27シアターグリーン BASE THEATER

 劇作家のみで構成された劇団の本公演です。リーディング形式で6日間に7作品が上演されます(⇒過去レビュー)。

 新国立劇場演劇研修所一期生の卒業公演『リハーサルルーム』のもとになった、篠原久美子さんの『ゴルゴダメール』を拝見。演出は劇団フライングステージの関根信一さんです。一期生も数名出演しています。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『劇読みVOL.2

 ≪あらすじ≫
 健常者と障害を持つ人(アスペルガー症候群)が一緒に作る、市民劇の稽古場。
 ≪ここまで≫

 リーディングが苦手な私ですが、どっぷり劇の世界に入り込んで楽しめました。小さな劇場で出演者が12人というのはなかなか複雑ですが、劇中劇のスタイルをわかりやすく演出してくれていて、照明も音響も優しくて良かったです。役者さんが舞台に歩いて登場する時から演じる役になりきっていたことも、作品世界へのスムーズな導入になっていました。

 「健常者と障害を持つ人」「アスペルガー症候群」というキーワードから、強く主張したり、説明的に情報発信をする演劇を想像されるかもしれませんが、そればかりに重点が置かれているわけではありませんでした。人間が寂しさ、悲しさに打ち震え、必死でか細い手を誰かへと伸ばそうとしている姿を見て、今いちど、私たちの罪について考えました。

 もちろん、アスペルガー症候群について知ることができたのは非常にありがたいことでした。わかりやすいQ&A形式で知ることができるのも、演劇の魅力ですよね。

 ここからネタバレします。

 アスペルガー症候群の人たちが「空気を読む」ことができないエピソードが出てきます。でも健常者だって「空気を読む」ことができているわけではない。そんなシーンが時にはシリアスに、またはコミカルに展開されていきます。

 「はじめに光あれ」と神が言ったのなら、本当の初めにあったのは暗闇で、そして言葉ができてから、光ができたことになります。なんと美しい指摘。アスペルガー症候群の順平(山本悠生)のセリフです。

 アスペルガー症候群の秋菜(内田亜希子)が演出助手の優希(小泉真希)に「キリストの右の頬を打ったのは誰なのですか?」と、電子メールでたずねます。タイトルになっているゴルゴダの丘は、イエス・キリストが処刑された場所。全人類の罪をせおって死んだイエスを思いながら、2人は本当の罪人は殴った方がなのか、殴られた方なのかを考えます。自分たちが受けている虐待(家族からや彼氏から)について、気づかない内に周囲の人を傷つけている自らの暴力について。

 右の頬を打って、左も打って。なぐって蹴って。最終的に人類は神の子を、はりつけにして処刑してしまいました。犠牲って何なのでしょうか。誰かの代わりに罪を背負う(罰を受けて罪をつぐなう)ことなんて出来るのでしょうか。そんなことは出来ないんじゃないのかな。誰もが皆かけがえがない一人なのだから、代わりなんていないですよね。同時に誰もが絶対的に孤独だということになるんだけれど。その孤独を一緒に寂しがって、体でも心でも触れ合えた一瞬をいとおしんで生きていけたら。そうすれば少しでも自分の罪に自覚的になれるんじゃないかしら。そんな風に考えました。

 『リハーサルルーム』のようにもともと15人だった登場人物を、この公演のために12人に減らしたようですね。「あの役とあの役がまざって、この役になってるな~」などとヲタクな楽しみをしつつ(笑)、でもそのせいで役によってはキャラクターに一貫性がないようにも感じました。最後に登場人物のほぼ全員が喪服で登場するのは、しめっぽさが過剰なんじゃないかとも思いました(劇中劇の主人公アリサに花を手向けるシーン)。本格的な上演を観てみたいです。

出演(アイウエオ順):内田亜希子 岡野真那美 桑島貴洋 小泉真希 谷口正浩 椿留美子 手塚美南子(天然工房) 浜野隆之(下井草演劇研究舎) 三原秀俊 山本悠生 矢原将宗(THEATRE MOMENTS) 上原英司 坂本鈴
作:篠原久美子 演出:関根信一(劇団フライングステージ) 舞台監督=木村篤(SEVENTH FIELD) 音響=菊池弘二、前田有希子(青年劇場) 照明=瀬戸あずさ 衣装・小道具=青年劇場 制作=劇団制作社 宣伝デザイン=長谷川智史(circle design) 主催・企画・製作=劇団劇作家
全席自由:2,000円 全日程フリーパス:4,000円
http://www.gekisakka.net/

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2008年07月23日

【読書】中川モモコ著「ベルリン-あなたは私を思う 父・千田是也とわたし」(モーニングデスク刊)

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ベルリン-あなたは私を思う

 演出家・千田是也の娘、中川モモコさんの回顧本です(関連記事⇒)。
 モモコさんは1932年に千田さんとドイツ人女性との間に生まれました。7歳の頃から12年間ドイツで暮らし、今は日本在在です。

 恥ずかしながら私は、劇団俳優座のお芝居を俳優座劇場に観に行っても、千田さんのことは知りませんでした。東ベルリンの大学から名誉博士の称号を授与されるほどの、ブレヒト研究の専門家だったんですね。“千田是也”という芸名の由来も初めて知りました。
 モモコさんのお子さまの中に女優の中川安奈さんがいらっしゃいます。肉声で伝わってくる日本演劇史は読み応えがあると思います。

 ほんの数十年前の日本は、外国語といえば英語一色ではなかったんですよね。国民が享受できる芸術・文化は、国の政策(外交など)に大きく影響されることが身にしみてわかりました。大きな看板や、頻繁に出会う広告にだまされないよう、自分の目で見て確かめていかなければと思います。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 10:32 | TrackBack

2008年07月22日

【レポート】FPAP「劇作家・演出家のための観劇ディスカッションツアー」06/27-29東京

 去年に続いて今年も、NPO法人FPAPが主催する「観劇ディスカッションツアー」のアドバイザーをさせていただきました。九州在住の劇作家・演出家が東京に2泊3日して、4つの舞台作品を観劇してディスカッションをするという企画です。公式ブログには参加者の熱いレポートが上がっています。

【2泊3日で鑑賞する4作品(観劇順)】
 ・柿喰う客「俺を縛れ!
 ・新国立劇場「混じりあうこと、消えること
 ・劇団コーヒー牛乳「密八(みつばち)
 ・青年団「眠れない夜なんてない

 2日目の夜に宿泊所にお邪魔しました。色んなゲストも集まって、非公式ディスカッションという位置づけの会合となりました。写真を撮るのを忘れちゃった・・・(涙)。⇒関連ブログエントリーなど
 昨年からCoRich福岡オフ会にも参加させていただいまして、九州の方々とのご縁がつながって嬉しいです。この企画はぜひ今後も続けていただけたらいいなと思います。

参加者:亀井純太郎/日下部信/田坂哲郎/村上聡 同行者:FPAP事務局より3名(高崎大志、中嶋さと、三坂恵美
主催:NPO法人FPAP 協力:(有)アゴラ企画/九州地域演劇協議会 アドバイザー:高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー/しのぶの演劇レビュー主宰)
NPO法人FPAP:http://www.fpap.jp/
公式ブログ:http://www.fpap.jp/discus/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:00 | TrackBack

【写真レポート】俳優指導者アソシエーション公開勉強会「俳優を育てるということ(ゲスト:ローナ・マーシャル)」07/16森下スタジオA

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Ms. Lorna Marshall

 俳優指導者アソシエーションが主催する公開勉強会に伺いました(⇒過去のレポート)。今回のゲストはローナ・マーシャルさん新国立劇場演劇研修所の主任講師でもいらっしゃいます。

 2時間40分ノンストップのパワフルな講義でした。普段から感じていてもはっきりと言葉では説明できないことを、ローナさんが明快に、ユーモアたっぷりに教えてくださいました。

 ※レポートはいずれ公開予定。
 ※都合により公開できなくなりました(2009/12/01加筆)。

主催:俳優指導者アソシエーション 主宰:池内美奈子(新国立劇場演劇研修所ヘッドコーチ)
時間:19:00~21:00(受付開始18:30より) 参加費:2000円 通訳あり。 参加者は20名弱。

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 13:23 | TrackBack

2008年07月21日

青年団『ハナノミチ』07/17-22こまばアゴラ劇場

 『ハナノミチ』はフランス人の脚本家・演出家ヤン・アレグレさんと、青年団の役者さんたちとの2年がかりのプロジェクトです。

 上演時間は2時間弱。個人的に、こういった作品は1時間ぐらいで終わってくれるのがちょうどいい気がします。初日は暑すぎてハンカチで扇いでしまいました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ハナノミチ

 白い紙に包まれた劇場。モノクロの装いの俳優たちが、それぞれに語り、動く。
 
 最初から最後まで、“外国人から見た日本”だな~と冷静に見つめることになってしまいました。演出、構成については既視感がぬぐえませんでした。
 本番ごとに予想できないことが起こるし、役者さんにとっては過酷な舞台なのではないでしょうか。ただ、全体的にライブ感覚がわざとらしく見えて、私にはあまり楽しめなかったです。

 アゴラ劇場で若いフランス人男性の演出家による作品を観るのは、これで3作品目です(過去レビュー⇒)。う~ん、どれも似た感想を持ってしまったな~・・・。

 言うまでもありませんが、この作品は青年団の本公演とはかけ離れた作風です。青年団の役者さんはさまざまな舞台作品との出会いがあっていいですね。観客だからこんな気楽なことを言ってますが、実際に作る(演じる)のは大変だと思います。俳優はタフな職業ですね。

 ここからネタバレします。

 1、2、3、・・・と、役者さんがこれから演じるシーンの数を言います。『職さがし』では数字が壁に映写されていました。

 「空」や「無」といった日本ならではの概念を、俳優の身体と墨汁および墨で書かれた文字などで表現していたと思いますが、「空」や「無」は私には感じ取れず。小さな子供の映像も不つり合いに見えました。

 黒い衣装の男優(多田淳之介)が白い紙を乱暴に破って走り回るのは、スリリングで非常に面白かったです。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:ヤン・アレグレ×多田淳之介(東京デスロック)

 これまた過去2作と同じで、とにかく演出家がしゃべるしゃべる・・・。いえ、ヤンさんはとてもキュートな方でしたが。

Hananomichi Project 青年団国際演劇交流プロジェクト2008
出演:安倍健太郎 川隅奈保子 工藤倫子 熊谷祐子 多田淳之介 鄭亜美 兵藤公美
脚本・演出=ヤン・アレグレ(Yan ALLEGRET) 翻訳=藤井慎太郎 照明=シリル・ルクレーク 西本彩 映像・美術=ジュディス・ボーディネット 舞台監督=渡井理惠 通訳=松野加奈子 宣伝美術=京 制作=ハナノミチプロジェクト制作部 総合プロデューサー=平田オリザ 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 企画制作=青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 
予約・当日共/3,000円
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_07/hananomichi.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:14 | TrackBack

青年団リンク・うさぎ庵/BoroBon企画『~ハナオフ+うさぎ庵Vol.6~「男たちのお料理教室」』07/20-21東京ガス横浜ショールーム4F

 工藤千夏さん(青年団リンク・うさぎ庵)の脚本を水下きよしさん(花組芝居)が演出されます。出演は花組芝居の方々。“ハナオフ”は「OFFのやつらが集まって、ひとつ舞台をやってしまおう!」という花組芝居のOFFシアター・シリーズです。

 「いい天気だわ~♪」と関内の東京ガス横浜ショールームまでゆったり歩いていったら、なんと開演時刻を1時間まちがえていました・・・(涙)。半分は観られたかしら・・・ほんとにすみません。パンフレットが脚本付きで800円だったので終演後に購入。帰りの電車で読んで溜飲が下がる思いでした。面白い!

 ⇒公演ブログ
 ⇒CoRich舞台芸術!『男たちのお料理教室

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 ガス会社のショールームで夜間に行われている男性向けの料理教室。その晩も、男達はクッキング・スタジオにやってきたが……。
 ≪ここまで≫

 本物の料理教室を舞台にした料理教室のお話でした。“借景芝居”とはうまいネーミングですね。それぞれの目的をもって教室に集まる男たち。お芝居の設定上、料理の手際がすこぶる悪い男性が数名いて、それを女性客が暖かく見守っている会場の雰囲気が、まず微笑ましくて、楽しいです。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 ガス会社の社員・加藤(各務立基)と生徒として教室にやってきたハンバーガー屋の店長・カトウ(桂憲一)が、実は同一人物だという仕掛けが見事です。加藤は部下・ミキちゃんと不倫デートの約束を取り付けて、今にも教室を出て行きたいと思っています。カトウは不倫がバレて会社をクビになり、3年ぶりに再会する6歳ぐらいの娘のために、親子丼を作ってあげたいと必死です。つまり加藤の成れの果てがカトウというわけです。

 てんやわんやの末に親子丼を完成させて、全員で一緒に食べようとしたところで、加藤とカトウ以外の人物はストップ・モーションに。カトウは加藤に「今日ミキちゃんとデートしなかった君と、これから妻と娘のために親子丼を作る僕の時間は、もうつながらないから」と告げます。そして加藤とカトウが入れ替わるのがクール!カトウは約束(過去の運命)どおりミキちゃんとのデートに出かけますが、加藤はそのまま家に帰るのです。照明も音響も何の助けもなしに、立派なファンタジーになっていました。

 桂憲一さん演じるカトウはお料理が特に下手という設定で、見よう見まねでがんばっても失敗するドジなキャラが可愛いらしかったです。でも最後は男の色気ムンムンのサラリーマンに変身!見とれました。

 親子丼にかけて母と娘と肉体関係をもつエピソードが出てきましたが、あまり場にそぐわない気がしました。キッチンで話すにはちょっと・・・ね(苦笑)。女性視点ですが。

出演:溝口健二、山下禎啓、桂憲一、大井靖彦、各務立基、美斉津恵友、水下きよし
脚本:工藤千夏(青年団リンク・うさぎ庵) 演出:水下きよし(花組芝居) 制作:井上啓子、山藤貴子、植村ケイ子 宣伝美術:Griff inc.(工藤規雄+村上和子) 企画製作:BoroBon企画、青年団リンク・うさぎ庵 後援:東京ガス株式会社
【発売日】2008/05/18 予約3500円、当日4000円
http://usagi-an.com/jikai.html

