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REVIEW

2008年09月29日

【速報】王子小劇場が「メセナ アワード2008」で「たたかう劇場賞」を受賞!

 王子小劇場が「メセナ アワード2008」で「たたかう劇場賞」を受賞されたそうです。おめでとうございます!とりあえずの速報でした~。

 ※「メセナ アワード」は、(社)企業メセナ協議会が企業や企業財団による優れたメセナ(芸術文化支援)活動を顕彰する賞です。

Posted by shinobu at 14:05 | TrackBack

2008年09月27日

カミナリフラッシュバックス『死刑について』09/24-28劇場MOMO

 カミナリフラッシュバックスはニシオカ・ト・ニールさん(役者名は西岡知美さん)が作・演出する劇団です。今回は特別企画ということで、作・演出にSpaceNoidの御笠ノ忠次さんを迎えています。カミナリフラッシュバックスは初見です。

 タイトルどおり、死刑についてがっつり取り組んだ、社会派演劇でした。あの映像は衝撃的。上演時間は約2時間。

 ⇒CoRich舞台芸術!『死刑について

 概要をネタバレしますが、読んでから観に行かれても大丈夫だと思います。
 当日パンフレットに、劇中に出てくる事件についての補足があります。開演前に読んでおかれると良いと思います。

 ≪あらすじ≫
 「劇場MOMOの舞台にはかっこいい奈落があるため、それを使って死刑執行シーンを上演したい」というアイデアから、カミナリフラッシュバックスの次回公演は“死刑についての物語”に決定。劇団員および出演者たちは“笑って泣ける死刑モノ”芝居を作るべく、死刑についてのリサーチを始める。
 ≪ここまで≫

 公演に関わる若者(役者が本人を演じる)が、死刑について調査したことを稽古場で発表していきます。よく取材されていて感心しました。何より私自身が「死刑制度に賛成か、反対か」を本気で考える機会になったことが良かったです。非常に難しい問いですが、まずは自分に関係あることとして考えることですよね。

 登場人物が死刑について調べていきますが、誰もがゼロ(先入観や前知識が少ない素直な状態)から出発しているので、わかりやすいし身近に感じられます。映像や写真も劇場の壁に大きく映し出されるので、わかりやすいどころか、つきつけられた事実から目を背けられなくて、息苦しくもあったり。演劇ならではの効果だと思います。

 照明がフェイドアウトして暗い目のブルーの照明の中で場面転換します。いつもその繰り返しになるのは単調な気がしました。時にはカットアウト、時には照明の色を変える、音楽を鳴らすなど、流れていく会話の時間にリズムが欲しかったです。

 残念ながら演技でしっかり見せてくださったのは、“被害者”の男性を演じた方だけだったかも。役者さんはもっとがんばってもらいたいな~と思いました。

 ここからネタバレします。

 冒頭にリアルな絞首刑シーンがあったのが良かったです。刑務官もちゃんと居て、怖かったですし。
 その後、奈落からは天使の格好をした西岡知美さんが登場して、宙に浮きながら「いつもとは違う特別企画です~云々~」と前説。きっとこういうのがカミナリフラッシュバックスらしさなのでしょうね。いつもは野菜を手に持って戦ったりしてるそうです。ん~それって面白いのかな。観てみないとわからないけど。鉄割アルバトロスケットみたいなのかしら・・・などと想像。

 東京拘置所の取材、刑務官、障害事件の被害者へのインタビューなどは、おそらく実際に行ったことをお芝居にされたのではないでしょうか。映像に上祐史浩さんが登場するのは衝撃的です。「本当のところは、どんな人でも、一つ間違えば、どちらの立場にもなるのが、人間なのかもしれません。」とブログにも書かれていますが、映像で発言されていた「殺す側になるのも殺される側になるのも、実は紙一重である」という考えには私も同感でした。私だって、誰かを殺すかもしれない、殺されるかもしれない。“死刑囚”という立場は、他人事ではない。

 最初は死刑賛成が多数でしたが、調査を進める内に反対の人も増えていきます。作・演出の西岡(西岡知美)は悩みすぎて、とうとう脚本が書けなくなってしまいました。最後は西岡が「死刑についての演劇は、やめにします!」と方針転換して、稽古場にいた役者さんは全員が「はい!」とすんなり同意。「今度は古典、シェイクスピアをやろう」という展開になって終演しました。「はい!」の前にせめて、「えーーっ!こんなに必死で取り組んだのに!?」が欲しかったですね。

出演:西岡知美 大内涼子 加藤伸之丞 村上ロック 村上典子 田口英明 三好雅人 寿々木智之
脚本・演出:御笠ノ忠次 舞台美術・監督:大竹篤 照明:たなか一絵(あかりやん) 音響:源田和樹(KG.Project) 映像制作:ワタナベカズキ 映像オペ:佐々木友美 宣伝美術:ぶん 演出助手:清水洋介(SpaceNoid) 制作:榊山康介(赤堤ビンケ) 製作:カミナリフラッシュバックス
【発売日】2008/09/02 前売り2500円、当日2800円
http://kaminari-fb.main.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:16 | TrackBack

【劇評】渡辺源四郎商店「修学旅行」9/19(金)東奥日報夕刊に掲載

20080919_shugakuryoko_gekihyo.jpg
「修学旅行」劇評

 渡辺源四郎商店「修学旅行」の劇評を書かせていただき、2008年9/19(金)の東奥日報夕刊に掲載されました。写真の左側です。おとなりは歌舞伎の記事でした。

 渡辺源四郎商店の新作『どんとゆけ』は、「CoRich舞台芸術まつり!2008春」グランプリ受賞・スポンサード公演です。青森公演はアトリエグリーンパークにて9/28(日)より、東京公演はこまばアゴラ劇場にて10/16(木)より公演開始です。

Posted by shinobu at 14:36 | TrackBack

2008年09月26日

世田谷パブリックシアター/ソーホーシアター『現代能楽集Ⅳ「The Diver(ザ・ダイバー)」』09/26-10/13シアタートラム

 昨年の『THE BEE』で、日本の演劇賞を総なめにした野田秀樹さんの新作です。『The Diver』はイギリスのソーホーシアターと世田谷パブリックシアターの共同製作で、今年6月にロンドンで幕を開け、1ヶ月公演の後に東京に上陸しました。

 『THE BEE』と同じく野田さんとコリン・ティーバンさんとの共同脚本で、4人の出演者のうち3人(野田秀樹、キャサリン・ハンター、グリン・プリチャード)も、『THE BEE』(ロンドンバージョン)のメンバーです。上演時間は約1時間40分。※英語上演(日本語字幕付)

 ⇒CoRich舞台芸術!『The Diver
 レビューは途中までアップ。

 ≪作品紹介≫ 公式サイトより。
 ★源氏物語の登場人物が時空を越えて現在に蘇る、野田秀樹の決して謎が解けないサイコ・サスペンス★
 現代能楽集シリーズ第4弾は、野田秀樹が作・演出・出演する英語上演による『The Diver』。
 現代に生きる女性の苦悩を、能楽の「海人」や「源氏物語」の登場人物―葵の上、夕顔、六条御息所ら―の苦悩と重ね合わせ、野田作品らしい重層的な物語が展開します。
 ≪ここまで≫

 世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎さんが企画・監修されているシリーズ“現代能楽集”の第4弾なんですね(過去レビュー⇒)。能楽「海人(あま)」、「源氏物語」と、現代社会で実際に起こった犯罪が交錯する、幻想的なサイコ・サスペンスでした。

 ストーリーは『THE BEE』よりもシンプルでわかりやすかった気がします。大人の知的なエロスと、はっと驚かされ、うっとりするイリュージョンを堪能。暗い海の底へ、深層心理へと沈んでいくのが、ぞくぞくと快感だったり、のど元までぐっとこみ上げてくる悲しみだったり。ラストシーンがすごく良かったです。