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Posted by shinobu at 18:24 | TrackBack

2008年07月19日

新国立劇場演劇研修所オープンカレッジ『鵜山芸術監督による現代戯曲のリーディングの会「夜の旅の果てに-聖女とバス-」』07/18-19新国立劇場Cリハーサル室

 新国立劇場演劇研修所3期生が出演するリーディング公演です(オーディションによる選抜あり)。⇒告知
 2005年に書かれた『夜の旅の果てに-聖女とバス-』はルーカス・ベアフスによる作品です。ドイツ戯曲のようですね。上演時間は約2時間30分(休憩なし)。

 リーディングで2時間半は少々きつかったですが、面白い戯曲でした。演劇公演として上演されたらぜひ観てみたいです。レビューは記録のみ。

 ≪あらすじ≫パンフレットより
 山深き森の中の道路。「ヘルマン観光」と書かれた観光バスに若い女性が乗っている。彼女はポーランドのチェンストホーヴァに向かう様子だが、バスの運転手はチェンストホーヴァへは行かないという。バスはどこへ向かうのか。彼女は何のためにチェンストホーヴァへ向かうのか。他の乗客とともに不思議な旅が始まる。
 ≪ここまで≫

"Der Bus (Das Zeug einer Heiligen)" ※一部ダブルキャスト公演
出演(19日):鈴木良苗(エーリカ)18日は吉田紗和子/米川貴久(ヘルマン)18日は宇髙海渡/渡邉樹里(ヤスミン)/辻村優子(太った女)/竹田桂(カール)/金成均(アントン:ガソリンスタンドの店員)/若菜大輔(クラーマー)/熊坂理恵(巡礼者の女)/宇髙海渡(巡礼者の男)18日は米川貴久 他の3期生:岸田茜/野村真理/山本葉子/香原俊彦/長元洋
作:ルーカス・ベアフス(1971年スイス生まれ、『夜の旅の果てに-聖女とバス-』でミュルハイム劇作家賞受賞) 翻訳:新野守広 演出:鵜山仁 演出助手:松森望宏 研修所長:栗山民也
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000441.html

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Posted by shinobu at 19:30 | TrackBack

3軒茶屋婦人会『ウドンゲ』07/01-27ベニサン・ピット

 篠井英介さん、深沢敦さん、大谷亮介さんの3人芝居を G2さんが演出する3軒茶屋婦人会の第3回公演です(⇒第1回第2回)。脚本は赤堀雅秋さんの書き下ろし。

 上演時間は約1時間45分。東京公演は追加席があるそうです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ウドンゲ

 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレあり。でも読んでから観に行っても問題ないと思います。
 クラスメートのお葬式で約30年ぶりに会った高校時代の同級生3人。1人暮らしの澄子(大谷亮介)の家に集まって50代の女たちが語る、今と懐かしい青春時代の秘密。
 ≪ここまで≫ 詳しいあらすじはこちら

 3軒茶屋婦人会は男優さんが女を演じる企画ですが、女性キャストでも観たいな~と思いました。もっとじめじめ、ぐつぐつしてもOKな気がします。
 深沢さんの「おなかすいちゃった!」というセリフがとても可愛いです。

 ここからネタバレします。

 絵美のあこがれだった“加藤くん”が酔いつぶれたので、澄子の家にかつぎ込んだ。奥の部屋で加藤が寝ている。死んだのは加藤の親友の男だった。死因は自殺。
 絵美(篠井英介):埼玉の奥地の一軒家で夫婦で暮らす。息子2人は大学生で家を出て一人暮らし中。毎晩夜の生活あり。
 薫(深沢敦):高校を出てすぐに就職し、結婚。夫の転勤で関西に引っ越す。離婚して一人になってから阪神・淡路大震災に遭う。白いご飯の美味しさを知る。
 澄子(大谷亮介):カツサンドを作る仕事をする1人暮らし。通勤時間は片道2時間。食べたり食べなかったり。ルールどおりの生活をすることにしか興味がない。生きる気力を無くしている。

 沢田研二のコンサートに一緒に行けなかったことが、親友だった2人(絵美と澄子)を引き裂く事件となったのは、この作品(演出)だとちょっと腑に落ちない感覚もあり。でも若い頃ってそういうものですよね。些細なことが人生を決めてしまいます。

 ジュリーのテープを聞いて盛り上がる3人を見て、個人の幸せな思い出ぐらいしか、人間にとって確かなものはないのかもしれないと思いました。建物は壊れるし、故郷はなくなるし、友達も家族もずっと一緒だとは限らないし。何の曇りもなく楽しいと思える瞬間って、本当に幸せな時(例えば美味しいものを食べた時とか)と、幸せだったことを思い出す時ぐらいなんじゃないかしら。だとしたら、今、存分に楽しく生きたいと思いました。

 日記に食べたものを記録するのは『その夜の侍』にも出てきましたね。「カップラーメン」が「最高にまずいカップラーメン」になるのは、動物から人間に変わることだと思います。

≪東京、福井、大阪、福岡≫
出演:篠井英介, 深沢敦, 大谷亮介
脚本:赤堀雅秋 演出:G2&3軒茶屋婦人会 美術:古川雅之 照明:高見和義 音響:井上正弘 衣装:前田文子 ヘアメイク:馮啓孝 演出助手:長町多寿子 舞台監督:青木義博・木村力 宣伝美術:鳥井和男 宣伝写真:野口博 宣伝衣装:遠藤百合子 WEB:川村公一・千葉博実・酒井元舟 プロデューサー:大西規世子 制作:尾崎裕子・藤田早苗 製作総指揮:G2
【発売日】2008/05/24 全席指定  前売り¥5,000 当日¥5,300
http://www.g2produce.com/3cha/udonge/index.html

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Posted by shinobu at 11:29 | TrackBack

2008年07月18日

新国立劇場演劇『まほろば』07/14-21新国立劇場 小劇場

 稽古場レポートを書かせていただきました、新国立劇場の“シリーズ・同時代”の第三弾(⇒第一弾第二弾)『まほろば』を拝見しました。⇒写真いっぱいの稽古場レポート

 いっぱい笑ってじ~んと来て、嬉しい観劇体験でした。期待以上に幸せになれる“日本の家族を描くお芝居”だと思います。上演時間は約1時間45分。

20080714_mahoroba_pamphlet.jpg
「まほろば」パンフレットと戯曲本

 これはメルマガ号外を出すべきかしらと終演直後に一瞬思ったのですが、思いとどまりました。全体的にハッピーすぎる気がして・・・って、私がひねくれ者なせいですね!(苦笑) それくらい、多くの方にお薦めしたい作品であることは間違いないです。7/21(月・祝)までですので、どうぞ劇場へ!期待は裏切られないと思います。

 3連作についての座談会に参加させていただきました。パンフレットに掲載されていますのでよかったらお買い求めください♪
 小さくて可愛らしい戯曲本(3作品同時発売)が400円で発売中!新国立劇場では初めてのことだそうです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『まほろば
 レビューはアップできるかどうか未定。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 それは緑に囲まれた村の祭りの夜。面々と続く「本家」の居間に集った、世代の違う6人の女たち――母として、娘として、そして女として、彼女たちに迫られる選択――「生命」と向き合い、語り合う、とある一夜の物語……
 ≪ここまで≫

新国立劇場演劇『まほろば』07/14-21新国立劇場 小劇場
小劇場3作品連続公演 シリーズ・同時代Vol.3
出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 前田亜季 黒沢ともよ 三田和代
脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也 美術:松井るみ 照明:服部基 音響:秦大介 衣裳:宇野善子 ヘアメイク:佐藤裕子 方言指導:種口りつ子 演出助手:保科耕一 舞台監督:米倉幸雄 照明オペレーション:田中弘子 音響オペレーション:福沢裕之 演出部:川原清徳 藤本典江 プロンプ:大杉良 美術助手:望月麻衣 制作助手:上栗陽子 制作担当:茂木令子
【発売日】2008/04/26 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 『シリーズ・同時代3作品 特別割引通し券』14,250円(ボックスオフィスのみ)
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000041_play.html

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Posted by shinobu at 14:43 | TrackBack

2008年07月17日

【情報】fringe blog「新国立劇場演劇部門の芸術監督人事について」をアップ

 fringe blogに記事をアップしました。
 ⇒新国立劇場演劇部門の芸術監督人事について

 私は発表当日(6/30)に、新国立劇場のホームページを見てこのことを知りました。その後、朝日新聞紙面での「芸術の場らしい議論を 新国立劇場」(7/7社説)、「次期芸術監督の人事迷走 新国立劇場」(7/9文化欄 記者:藤谷浩二、吉田純子)と続き、新国立劇場のファンである一観客として、なぜこんなことが起こったのかを知りたいと強く感じていました。

 7/17の朝日新聞のオピニオン欄「私の視点」 に、蜷川幸雄さんの寄稿「新国立劇場 官僚主義で現場を殺すな」が掲載されています。

Posted by shinobu at 15:09 | TrackBack

2008年07月16日

青年団若手自主企画・大久保企画『ワールズダッチ』07/16-21アトリエ春風舎

 大久保亜美さんが作・演出する青年団若手自主企画。大久保さん演出作品のレビュー⇒

 タイトルは「世界のダッチ●イフ」の意味。女の視点からセックスについて赤裸々に描いた作品でした。赤裸々にもほどがある(笑)。
 青年団の若い役者さんの、演技に対する貪欲さがビリビリ伝わってきました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ワールズダッチ

 誰とでも寝る姉とそうじゃない妹。「てゆーかそもそもセックスの快感って健康に必要じゃん!」「でもセックスって決まった人としなきゃダメじゃん!」っていう・・・誰もが最初につまづき、おそらくずっとつまづき続けると思われるジレンマを、赤裸々に描いていました。赤裸々も赤裸々、ここまであけっぴろげだと気持ちいいです。

 でも、生々しいセックスシーンはありません。演技や道具を使って抽象的に、あるいは象徴的に表現していてとても面白かった。私が女だからかもしれませんが、ある動作がレイプのように見えることもあり、ぎくっとしながら演出の妙を味わいました。

 お芝居が終わってから、同じ回を観ていた人たちとセックスの話ばかり(笑)。普段は絶対おおっぴらには話さないですからね、そんな機会を生んだけでも非常に意義のある演劇公演だったと思います。「フリーセックスの街(のような場所・区域)が欲しい」と言っていた人がいて(笑)、これまた普段だったら「冗談でしょ!」って思って終わりなんだろうけど、「もしそんな街があったら、自分がその場所にいたら・・・」と考えることになりました。ビックリ。

 ここからネタバレします。セリフはうろおぼえです。

 透明ビニールの幕で客席と舞台が仕切られていました。それを破って開幕。壁が灰色から白色へのグラデーションになっていたり、男優が客席にスタンバイして、そこでセリフを言ったり。キャッチコピーの「虚実の境い目は、わたしのビニールより薄い。」の意味が観客からもよくわかる演出です。紙(ダンボール)でできた装飾もニセモノと本物の区別の曖昧さが感じられて良かった。

 姉は妊娠に気づきます。誰の子供なのかはわからない、でも、自分の中に自分がやったことの結果があることは、体で感じられる。
 「わかんないもん、愛とか。」「でも、ここにあるのは、わかる」。
 肉体レベルに話が落としこまれたことが良かったです。お手軽な痴話話になりませんでした。
 あと、トマトを包丁で切ったり、壁に投げつけるのもとても効果的でした。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:大久保亜美 岩井秀人 柴幸男(2007年青年団入団組)

 大久保「女の性をやろうと思って作りました。」

World's Dutch  青年団若手自主企画 vol.39
出演:辻美奈子、山本雅幸、海津忠、桜町元、中村真生、シトミマモル(フリー)
脚本・演出:大久保亜美 音響・制作:野村政之 照明プラン:松本大介(enjin-light) 照明オペレーション:河上賢一(LaSens) 制作協力:木元太郎 美術原案:大久保亜美 美術制作進行:山本ゆい 宣伝美術:サンアド 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【発売日】2008/05/01 予約2000円 当日2300円
http://www.seinendan.org/

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Posted by shinobu at 23:55 | TrackBack

【写真レポート】彩の国さいたま芸術劇場『彩の国ファミリーシアター「音楽劇 ガラスの仮面」』製作発表記者会見07/15グランドハイアット東京2F「バジル」

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音楽劇 ガラスの仮面

 美内すずえさんの漫画「ガラスの仮面」が音楽劇として舞台化されます。「ガラスの仮面」・・・大ファンなんです~♪何度繰り返して読んだことかっ!
 ※別冊花とゆめ9月号(7/26発売)で連載再始動!42巻の続きが読めるそうです♪

 演出の蜷川幸雄さんをはじめ、メイン・キャストが勢ぞろいした製作発表に伺いました。蜷川さんは彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督でいらっしゃいます。“公共の劇場”“創造する劇場”としての熱意がビンビン伝わってくる会見でした。

 脚本を青木豪さん(グリング)が書かれているのも要チェック!「原作ファンの方にも、初めての方にも楽しんでもらえるよう細心の注意を払った」そうです(動画インタビューより)。

 ★彩の国さいたま芸術劇場『音楽劇 ガラスの仮面
  08/08-24彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
 ※大阪、北九州公演あり!
 ※チケットは発売中です。S席6000円 A席4000円 
 ⇒電子チケットぴあ イープラス(インタビューあり) 
 ⇒CoRich舞台芸術!『音楽劇 ガラスの仮面

■「ガラスの仮面」について
 蜷川「『ガラスの仮面』は役者、演劇について描かれていて、バックステージものでもあり、貧しい少女が登場したり、ライバルの物語でもある。さらに神話的な要素もあります。魔術的に“演劇”が組み立てられていく作品。」

1glass_kanban.JPG

■彩の国さいたま芸術劇場のねらい
 蜷川「劇場は、ある日、ある時、そこに行かなければ味わえない芸術です。劇場の中で社会、文化を享受することを、これからも受け継いでいかなければならない。」

 蜷川「家族全員で観に来ていただける作品が欲しいと思っていました。それも若い人が中心になる作品で。彩の国さいたま芸術劇場はシェークスピア・シリーズ、オールメール・シリーズ、ゴールドシアターを上演してきました。今回のファミリーシアターで各世代を網羅できるのではないかと。公共の劇場の一つの役割を果たしたい。若い俳優を育てたいという気持ちもあります。」

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演出の蜷川幸雄さん
 蜷川「(キャスティングについては)シェークスピア・シリーズに出ていて、長年一緒にやっている横田栄司さん、オールメール・シリーズからは月川悠貴さん、そして神話的な部分を担っていただこうと夏木マリさんに(出演を)お願いしました。」

 蜷川「『劇場に行こう!』というシリーズにしていきたい。今作品では毎回バックステージツアーを開催します。劇場全体で、お客様に演劇に興味を持っていただけるように、新しい、楽しい演劇を作っていきたい。劇場の魅力を伝えて関心を持ってもらいたい。」

 蜷川「ロンドンの劇場で隣りに座った若者に、老婦人が『若い人はもっと安い席に座りなさい』と説教していた。それは『若者は数をたくさん観なさい』という意味なんですよね。私たちの劇場もそうなるといいなと思います。」

 大和田美帆さん(北島マヤ役)↓
3glass_owada.JPG

 奥村佳恵(おくむら・かえ)さん(姫川亜弓役)↓
4glass_kae.JPG

 川久保拓司さん(桜小路優役)↓
5glass_kawakubo.JPG

 横田栄司さん(速水真澄役)↓
6glass_yokota.JPG

 月川悠貴さん(青木麗役)↓
7glass_tukikawa.JPG

 夏木マリさん(月影千草役)↓
8glass_natsuki.JPG

■質疑応答

9glass_ohwada_okumura.jpg

大和田美帆&奥村佳恵

●稽古場の様子は?
 蜷川「稽古では連日罵声が飛んでいます。厳しい現場です。」
 横田「稽古初日はいつもなら読み合わせから始まるのですが、今回はいきなり立ち稽古でした(笑)。『うわーーーーーっ、お芝居って面白い!』と実感できる稽古が続いています。大和田さんと奥村さんはまるで、ボクシングのリングにあがってコーナーに追い詰められているような(笑)」
 蜷川「(役者は)ボロボロにならなきゃダメなんだよ。」
 川久保「蜷川さんは怖い演出家だと聞いていたけれど、実際お会いしたら“こわ・やさしい”方でした。」

●漫画を舞台化することについて
 蜷川「漫画のビジュアルに近づけたいと思ってます。これが大変なんだよね~っ!人気マンガだから、いろんな人がいろんなイメージを持っている。皆さんの期待のすべてに応えるのは難しいんですが、がんばってますよ。」
 蜷川「映像と同様、漫画は編集されているので簡単に話が飛ぶけれど、舞台はそうはいかない。七転八倒しています(笑)。でも稽古はいい調子になってきたよ。」

glass_poster2.JPG
ポスター

●オーディションで2300人を超える応募の中から選らばれた、2人のヒロインについて
 蜷川「大和田さんにはひたむきさがある。そして“普通の人”に見える。芝居がうまい、歌もうまい。そして出前のラーメンを運びそうに見えるんだよね。彼女には生活の匂いがする。」
 蜷川「奥村さんは、見た瞬間にいいなと思った。彼女が座って、立った時から、『この子に決めた』と思っていましたね。大人に見えたので本当に18歳なのか?と何度も聞いたり(笑)。今どきの女優にはぐじゅぐじゅしているのが多い。他者とのコミュニケーションを取らないのが、時代の匂いだと思い込んでいるような(それは間違っている)。でも彼女は違う。すっきりと自己主張をするし、背筋がしゃきっとしている。」

●彩の国ファミリーシアターについて
 蜷川「ファミリーシアターはこれが第1回目。成功したら来年もやろうと思っている。『毎年夏はさいたまに行こう!』と思ってもらいたい。私が老害にならないように、色々な新しいスタッフが関わる状況を作っていっています。」

●夏木マリさんに質問「ポスターの写真は月影先生そっくりですね!」
 夏木「(月影先生は)キャラクターがはっきりしていてファンも多いので、その期待を裏切らないように、ビジュアルから入っていくようにしています。」

glass_all1.JPG

 夏木「先ほど“家族全員で観ていただきたい”“ファミリーシアター”とおっしゃっていましたが、蜷川さんがそんなことをおっしゃるなんて、時代が変わりましたよね(笑)。」
 蜷川「ファミリー向けだけど、とんがったりして(笑)。」

登壇者(全体写真左から):島田洋一(日本テレビ放送網株式会社 取締役常務執行役員 コンテンツ事業局長)/竹内文則(埼玉県芸術文化振興財団 理事長)/蜷川幸雄/夏木マリ/大和田美帆/奥村佳恵/川久保拓司/横田栄司/月川悠貴
公演情報≪埼玉、大阪、北九州≫
出演:大和田美帆 奥村佳恵 川久保拓司 横田栄司 立石涼子 月影瞳 原康義 月川悠貴 黒木マリナ 岡田正 夏木マリ ほか
原作:美内すずえ 脚本:青木豪 演出:蜷川幸雄 音楽:寺嶋民哉 美術:中越司 照明:室伏生大 衣装:宮本宣子 音響:井上正弘 音楽監督:井上知嘉子 振付:広崎うらん ヘアメイク:佐藤裕子 歌唱指導:泉忠道 演出補:石丸さち子 井上尊晶 舞台監督:白石英輔 企画・製作:日本テレビ、(財)北九州市芸術文化振興財団、(財)埼玉県芸術文化振興財団
S席6000円 A席4000円 
http://www.saf.or.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 14:01 | TrackBack

2008年07月15日

【情報】「新国立劇場演劇研修所オープンカレッジ」07/18-19新国立劇場Cリハーサル室

 新国立劇場演劇研修所が、新国立劇場演劇研修所の受験を考えている方、およびそのご家族を対象としたオープンカレッジを実施します。

 開催日時:7月18日(金)19時開演/19日(土)14時開演
 定員:各回20名(先着順)
 応募締切:7月16日(水)※定員になり次第、締め切り。

 下記は公式サイトより。

■演劇研修所オープンカレッジを実施します

 新国立劇場演劇研修所(NNT ドラマ・スタジオ)では、このたび、将来プロフェッショナルな俳優としての舞台活動を目指し、新国立劇場演劇研修所(NNT ドラマ・スタジオ)に入所を希望している方を対象に3期生のリーディングの会をオープンカレッジ形式で実施いたします。
 入所を検討されている方には研修所のプログラムを知っていただく絶好の機会となると思いますので、この機会にぜひお申し込みください。

●日時:2008年7月18日(金)19時開演
            19日(土)14時開演
●会場:新国立劇場 Cリハーサル室

◇公演概要:
 鵜山芸術監督による現代戯曲のリーディングの会「夜と旅の果てに-聖女とバス-」
 作:ルーカス・ベアフス 訳:新野守広 演出:鵜山仁 研修所長:栗山民也
 出演:演劇研修所 3期生 ※オーディションを行い、配役を決定いたします。

◇対象:新国立劇場演劇研修所の受験を考えている方、そのご家族
◇定員:各回20名(先着順)
◇応募方法:E-mailまたはFAXにてお申し込みください。
 (1)希望の公演日 (2)氏名 (3)参加希望人数 (4)連絡先(E-mail/FAX)
 ※件名に必ず「新国立劇場演劇研修所オープンカレッジ申し込み」とご記入ください。
◇宛先:「新国立劇場演劇研修所オープンカレッジ」受付係
    E-mail:j-event(アットマーク)nntt.jac.go.jp
    FAX:03-5352-5784

◇応募締切:7月16日(水) ※定員になり次第、締め切らせていただきます。

【お問い合わせ】TEL:03-5352-5781(電話での申し込み不可)

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:56 | TrackBack

2008年07月13日

【オーディション】ポツドール『愛の渦2009(仮題)』出演者オーディション・応募書類は7/25(金)郵送必着

 ポツドールの2009年2月公演の出演者オーディション情報です。三浦大輔さんの『愛の渦』は岸田國士戯曲賞受賞作品。私は公演は観ていませんが、戯曲本は買いました。赤裸々な性描写にわぉっと驚きつつ、電車で読んでて(←勇気ある?)笑っちゃって大変でした。

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 下記は公式サイトからの情報です。⇒劇団ポツドールBlog

■ポツドール『愛の渦2009(仮題)』
 2009年2月26日~3月23日(予定)@新宿THEATER/TOPS
 脚本・演出:三浦大輔

上記の公演の出演者オーディションを行います。

出演を希望される方は、2008年7月25日(金)必着で必要書類をご郵送下さい。
書類審査を合格された方にのみ、一次審査のご連絡をさせていただきます。

●一次審査 8月2日(土)、3日(日)(面接形式。どちらか1日。)
●二次審査 8月9日(土)、10日(日)(ワークショップ形式。両日共参加。一次審査に合格された方のみ)

・必要書類
 写真2点(顔・全身、裏面に氏名記入)
 プロフィール(芸歴、電話番号・住所・メールアドレス明記)
 志望動機、ポツドール観劇の有無(作品名)を書いたもの
 ※写真・書類の返却はいたしません

・応募条件
 2009年1月中旬の稽古から3月23日の公演終了まで参加可能な方
・オーディション参加費用
 2,000円(一次審査時にお支払いいただきます。)
・宛先
 〒151-0071 東京都渋谷区本町3-48-21-507
 (有)マッシュ ポツドールオーディション係
・お問合せ
 080-5487-3866 potudo-ru(アットマーク)mail.goo.ne.jp

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 13:31 | TrackBack

Bunkamura『道元の冒険』07/07-28シアターコクーン

 井上ひさし+蜷川幸雄コラボレーション第三弾(⇒第一弾第二弾)。
 『道元の冒険』は1971年初演、1972年に岸田國士戯曲賞、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞した戯曲です。鎌倉時代初期の禅僧・道元(Wikipedia)の半生を笑いいっぱいにつづります。今公演のために井上さんが“大改修を加えた”(パンフレットより)そうです。

 3時間強の大作で、役者さんは歌って踊って着替えて走って・・・すごいバイタリティーです。井上ひさしさんの戯曲に正面からぶつかっていて、一観客としてはそのパワーについていくのがやっと(苦笑)。
 上演時間は約3時間15分(途中15分の休憩を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『道元の冒険

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 日本曹洞宗の開祖・道元と怪しげな新興宗教の教祖。
 七百年余りの時空を越えて、夢の世界でもつれあう二人の男の記憶と思想。
 〝冒険〟の果てに描き出される、信仰と社会の狂気とは―?
 ブラックユーモア溢れる言葉遊びや、多彩な劇中歌など、井上戯曲の陽性の魅力が怒涛のごとく感じられる濃厚な劇世界!10名余の俳優がスピーディーな役替えにより全役を演じ分ける独特のスタイルで、人間社会の表と裏が克明に照らし出されます!
 ≪ここまで≫

 衣装の早替えと役の演じ分けが見どころです。思いっきりそこにフォーカスされています。乗っかって楽しんだ者勝ち!

 ちょっとネタバレします。でも読んでから観に行っても大丈夫じゃないかと思います。

 蜷川さんのお芝居で久しぶりに、ポカンと口を開けて唖然呆然となったエンディングでした。数年前の私だったら憮然としていたかもしれません(←“然”で韻を踏んでみた・笑)。「わからない!」「どうしたらいいって言うの!?」と、怒りながら家路に着いたかも。

 でも今日は、驚いている自分、考えている自分、拍手喝采の中でその拍手に耳をすましている自分を、じーっと見ている自分がいました。演劇のおかげで少しは頭を使うようになったかなと思います。本編がベタな笑いに満ちていたからこそ(笑)、その落差の衝撃が大きくて、私にとっては良かったです。

 歌の部分がお芝居と切り離されて、別ものになっているように感じたのは残念。ワン・コーラスじゃなくしっかり3番まであったりするのは、ちょっと大変そうですが。

 ここからネタバレします。

 木場さんが全身黄色の法衣を着た中国の僧を演じられている時に、仏教の教えをしっかりとしたセリフで説いてくださいます。「自分が自分で自分を自分にする」だったかな。そういうセリフがいっぱいあって、じっと聞き耳をたてました。

 青年・道元(北村有起哉)は間違った発言をする度に、大勢の僧に頭をバカスカ打たれます。ドタバタのお笑いシーンになっていてとても楽しかったです。同じ回をご覧になっていた方が「あれはドリフだよね、木場さんが長さんで北村さんが志村けんで(笑)」とおっしゃっていて、超~納得。劇場が一丸となって・・・みんなで笑ってた(笑)。前後しますが、北村さんと高橋洋さんの「表意文字ソング」も面白かったな~。

 最後は現代(?)と13世紀の道元が、「お前が夢なんだから消えろ!」と言い争って、お互いに相手のほっぺをつまんで夢から覚めようとします。覚めて消えたほうがニセモノだから。でも誰も消えることはなく僧たちが大勢で争う中、天井から鉄格子と、テレビ番組(SMAP×SMAPや報道番組など)が映っている大きなモニターが10台ぐらい降りてきます。そしていつの間にか、僧たちは精神病院の患者のようになっていました。牢の中だから囚人みたいにも見えます。

 今までだったら「あぁ、こういうエンディングなのね~」と冷ややかになっていたかもしれませんが、今回の私は違いました。巨大な文字のテロップが出ていて、テレビが本当に気が狂っているように見えたから。悲しくもならなかった。ある限度を超えると人は客観的になれるものなんですね。
 牢は、舞台上の彼らではなく客席の私を囲っているのかもしれません。狂人を「狂ってるな~」と眺めている私自身が、自分が狂っていることに無自覚なのかもしれません。テレビを馬鹿にしたけど、そのテレビに持ちつ持たれつ生きているのは私の方かもしれません。

出演:阿部寛、栗山千明、北村有起哉、横山めぐみ 高橋洋、大石継太、片岡サチ、池谷のぶえ、神保共子、木場勝己 手塚秀彰 茂手木桜子 金子文
脚本:井上ひさし 演出:蜷川幸雄 音楽:伊藤ヨタロウ 美術:中越司 照明:山口暁 音響:井上正弘 衣装:小峰リリー 振付:前田清美 歌唱指導:門司肇 音楽コーディネート:澤井宏始 所作指導:花柳輔太朗 演出補:井上尊晶 演出助手:桐山知也 羽原結 舞台監督:濱野貴彦 劇場舞台技術:伊集院正則 野中昭二 営業:加藤雅広 票券:森田友規子 制作助手:佐々木康志 制作:佐貫こしの 唐澤まどか プロデューサー:加藤真規 主催・企画・製作:Bunkamura
【発売日】2008/04/12 S・9,500円 A・7,500円 コクーンシート・5,000円
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_08_dogen.html

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Posted by shinobu at 11:54 | TrackBack

2008年07月12日

タカイズミプロジェクト『Over The Rainbow・・・・・・?~アリス的不完全穴ぼこ墜落論~』07/09-13青山円形劇場

 高泉淳子さんが作・演出・出演されるタカイズミプロジェクト。今回から始動するようです。久しぶりに青山円形劇場に行った気がします。
 上演時間は約1時間55分。ガーリーで夢見心地な空間が、ちょっと懐かしい感じ。チラシのビジュアルにぴったり合ってました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『Over The Rainbow・・・・・・?