 ここからネタバレします。続きはアップできるかどうか不明。

世田谷パブリックシアター芸術監督 野村萬斎企画/現代能楽集Ⅳ "The Diver"
【キャスト】(アルファベット順) 源氏/検察官:ハリー・ゴストロウ 女:キャサリン・ハンター 精神科医/葵:野田秀樹 署長/頭中将:グリン・プリチャード 【囃子方】囃子:田中傅左衛門 笛:福原友裕
作・演出:野田秀樹 共同脚本:コリン・ティーバン 作調:田中傅左衛門 美術・衣裳:キャサリン・チャップマン 照明:クリストフ・ワーグナー 音響:ポール・アルディッティ 演出助手:ラッガ・ダル・ヨハンセン プロダクション・マネージャー(ロンドン):マット・ノッディング プロダクション・マネージャー(東京):山本園子 舞台監督:ニーナ・スカラー 舞台監督助手:ナターシャ・エマ・ジョー-ンズ 舞台監督助手(東京):奥野さおり サウンド・エンジニア:ロス・チャットフィールド 照明操作:武井由美子 音響操作:徳久礼子 字幕オペレーター:加藤淳吾 横尾優美子(G・マーク) 技術通訳:松村佐知子 稽古場通訳:スーザン・ヒングリー ツアーマネージャー:エリン・ガバハン プロデューサー:穂坂知恵子 制作:大迫久美子 菅原カ インターン:桑原和彦 上杉晴香 広報:宮村恵子 和久井彩 営業:鶴岡智恵子 票券:横田みはる 法務アドバイザー:福井健策 字幕翻訳協力:河合祥一郎 主催:財団法人せたがや文化財団 企画制作:世田谷パブリックシアター 字幕協賛:Bloomberg(ブルームバーグ) 楽器協力:株式会社宮本卯之助商店
【参考文献】"The Tale of Genji" エドワード・サイデンスティッカー訳(Tuttle Publishing / 1976)/“Lady Aoi" アーネスト・フェノロサ、エズラ・パウンド訳(Dover Publications,lnc/ 2004)/“Ama" 河合祥一郎 参考英訳
[公演記録]ロンドン:2008年6月19日~7月19日 ソーホーシアター(プレビュー3回 本公演30回)/東京:2008年9月26日~10月13日 シアタートラム(24回公演)
【発売日】2008/07/19 一般6,500円 TSSS 3,250円 友の会会員割引 6,000円 世田谷区民割引 6,200円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/09/the_diver.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:39 | TrackBack

新国立劇場演劇『近代能楽集「綾の鼓」「弱法師」』09/25-10/13新国立劇場 小劇場

 新国立劇場の2008/2009シーズン開幕・第一弾です。三島由紀夫の近代能楽集の中の2作品を2人の若手劇作家・演出家が演出します。

 『弱法師(よろぼし)』を手がける深津篤史さんは多くの賞を受賞した『屋上庭園/動員挿話』(初演&再演)以来、3度目の新国立劇場での演出になります。『綾の鼓』の前田司郎さんは、同劇場では初めての演出ですね。脚本は「シリーズ・同時代」の『混じりあうこと、消えること』を書き下ろされました。

 出演者には大ベテランとほぼ無名の若手が名を連ねており、チラシの段階から実験的要素が見て取れる企画です。『綾の鼓』、『弱法師』ともに上演時間は約1時間。途中に15分の休憩があります。

 初日は満席でした。ご興味のある方はどうぞお早めにご予約を~♪ 戯曲↓を読んでから伺って良かったです。

近代能楽集 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社
売り上げランキング: 36303

 ⇒読売新聞記事(2008/09/11)
 ⇒CoRich舞台芸術!『近代能楽集「綾の鼓」「弱法師」
 レビューはアップできるかどうか不明。すみません、月末であたふたしています。

 十朱幸代さんがきれいで、ずっと見つめてしまいました。いったいおいくつなのでしょうか・・・(私の母よりも絶対に10歳以上年上のはず)。

■「綾の鼓」
 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 法律事務所で働く老小間使・岩吉(綿引勝彦)は、向いのビルの洋裁店を訪れる華子(十朱幸代)に想いを寄せている。岩吉は恋文を毎日届けてもらうのだが、ある日手紙を読んだ華子の取り巻きたちは、岩吉に音の出ない鼓を渡し、もし窓越しに鼓の音が届けば華子が想いを叶えるという悪戯を思いつき手紙を送る。岩吉は喜び勇んで鼓を打つが、やがて鳴らないとわかると絶望して窓から身を投げる。1週間後の深夜、洋裁店を訪れる華子の前に亡霊となった岩吉が現れ再び鼓を打つ…。
 ≪ここまで≫


■「弱法師」
 ≪あらすじ≫ 公式サイトより(役者名)を追加。
 晩夏。俊徳(木村了)の親権をめぐり、産みの親と養い親、調停委員の桜間級子(十朱幸代)の間で裁判がもたれていた。5歳の時、空襲の炎で失明し両親も失った俊徳は川島夫妻(鶴田忍&多岐川裕美)に救われ育てられたが、15年後、産みの親の高安夫妻(国広富之&一柳みる)が現れ俊徳を引き取りたいと申し出てきたのだ。話は平行線をたどるが、俊徳は級子にそんな両夫妻を嘲ってみせる。桜間が美しい夕映えに感嘆の声をあげると、俊徳は、炎に目を灼かれた時に見た「この世の終わりの景色」の幻影に襲われるのだった。
 ≪ここまで≫

「綾の鼓」出演:十朱幸代、綿引勝彦、多岐川裕美、木村了、国広富之、奥田洋平、金替康博、岡野真那美、内田亜希子
「弱法師」出演:十朱幸代、木村了、鶴田忍 多岐川裕美、国広富之、一柳みる
脚本:三島由紀夫 演出:『綾の鼓』前田司郎/『弱法師』深津篤史 美術:池田ともゆき 照明:小笠原純 音響:上田好生 衣裳:半田悦子 ヘアメイク:日下浩之 演出助手:川畑秀樹 舞台監督:三上司
2008/2009 Season Play 【休演日】9/29、10/6【発売日】2008/07/27 A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000061_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 17:47 | TrackBack

2008年09月25日

テアトロフィーア『HERE WE ARE -テアトロフィーアがやってくる!-』09/24-28こまばアゴラ劇場(キスフェス5)

 メルマガ2008年9月号でご紹介しておりました、青年団こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスフェス」の5作品目です(関連レビュー⇒)。これがフェスティバルの最終作品ですね。

 スペインのカナリア諸島からやってきたテアトロフィーアは、サイレント・クラウン、つまりセリフなしの道化を演じる劇団です。上演時間は約50分。終演後は毎回トークがあります。初日のゲストは柴幸男さん(toi/青年団演出部)でした。

 ⇒CoRich舞台芸術!『HERE WE ARE

 ほぼ素舞台のアゴラ劇場で、大人の男3人が、体の芯から道化(クラウン)になりきって笑わせてくれます。エッチだったり軽く下品だったり、まさに“誰にでもわかる”ギャグの連続。
 素材は空港・飛行機にまつわるあれこれでした。飛行機に乗ったことがある人なら誰もが「あぁ、アレね」と共感して、クスッと笑えるんじゃないかしら。

 1人1人が自立した俳優として堂々と立っています。徹底的におまぬけさん(道化)になりきるところが素敵だなと思いました。ただ、繰り返しが多く感じたところは少々退屈だったかも。

 ここからネタバレします。

 飛行機の機内の3人並びの席でのドタバタが好きでしたね。閉じ込められた中で、それぞれの欲望のままにくつろぐ姿が可笑しかったです。

 大きな爆弾を空港に持ち込んだテロリストのシーンでは、かなりの客いじりがあります。爆弾ごとテープでぐるぐる巻きにされたり(笑)。観客も安心してノっていけるのはさすがですね。でも客席に向けての水鉄砲はNGなんじゃないかな~(笑)。常夏の国から来た人たちならではなのかしら。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:ファン・レジュス/柴幸男さん(toi/青年団演出部)/多田淳之介(フェスティバル・ディレクター)/通訳の男性

 レジュス「テアトロフィーアは1996年に結成されました。2000年(もしくは2002年)から国外でもツアーをしています。メンバーは役者3人にスタッフ1人の合計4人。言葉を使わずに創作することは最初から決めていました。」
 レジュス「一番大切にしているのは、自分たちが楽しむということ。楽しむことが演劇の前提ではないかと思っています。」

 観客「日本の観客の反応は、他の国とは違いますか?違うとしたら、どのように違うでしょうか?」
 レジュス「(柴さんに靴紐をほどいて結ばせる。自分の靴の紐もほどいて結ぶ。)靴紐の結び方は2人とも同じですよね。このように人間は同じだと思います。」

 柴「スーツケースはいくつ持ってこられたんですか?」
 レジュス「全部で13個かな。」

 レジュス「テロリストが爆弾を観客の1人に渡すシーンは、インプロ(即興)の要素が多分にあります。チェコスロバキアでは観客が次々と他の観客に手渡しして、爆弾が会場で回されました。中国では、舞台間近の客席から後方上部の客席へと投げられました(笑)。」

 観客「女装はしないのですか?」
 レジュス「女装はしません。役者は自分自身の“クラウン”を作り上げて、クラウンを演じる時はいつもそのクラウンになりきるのです。」

こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスは何回?」フェスティバル 愛称「キスフェス」!!!
出演:ファン・ルイス・モレノ、ファン・レジェス、アントニオ・コネホ
脚本:テアトロフィーア 演出:ファン・レジュス 照明:エレナ・ラモス 舞台:パズル 構成:ファン・レジェス 音楽:ヘロニモ 撮影:リノ・ロッシ 映像:フェイム・ベルトラン 衣装:エレロス 製作総指揮:ファン・レジェス 製作助手:アントニオ・コネホ 製作:テアトロフィーアプロダクション 監督:ファン・レジェス
【発売日】2008/07/19 予約・当日共=3,000円 KISSセット券=8,000円(電話予約のみ)(日時指定・全席自由・整理番号付) ◎サイレントクラウン・台詞なし/字幕なし
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/teatrofia.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 00:43 | TrackBack