 ≪あらすじ≫
 年老いたアリス(高泉淳子)は思い出す。小学生のころ、お互いに一目ぼれした男の子のことを。
 ≪ここまで≫

 パリコレのキャットウォークのように花道が客席に伸びている、T字型のステージ。大きなリボンを頭につけて、ふんわりスカートをはいた女の子が夢の世界を旅します。モチーフは「不思議の国のアリス」や「オズの魔法使い」。ウサギ、らくだ、かたつむりなども登場してポエティックなムード。無地の壁に映写する動画が大活躍。

 乙女チックすぎてちょっとついていけない時もありましたが、空想世界で幸せを実感するものの、それは現実ではないこともわかっているんですよね。ほんわかしつつも、物悲しさがひたひたと迫ってくるのが良かったです。

遊機械オフィス×青山円形劇場プロデュース
出演:高泉淳子 山本光洋 遠藤守哉 大林洋平 羽田謙治 髙島玲 眞中幸子 
脚本・演出:高泉淳子 美術・衣装:宇野亜喜良 照明:吉澤耕一(林オフィス) 音響:青木タクヘイ(ステージオフィス) 舞台監督:野口毅 演出助手:瑚海みどり 宣伝美術:タカハシデザイン室 宣伝写真:二石友希 宣伝ヘアメイク:荻野明美 制作:西村知子(遊機械オフィス) 大島尚子:こどもの城劇場事業本部 主催:こどもの城/遊機械オフィス 
5,500円(全席指定・消費税込)
http://www.aoyama.org/japanese/schedule/s2008/enkei/7otr/otr.html
http://www.takaizumi.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:00 | TrackBack

松竹『羊と兵隊』07/05-27本多劇場

 中村獅童さんをはじめ豪華キャストが揃った、岩松了さんの新作です。岩松さんらしい難解さはありますが、私はめちゃくちゃ笑わせてもらいました。なぜか空席が目立ってもったいないです。プレイガイドで割引チケットもあるようですので、ぜひ。

 上演時間は約2時間45分(休憩15分を含む)。岡田利規さんのブログもご参考までに。レビューは途中です。

 ⇒制作発表 ⇒中村獅童インタビュー ⇒会見写真(舞台衣装あり) ⇒舞台写真
 ⇒CoRich舞台芸術!『羊と兵隊

 ≪あらすじ≫ 
 戦争中の街。靴工場を営む社長(岩松了)の家。長男レイ(中村獅童)が徴兵されないように、身代わりの男(中村獅童)を雇って代わりに出征させようとしている。長男は離れに隠れ暮らし、マイペースな家政婦(田畑智子)が食事の世話をしている。長女(辺見えみり)は議員の息子(近藤公園)と婚約間近だが、気がすすまないようだ。次女(田島ゆみか)は兄の不在に精神がやや不安定。母(佐藤直子)は雇った男との間に何やら関係があるらしい。内戦で両親を失った不幸な女(高橋理恵子)を次女の家庭教師として住み込ませているが、不審な行動が多い(なぜか特技が手品)。
 ≪ここまで≫

 有名歌舞伎俳優をはじめ人気役者さんが揃っている松竹主催の公演で、こんなに野心的な演劇作品が上演されていることが、まずかっこいいと思います。なんだか誇らしい気持ち。岩松さんの存在って日本演劇界において特別なんじゃないでしょうか。映画「たみおのしあわせ」ももうすぐ公開です。映画館に観に行きたいな~。

≪東京、京都≫
出演:中村獅童 田畑智子 辺見えみり 近藤公園 田島ゆみか 佐藤直子 高橋理恵子 永岡佑 岩松了 テレビの声:荒川良々
脚本・演出:岩松了 装置:磯沼陽子 照明:沢田祐二 衣装:前田文子 音響=藤田赤目 振付=井手茂太 ヘアメイク:大和田一美 舞台監督:赤羽宏郎 制作:真藤美一 企画・製作・主催:松竹株式会社 
【発売日】2008/05/18 6,800円
http://www.shochiku.co.jp/play/others/080705/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 13:55 | TrackBack

2008年07月11日

【写真レポート】テレビ東京・Studio Life『マージナル』製作発表07/07テレビ東京第1スタジオ

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2種類のチラシ

 男優集団Studio Life(スタジオ・ライフ)が、萩尾望都さんの漫画『マージナル』を舞台化します。原作者の萩尾さん、心理占星術研究家の鏡リュウジさんら豪華ゲストを迎えた製作発表に伺いました(Studio Lifeの製作発表⇒)。

 メインの出演者が登場した時は、そのスラリとした姿に圧倒されちゃいました。今や大ブームのイケメン演劇は、Studio Lifeが元祖かもしれませんよね。写真をアップしていますので、どうぞ覗いてください♪

 2種類のチラシが素敵!手に取って見るのがちょっと恥ずかしい(笑)メイン出演者のサービスショット版と、『マージナル』原画版。ぜひ両方ゲットしてくださいませ~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『マージナル

 文芸耽美作品や少女マンガの名作など、原作を生かした舞台を作り出してきたStudio Life。これまでに舞台化した萩尾作品は、『トーマの心臓』『訪問者』『メッシュ』の3作です。再演を含めると全9公演を行ってきたことになります。
 『マージナル』は小学館の少女漫画誌「プチ・フラワー」で1985年から2年間連載されていた、萩尾さんの初めてのSF大作です。私の『マージナル』との初めての出会いは、大学時代に友達から借りた萩尾望都全集でした。今は2000年に文庫化された単行本3冊を持っています。

■上演記念トークイベント「女性と運命…翻弄するモノされるモノ~マージナルなこの地球に生きる~」
 ↓トークイベント登壇者:萩尾望都(原作)/鏡リュウジ(心理占星術研究家・翻訳家)/倉田淳(脚本・演出)
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 倉田「萩尾先生が『マージナル』を描かれた動機(きっかけ、発端)を教えて下さい。」
 萩尾「テレビか何かで見たんですが、35億年前の“藻”が初めて酸素を作り出したそうなんです。それで今の地球がある。海と雲と空と、太陽でひとくくりの生命の輪のイメージから『マージナル』が生まれました。」
 鏡「原作を読ませていただいて、掛け値なしに圧倒されました。ハードなSFですね。SFは今の世界観、自然観、宇宙観を、別のポイントから見せてくれるチャンネルになると思います。」

 ↓司会は曽世海司さん。メインの出演者でもあります(uterusチームのグリンジャ役)。
2Merginal_soze.JPG

 倉田「『マージナル』をはじめ、萩尾先生の傑作漫画はどのようにして生まれるのでしょう?」
 萩尾「(アイデア・構想は)堤防が決壊するみたいにやってきてくれる。決壊場所を探すのが難しいんです。でもそれが見つかると、考えなくてもどんどんとお話ができていく。」
 鏡「(萩尾)先生には才能の泉があるのだろうと思います。」
 倉田「どういう時に、その(決壊)場所が見つかるんですか?」
 萩尾「・・・お風呂に入ってる時とか(笑)。考えてる時は筋肉を使っているみたいで。力を抜いた時にトンと(アイデアが浮かんで)来てくれる。」

■Studio Life『マージナル』製作発表
 ↓メイン出演者(左から):三上俊、青木隆敏、松本慎也、岩﨑大、笠原浩夫、荒木健太朗、仲原裕之、渡部紘士(客演)
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 舞台『マージナル』は劇団初の2部構成で、「砂漠編」「都市(シティ)編」の2バージョン公演になります。片方だけ観ても楽しめるし、2つとも観る場合はどちらから観ても大丈夫だそうです。
 テーマは「翻弄するモノとされるモノ」。前者が「都市(シティ)編」、後者が「砂漠編」で描かれます。メインの3役が“womb(ウーム)”と“uterus(ジュテレス)”の2チームでダブルキャストになっていますので、全種類観るなら4回通うことになりますね。

 ↓アシジン役(uterus)の岩﨑大さんと、グリンジャ役(womb)の笠原浩夫さん
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 ↓キラ役(uterus)の松本慎也さん
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 ↓キラ役(womb)の荒木健太朗さんと、アシジン役(womb)の仲原裕之さん
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 ↓ミカル役の三上俊さんと、メイヤード役の青木隆敏さん
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 ↓フェロペ役の渡部紘士さん(客演)。Studio Lifeっぽくない方がいらっしゃるな~と思たら、客演さんでした。ワイルドな色気ムンムンなんですもの!「テニミュ」出演者だったんですね。司会の曽世さんがおっしゃる通り、新しい風を起こしてくれそうです。
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 プレス向けに質疑応答の時間が設けられました。★少々ネタバレあり
●質問「舞台化されるにあたって、漫画の中のどのシーンが気になりますか?」
 萩尾「Studio LifeのSF作品は『月の子』と『OZ』を拝見しました。きれいにイメージが再現されてたと思います。『マージナル』にはキラとセンザイ・マスターが、地下水脈をもつれながら泳いでいくシーンがあるんですが、いったいどう表現されるのかしら。センザイ・マスターはどんどん痩せていくし(笑)。」
 倉田「今、悩んでいるところです。象徴的に表現できたらと思っております。」

 鏡「最初のマザ暗殺シーンがとてもショッキングでした。自分が男性だからかもしれませんが、“母”をあんなにシワシワで、ぼろぼろに描くなんて・・・これは女性にしか書けないじゃないかと。少女漫画の世界は生やさしいものではない、とてもハードなものだと思い知りました。」
 倉田「老いさらばえた、しわくちゃのマザは必須だと思っています。誰が演じるかはまだ決まっていませんが(笑)」
 曽世「劇団一同、非常に気になっているところでございます(笑)。」

●質問「Studio Lifeの魅力について教えてください。」
 萩尾「Studio Lifeの劇団員はピュアで不思議な雰囲気を持っている。倉田さんの演出とうまくかみ合っていて、倉田さんの求める世界がバランスよく表れているように感じる。演出もきれいで深くて、雰囲気が好き。」
 萩尾「お芝居は好きで他にもよく観ますが、Studio Lifeのような作風はそんなにない。独特の面白さがあると思います。それがハマっている理由(笑)。」

●質問「配役について気になることは?」
 萩尾「Studio Lifeには背の高い役者さんが多くて(今回の出演者陣をチラっと見る)、圧倒されちゃいます。誰がどの役をやるのか・・・ちょっとこのへん(頬からあごのラインを手で触って)が、うふふって感じです(笑)。」

 ↓写真:前列左から曽世海司、河内喜一朗(劇団代表)、萩尾望都(原作)、倉田淳(脚本・演出)、笠原浩夫。後列左から三上俊、青木隆敏、松本慎也、岩﨑大、荒木健太朗、仲原裕之、渡部紘士。
10Merginal_all.JPG

 Studio Life『マージナル』は8月28日(木)~9月28日(日)まで、紀伊國屋ホール(東京都・新宿)で上演されます。チケットは発売中です。

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Studio Life『マージナル』上演記念トークイベント「女性と運命…翻弄するモノされるモノ~マージナルなこの地球に生きる~」
登壇者:萩尾望都(原作)/鏡リュウジ(心理占星術研究家・翻訳家)/倉田淳(脚本・演出) 司会:曽世海司
Studio Life『マージナル』製作発表
登壇者:テレビ東京プロデューサー 劇団代表:河内喜一朗 倉田淳(脚本・演出) 萩尾望都(原作) 司会:曽世海司 登壇俳優⇒グリンジャ:笠原浩夫/曽世海司 アシジン:仲原裕之/岩﨑大 キラ: 荒木太朗/松本慎也 メイヤード: 青木隆敏 ミカル:三上俊 フェロペ: 渡部紘士(客演) センザイ・マスター:河内喜一朗
http://www.studio-life.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:15 | TrackBack

【情報】劇場中継「チェルフィッチュ『フリータイム』」07/11NHK教育「芸術劇場」

 メルマガ7月号でも紹介しましたが、チェルフィッチュ『フリータイム』がテレビで放送されます。岡田利規さんへのインタビュー、岡田さんと大江健三郎さんとの対談あり。今晩22:30からです。

 NHK教育「芸術劇場」⇒詳細
 7月11日(土) 22:30~01:45
 【情報コーナー】「岡田利規に聞く」22:30~22:49 
 【劇場中継】チェルフィッチュ『フリータイム』 22:49~00:02
 【対談】大江健三郎×岡田利規「チェルフィッチュの世界」00:02~00:45 

Posted by shinobu at 11:10 | TrackBack

2008年07月10日

劇団☆新感線『SHINKANSEN☆RX「五右衛門ロック」』07/06-28新宿コマ劇場

 劇団☆新感線が豪華キャストを引きつれて新宿コマ劇場を占拠。あーもーーーー!超楽しかった!!
 カーテンコールの最後は総立ち。私も立ちました。パンフレット(2500円)も買ってしまった。上演時間は約3時間30分(途中20分の休憩を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『五右衛門ロック

 劇場エントランスにはのぼりも。入場までにかなり並びました。ん~盛り上がる♪
20080710_goemon_koma.jpg

 ≪あらすじ≫ こちらが詳しいです。
 釜茹での刑を逃れた石川五右衛門(古田新太)が美女・お竜(松雪泰子)にそそのかされて、秘宝「月生石(げっしょうせき)」の産地・タタラ島へと向かう。
 ≪ここまで≫ 

 歌って踊って戦って。ギャグもたっぷり。じ~んと来るドラマもしっかり用意されていて大満足。デジタルではなくアナログな大道具(美術)もコマ劇場の雰囲気にぴったりだと思いました。

 森山未來さんに見とれました。伸びやかなダンスような殺陣、感情が前のめり気味な演技もキュート。
 川平慈英さんと右近健一さんのスペイン人コンビは息が合いまくり。出てくる度に嬉しくなりました。
 冠徹弥さんは『メタルマクベス』に続いて迫力の歌声。戦闘シーン大盛り上がり。

20080710_goemon_street.jpg
コマ劇場までに見える大看板

≪東京、大阪≫ SHINKANSEN☆RX
出演:古田新太 松雪泰子 森山未來 江口洋介 川平慈英 濱田マリ 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 右近健一 逆木圭一郎 河野まさと 村木よし子 山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ 冠徹弥 村木仁 川原正嗣 前田悟 飯野めぐみ 嶌村緒里江 NAMI 角裕子 福田えり 葛貫なおこ 早川久美子 鈴木奈苗 蝦名孝一 安田栄徳 青山航士 古川龍太 武田浩二 藤家剛 矢部敬三 工藤孝裕 根岸達也 加藤学 北大路欣也
【BAND】岡崎司(guitars) 高井寿(guitars) 福井ビン(bass) 岡部亘(drums) 松田信男(keyboards) 松崎雄一(keyboards)
作:中島かずき 演出:いのうえひでのり 作詞:森雪之丞 美術:堀尾幸男 照明:原田保 衣裳:小峰リリー 音楽:岡崎司 振付:川崎悦子 音響:井上哲司 音効:末谷あずさ/大木裕介 殺陣指導:田尻茂一/川原正嗣/前田悟 アクション監督:川原正嗣 ヘア&メイク:宮内宏明 小道具:高橋岳蔵 特殊効果:南義明 大道具:俳優座劇場舞台美術部 音楽部:右近健一 歌唱指導:伊藤和美 演出助手:富田聡/山崎あきら 舞台監督: 芳谷研  宣伝美術:河野真一 宣伝画:ツバキアンナ 宣伝写真:野波浩 宣伝メイク:内田百合香 宣伝:ディップス・プラネット 票券&広報:脇本好美 制作協力:サンライズプロモーション東京(東京公演) 制作助手:辻未央/山岡まゆみ 制作補:小池映子 制作:柴原智子 エグゼクティブプロデューサー:細川展裕 企画・製作:劇団☆新感線/ヴィレッヂ
【発売日】2008/04/19 S席 12,500円 A席 10,000円 B席 7,500円 7/6(日) プレビュー:S席 10,000円 A席 7,500 B席 5,000円
http://www.goemon-rock.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:11 | TrackBack

2008年07月09日

【雑誌】岡田利規「楽観的な方のケース」「フリータイム」(新潮 2008年06月号)

 新宿の紀伊國屋ホールに行く時は、開演前に6階の演劇書コーナーに立ち寄ります。その時期に話題になっている公演や企画に合わせて、売り場の本がちゃんと並べ替えられているのが凄い。

 先日この公演で行った時は、平積みになっていた新潮2008年6月号を買いました。時期的には既に8月号が出ているのですが、岡田利規さんが大江健三郎賞を受賞されたからですよね。装丁がかっこいいですよね~。どうしても他のと比べちゃう。 

 『混じりあうこと、消えること』のパンフレットで演劇評論家の大笹吉雄さんが、作者の前田司郎さんをはじめ、三島由紀夫、岸田國士らの戯曲の文体について書かれていましたが、岡田さんの『フリータイム』の文体は・・・強烈です。小説「楽観的な方のケース」は視点の変化をうっかり見落とさないように読みました。楽しかった。最後に「え?」と、やっぱりだまされそうになったけど(笑)。

 松井周さんの『「油断している人間」になる方法』も載っていました。得した気分♪

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:52 | TrackBack

ドリルチョコレート『クイック・クエンチ』07/07-09 OFF OFFシアター

 MCR作・演出・主宰の櫻井智也さんがプロデュースするユニット「ドリルチョコレート」の公演です。何年も前に観に行こうとしたんですが、満員で入れなかったんですよね。今回も3日間だけの短期間ですが、千秋楽に滑り込めました。

 いっぱい笑ってムフフとうっとりして、何も考えずに楽しめた約1時間15分でした。「MCR(ドリルチョコレート)はデートにお薦めです!」とか言いたくなっちゃいます。

 ⇒CoRich舞台芸術!『クイック・クエンチ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。改行を一部変更。 
 マコト君はあずきちゃんが大好き。
 あずきちゃんもまた、マコト君が大好きで仕方ない。
 未消化のまま体内に蓄積されている恋愛遍歴なんぞを抱えつつ、二人はガッツンガッツンぶつかりながら歩いていくのであります。
 お洒落な恋を欲しながら、恋が二人をお洒落にしていくメタボリック恋愛情緒。
 そんな、見た目とは裏腹の、可愛い恋の話。
 と、
 そんな二人を取り巻きつつ二人の恋の終わりがこの世の終わりとリンクすると信じて疑ったり疑わなかったりする人達の、交通事故にあったと思うしかないような出会いとか別れなんかを品がなくなるほど品良く喋り倒す恋愛情緒。
 そんな、二人の間だけで匂い立つような、可愛い恋の話。
 ≪ここまで≫ 

 装置はほぼなし。丸い筒状のイスが3脚のみ。場面転換時は薄暗い暗転になって音楽が鳴ります。パンク・バンドを組んでいる男3人組、それぞれの恋愛模様。思いっきり恋の話ド真ん中ですが、手練手管の笑いのテクニックで、照れくささも吹っ飛びます。むしろコイバナにノリノリ(笑)。

 深夜のテレビドラマとかにもばっちりじゃないのかな~。いや、ゴールデン・タイムでもいいですが、私がテレビを観るとすると深夜しかないので。

 ここからネタバレします。

 メガネをかけたパンク青年(川島潤哉)の彼女(近藤美月)が、“声を出さずに場を支配する”シーンで爆笑。
 耳が聞こえなくなったあずきちゃん(小椋あずき)と、マコト君(有川マコト)が無言で見つめあうシーンが可愛い。

出演:有川マコト(絶対王様)/小椋あずき/近藤美月/川島潤哉(コマツ企画)/吉田久代(ククルカン)/櫻井智也(MCR)
脚本・演出:櫻井智也 舞台監督:金安凌平 照明:今西理恵 音響:平井隆史(末広寿司) 宣伝美術:メリケンサック 制作:八田雄一朗(MCR) 企画・製作:MCR
前売り、当日ともに2000円
http://www.mc-r.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:38 | TrackBack

【稽古場レポート】新国立劇場演劇『まほろば』07/04新国立劇場Cリハーサル室

20080704_mahoroba_script.jpg
『まほろば』台本とチラシ

 30代の若手気鋭作家の書き下ろし戯曲を有名演出家が演出する、新国立劇場の“シリーズ・同時代”。
 3作品連続公演の第三弾(⇒第一弾第二弾)『まほろば』の稽古場にお邪魔しました。『まほろば』はモダンスイマーズの蓬莱竜太さんの脚本で、演出は栗山民也さんです。

 出演者6人が全員女性で、年齢幅はなんと12歳から80歳!6人が並んでいるだけで壮観ですよ~。

 ⇒CoRich舞台芸術!『まほろば

 新国立劇場の稽古場レポートは『CLEANSKINS/きれいな肌』に続いて2度目です。リハーサル室Cには原寸大の装置が建て込まれていて、スタッフさん(舞台監督、音響、照明、演出部等)も大勢。

1mahoroba_katamomi.JPG
黒沢さんと栗山さん
 ←こちらは栗山さんの肩をもむ黒沢ともよさん。稽古開始前の麗しいひとコマです。お2人が話しているのはやっぱりお芝居のこと。

 黒沢「マオ(黒沢さんが演じる11歳の少女)ってどんな子かな~。」
 栗山「素直な子だよ。(セリフを)いやみで言うことがないよね。」
 黒沢さんは現在12歳。ミュージカルやストレート・プレイの大舞台で活躍されている子役ですが、“子役”と呼ぶのを躊躇するほど自立した女優さんです。

 お稽古は16:00ぴったりから開始。女性の高い声がぽつり、ぽつりと優しくこぼれて、とても静かで穏やかなムードです。でもピリっとした緊張感は『CLEANSKINS』と同じ。返し稽古(部分を抜き出して繰り返し稽古すること)を数回はさみ、稽古終了の21:00までに第1幕から第4幕までの全てを拝見することができました。

 稽古場写真↓左から:秋山菜津子/中村たつ/三田和代
mahoroba3.JPG

 『まほろば』は長崎県のとある旧家の居間に集まった女たちのお話。夏祭りの一夜を描きます。
 栗山「こんな“現代劇”、(演出するのは)初めてだよ。本当にそのままの“現代”でしょ。『CLEANSKINS』も現代劇だったけど、あれは舞台がアイルランドだったからね。」
 今を生きる日本の女たちが本音でぶつかり、悩み、人生の大きな選択をします。登場人物の視点が4世代に渡るので、数十年の間に日本の家族がどのように変化してきたのかが、自然とわかってくるんですよね。

 蓬莱さんの作品は座談会(パンフレットに掲載)でもお話しましたが、秘密が明かされていくのがとっても面白いんです。『まほろば』では現代口語の短いセリフから、驚くべきタイミングで、ほろっと大切な意味がこぼれ出てきます。そして笑いがいっぱい!リラックスして、新鮮な気持ちになって、前向きに“家族”を見つめることができました。

 蓬莱脚本に栗山演出という組み合わせは、企画を聞いた時からぴったりだなと思っていましたが、全部を通して拝見したところ、まさに「“当たり”が出た!」という感覚でしたね。
 栗山「(蓬莱さんは)若いのにうまいよね。若いのにっていうのは失礼かもしれないけど。」
 栗山「この作家はしつこい。しつこいっていうのは執拗という意味でね。誰かに何かを問うシーンで、問いかけるセリフが4つか5つ続くんだ。だから『・・・』(問われた方がだまっている無言)の間に温度を上げていかないと。」

 写真↓はフィードバック中の舞台面。出演者に加えて演出家、演出助手、方言指導者、プロンプターが集まります。
mahoroba_keikoba.JPG

 栗山さんの稽古場では、怒号が飛ぶようなことはありません。議論もほとんど起こりません。栗山さんも出演者の皆さんも、言葉数がとても少ないんです。短い言葉に意思とその背景などがすべて盛り込まれ、身体とその周囲の空気も含めてコミュニケーションを取られているように思います。だから密度が高くて、温かい。

 栗山「どこかでお母さんを意識しながら(演技をしてください)。それぞれの動きを覚えるのではなく、関係を、状況を、距離感を、常に意識して。」
 栗山「(その演技は)無意識に娘に責任を負わせる感じで。人間は一緒に住んでいる者に対してとても残酷なもの。(距離や関係が)ちょっと離れると、とたんに丁寧になるんだよね。」
 栗山「声は出ているけど、それぞれ(の声)の行き先が、開いて刺さっていない。大きな声にするだけじゃなくて。魂に刺さないと。言われた方はその言葉を受け止めて、もっと怒りが大きくなっていく。」
 栗山「そこはマクベスの独白みたいにやってみようか。ちょっとおおげさなんだけど(笑)。実はこのドラマで、独白はここしかないんだよね。」

 フィードバックの時間は、全員が演出家の一言ひとことに、全身を耳にしたように集中しています。言葉の雫が一滴ずつ澄んだ水面に落ちて、きれいな波紋となって稽古場全体に広がっていくよう。出演者やスタッフからの質問や提案は、ひとつずつ慎重に、空間に浸透させるように決断されていきます。
 例えば、今作品の登場人物は基本的に長崎弁を話します。でも、会話によっては標準語が混ざることもあり、出演者と演出家、方言指導者が相談して、セリフの語尾の一文字までこだわって、脚本に変更が加えられます。
 栗山「ここで方言を使うことで、方言の香りを一瞬ふわっと膨らませたい。」

 稽古場写真↓左から:中村たつ前田亜季黒沢ともよ魏涼子三田和代秋山菜津子
mahoroba6all.JPG

 演出の指示を聞いていて感じたのは、言葉も言葉にならない声も含めて、音を大切にしていること。どんな些細な音(声)にも敏感で、指摘がとても細かいんです。栗山さんには、お芝居全体が音楽のように聴こえているのだろうと思います。
 栗山「ビニール袋を床に置くとき、(カシャっと)音を出しちゃってください。」
 栗山「ハーイと言いながら、ちょっと髪を整えて身支度をしてみて。」
 栗山「セリフの前に“ところで”という架空のセリフがある感じで。そこだけパっと時間が変わる。」

 どんな芸術でもそうなのかもしれませんが、創作過程はとても地味です。舞台本番ではあんなに華やかな、夢のような世界を見せてくださいますが、それを生み出す現場は静かで、飾り気ゼロで、常に真剣勝負。人生を、人間を学ぶ“道場”みたい。

 そんな中から生まれる『まほろば』は、笑いが絶えない身近な日常のすったもんだを描きながら、女たちの切実な思いが徐々に積み重なっていく、生命のドラマです。これから約1週間のお稽古でさらに厚み、深みが増していくことでしょう。7/14(月)の初日の夜に、稽古場ではまだ出会えなかったクライマックスを目撃したいと思います。

mahoroba_tatsu.JPG
中村たつさん
 ←出演者で最年長の中村たつさん。じっと座っている背中がなぜかおどけているように見えて、縁側を歩いて通り過ぎるだけで顔がほころんじゃう、圧巻のコメディエンヌです。

 ★本番の会場ロビーで販売されるパンフレットに、私が参加させていただいた座談会の記事(第3回)が掲載されます。シリーズ3作のミニ戯曲本(各400円で大好評!)もありますので、ぜひお手にとってご覧ください。