2008年09月23日

シス・カンパニー『人形の家』09/05-30シアターコクーン

 イプセンの『人形の家』をデヴィッド・ルヴォーさんが演出されます。主演は宮沢りえさん、堤真一さんという豪華キャストです。

 『人形の家』という戯曲の深さを、丁寧な言葉と演技でじっくり味わえました。スピード感があって密度が濃くて、装置も衣裳も音楽も上品でスタイリッシュ。劇中の事件を現代の問題として考えることもできました。

 上演時間は約2時間50分(途中15分と10分の休憩を含む)。2度の休憩があったおかげで快適でしたね。充実していて楽しくて、あっという間の幸せな観劇となりました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『人形の家
 レビューはアップできるかどうか不明。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。改行を変更。(役者名)を追加。
 まもなく銀行の頭取に出世しようという弁護士ヘルメル(堤真一)とその妻ノラ(宮沢りえ)は、3人の子供と共に、仲むつまじく幸せな生活を送っていた。だがノラには、愛する夫には決して言えない秘密があった。かつて夫が重病に罹ったときに、その治療のため、内緒で夫の友人から借金をし、しかも、その借用証書に、臨終の床にあった父親の署名を捏造していたのだ。それ以来、日々の生活では、借金返済の工面に追われながらも、なんとか平穏に過ごしてきた。
 ある日、その借金相手・グロクスタ(山崎一)が、夫ヘルメルによって職を追われかけ、秘密の暴露とひきかえにノラに、復職を夫に働きかけるよう迫ってきた。秘密が露見することで、これまでの幸せな家庭が破滅することに恐れ悩むノラ。だが、心の中では、もし夫がこの秘密を知ったとしても、夫は自分への愛のために、必ず自分を擁護してくれるものと強く信じていた。
 やがて遂に、夫の手元に、グロクスタから暴露の手紙が届く。そして、ノラは夫の真実の姿と、己がこれから取るべき道を知ることとなる・・・・。
 ≪ここまで≫

"A Doll's House" By Henrik IBSEN a veiosion by Frank McGuiness directed by David Leveaux
出演:宮沢りえ、堤真一、山崎一、千葉哲也、神野三鈴、松浦佐知子、明星真由美 子役(ダブルキャスト):門脇大真、児玉萌々、田村海都/土屋匠、会田未来、桐山和己
脚本:ヘンリック・イプセン 英語訳:フランク・マクギネス 翻訳:徐賀世子 演出:デヴィッド・ルヴォー 美術:磯沼陽子 照明:小川幾雄 音響:高橋巌 衣裳デザイン:伊藤佐智子 ヘアメイク:鎌田直樹 演出助手・振付:西祐子 通訳:角田美知代 舞台監督:瀧原寿子 宣伝画:金子國義 プロデューサー:北村明子 提携:Bunkamura 後援:ノルウェー王国大使館 企画・製作:シス・カンパ二―
【発売日】2008/07/19 S席9,000円 A席7,000円 コクーンシート5,000円
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_08_ningyo.html
http://www.siscompany.com/03produce/20ningyou/index.htm

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:54 | TrackBack

2008年09月21日

テアトル・デュ・ムーランヌフ『ジャックとその主人』09/18-21こまばアゴラ劇場(キスフェス4)

 メルマガ2008年9月号でご紹介しておりました、青年団こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスフェス」の4作品目です(関連レビュー⇒)。

 スイスからやってきたテアトル・デュ・ムーランヌフが、『ジャックとその主人』を上演します。上演時間は約2時間20分(休憩1回を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ジャックとその主人

 木枠に白い布を張った壁が数枚と、木製の茶色い机が数脚。役者さんは性別に関係なくさまざまな役を演じ分けていきます。口語劇っぽかったり、わかりやすいコメディ・タッチだったり、演技にバリエーションがありますが、堂々とした立ち姿は先日のベルギー版『森の奥』の役者さんたちに通じるものがありました。ただ、ベルギーの方々は強烈に洗練された印象でしたが、スイスの方々はのどかな、牧歌的な(と言っていいのかな?)ムードが漂っていたように思います。 

 字幕がものすごい量で途中でめげそうになったのですが(汗)、若い女優さんがあまりにキュートなので、ついつい吸い込まれるように見とれてしまい、言葉は追えずとも最後まで一緒に完走できた・・・というところですね。東京デスロック『演劇LOVE2008【蜜月期】』もドゥニ・ディドロの小説『ジャックとその主人』を舞台化した作品でしたので、先に予習ができていて助かりました。

 基本的にジャックと主人とが話すのは、ちまたの人々の破廉恥な色恋沙汰。ジャック自身の恋の話に至る前に、どんどん違うエピソードが入ってきます。
 お互いへの恋に冷めた公爵と貴婦人の話が、他にはないシリアス・モードで、私には一番面白かったです。

 照明は全体的に暗い目で、個人的には少々物足りなかったですね。終演後のトークでわかったことですが、装置はスイスで使用しているものとほとんど同じだそうです。

 ここからネタバレします。

 貴婦人は公爵に「あなたへの愛が冷めてしまった」と非常な決心をして告白しますが、彼から返ってきたのは「実は私も、もうあなたに愛を感じていません」という、がっかりを通り越して怒り心頭な言葉でした。執念深い貴婦人は、公爵に元娼婦を紹介してまんまと結婚させるという復讐を果たします。公爵はめとった妻の過去を知って一度は激昂するものの、妻の謝罪を聞き入れて丸く収まります。これも「男は許すけれど、女は許さない」ってことだなぁ~と、しみじみ。

 木の机が天蓋つきベッドへと変身したのは嬉しい驚きでした。「おぉ~」と歓声を上げてしまった。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 
 出演:イヴ・ブルニエ/多田淳之介 フランス語通訳:芳野まい

 多田「テアトル・デュ・ムーランヌフについて教えてください。」
 ブルニエ「廃墟だった風車小屋を自分たちで改装して劇場にしました。2001年オープン。戯曲にあわせて役者を集めるプロデュース形式で公演をしています。財政面の事情で、役者を1年間通して雇うことができないので。」

 多田「スイスにおいて演劇は、どういった位置づけですか?」
 ブルニエ「人口の5%しか関わっていません。いわば5%のエリートだけのもの。0.001%でもその人口が増えて欲しいと思って、演劇を作っています。」
 ブルニエ「スイスには演劇学校(大学?)は1つだけ。卒業証書をもらうことはつまり失業を意味しています(笑)。」

 観客「どうして戯曲ではなく小説をもとにされたのですか?(ミラン・クンデラの戯曲に何か問題が?)」
 ブルニエ「『ジャックとその主人』は運命と偶然について皮肉に物語っている、フランス語圏では非常に有名な小説です。だから今回取り上げたということもあります(たくさんのお客さんに観てもらいたいから)。ミラン・クンデラ版以外にも、翻案は150~200種類あるのです。」
 ブルニエ「『ジャックとその主人』については、演劇の中に演劇があること、運命と偶然について描いていること、ファルス(笑い話)であること、色んな物語のつながりを作ることに、特に興味がありました。」

 多田「後半に出てきたあの長細い楽器は?」
 ブルニエ「あれはアルプス笛。スイスの伝統的な楽器です。牛飼いが吹いていたもの。2m50cmの長さに伸びるものをスタッフ(?)が見つけてきた。ちなみに最後に吹いている曲はスイスの国歌です。ちょっと皮肉なまなざしを感じてもらえれば。」

 多田「最後に壁(木の枠に布が張られたパネル)が倒れてきた演出がとても面白かったんですが、あの意味は?」
 ブルニエ「同じ装置が変質していくという面白みもありますが、いわば究極のギャグと言いましょうか。たった1つの話をしようとしたのに、それが出来なかったことをあらわしている。『お客さん、物語がちゃんと最後まで聞けると思いましたか?そうはいきませんよ!』」というギャグです。」

こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスは何回?」フェスティバル 愛称「キスフェス」!!!
出演:イザベル・ボニロ ヨハンネ・クノイビューラー オリヴィア・シーキィ・トリンカ アッティリオ・サンドロ・パレーズ フランク・アルノードン
脚本:ドゥニ・ディドロ 演出:イヴ・ブルニエ 美術:オリビエカンパニー 衣装・メイク:エリ・アタナシオ 照明:クレモン・ロベール、ヤン・ゴダ 音楽:ヴァロントン・フェヴラ 制作事務:マリルン・エベラード 製作:イヴ・ブルニエ 翻訳:芳野まい、田中晴子 主催・企画制作 (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【発売日】2008/07/19 予約・当日共=3,000円 KISSセット券=8,000円(電話予約のみ) (日時指定・全席自由・整理番号付) ◎フランス語上演/日本語字幕付
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/moulin-neuf.html
http://www.moulin-neuf.ch