新国立劇場演劇『まほろば』07/14-21新国立劇場 小劇場
小劇場3作品連続公演 シリーズ・同時代Vol.3
出演:秋山菜津子 中村たつ 魏涼子 前田亜季 黒沢ともよ 三田和代
脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也 美術:松井るみ 照明:服部基 音響:秦大介 衣裳:宇野善子 ヘアメイク:佐藤裕子 方言指導:種口りつ子 演出助手:保科耕一 舞台監督:米倉幸雄 照明オペレーション:田中弘子 音響オペレーション:福沢裕之 演出部:川原清徳 藤本典江 プロンプ:大杉良 美術助手:望月麻衣 制作助手:上栗陽子 制作担当:茂木令子
【発売日】2008/04/26 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 『シリーズ・同時代3作品 特別割引通し券』14,250円(ボックスオフィスのみ)
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000041_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 16:30 | TrackBack

2008年07月08日

smartball『“Kiss me, deadly”』07/04-14王子小劇場

 smartballは名執健太郎さんが作・演出される劇団です。まだ第3回公演ですが、王子小劇場が主催する佐藤佐吉演劇祭2008に参加しています。

 ⇒演劇祭公式ブログ(飛鳥高校演劇部感想リレーあり!)
 ⇒シアターガイド賞選考ブログ
 ⇒CoRich舞台芸術!『“Kiss me, deadly”

 ※腱鞘炎で執筆をお休み中だったため後日加筆(2008/07/22)。

 ≪あらすじ≫
 父が死んで、古い一軒家には三姉妹だけが残された。長女(遠藤留奈)はヤバイ商売に両足を突っ込んでいる。しっかり者の次女(石井舞)はかたぎだが、世間知らずなところがある。三女は無邪気に自宅で体を売っている。長女の仕事が思わぬ方向へと進み・・・。
 ≪ここまで≫

 具象美術と声が聞こえないぐらいの現代口語劇でありながら、過激な設定にリアリティを感じられないこともありましたが、以前に拝見した王子小劇場での公演よりも、面白いと感じるシーンがいっぱいありました。
 smartballはこの公演で活動を中止するそうです。名執さんはこれからも活動されるようですので、また作品が観られたらと思います。でも、せめて演劇祭が終わってから発表したらいいのに・・・。

 ここからネタバレします。

 ほぼ冒頭のセックスシーンで、三女(深谷由梨香)は脱がなくても良かったんじゃないかな~。過激な性描写がなくても、充分にオリジナリティが感じられるシーンがあったと思います。

 次女が、スカートの中に手を入れてくる彼氏(尾倉ケント)を静止するシーンが可笑しかった。結局それで彼は彼女を捨てるんですよね。思いっきり体目当てだったってことで、ヒドイ男(笑)。なのに次女はそれに気づかずに待ち続けるっていう、まあカッコ悪い女ですよね。
 長女は仕事でヘマをやり、もともと三女は頭が弱くて・・・つまりオバカ三姉妹の凋落と暴走が描かれました。3人ともとても可愛らしい女優さんだから、そのギャップがまた絵になります。

 出口も逃げ道も、未来もなくなって、三姉妹で銃を手に海へと突っ走るラストシーンは、『俺たちに明日はない』や『テルマ・アンド・ルイーズ』を髣髴させて痛快でした。明るく激しい音楽と躍動感も、絶望と対比されて良かった。最後のシーンの衣装がチラシにリンクしていたのも素敵。

佐藤佐吉演劇祭2008参加
出演:遠藤留奈 石井舞 深谷由梨香(柿喰う客) 石澤彩美 白神美央 大塚麻央 宮嶋美子(風琴工房) 富田恭史(jorro) 河西裕介(国分寺大人倶楽部) 尾倉ケント(アイサツ) 後藤剛範(害獣芝居) ※出演を予定しておりました菊地未来は、都合により出演致しません。
脚本・演出:名執健太郎 照明:伊藤孝(株式会社ART CORE) 音響:中村嘉宏 美術:田中敏恵 小道具・衣装:大橋路代(パワープラトン) 舞台監督:甲賀亮 宣伝美術:冨田中理(SelfimageProducts) 写真撮影:曳野若菜 モデル:遠藤留奈、石井舞、深谷由梨香(柿喰う客) 記録映像:マキタカズオミ(elePHANTMoon) 演出助手・言語指導:梅舟惟永(ろりえ) 制作:山田恵理子 主催・企画・製作:Y.e.P
【発売日】2008/06/01 前売2,800円 当日3,000円 【日時指定・整理番号付・全席自由席】 高校生以下2500円(劇団のみ、前売・当日とも。当日要学生証)
http://smartball.yep-web.com/

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Posted by shinobu at 23:54 | TrackBack

2008年07月06日

新国立劇場演劇『混じりあうこと、消えること』06/27-07/06新国立劇場 小劇場

 30代の若手気鋭作家の書き下ろし戯曲を有名演出家が演出する、新国立劇場の“シリーズ・同時代”。3作品連続公演の第二弾(⇒第一弾)は五反田団の前田司郎さんの脚本を、白井晃さんが演出されます。

 3連作についての座談会に参加させていただきました。パンフレットに掲載されていますのでよかったらお買い求めください♪
 小さくて可愛らしい戯曲本(3作品同時発売)がなんと400円で発売中!今企画のみの限定販売で、新国立劇場では初めてのことだそうです。売れ行きも良いそうです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『混じりあうこと、消えること

 ≪あらすじ≫
 時間はおそらく夜。喪服姿の男が公園にやってきた。遊具から何やら物音がする。突然見知らぬ声が響いた。「お父さん」と。
 ≪ここまで≫

 ジャングルジム、砂場、街灯にベンチ。劇場の壁が露出していて、客席の日常と地続きな印象です。白いビニール(?)が天井一面を覆っており、照明はそのビニール越しにぼんやりと差し込みます。

 今、自分が生きてるのか死んでるのかわからなくなるようなお芝居でした。生きて混じわっても孤独だし、死んで消えた気になってもよみがえるかもしれない。だったら、今、この瞬間の幸せを数えたい。そうやって少し寛大になれる気がします。

 前田さんの脚本らしい可笑しな会話が、がっつり成り立ってなかったのは残念。白井さんの意図が私の好みと違ったのかもしれませんが。もっととんでもなくばかばかしいギャグになってもいいんじゃないかな~。

 ここからネタバレします。

 4人の男女は「団欒ってなに?家族って?」と問いかけ、試行錯誤を続けます。
 水底町(みずそこまち)って、単純に考えたら死後の世界、黄泉の国ってところかしら。

新国立劇場小劇場3作品連続公演 シリーズ・同時代Vol.2
出演:國村隼、橋爪遼、初音映莉子、南果歩
脚本:前田司郎  演出:白井晃 美術:松井るみ 照明:齋藤茂男 音響:井上正弘 衣裳:宮本まさ江 演出助手:渡邊千穂 舞台監督:田中直明
【休演日】6/30【発売日】2008/04/26 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円 『シリーズ・同時代3作品 特別割引通し券』14,250円(ボックスオフィスのみ)
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000040_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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劇団俳優座『金魚鉢の中の少女』07/05-13俳優座劇場

 田中壮太郎さんがモーリス・パニッチのカナダ戯曲を翻訳・演出されます。
 これで田中さんの演出作品を見るのは3度目(過去レビュー⇒)。これまではアトリエ公演でしたが、とうとう俳優座の本公演になったんですね。上演時間は約2時間20分(途中休憩15分を含む)。

 CoRich舞台技術!⇒『金魚鉢の中の少女

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。
 カナダの海辺の田舎町。
 かつては下宿を営んでいた家に住むもうすぐ11歳になるませた少女アイリス。
 彼女にはひとつ何とかしなければならないことがあった。母シルビアが父オーエンを見限り、家を出ると決意をしたのだ。そんな事態を抱えたある日、アイリスの可愛がっていた金魚のアマールが死んでしまう。
 翌朝、アイリスは浜辺からずぶ濡れの男を連れて帰ってきて・・・・。
 ≪ここまで≫

 作品とはあまり関係ないことを書きます。
 「日曜日のマチネに俳優座の本公演を観に行った私が悪かった」と、今までならあきらめていたのですが、今日は意見したい気持ちになってしまいました。演出の田中さんがパンフレットに書かれていた文章↓に共感したのもあると思います。

 「環境が変わってゆきますからそれに適用できないものは普通死んでゆくのが理だと思います。不変を貫き死ぬことを選ぶ美学も僕は嫌いではありません。しかし、生き抜くためには変化または適用が必要だと僕は思っています(パンフレットより一部抜粋)。」
 文脈から、田中さんが変化または適応を促しているのは劇団に対してだと読み取れます。もちろん観客への語りかけでもあるでしょう。

 俳優座は設立から60年以上経っている歴史ある劇団です。日曜日のマチネは、長年劇団を応援されているのであろう、年配のお客様が多いように見受けられました。客席でのおしゃべりが多く、私は一度、後ろの席の女性2人に「しーっ」と言って静かにしていただきました。でも、まさか、上演中に客席から歌舞伎の大向こうのような声がかかるとは…。1回目は何らかの演出かと思ったのですが、2回目ではっきりと分かりました。大切なシーンがだいなしでした。

 今回の作品にはコミカルな演出も大いにありますが、何も考えずに笑って泣けるタイプのエンタメ演劇ではありません。むしろシリアスな戯曲です。あの掛け声は、作品世界をぶち壊す暴力行為と受け取れると思います。『かもめ』で、トレープレフの前衛演劇をアルカージナがひどく嘲笑するシーンが思い浮かびました。カーテンコールでももちろん役者さんに声がかかっていて、役者さんは舞台上で苦笑するしかない状況でしたが、笑って済まされて欲しくない。

 受付では未だに公演関係者の名前を言わなきゃいけないし(公演関係者からチケットを予約したので)、いかにもな流れ作業で当日精算をさせられました。無名の小劇場劇団の制作さんの方が、もっと親切で丁寧です。観客とコミュニケーションを取ってくれます。

 昔ながらのお客様のために、昔ながらのやり方を続けていては、新しい観客は増えないでしょう。常に新しい観客との出会いを求め続けることが大切だと思います(この方がおっしゃってました)。もちろん観客も、新しい気持ちで作品(劇団)と出会い、お互いに豊かな関係を築けるよう努力が必要だと思います。
 えらそうに長い文章を書きました。次に俳優座の公演を観に行く時は、平日ソワレにしようと思います。

 ここからネタバレします。

 1962年、キューバ危機直前の冷戦下のアメリカの片田舎。11才の少女アイリス(小飯塚貴世江)が語り部となって展開します。観客に話しかけたり、「明日で私の幼少期が終わるの」などと予言めいたことを言ったり、非常に饒舌。
 アイリスの母は夫に愛想をつかして家出寸前。でもずぶ濡れの正体不明の男ローレンス(松島正芳)を家に招きいれたことによって、家族は一時的に崩壊を免れます。

 2年もセックスレスで破局寸前の夫婦が、絶望的なケンカや予期せぬトラブルを経て瞬間的に心を開き、キスをします。そのキスシーンで「たっぷり!」という掛け声がかかったんです。げんなりしました。

"Girl in the Goldfish Bowl" Author/ Morris Panych
出演:青山眉子、河内浩、清水直子、松島正芳、小飯塚貴世江
脚本:モーリス・パニッチ 演出:田中壮太郎 美術:田中敏恵 衣装:秋山芳江 照明:判静香 音響:小山田昭 宣伝美術・パンフレットデザイン:川本裕之 粘土職人:キヨエコイ→ツカ 宣伝写真:和知明 舞台監督:宮下卓 制作:高橋かずえ 池田真佐美 演出助手:安藤勝也 
【発売日】2008/05/26 昼公演:一般5,250円/学生3,675円 夜割:一般4,700円/学生3,000円(劇団のみ取扱い)
http://blog.livedoor.jp/haiyuza
http://www.haiyuza.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 19:47 | TrackBack

パルコ『SISTERS』07/05-08/03パルコ劇場

 長塚圭史さんが作・演出し、松たか子さんと鈴木杏さんという人気女優2人が出演するパルコ劇場のプロデュース公演です。プレビュー初日に伺いました。上演時間は約2時間15分、休憩なし。

 密度が濃くて重みのある、大人向けのスリリングな会話劇でした。選び抜かれた言葉を味わいました。前知識ゼロで観るのをお勧めします。開演前はパルコ劇場の緞帳も閉じていますし、何もかも真っ白な状態でぜひ! 

 CoRich舞台技術!⇒『SISTERS

 ≪あらすじ≫
 うらぶれたホテル。若いカップルがいとこを訪ねてやってきた。
 ≪ここまで≫

 文学的だけど口語としても聞きやすい言葉たち。海外の翻訳戯曲のような味わいで、でももちろん日本語でしかあり得ない日本語です。セリフの重み、深みが耳の後ろから背筋へとズシっと響いてくるようで、「一言も聞きもらしたくない」と集中し続けた2時間強でした。

 登場人物のバックグラウンドが明かされていく、その情報の出し方が巧妙。じわじわと少しずつ、決して満足はさせない程度に観客にヒントを与えていく。そしてスイスイと予想を裏切って展開していきます。
 “長塚さんらしい”という表現では、今や何も言い表せない気がします。新しい作家に出会ったような気持ちになりました。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 馨(松たか子)はイタリア料理の人気シェフである夫・信助(田中哲司)と結婚したばかり。2人はヨーロッパの新婚旅行の帰りに、信助のいとこ・優治(中村まこと)が経営する古いホテルに立ち寄った。ホテルのシェフだった優治の妻・操子が1カ月前に亡くなったため、優治は自分が料理を教えてもらおうと信助を呼び寄せたのだ。
 ホテルはなぜか暗いムード。というのも操子の死因は首吊り自殺で、客足も遠のいており、操子と仲が良かった清掃員の稔子(梅沢昌代)は、そのショックのせいで奇異な行動をよく起こしている。稔子は、そのホテルに十年以上住み着いている操子の弟・礼二(吉田鋼太郎)とその愛娘・美鳥(鈴木杏)のことが、特に気に入らないようだ。礼二は子供向けの冒険小説を書いている作家で、美鳥は並々ならぬ愛情を父に注いでおり、どうやら2人の間には何らかの秘密がありそうで・・・。

 ナイフがあんなにたくさん出てくるのに、誰もナイフでは死なないのがかっこいい。心理サスペンス・ホラーのような緊張感がずっと保たれるのは、そういったモチーフが行き過ぎない程度に散りばめられているからでしょう。抑制が効いたエロスもかっこいい。

 父親から性的虐待を受けている美鳥(しかも妊娠している)を、馨は自分自身と今は亡き妹・ナツキに重ねていました。心中した礼二と美鳥の抱き合った遺体に向かって「お父さん、なぜ(お父さんが選んだのは)私じゃなくてナツキなの?」と涙ながらに問いかける馨。迎えに来た信助が「帰ろう、我が家へ」という呼びかけに対して、馨が素直に(?)「はい」と返事をして終幕。これを希望と取るか絶望と取るのかは、きっと観客それぞれなんじゃないかしら。私は「全く先が見えないままだけど、出口がないわけじゃない」ぐらいに受け取ったかも。

 馨たちの部屋と美鳥たちの部屋を、1つの部屋で表現。2つの異なる空間が混ざるのは目新しい仕掛けではないですが、入れ替わったり重なったりする演出が洗練されていて、細かいところが気にならないんです。うまく誘導してもらえました。
 バスルームの壁が照明で透けて、白い洗濯物がパっと見えるのが幻想的で美しい。残酷な童話の挿絵のような。
 ひび割れた壁の裂け目から吹き出す水。水浸しの床。足首まで満ちて、浸水する部屋。壁に反射する水の波紋。抜け出せない沼みたい。すでに溺れているみたい。

 馨(マゾの性癖あり)と信助(ノーマル)の間のエロティックなムードが、もっと盛り上がっても良いんじゃないかと思いました。あ、それって私の個人的趣味?(笑) 弱弱しい松さんがセクシー。田中さんは“普通”で居るのがすごくうまいなと思いました。

 二人のヒロインの衣装がとっても素敵。松さんが黒、鈴木さんが赤で対比も美しい。ぺったんこの靴がかわいいです。

≪東京、北九州、新潟、大阪≫
出演:松たか子 鈴木杏 田中哲司 中村まこと 梅沢昌代 吉田鋼太郎 堂ノ脇恭子
脚本・演出:長塚圭史 美術:二村周作 照明:小川幾雄 衣裳:伊賀大介 ヘアメイク:河村陽子 音響:加藤温 アクション:川原正嗣・前田悟 演出助手:山田美紀 舞台監督:菅野将機 宣伝美術:有山達也 宣伝写真:久家靖秀 宣伝PR:る・ひまわり プロデューサー:佐藤玄 毛利美咲 制作協力:伊藤達哉 製作:山崎浩一 企画製作:株式会社パルコ
【発売日】2008/05/24 8,400円 (7/5, 6 プレビュー 7,500円)
http://www.parco-play.com/web/page/information/sisters/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 00:27 | TrackBack

2008年07月03日

劇団一跡二跳『流れる庭 ーあるいは方舟ー』07/03-13 THEATER/TOPS

 古城十忍さんが作・演出される劇団一跡二跳のファイナル公演です。劇団最後のオリジナル公演ということで初日に伺いました。でもよく似たメンバーの新しいユニットがすでに動き出しているんですね⇒GaiaDaysFunctionBand。ちょっと騙されたような気持ちにも(笑)。

 言葉でわかりやすく説明する社会派演劇であるだけでなく、異なる2つの場所を1つの空間で同時に表現したり、象徴的な演出も巧みで見ごたえがありました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『流れる庭 ーあるいは方舟ー

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 集中豪雨が続く日本列島各地で災害が起こる中、とある地方の市が交通網が寸断され、完全に陸の孤島となってしまう。市役所の1階は既に水に浸かってしまい、その2階の一室にある記者クラブにはさまざまな人が閉じこめられた状態になっていた。各マスコミの記者たち、市役所の職員、いち早く市役所に避難してきた市民……。災害対策をテーマにした新作。
 ≪ここまで≫ 

 ここからネタバレします。

 THEATER/TOPSで水をいっぱい使って大迫力。「びしょ濡れだ~」と言いながら全然体が濡れていない記者と、本当に黒いスーツが濡れている記者がいることで、当事者としての自覚があるかないかを表現していました。これは身にしみます。

 バスの屋根の上で「上を向いて歩こう」を歌って耐えた老人たちの話と同じことが、市役所内でも起こります。守ろうとしていたパソコンを放って、2つ重ねにしたデスクの上にすし詰め状態で立っておびえる人々。みんなで「上を向いて歩こう」を歌おうとした時に、坂本九さんのオリジナル曲が流れ始めて暗転し、終幕。かっこ良かったですね~。

 ≪アフター・トークセッション≫
 出演:古川タク(イラストレータ・アニメーション作家)・古城十忍

劇団一跡二跳 60 ファイナル公演
出演:奥村洋治・松浦光悦・山下夕佳・関谷美香子・重藤良紹・高久慶太郎・水戸部千希己・長田典之・増田和・溝渕康裕・村田麗香・日暮一成
作・演出:古城十忍/美術:礒田ヒロシ/ 照明:磯野眞也 / 音響:黒澤靖博 / 衣裳:宮本尚子 / 舞台監督:尾崎裕/宣伝美術[イラスト:古川タク/デザイン:西英一/スチール:富岡甲之]/舞台写真:中川忠満/制作:岸本匡史
【発売日】2008/05/19 前売 4000円 [全席指定・税込] 学生 2500円 ※要学生証提示・一跡二跳でのみ取扱い
http://www.isseki.com/Top.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:43 | TrackBack

【雑誌】THE BIG ISSUE JAPAN vol.98

200807031_THE_BIG_ISSUE_JAPAN98.jpg
ビッグ・イシュー98

 最寄り駅まで歩く途中で、販売員さんに出会えたので、ザ・ビッグ・イシューを買いました。記事が面白いので最新号が出たらいつも買っちゃいます。

 ↑90%は音声認識ソフトで打てました!打った後で直すんですけどね。でも助かります。

Posted by shinobu at 22:33 | TrackBack

イキウメ『表と裏と、その向こう』07/02-06紀伊國屋ホール

 イキウメは前川知大さんが作・演出される劇団です。紀伊國屋ホール初進出に加え、大阪、福岡公演もあります。凄いですね、あっという間に。

 イキウメというと日常と隣り合わせの少し不気味&恐ろしいSFという作風かと思うのですが、今回は日常の隙間のさらに隙間を覗き込んで、より身近だからこそ切実な“時間”のお話でした。
 2時間10分は少々長かったですが、とても面白かったです。

 CoRich舞台技術!⇒『表と裏と、その向こう

 ※音声認識ソフトで書いてみました!全部は無理ですけど、キーボード操作の量はかなり減るかも♪

 近未来の日本。すべてがIDカードで管理されるユビキタス社会。

 広い紀伊國屋ホールの空間を舞台美術の壁で狭く使う工夫が良いですね。詩的で雄弁な照明もいつもながら大胆で好きです。物語を説明するためのセリフが多いし、基本的に少人数の対話で展開されるため、理解するためには少々集中力が必要かも。

 目的なくだらだらと生きる少年と、死ぬ瞬間を待ちわびて短い時間を全力で生きる少女と。時計を見れば時間は誰にも平等に刻まれていますが、人間一人ひとりにとって特別でかけがえのないものですよね。同じ1時間が、1分が、1秒が、全く違う重さ(密度)と価値を持つということを、一瞬間で示してくれたのが素晴らしい。その一瞬間が私の体と心に刻まれた永遠となったなら、この作品は成功なのではないでしょうか。私にとっては成功でした♪

 セリフで説明することに傾倒しているのはもったいない気もしますが、回想シーンと現行シーンが同時進行したり、照明の変化による素早い場面転換など、演劇ならではの巧みな演出も多くありました。気軽な笑いもたくさんあって、イキウメのこれまでの集大成ととらえて良い作品なのではないかと思いました。

 ここからネタバレします。

 管理社会に自分のすべてを預けたとき、知らないうちに人生の時間を三十分の一秒ずつ奪われていたというアイデアが面白いと思います。私自身、モバイルSUICAを使いながらちょっとドキドキしてるし。

 何でも数値に換算しがちですけど(お金とか時間とか確率とかランキングとか)、換算はあくまでも換算であって、実体を余すところなくあらわせてるわけじゃないんですよね。
 時間の密度を上げて、時間を延ばすことは可能だと思います。

≪東京、福岡、大阪≫
出演:浜田信也、盛隆二、岩本幸子、森下創、緒方健児、西牟田恵、内田慈、安井順平
脚本・演出:前川知大 舞台美術:土岐研一 照明:松本大介(enjin-light) 音響:鏑木知宏 楽曲提供:安東克人(&cut)/衣裳:今村あずさ(SING KEN KEN) ヘアメイク 前原大祐 演出助手:矢本翼子 舞台監督:谷澤拓巳 棚瀬巧 宣伝美術:末吉亮(図工ファイブ)/WEB制作:渡邊由布 制作協力:エッチビイ 制作:中島隆裕 吉田直美 企画制作:イキウメ 主催:(社)日本劇団協議会 創作劇奨励公演
発売日:2008/05/17 3,500円 3,800円
http://www.ikiume.jp/

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Posted by shinobu at 16:12 | TrackBack

2008年07月01日

燐光群『ローゼ・ベルント』06/30-07/13せんがわ劇場

 燐光群の新作。およそ100年前のドイツ戯曲を坂手洋二さんが脚色・演出されています。せんがわ劇場に入ったのは初めてでした。駅から近い!安藤忠雄さんのデザインは・・・まあ、私の好みじゃないです。劇場内の壁が白い(薄い灰色?)のは大変ですね。

 坂手さんがブログを始められてます!150字っていいですね。そういう制約があった方が中身が濃くなるのかな。

 CoRich舞台技術!⇒『ローゼ・ベルント

 ≪あらすじ≫
 食肉加工工場で働くローゼ(占部房子)は、社長(大鷹明良)の誘惑を振り切って実直なフィアンセ(大西孝洋)と結婚しようとするが…。
 ≪ここまで≫

 何がやりたかったのかよくわからなかったです・・・。役名はドイツ名のまま、でも舞台は現代日本のようで・・・。
 「何事も、なかったことには出来ない」のはわかりますが、何度も大声で叫ばれると引いちゃいます。

 西山水木さん、大鷹明良さんの演技は見ごたえがあり、その登場人物のを鏡にして自分を振り返る機会にもなりました。

 ここからネタバレします。

 原作の舞台は農村だったそうです。嬰児殺しが現代日本に重なるのはわかります。できれば原作そのままの方が見たかったかも。食肉加工工場を舞台に性差別や貧困、偽装表示などをテーマにするなら、坂手さんの書き下ろしが見たかったですね。わがままですが。

 和太鼓やオルガン、シンバルなどの楽器も、演出効果として有効だとは思えなかったです。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:坂手洋二、ペーター・ゲスナー(せんがわ劇場芸術監督)

 ペーター・ゲスナーさんはきっととても賢い方で、伝えたい気持ちに言葉(日本語)が追いつかないのだろうと思います。でも早口だと聞こえない・・・。語尾の最後までゆっくり発音していただきたいと思いました。

 予算もとても少ない中、劇場アンサンブルを持って、貸し小屋になるだけではなく主催公演も行なっていくという姿勢はすごいなと思いました。

≪東京、尼崎、名古屋≫ 燐光群+グッドフェローズ プロデュース『Rose Bernd』
出演:占部房子 西山水木 大鷹明良 猪熊恒和 大西孝洋 鴨川てんし 嚴樫佑介 樋尾麻衣子 安仁屋美峰 川中健次郎 中山マリ
作:ゲアハルト・ハウプトマン Gerhart Hauptmann 上演台本・演出:坂手洋二 [底本 番匠谷英一訳 角川文庫『枯葉』]美術・衣裳:伊藤雅子 照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響:島猛(ステージオフィス) 舞台監督:高橋淳一 鼓手:西川大輔 演出助手:清水弥生・武山尚史・秋葉ヨリエ 文芸助手:久保志乃ぶ 写真:Yurizo 宣伝意匠:高崎勝也 制作:古元道広・近藤順子
指定席 前売3,300円 ペア6,000円(前売・予約のみ) 当日3,600円 大学・専門学校生3,000円(東京・名古屋のみ) 高校生以下2,000円(学生券は前売・当日共通料金 劇場・劇団扱いのみ 要学生証提示)
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/rose.html

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Posted by shinobu at 23:49 | TrackBack

メルマガ 2008年7月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2008年7月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 50     2008.7.1  1,262部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎私事ですが、手首の腱鞘炎のためサイト更新をお休みしております。
  新PCと音声認識ソフトを購入!ちょっとずつ復帰したいと思っています。

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→新国立劇場演劇『まほろば』
       07/14-21新国立劇場 小劇場
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000041_play.html

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→エンリケ・ディアス演出『かもめ・・・プレイ』
       06/07-08舞台芸術公園 野外劇場「有度」
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0611133813.html

 ◆3【もうすぐ夏休み!お子様向けのオススメ舞台♪ 】

   ◎子供と一緒に大人もきっとも楽しめる作品をご紹介します!