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:04 | TrackBack

4x1h project『4x1h Play #0「ひとさまにみせるもんじゃない」「いそうろう」』09/20-28ギャラリーLE DECO

 「4x1h project(フォーバイワンエイチ・プロジェクト)」は“気軽に・すっきり楽しめる短編演劇”のプロジェクト。演出は黒澤世莉さん(時間堂)です。

 5月に約30分の新作戯曲6本をリーディング上演し(⇒group Agroup B)、全作品を鑑賞した観客の人気投票で、9月に上演する2本(都合により3本選ばれた中の2本)を決定しました。

 上演プロジェクト第1回目となる今回は、中屋敷法仁さん(柿喰う客)の「ひとさまにみせるもんじゃない」と、篠田千明さん(快快)の「いそうろう」 の2本立て、90分公演(途中10分の休憩を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『4x1h Play #0』★CoRichからカンタン予約!
 レビューはをアップしました(2008/09/23)。

 「ひとさまにみせるもんじゃない」は、基本的に大声で怒鳴るようなタイプのしゃべり方でしたので、私には聞き苦しかったです。中には落ち着いてひとつひとつを大事に伝えて下さる方もいらっしゃいましたが、全体的に「まだ完成していない」印象。初日だったのもあるのでしょう。あと、オープニングの照明はもっと明るくてもいいんじゃないかと思いました。

 「いそうろう」は、リーディング版とは配役が入れ替わっていて良かったように思います。衣裳が可愛かった。でも、もっともっと、ただの会話劇から逸脱した世界を感じさせて欲しいと思いました。

 ここからネタバレします。

【1】「ひとさまにみせるもんじゃない」

 感想をひとことで言ってしまうと、リーディングの時の方が面白かったのが残念でした。
 私は柿喰う客のお芝居が結構好きで、中屋敷さんならではの言葉遊びや比喩、ギャグを楽しみたいと思っていたため、セリフが聞こえない(がむしゃらに怒鳴ったり、早口すぎて意味がわからなかったり、噛んだりする)だけで、最初から鑑賞意欲が減退してしまったせいもあると思います。あと、空間の小ささに対して声が大きすぎたのも私にはマイナス・ポイントでした。

 オープニングは床に寝転んだスーツの男女が、暗い部屋で目覚まし時計のジリジリという音に起こされる演技。陰鬱なルーチン・ワークを思わせる朝。全員が「ジリジリ」「ジリジリ」と発声。徐々に声を大きくしていきながらスーツを脱いで、皆ほぼ黒タイツ姿に。なぜか一様に臨戦態勢。
 舞台中央にある白くて細長ベンチの上に登った人が、優先的にセリフをしゃべるという設定のようでした。役者さんが突然あるきっかけでベンチから降りたり、先をあらそってベンチに上ってセリフを言い始めたりします。役は固定されません。

 比較的小さな声で現代口語劇のように見せる演出がありました。声を張って演じていたシーンを、静かな演劇風に繰り返すのです。セリフがはっきり聞こえるのでそのシーンは普通に楽しめましたね。中屋敷さんの言葉を柿喰う客とは違うタイプの語りで聞きたかった、というのが、この企画に対する私の個人的な希望だったのかもしれません。

 お芝居が終わってから関係者にお話を聞いたところ、なんと、出演者全員が脚本をすべて覚えており、セリフを間違ったところで入れ替わるというルールにのっとって、本気で役の取り合いをしていたそうです。私はこれに最後まで気づけませんでした。全部段取りだろうと思っていました・・・無念。
 観客の中には最初からわかった方もいらっしゃったかもしれませんが、できれば開演前からそれが明快にわかる演出をしてもいいんじゃないかと思いました。まあこれも、役者さんのその時の状態によるのでしょう。


【2】「いそうろう」

 可愛い女の子2人がおしゃれな衣裳&ヘアメイクで、等身大の現代口語で自然に会話をします。2人の息が合っているので、観客もそのリズムにのって鑑賞できる、柔らかな雰囲気。でもイスに関しては、劇場備え付けのものなのか、デザインが全体の雰囲気に合っていないように思いました。
 舞台中央に設置したパネルに白い大きな紙を貼り、色マジックペンで絵を描きながら説明をします。セリフに出てくる部屋の様子やさまざまな小物の意味はわかりやすかったですね。

 ただ、作品が行き着いたのが「ある若者の日常を見せた」というところまでだったように感じ、物足りなかったです。小さな部屋に住むちっぽけな女の子たちの取るに足らない出来事が、地下のマントルに届くぐらいのどん底の絶望へとつき落とすなり、宇宙のかなたまで飛んでいけるほどの喜びを生み出すなりして、観客の想像力を、ある垣根を超えた世界に連れて行って欲しかったです。

脚本:「いそうろう」篠田千明(快快)、「ひとさまにみせるもんじゃない」中屋敷法仁(柿喰う客)
「いそうろう」出演:大川翔子 / 百花亜希
「ひとさまにみせるもんじゃない」出演:石黒淳士 / 大竹悠子(ユニークポイント) / 菊地奈緒(elePHANTMoon) / 猿田モンキー / 星野奈穂子 / 三嶋義信
演出:黒澤世莉(時間堂)  照明:工藤雅弘(fantasista?ish.) 舞台監督・舞台美術:佐野功 衣装協力:juno-rii 宣伝写真:堀奈津美(*rism) 宣伝美術:村山泰子 当日運営:小山与枝乃 企画・製作:4x1h project プロデューサー:菊地奈緒 共催:時間堂+elePHANTMoon
【休演日】9/22【発売日】2008/07/30 学生 1,800円、一般 2,000円
http://blog.livedoor.jp/project4x1h

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 15:42 | TrackBack

2008年09月18日

THE SHAMPOO HAT『葡萄』09/10-23ザ・スズナリ

 赤堀雅秋さんが作・演出・出演されるTHE SHAMPOO HATの第23回公演は、客演に実力派有名女優さんを多数迎えた新作公演。

 上演時間は約1時間40分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『葡萄
 レビューをアップしました(2008/09/20)。

 ≪あらすじ≫
 東京から遠く離れた町。人口はおそらくかなり少ない。舞台は恭子(那須佐代子)と勝(日比大介)夫婦が営む民宿『沢田家』の居間。勝の幼なじみの菊池哲也(野中隆光)が15年ぶりに尋ねてきた。でも歓待ムードはまるでない。
 ≪ここまで≫

 感情の衝突で空気がヒリヒリしながら盛り上がる瞬間や、ぐっとむせかえるような感覚に襲われて、涙が出そうになる官能的なシーンもありましたが、終わってから「この人についてもっと深く知りたいな~」と思う登場人物が複数人いて、全体的にちょっと物足りない感じでした。人物の出ハケについて疑問に感じるところも少々あり。私はTHE SHAMPOO HATの大ファンですので、ついついハードルを高くしちゃうんだと思います。

 斜めのラインがきれいな美術でした。今回はF.A.T STUDIOじゃなくて中根聡子さんなんですね。

 ここからネタバレします。

 菊池は15年前にケンカで人を殺してしまい、ずっと刑務所に入っていました。その頃恋人だった恭子は菊池の友人・勝と結婚しますが、生まれた息子は菊池の子でした。15歳になった息子は2階の部屋に3日間続けてほぼ断食状態のまま引きこもり中。となりの客室では売春婦(いせゆみこ)がせっせとイン●テンツの客(長尾長幸)とセックスをしています。「恭子と勝はニセ夫婦を演じているっぽいし、こんな環境じゃぁ子供がグレてもしょうがないな~」と思いましたが、引きこもりの本当の理由はそうではなく・・・。

 菊池の弟・順(黒田大輔)が兄への怒りを満面に浮かべて乗り込んできますが、勝のだらしない優しさのせいで、うやむやに。順の妊娠している妻(古牟田眞奈)は人前では全くしゃべれない内気な性格ですが、なぜか菊池に対しては好意を持っている素振り。その理由が知りたかったんですが、私にはわかりませんでした。

 従業員の佐久間(池谷のぶえ)は6年前からこの民宿で働いているけれど、町の駐在さん(多門勝)に「見かけない顔だね」と言われる影の薄い女。彼女は「6年前から私は死んでいる」と言っていたと思うのですが、その理由がわからなかったな~。

 菊池と佐久間のラブシーンが素敵でした(菊池が佐久間に「お前、きれいだな」と言っていきなりキスをする/床に横になっている菊池に、佐久間がそっとタオルケットをかけてあげる/佐久間がデラウェアを房ごと菊池の口元に持っていって食べさせる/など)。