 ◆4【王子小劇場「佐藤佐吉演劇祭2008」開催中! 】

   ◎見巧者の劇場職員が厳選した8団体が集結!今月は4団体です。
    http://www.en-geki.com/

 ◆5【お薦め劇場中継情報 チェルフィッチュ『フリータイム』 】

   ◎世界的に注目されている日本の現代劇ユニットの最新作です。
    http://www.nhk.or.jp/art/yotei/2006/20080711.html

 ◆6【編集後記】

   ◎“CoRich舞台芸術まつり!2008春”グランプリは渡辺源四郎商店!
    http://stage.corich.jp/festival2008/grand_prix.html

 ◆7【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。
 ※公演についてのコメントはお休みします。


★1.Bunkamura『道元の冒険』
  07/07-28シアターコクーン
  ☆出演:阿部寛、栗山千明、北村有起哉、横山めぐみ、高橋洋、
      大石継太、片岡サチ、池谷のぶえ、神保共子、木場勝己、他
   脚本:井上ひさし 演出・蜷川幸雄
   S9,500円 A7,500円 コクーンシート5,000円
    http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_08_dogen.html


2.パルコ『SISTERS』
  07/05-08/03パルコ劇場
  ≪東京、北九州、新潟、大阪≫
  ☆出演:松たか子 鈴木杏 田中哲司 中村まこと 梅沢昌代 吉田鋼太郎
   脚本・演出:長塚圭史
   8,400円 (7/5, 6 プレビュー 7,500円)
    http://www.parco-play.com/web/page/information/sisters/


3.松竹『羊と兵隊』
  07/05-27本多劇場
  ☆出演:中村獅童 田畑智子 辺見えみり 近藤公園 田島ゆみか
      佐藤直子 高橋理恵子 永岡佑 岩松了
   脚本・演出:岩松了
   6,800円
    http://www.shochiku.co.jp/play/others/080705/index.html


★4.劇団☆新感線『五右衛門ロック』
  07/06-28新宿コマ劇場
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演:古田新太 松雪泰子 森山未來 江口洋介 川平慈英 濱田マリ
      橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 北大路欣也 他
   脚本:中島かずき 演出;いのうえひでのり
   S席 12,500円 A席 10,000円 B席 7,500円 
   7/6(日) プレビュー:S席 10,000円 A席 7,500 B席 5,000円
    http://www.goemon-rock.com/


★5.新国立劇場演劇『まほろば』
  07/14-21新国立劇場 小劇場
  ☆出演:秋山菜津子 三田和代 中村たつ 魏涼子 前田亜季 黒沢ともよ
   脚本:蓬莱竜太 演出:栗山民也
   A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
   『シリーズ・同時代3作品 特別割引通し券』14,250円
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000041_play.html
   新国立劇場小劇場3作品連続公演“シリーズ・同時代”の第3弾。
   ※3連作についての座談会に参加させていただきました。
    パンフレットに掲載されますのでよかったらお買い求めください♪
    なんと3つの戯曲本が400円というお買い得価格で発売中!


6.ペンギンプルペイルパイルズ『審判員は来なかった』
  07/10-20シアタートラム
  ≪東京、大阪、福岡≫
  ☆出演:小林高鹿 ぼくもとさきこ 玉置孝匡 近藤智行 吉川純広 
      安藤聖 片桐仁
   脚本・演出:倉持裕
   前売4,300円 当日4,500円
    http://www.penguinppp.com/


7.3軒茶屋婦人会『ウドンゲ』
  07/01-27ベニサン・ピット
  ≪東京、福井、大阪、福岡≫
  ☆出演:篠井英介 深沢敦 大谷亮介
   脚本:赤堀雅秋 演出:G2
   前売り¥5,000 当日¥5,300
    http://www.g2produce.com/3cha/udonge/index.html


8.椿組08年夏・花園神社野外劇 『新宿番外地』
  07/12-22新宿花園神社特設ステージ
  ☆出演:千葉哲也 有薗芳記 恒松敦巳 田渕正博 木下藤次郎 江本純子
      町田マリー 井上カオリ 長嶺安奈 羽鳥名美子 柿丸美智恵 他
   脚本・演出:水谷龍二 ショー構成演出:江本純子(毛皮族)
   指定席4500円 前売り自由席4000円 当日4300円 
   7月19日15時「山崎ハコ・ライブ」3.000円
    http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/index.htm
   CoRichから簡単予約!
    http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=7171


9.THEATRE1010『音楽劇 夜と星と風の物語~「星の王子さま」より~』
  07/26-08/03 THEATRE1010
  ☆出演:毬谷友子 池田有希子 曽世海司 秋山エリサ 金内喜久夫
      小林勝也 富沢亜古 他
   脚本:別役実 演出:藤原新平
   S席(1階席)6,000円 A席(2階席)4,000円 千住席 1,010円
   友の会/小・中学生2,000円 足立区民割引3,000円
    http://www.t1010.jp/html/calender/2008/106/106.htm


10.トム・プロジェクト『ダモイ ~収容所からきた遺書~』
  07/30-08/03紀伊國屋ホール
  ≪大阪、沖縄、鹿児島、東京≫
  ☆出演:平田満 新納敏正 荒谷清水
   脚本・演出:ふたくちつよし
   前売¥4,500 当日¥5,000 学生¥3,500  シニア¥4,000
    http://www.tomproject.com/works/rahgeri.html
   過去レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0804223058.html


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  前売3000円台のお薦め作品を5本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

【1】イキウメ『表と裏と、その向こう』
  07/02-06紀伊國屋ホール
  ≪東京、福岡、大阪≫
  ☆脚本・演出:前川知大
   前売り3,500円 当日3,800円
    http://www.ikiume.jp/


【2】青年団『ハナノミチ』
  07/17-22こまばアゴラ劇場
  青年団国際演劇交流プロジェクト2008
  ☆脚本・演出:ヤン・アレグレ
   予約・当日共3,000円
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_07/hananomichi.html


【3】三条会・夏の野外公演『三条会の「真夏の夜の夢」』
  07/25-29千葉公園内 特設野外劇場
  ☆原作:W.シェイクスピア 演出:関美能留
   一般:前売3,300円 当日3,500円 学生:前売2,300円 当日2,500円
    http://homepage2.nifty.com/sanjokai/02.html


【4】グリング『ピース 短編集のような・・・』
  07/30-08/11ザ・スズナリ
  ☆脚本・演出:青木豪
   特割3,300円※7/30(水) 7/31(木) 19:30 のみ 
   前売3,800円 当日4,300円
    http://www.gring.info/


【5】双数姉妹『サナギネ-幼年期の終わりに- 』
  07/30-08/03青山円形劇場
  ☆脚本・演出:小池竹見
   成体サイド(S席):前売3,800円/当日4,000円
   幼生サイド(A席):前売3,800円/当日4,000円
   学生割引 2,500円 S+Aセット券:前売6,000円
    http://www.duelsisters.com/


≪ミュージカル、朗読劇など≫

 ○東宝/アトリエ・ダンカン『サ・ビ・タ 雨が運んだ愛』
  07/26-08/17シアタートラム
  ☆出演:駒田一, 原田夏希, 山崎育三郎
   脚本:中島淳彦(日本語版台本・訳詞) 演出:中島淳彦
   6,000円
    http://www.tohostage.com/sabita/top.html


 ○青年座『津嘉山正種ひとり語り「人類館(朗読劇)」』
  07/31-08/03青年座劇場
  ≪沖縄、東京≫
  ☆出演:津嘉山正種
   作:知念正真 演出:菊地一浩 企画・演出協力:津嘉山正種
   前売り3,500円 当日4,000円 学生2,500円
    http://www.seinenza.com/performance/studio/106.html


 ◎しのぶの今月の全予定(30本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.SPAC主催・エンリケ・ディアス演出『かもめ・・・プレイ』
  06/07-08舞台芸術公園 野外劇場「有度」
  ☆静岡の野外劇場で極上の観劇体験をしました。
   俳優の存在の仕方も演出も、何もかもが強烈で、洗練されていて、
   観劇直後はショックで落ち込みました(笑)。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0611133813.html


2.ハイバイ『て』
  06/18-23駅前劇場
  ☆ある家族の姿を異なる視点から二部構成で描く自伝的作品。
   家族の一人ひとりが、それぞれにかけがえのない家族像を持っていて
   その切実さが肌にひりひりと伝わってきました。何度も落涙&大笑い。
   作・演出の岩井秀人さんのお母様が出演するトークも拝見。 
    http://hi-bye.net/ ↓感想クチコミ多数あり
    http://stage.corich.jp/stage_done_detail.php?stage_id=7218


3.青年団『眠れない夜なんてない』
  06/27-07/06吉祥寺シアター
  ☆マレーシアに定年移住する日本人たち。帰りたくない祖国として
   日本を見つめる視座を得て、私自身と家族のことをじっくり考えた
   充実の約2時間でした。大人のエロティックなムードにうっとり♪
   気軽な笑いも大サービスです。7/6まで上演中!
    http://www.seinendan.org/
   ロビーで買った「ニッポンには対話がない」を読了。オススメです。
    http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/nippon_niha_taiwaganai.html


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2008年6月(観劇数22作品)は残念ながら発行しませんでした。


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 ◆3 【もうすぐ夏休み!お子様向けのオススメ舞台♪ 】
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 ◎夏は小さなお子様と一緒に楽しめるお芝居がいっぱい!
  多感な時期に出会う劇場の魔法は、生涯の宝物になるかも♪
  きっと大人も満足できちゃう作品を5つご紹介します。


【1】世田谷パブリックシアターこどもの劇場2008『にんぎょひめ』
  07/12-17世田谷パブリックシアター
  ≪東京、ほか≫
  ☆脚本・演出:テレーサ・ルドヴィコ
   一般:2,500円(4歳以上共通料金) TSSS:1,250円 その他割引あり
   ※未就学児童は保護者の同伴必要。
   4歳未満のお子様もお席が必要な場合はチケット必要。
    http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/07/2008_3.html


【2】秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場
 『「修学旅行」「3150万秒と、少し」連続公演』
  07/14-18全労済ホール/スペース・ゼロ
  ☆脚本:畑澤聖悟(「修学旅行」)・藤井清美(「3150万秒と、少し」)
   演出:藤井ごう(「修学旅行」)・藤井清美(「3150万秒と、少し」)
   一般4,500円 一般セット(2本通し)8,000円 
   ユース2,500円 ユースセット4,000円 ※当日各500円増
    http://www.seinengekijo.co.jp/
   『修学旅行』のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0417175309.html
   幼児、小学生ではなく中高生向けかもしれません。


【3】子供のためのシェイクスピアカンパニー『シンベリン』
  07/12-24あうるすぽっと
  ≪東京 滋賀、茨城、宮崎、大阪、三重、愛知、岩手、埼玉≫
  ☆原作:シェイクスピア 脚本・演出:山崎清介
   大人4,300円 子供(中学生以下)3,000円
   当日学生割引 4,300円(当日のみ取扱。要学生証。)
    http://www.canonkikaku.com/
   『シンベリン』レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0723205056.html


【4】劇団うりんこ『Dial A Ghost -幽霊派遣会社-』
  07/23-24四谷区民ホール
  ≪東京、京都、大阪、多治見≫
  ☆脚本・演出:山崎清介
   前売り3,000円 当日3500円 大人子ども同一料金
    http://www.urinko.jp/
   劇団うりんこ+山崎清介作品のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0401130109.html


【5】新国立劇場こどものためのオペラ劇場
  『ジークフリートの冒険~指環(ゆびわ)をとりもどせ!』
  07/25-27新国立劇場 中劇場
  ☆作曲:ワーグナー 芸術監督:若杉弘 編曲・指揮:三澤洋史
   台本・演出:マティアス・フォン・シュテークマン
   2,100円 ※4歳未満のお子様の入場不可。お子様も1人1枚チケット必要。
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000111_opera.html
   『ジークフリートの冒険』レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1003111403.html


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 ◆4 【王子小劇場「佐藤佐吉演劇祭2008」開催中! 】
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 ◎「佐藤佐吉演劇祭2008」は、東京都北区にある王子小劇場が
  “注目すべき作品・才能が集まった時にのみ”開催する演劇祭です。
   開催期間:2008年6/18~9/3 http://www.en-geki.com/
  「“佐藤佐吉演劇祭2008”記者発表」写真レポート
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0531145539.html
  こりっち賞、シアターガイド賞、ロボット賞などの賞も豪華!

 2.smartball『“Kiss me, deadly”』
  07/04-14王子小劇場
  ☆脚本・演出:名執健太郎
   http://smartball.yep-web.com/

 3.elePHANTMoon『心の余白にわずかな涙を』
  07/16-21王子小劇場
  ☆脚本・演出:マキタカズオミ
   http://www.elephant-moon.com ↓CoRichから簡単予約!
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=7421

 4.reset-N『閃光』
  07/24-28王子小劇場
  ☆脚本・演出:夏井孝裕
   http://www.reset-n.org/ ↓CoRichから簡単予約!
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=7285

 5.空想組曲『僕らの声の届かない場所』
  07/31-08/04王子小劇場
  ☆脚本・演出:ほさかよう
   http://www.k-kumikyoku.com ↓CoRichから簡単予約!
   http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=7436

  6月:柿喰う客(公演終了)
  8月:劇26.25団、スパンドレル/レンジ、劇団競泳水着

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 ◆5 【お薦め劇場中継情報 チェルフィッチュ『フリータイム』 】
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 ◎チェルフィッチュは世界的に注目されている日本の現代劇ユニットです。
   http://chelfitsch.net/
  作・演出の岡田利規さんは小説「わたしたちに許された特別な時間の終わり」で
  大江健三郎賞を受賞されました。
   http://www.kodansha.co.jp/kaigai/ooe/index.html

  最新作『フリータイム』がインタビュー、対談とともに放送されます。

  NHK教育「芸術劇場」 http://www.nhk.or.jp/art/
  7月11日(土) 22:30~01:45
   http://www.nhk.or.jp/art/yotei/2006/20080711.html
  【情報コーナー】「岡田利規に聞く」22:30~22:49 
  【劇場中継】チェルフィッチュ『フリータイム』 22:49~00:02
  【対談】大江健三郎×岡田利規「チェルフィッチュの世界」00:02~00:45 

  チェルフィッチュ『フリータイム』レビュー
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0306004859.html
  
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 ◆6 【編集後記】
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 ◎「CoRich舞台芸術まつり!2008春」グランプリは渡辺源四郎商店!
   http://stage.corich.jp/festival2008/grand_prix.html


 ◎岩松了さんが脚本・監督を手がける映画「たみおのしあわせ」が、
  7月19日(土)より劇場公開! http://tamiono.jp/


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2008年6月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」
   http://www.nega-chain.com/
  ・「人のセックスを笑うな」
   http://hitoseku.com/
  ・「グミ・チョコレート・パイン」
   http://www.gumichoco.com/
  ・「陰日向に咲く」
   http://www.vap.co.jp/kagehinata/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
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 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 00:07 | TrackBack