第23回公演
出演:那須佐代子(青年座)、池谷のぶえ、いせゆみこ、野中隆光、日比大介、多門勝、黒田大輔、古牟田眞奈、梨木智香、長尾長幸(劇26.25団)、赤堀雅秋
脚本・演出:赤堀雅秋 舞台監督:久寿田義晴 照明:杉本公亮 音響:田上篤志(atSound) 舞台美術:中根聡子 宣伝美術:斉藤いづみ 舞台写真:引地信彦 衣装協力:E-PIN企画(平野里子) 演出助手:岩堀美紀 WEB製作:野澤智久 舞台収録:♂GUCCi♀(帝斗創造) 制作助手:笹本真琴 谷慎 制作:HOT LIPS 武田亜樹 企画製作:HOT LIPS
【発売日】2008/08/10 自由席:前売り3500円 当日3800円 指定席:前売り3800円 当日4,000円
http://www.shampoohat.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:42 | TrackBack

東京デスロック『演劇LOVE2008・愛のイペント「夏目LOVE」』09/17リトルモア地下(キスフェス3内企画)

 東京デスロックの看板俳優である夏目慎也さんが主役の“愛”のイベント。『演劇LOVE2008』公演の中日の15:00~21:00(休憩1時間含む)に開催されました。

 私は前半のワークショップのみ鑑賞。平日昼間からこんなに大勢が原宿の小さなギャラリーに集まるなんて(笑)。出演者も客席も豪華でビックリ。
 
 ⇒CoRich舞台芸術!『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~

■15 : 00~16 : 00「夏目一人芝居『HERE I AM-ドン・キホーテがやってくる-』公演期間中公開ダメ出し稽古」
 愛の演出:多田淳之介 出演:夏目慎也 

 【発情期】の一人芝居が出来るまでの過程を紹介。はじめは人形劇だったんですね。ドン・キホーテ以外の登場人物のセリフも全部覚えていたとは。
 その後は本番のための稽古。夏目さんが演技をするのは多田さんがじーーーーっと静かに見つめて、だいぶん長い時間演じてから、ダメ出し。体力的にハードな演技を何度も繰り返して演じさせるのは、自他共に認める多田さんの「ドS(エス)」度が発揮されているところ。やればやるほど夏目さんがかっこ良く見えてくるのが面白い。


■16 : 00~18 : 00「愛の夏目の為の公開ワークショップ」

【1】「お誕生日エチュード」
 愛の講師:岩井秀人(ハイバイ) 出演:夏目慎也 金子岳憲 坂口辰平(夏目さん以外はハイバイ所属)

 それほど親しくない男性が3人集まって、部屋で1人の誕生日を祝うという設定。セリフはいっさい決まってなくて、即興で演じます。
 例えば「初対面の人に対して自分がどのように振舞うか」という、現代人の社会性を保ったまま演技をするところが、このエチュードのポイントのようでした。

 2時間遅刻してきたのに謝らない男(夏目慎也)に対して、部屋の主(金子岳憲)が怒り、誕生日の男(坂口辰平)はその間でおろおろ。次々とよどみなくふてぶてしい言葉が出てくる夏目さんがすごい。その場にいて素直に反応する金子さんは優しいお人柄が感じられました。

【2】「近代能楽集『班女』演出特訓」
 愛の講師:関美能留(三条会) 出演:夏目慎也 大川潤子 立崎真紀子 橋口久男 中村岳人(夏目さん以外は三条会所属)

 なんと夏目さんに三条会の役者さんの演出をやってもらうというワークショップ。扱うテキストは近代能楽集『班女』です(⇒近代能楽集 (新潮文庫))。最初に関さんが夏目さんにも役者として参加してもらい、演出を披露。
 近代能楽集の登場人物はどう考えても実在しないような人間ばかり。台本を読む役者には、「こういう人、いる!」と思わせる説得力が必要になります。関さんの夏目さんへのダメ出しの言葉がものすごく面白い。戯曲の意味を伝えること、人物像をありありと立ち上がらせること等の他に、目に見える具体的なものに嘘をつかないこと、稽古場の雰囲気、さらには観客の反応まで視野に入れてらっしゃいます。

 夏目さんが演出する番になり、最初はおどおどしていたのが徐々にえらそうに(笑)なっていきます。役者は演出家のひとことにすぐ反応して動くので、演出家の責任は重大です。作品の演出をするのはもちろん、稽古場の空気も演出家の居住まいで作られていきます。まずは演出家が堂々としていないと始まらないんですね。

 役者さんは演出家に従順で受動的に見えますが、指示をふまえて自由に動き出すと、なんともわがままでクリエイティブ(笑)。大川潤子さんの臨機応変な行動力が凄かった。


≪感想≫
 「夏目さんって演技上手いんだねー」と今さら納得。
 演出家ってすごい。見ているところが普通の人とは全然違います。

18 : 00~19 : 00 「愛の休憩時間」※私はここで敗退~・・・(残念)。
19 : 00~21 : 00 「愛の夏目バンドLIVE-歌え、夏目、気の済むまで一」「愛の夏目秘蔵映像上映会-前頭部毛髪の歴史-」「夏目愛の恩返し」(プログラムは予告なく変更する場合がございます)
東京デスロックREBIRTH#2 こまばアゴラ劇場国際演劇月間 キスは何回?フェスティバル参加作品
ワークショップ講師:多田淳之介 関美能留(三条会) 岩井秀人(ハイバイ)
構成・演出:多田淳之介 宣伝美術:宇野モンド チケット・当日パンフレットデザイン:京 制作:服部悦子 企画制作:東京死錠 リトルモア地下 主催:東京デスロック (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:リトルモア地下 協力:にしすがも創造舎 東京都
【休演日】9/16【発売日】2008/07/19 予約¥2000 当日¥2500 LOVEセット券¥5000 夏目LOVE¥2000(予約・当日共 LOVEセット券ご購入の方¥1000)
http://deathlock.specters.net/
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/deathlock.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:03 | TrackBack

2008年09月17日

【新聞】「たまには手紙で~白石加代子と長塚圭史の往復書簡~」朝日新聞(火)夕刊に連載

20080826_nagatsuka_shiraishi.jpg
たまには手紙で

 朝日新聞(火)夕刊に「たまには手紙で」というコーナーがあります。2人の著名人が相手に出す手紙を、1週間置きに交互に掲載するのです。

 今は『ビューティ・クイーン・オブ・リナーン』で一緒に仕事をされた女優・白石加代子さんと演出家・長塚圭史さんの往復書簡。お2人が今、感じていることを、これまでの経験を踏まえて語られています。

 白石さんの女性らしいやわらかな言葉には、文字を見ながらじんわりと感じ入るものがあります。前衛演劇をされていた若い頃のことは、易しくさらりと書かれているものの、白石さんが積み上げてきたものの重みがずっしりと伝わってきます。

 若くして日本演劇界の第一線で活躍する演出家となった長塚さん。おっしゃることに深く共感するところがありました。以下、2008年8月26日(火)夕刊の一部抜粋です。

 長塚『僕らは大笑いしながら、観客と舞台との間に優しい関係を築き上げようとしてきたんです。まるでテレビとお茶の間の関係のような。当然、一過性の笑いの渦は舞台からも客席からも「思考」を取り上げてしまいました。表現に対して全身で思考し続けねばならない。当たり前のことですが、これこそ薄まった微熱の世代が取り戻すべき第一歩なのです。』

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:08 | TrackBack

新国立劇場演劇研修所『朗読劇 少年口伝隊一九四五』09/16新国立劇場 小劇場

 今年2月に日本ペンクラブ主催イベントにて上演された、井上ひさしさんの新作朗読劇です。新国立劇場演劇研修所によって早々と再演が実現しました。⇒初演レビュー

 2度目でも新たに気づくことが多かったです。演劇研修所のレパートリーとしてぜひ毎年夏に、多くの場所で上演していただきたいですね。学校公演にもとても良いと思います。上演時間は約1時間。

・水戸公演:9月21日(日)@水戸芸術館ACM劇場
・山形公演:9月23日(火・祝)@シベールアリーナ

 ⇒CoRich舞台芸術!『朗読劇 少年口伝隊一九四五

 あらすじ等はこちらでどうぞ。

 役者がイスに座って脚本を読むスタイルの朗読劇ですが、暗記したセリフを話すところも多いですし、イスに座ったり立ち上がったり、少し歩いたりと、動きにも精密なルールがあって、普通の演劇公演と遜色ない観劇体験ができます。
 舞台装置はシンプルながら照明や映像の効果が非常に大きいです。朗読ならではのミニマムさが、戯曲の意味をより重く、深く心に響かせるのではないかと思います。

 2期生の皆さんがこの作品に出演するのは数回目ですよね。本を読むところと客席を向いて演技をするところの切り替えがするどく出来ていて、演技に自信と落ち着きが感じられ、言葉の肉付きが良くなっているように思いました。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 3人の少年が口伝する情報に、哲学じいたんが「そんなことできるわけがない」と正論で返します。言われてみたらその通りだなと少年たちは思いますが、やはりまた、広島県上層部の人々は「ほら穴を掘って住居とし、小さな花を飾って心を豊かにし、最後の最後まで戦え!」などと、実現不可能なことをさも正しいかのように声高に言う(言わせる)のです。
 大きな声はその時は心地よく響くけれど、それに流されてはいけない。2度目にして、一番胸に響いたのはこのことでした。

 アメリカに原爆を落とされて広島はこんな惨状となっているのに、なぜ進駐軍の「慰安所」を作らなければならないのか。父も母も友もみな殺されたのに、なぜ今、アメリカ人にお世辞を言ってもてなして、喜ばせなければならないのか。口伝隊の少年らは怒りに震えます。この「怒り」を、私の世代は学校で教えてもらっていません。

 3人の少年の内の1人が手に手榴弾を握り締めたまま、台風による大水で行方不明になってしまいます。彼と彼の手に握られた手榴弾を、私が覚えておかなければならないと思います。

≪東京、茨城、山形≫
出演:新国立劇場演劇研修所2期生14名(岩澤乃雅 熊澤さえか 佐々木抄矢香 滝香織 保可南 深谷美歩 藤井咲有里 吉田妙子 阿川雄輔 宇井晴雄 角野哲郎 西原康彰 遠山悠介 西村壮悟) ギター:宮下祥子 
作:井上ひさし 演出:栗山民也 音楽監督:後藤浩明 模型作成:尼川ゆら 照明:服部基 衣裳:中村洋一 音響:秦大介 映像:小林倫和 方言指導:大原穣子 ヘアメイク:林節子 演出助手:田中麻衣子 舞台監督:田中伸幸 舞台・照明・音響操作:新国立劇場技術部シアターコミュニケーションズ・レンズ(舞台:米倉幸雄 照明:河野和子 塩沢しのぶ 麻生輝樹 音響:黒野尚 映像:鈴木大介 調整:村田祐二) 制作:新国立劇場 研修所所長:栗山民也
2008年9月16日(火)4:00開演/7:00開演
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000136_training.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:02 | TrackBack

ROBOT『FABRICA[11.0.1] 「LOST GARDEN」』09/13-23赤坂RED/THEATER

 『踊る大走査線』シリーズでも有名な映画監督の本広克行さんが舞台演出を手がけるプロジェクトの第3弾。脚本は3作とも高井浩子さん(東京タンバリン)です。上演時間は約1時間50分。

 多田淳之介さん(東京デスロック)と演出の本広さんのトークの日に伺いました。「そんなにざっくばらんに、正直に話していいのかしら?!(笑)」と不安になるぐらいのぶっちゃけトークで、これはトークのある日がかなりお得なのではないかと思いました。

 MoPiXインタビュー⇒
 ⇒CoRich舞台芸術!『LOST GARDEN』★CoRichからカンタン予約!
 レビューをアップしました(2008/09/21)。

 第1弾しか観ていませんでしたが、問題なく楽しませていただきました。というか、予想していたよりも脚本も演出もとても面白かったです。多くの方が気軽に楽しめるエンターテインメントと、演劇ならではの演出の妙とが、良いバランスでミックスされていたように思いました。

 ≪あらすじ≫
 ある劇団の公演初日。劇場入りしたスタッフ・役者たちはそれぞれに本番に向け準備をしている。ゲネプロ(本番同様に上演するリハーサル)を観た脚本家(川田希)は衝撃を受けた。脚本が大幅に変更されていたのだ。
 ≪ここまで≫

 舞台上と舞台裏(楽屋も)を見せながら、人間の表の顔と裏の顔をあばいていきます。回転舞台(お盆)の仕掛けはこの規模の小劇場では嬉しい、豪華な装置でした。実際の舞台裏のドアも、客席も調光室も使って、メタ芝居の要素をあちこちに生かしています。
 演技についても、スポットライトを浴びた独白あり、現代口語演劇あり、ネタものエンタメ芝居ありで、さまざまな手法を盛り込んで楽しませてくださいました。

 役者さん同士のコミュニケーションにはプロデュース公演ならではのバラバラ感がないわけではなく、少々信憑性に欠ける対話シーンもありましたが、描かれているのもプロデュース公演の現場ですし、そういった溶け合わないものが混在した状態も含めて、演出として受け取れました。

 可愛い顔して仲良くしておきながら、裏ではお互いの悪口を思いっきりしゃべってる女優さんたちのキャラクターに、女性作家ならではの厳しさが出てる気がしました。

 ここからネタバレします。

 舞台で上演される戯曲は「三人姉妹」をモチーフにしたものでした。家をビルに建て替えることにしたため、亡き母が愛した庭をつぶすことになります。自分たちで決めたことだけれど、なくなってしまうことを人間は悲しみます。でも「新しい庭を造ろう」と前向きに未来を見つめることもできるんですよね。“庭”のイメージを窓の外にある庭以外にもちりばめた装置が良かったです。

 舞台監督(辰巳智秋)がペンライトで蓄光テープに光を当てる演技をしたり、事故死してしまった俳優(永野宗典)が、スケッチブックを舞台に出す役割を果たしていたことが本番中にわかるなどは、舞台製作に関わる人ならではの細かいエピソードだと思いました。

 気取ってえらそうにしていた若い演出家(近藤智行)が、独白で方言になるのが笑えます。亡くなった俳優の代役をすることになり、舞台上でテンパった時にも思わず方言が出てしまうのが、さらに可笑しい。

 終演後のトークで多田さんも指摘されていましたが、実はお盆をまわしているスタッフ(舞台監督?演出部?)の姿も観客に見えており、それもまたメタ構造を感じさせて面白かった。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:本広克行/多田淳之介

 本広「舞台と客席の境を無くしたいと思った。これは映画やテレビでは絶対に出来ないことなので。たとえば開演前に最初からスタッフが舞台上にいる(見切れている)とか。」
 本広「これは公言していることですが、この舞台(の演出)は映画『フランス軍中尉の女』に非常に大きな影響を受けています。」

 本広「不謹慎な笑いがものすごく好き。実は『踊る大捜査線』はそんな笑いばかりの脚本なんです。」
 本広「実はゴダールが大好きです(笑)。」

 本広「多田くんは『わかる人だけわかってくれたらいい』っていう芝居を本気でやっていて、超うらやましい!」
 多田「いや、僕だって誰にでも楽しんでもらえると思って作ってるんですよ(笑)。」

 本広「青年団の稽古場を見学させていただいたんですが、平田オリザさんの演出はオーケストラを指揮するみたい。」

出演:安藤聖、石原竜也、川田希、近藤智行、白神美央、辰巳智秋、永野宗典、平田裕香、古山憲太郎、ミギタ明日香 声の出演:瓜生和成 弘中麻紀
脚本:高井浩子 演出:本広克行 企画・製作:ROBOT ラインプロデューサー:高田雅士 企画プロデューサー:川田希 コンテンツプロデューサー:羽田文彦 音楽:菅野祐悟 美術:杉山至 舞台監督:谷澤拓巳 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏 衣裳:松竹衣裳・能澤宏明 演出助手:石内エイコ 大道具製作:六尺堂 宣伝美術:金松滋(metamo) 冨岡祥雄(metamo) 桐原紘太郎(metamo) 宣伝コメント協力:木俣冬 スチール:百束尚浩 票券:サンラインズプロモーション東京
【発売日】2008/08/02・前売開始日:2008年8月2日(土) ・料金:前売3,500円、当日3,800円(全席指定・税込)※早割前売2,500円、当日2,800円(9/13~15の4ステージ)
http://movies.robot.co.jp/fabrica

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 21:10 | TrackBack

2008年09月16日

【書籍】向田邦子著「思い出トランプ」(新潮文庫)

 脚本・演出家の田村孝裕さん(ONEOR8)が向田邦子作品を舞台化します。田中麗奈さんの初舞台出演になるそうで、これは注目の公演ですよね。というわけで、原作本を買おうと思います。

思い出トランプ (新潮文庫)
向田 邦子
新潮社
売り上げランキング: 34576

 青山円劇カウンシル#2 ~Relation
 ONEOR8プロデュース『思い出トランプ』10/10-19青山円形劇場
  出演:田中麗奈 根岸季衣 八十田勇一 他
  脚本・演出:田村孝裕(ONEOR8)
  前売5,500円 当日6,000円 9/13より発売中!

Posted by shinobu at 10:44 | TrackBack

2008年09月15日

【舞台中継】「青春舞台2008・青森県立青森中央高等学校『河童』」09/01 NHK衛星放送第2

 2008年の全国高等学校演劇大会で最優秀校および優秀校と表彰された4校が、再び東京で作品を発表しました。全国約2500校から選ばれた4校なんですね。

 NHKで放送された4本のうち、最優秀校・青森県立青森中央高等学校による『河童』を、本日家族で拝見しました(ビデオ録画していました)。

 渡辺源四郎商店の畑澤聖悟さんの書き下ろし脚本は、深くて濃くて・・・高校生が演じているなんて信じられないぐらいの完成度。密度の高い演出に釘付けでした。上演時間は1時間と短いのに、すごく疲れた・・・。
 これを来年は中学生が7日間で作るんですよ?!本気(マジ)なんですか!?!?(⇒今年は『修学旅行』でした)

 テレビはすごいな~って思ったのは、顔のアップの精度。いじめられっ子の地味な女の子の殺気が、ばっちり写っていました。

全国高校演劇・優秀校東京公演「青春舞台2008」
9/1(月)午後0:15~5:45 NHK衛星放送第2
司会:小田切千 ゲスト:川村毅・倉持裕・町田マリー
http://www.nhk.or.jp/seishunbutai/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:44 | TrackBack

こまばアゴラ劇場・劇場支援会員限定イベント「多田淳之介演出作品 韓国語版『ロミオとジュリエット』上映会」09/15こまばアゴラ劇場

 今年の4月に多田淳之介さんが韓国で上演した、韓国人俳優が出演する『ロミオとジュリエット』の舞台映像の上映会です。こまばアゴラ劇場の劇場支援会員限定イベントとして開催されました。国際演劇月間「キスフェス」内イベントとしてもふさわしいですね。

 上演時間は約1時間50分。部分的に日本語字幕が付いていてすごく良かった!上映終了後は多田さんによる詳しいトークもありました。

 ⇒2008年4月のレビュー(舞台写真あり!)
 ⇒CoRich舞台芸術!「韓国語版『ロミオとジュリエット』上映会

 字幕があったおかげで知らなかった演出にも気づいて、なぜあのシーンであんなにお客さんが沸いてた(笑っていた)のかがわかったりして、すごく幸せでした。

 今回は会員限定イベントでしたが、いずれフルに字幕がついたらぜひ一般上映をしてもらいたいです。ほんっとに、超~オススメなので!

 理想はいつか日本で上演していただくことなんですが、たぶん日本人キャストになると演出が全く変わってしまう気がします。それはそれでぜひ観たいですが(笑)。

原作:シェイクスピア 構成・演出:多田淳之介
9/15(月・祝) 15:00 (韓国語上演/字幕なし)
※構成・演出の多田淳之介による、ポストパフォーマンストークあり
※8/27(水)劇場支援会員《60名様限定》で観劇予約の受付を開始。劇場支援会員招待公演です。お友達割引でのご予約はお受けできません。
http://www.komaba-agora.com/info/sien/index1.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:30 | TrackBack

東京デスロック『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~』09/12-23リトルモア地下(キスフェス3)

 メルマガ2008年9月号でご紹介しておりました、青年団こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスフェス」参加作品です(⇒)。

 フェスティバルディレクターの多田淳之介さんが構成・演出される東京デスロックの、3本立てランダム上演。私は【発情期(一人芝居)】【蜜月期(二人芝居)】【倦怠期(非公開)】の順に1日で3本すべてを拝見。終演後に作品解説がある日がオススメです。

 9/17の『夏目LOVE』では、看板俳優の夏目慎也さんに三条会の関美能留さん、ハイバイの岩井秀人さんが1時間ずつワークショップを行うとパンフレットに書いてあり、その場でチケットを予約(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~

 ひとことで言っちゃうと、【発情期】【倦怠期】で私はボロ泣き。【蜜月期】は少しばかり原作に忠実すぎるような気がしました。

 fringe blogで書かれている“小劇場に最初の一歩を踏み入れようとしている方”には、お薦めできる公演ではない、と、現時点では思っています。「初心者オススメ」の基準も結局は個人差があることを踏まえて、ご自身の判断で観に行くかどうか決めていただけたらと思います。

 アーティストは探求し続けます。演劇は進化します。そして観客も変わり続けるのだと思います。

 ここからネタバレします。
 ≪作品解説≫については断片のみ。実際は長時間、たくさん話されていました。

【発情期】「HERE I AM-ドン・キホーテがやってくる!-」 上演時間:約1時間
 出演:夏目慎也 原作:ミゲル・デ・セルバンテス 構成・演出 多田淳之介

 セルバンテスの長編小説「ドン・キホーテ」を1人芝居に。Tシャツに短パンという普段着姿の夏目さんが、ドン・キホーテを演じます。
 語る。(壁に)ぶつかる。媚を売る。祈る。脱ぐ。一人であること、一人よがりであること、カッコ悪くてみじめで、完膚なきまでに負けること。その命の貪欲さ、輝き。

 突然の雨から逃れようとTシャツを頭からかぶった姿は、ウルトラマの怪獣ジャミラに似てる(笑)。一緒に雨宿りをしている相手の顔が可笑しくて笑う演技が、次第に自分自身(夏目さん)を笑っているように見えてきて、他人と自分が同一化し、それは観客をも巻き込みます。孤独の中の孤独。先日の岡崎藝術座『三月の5日間』のラストシーンと重なりました。

 小説『ドン・キホーテ』の目次を第74章まで(だったかな)壁に映写。なんて長い小説。
 小説自体がメタ構造になっていることも、夏目さんが小説家役で登場することで表現。

 ≪作品解説≫ 出演:多田淳之介 夏目慎也

 多田「ドン・キホーテは夢を見ている。客が舞台を見ていることと近い。嘘を信じること、何かに見立てること。」
 多田「今回の“発情”とは、演劇に対して発情しているという意味。演劇を一緒にやる人がいないから、『じゃあ一人でやってやるぜ!』と、演劇を演じ切って発情している。」
 多田「10分間のセリフなしのシーンについて。それはスペインのカナリア諸島から来るテアトロイフィーアの、サイレント・クラウンに敬意を表して。」


【蜜月期】「ジャックとその主人」 上演時間:約1時間(うろ覚えです)
 出演:佐山和泉 橋口久男(三条会) 原作:ドゥニ・ティドロ 構成・演出:多田淳之介

 戯曲ではなく小説版の「ジャックとその主人」を2人芝居に。「人間が何をやろうと、世界で何が起ころうと、それは運命として最初から決まってる」という、運命論について書かれた小説だそうです。

 天井に脚本が1枚ずつ、ぶら下がるように数枚貼ってあります。演劇にとっての“運命”は戯曲ってことですね。役者さんは「私がジャックです。・・・ということを今から話します」など、演技の外枠まで語ります。メタ芝居の構造です。

 ジャックが恋の話をしようとしますが、一向に先を話せないまま関係ないエピソードが続々と。最後は黒いテープで目隠しをして演技をすることで、物理的に「何が起こるかわからない」状況を生み出し、演劇の運命論から脱出。

 佐山さんと橋口さんの堂々たる演技対決は見ごたえがありますが、個人的にはもっと戯曲のあらすじから離れて、核心に迫るような演出で観たかった気がします。

 ≪作品解説≫ 出演:多田淳之介 橋口久男

 多田「原作はスイス人ドゥニ・ティドロの小説『運命論者ジャックとその主人』で、ミラン・クンデラの戯曲版も有名です。」
 多田「この小説は運命論について書かれていますが、演劇にも戯曲があるので、次に何が起こるのかは決まっているとも言えます。この作品では“その場で実際に起こること”を見せた。」
 多田「使用楽曲は山口百恵など。三条会へのリスペクトもあり。」
 多田「今回はTシャツと缶バッチを作りました。“演劇LOVE”と書いてあるバッチは“踏み絵バッチ”と呼んでいます(笑)。俺がつけなくてどうする?ってことで。果たしてこれを付けて電車に乗れるか?と(笑)」


【倦怠期】「CASTAYA」 上演時間:約50分
 作・演出:エンリク・カステーヤ
 出演:非公表 ※カステーヤ氏の意向により、出演者は非公表とさせていただきます


東京デスロックREBIRTH#2 こまばアゴラ劇場国際演劇月間 キスは何回?フェスティバル参加作品
出演:夏目慎也 佐山和泉 橋口久男(三条会) ほか
構成・演出:多田淳之介 宣伝美術:宇野モンド チケット・当日パンフレットデザイン:京 制作:服部悦子 企画制作:東京死錠 リトルモア地下 主催:東京デスロック (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:リトルモア地下 協力:にしすがも創造舎 東京都
【休演日】9/16【発売日】2008/07/19 予約¥2000 当日¥2500 LOVEセット券¥5000 夏目LOVE¥2000(予約・当日共 LOVEセット券ご購入の方¥1000)
http://deathlock.specters.net/
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/deathlock.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 22:16 | TrackBack

ピチチ5『全身ちぎれ節』09/12-21三鷹市芸術文化センター 星のホール

 福原充則さんが作・演出されるピチチ5(クインテット)。MITAKA “Next” Selection に選抜されて星のホールに登場です。『全身ちぎれ節』っていうタイトルだけで、もう嬉しくなっちゃう。

 装置がすごかった・・・・(笑)。上演時間は約1時間30分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『全身ちぎれ節

 おおまかに言うと3本のオムニバス作品ですが、全体で1つにまとまっている印象もあり。初日の時点ではまだまだこれから伸びるんだろうな~という仕上がりでした。私はピチチ5および福原さんのコアなファンの部類に入ります。今までの作品と比べるとそういう感想になりますね。

 負け犬の中の負け犬が、こんなにかっこよく、愛らしく見えてしまう。
 体をはった大仕掛けはやはりライブならではの見どころで、「見世物ってコレだよね!」という初心に帰らせてくれます。

 ここからネタバレします。

■「国分寺のキース・リチャーズ」
 【出演】張本/植田裕一 高井/小村裕次郎 大黒/三浦竜一 丸川(バイト)/小林由梨 張本の妻リリー/中島美紀 リリーの息子/碓井清喜

 少年の頃、キース・リチャーズにギターをもらって(と思い込んで)ロックの道をひたむきにつっぱしり、売れないまま30代になった男(植田裕一)。今はロックがかかるバーを経営する。でも実はギター全然弾けない・・・。
 奥さんにも子供にも逃げられて、友達に金を無心するも断られて、バイトちゃんには馬鹿にされて。落雷でタイムスリップする(笑)メルヘンチックな展開も、心のささくれがさらに深くなる効果になって、じんと来る。

■「花巻のスカーフェイス」
 【出演】宮さん/三士幸敏 萩原/吉見匡雄 出版社社員/小村裕次郎 出版社社員/中島美紀 小説家たち/植田裕一 三浦竜一 碓井清喜 オマンサタバサ 小林由梨 ぼったくりバーのママ/千葉雅子 バーの店員(用心棒)/オマンサタバサ お祭りの女/中島美紀

 自称小説家(三士幸敏)の「才能ないけど売れたいの!」という開き直りが、「盗作しても売れたいの!」にまで飛躍するとは(笑)。
 「銀河鉄道の夜」のいいムードで列車が宇宙からやってきたかと思ったら・・・ねぶた!なんで!?(笑) 「(銀河鉄道よりも)あっちの祭りの方が楽しそうだしな」という締めにほんわか。
 クラムボンは・・・●ニス型○チャピン(笑)。凶暴だし名前も面白すぎる。

■「蒲田の行進曲」
 【出演】民子/千葉雅子 孝/オマンサタバサ 映画監督/小村裕次郎 幽霊/三浦竜一 幽霊の娘/小林由梨 アンサンブル/植田裕一 三士幸敏 碓井清喜

 下手の壁がせまってきて、いきなり千葉雅子さんのドア破り(笑)。それだけで心わしづかみ。
 オマンサタバサさんが階段落ちを本当にやるとは思いませんでした。舞台から客席にも落ちていて、ちょっとお体が心配です。空も飛んでくれたり、やっぱりサービス過剰気味(笑)。

MITAKA “Next” Selection 9th.
作・演出/福原充則 舞台監督/中西隆雄 掛樋亮太 演出部/高橋京子 照明/河上賢一(La Sens) 音響/高塩顕 大道具/泉真 小道具/笹野茂之 宣伝美術/岡屋出海 記録撮影/齋藤ジン グッズ制作/ピコピコ 演出助手/西尾美鈴 衣装協力/萩原未来 制作助手/今井由紀 だけいけいこ 制作/三村里奈 企画・製作/ピチチ5 主催/(財)三鷹市芸術文化振興財団
【発売日】2008/07/26 前売2500円 当日2800円 学生・大人(40歳以上)割引2000円(前売・当日とも) 高校生以下1000円(前売・当日とも)両割引とも、当日学生証もしくは年齢が確認できる証書をご持参ください。
http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html

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Posted by shinobu at 11:19 | TrackBack

2008年09月13日

【情報】「スミックスホールESTA」(北九州)の文化施設としての運営継続を要望する署名を募集中

 下記サイトで、福岡県北九州市の多目的ホール「スミックスホールESTA(以下ESTA)」の文化施設としての運営継続を要望する署名を集めています。

 ⇒ESTAの文化施設としての運営継続要望(署名募集サイト)
 ⇒fringeTOPIC「北九州・スミックスホールESTAが2009年3月閉館(2008/8/26)
 ⇒fringe blog「ESTAの運営継続を要望する

 署名サイトを運営するピカラックの主宰者は、北九州市でライブ(演劇・ダンス・音楽)を制作する谷瀬未紀さん。谷瀬さんは舞台芸術を愛し、能動的に奔走する制作者です。私はESTAに行ったことがないのですが、ピカラックのお声がけに賛同し署名させていただきました。

Posted by shinobu at 14:02 | TrackBack

2008年09月11日

王立フランドル劇場(KVS)&トランスカンカナル『森の奥』09/09-13こまばアゴラ劇場(キスフェス2)

 メルマガ2008年9月号でご紹介しておりました、青年団こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスフェス」の2作品目です。

 ベルギーからやってきたKVSトランスカンカナルが平田オリザさんの新作『森の奥』を上演します。そもそも彼らが平田さんに執筆依頼した戯曲なんですね(⇒こちらのトーク参照)。フラマン語・ワロン語上演・日本語&英語字幕付。上演時間は約1時間40分。

 ものすごく洗練された大人の知的な会話劇でした。人間(動物)の知性と野生が同時に存在する瞬間を肌で感じたときの興奮ったら!リーディングを先に観ていたのでさらに理解が深まりました。

 ステファン・オリヴィエさん、フェスティバルディレクター多田淳之介さん、そしてゲストに岡田利規さん(チェルフィッチュ)が出演するポスト・パフォーマンス・トークを目当てにこの日に行きました。

 ★こまばアゴラ劇場には持ち込めなかった、オリジナルの装置の写真がロビーに展示されています。ぜひご覧ください。めっちゃクールです。

 ⇒ベルギー公演時のプロモーション映像
 ⇒CoRich舞台芸術!『森の奥
 レビューをアップしました(2008/09/21)。

 静かな演劇。目の前でその人そのものが自然に生きているような感覚。役者さんがこういう存在感でいてくれると、ある1人に過剰に感情移入するのではなく、複数の人間が生み出すコミュニケーション、つまり人と人と間に生まれる肉眼では見えないものに注意を払って、味わうができるように思います。

 ここからネタバレします。 

 自閉症の5歳の息子を持つ心理学者は、自閉症のボノボをたくさん作って実験・研究をしたいと望んでいます。でも、ボノボは人間の祖先である類人猿から派生した動物であり、それはつまり人間と同じであると考える研究者もいます。では、人間とサルの境い目ってどこなのか?
 「DNAで比較すると人間とサルはほぼ同じ生き物だけれど、心理学的にはかけ離れている」等の、科学者たちのセリフに注意深く耳を傾け、目の前にいる役者と自分自身(=人間)について当てはめて考えを巡らせました。

 終盤のシーンで心理学者が突然、猿に変身します。あの凶暴なぎらぎらした目!豊かな毛が生える胸元!野獣を目前にした(と、とっさに感じた)恐怖と、そこに居るのは役者(人間)であるという事実を同時に認識して、頭がクラクラしました。

 ボノボの研究者(女)と言語学者(男)の夫婦が同じ職場で働いています。妻は、オスロで6歳の娘が肺炎をこじらせて死んだことを、その時、娘と一緒に居た夫のせいだと思っています。彼女の方は、ジャングルでチンパンジーを追うことに没頭していたのですが(その時起こった事件のせいで、彼女はボノボ研究へと移らされます)。

 夫は同僚に「彼女(妻)はいつも僕に怒っている」と言い、妻は「サル(ボノボだったかゴリラだったか忘れました)のメスは、恨みを持ったら絶対に許さない」と言います。ちょっとした口ゲンカをした男の研究者たちが、すぐに仲直りするシーンがその間に挟まれており、巧みな構成だと思いました。
 人間もサルも、男は自由に行動して発散するから許すことができるけれど、女は周りに気を使って我慢をするから、「許さない」ということになるんですね。妻役の女優さんがにっこり、さらりと「メスは許さない」と言っていた、あの顔が忘れられません。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:ステファン・オリヴィエ 多田淳之介 ゲスト:岡田利規(チェルフィッチュ) 通訳:サラ・ヤンセン

 岡田さんは「作品が観客にウケているかどうかよりも、上演されている場所(国)で、どのように受け止められているのかに興味がある。」とおっしゃっていたように思います。

 私のような演劇ヲタク(笑)には「この濃密さがたまらない!」と嬉しくなる内容でしたが、一般の方には意味がわからなかったんじゃないかな・・・。
 通訳のサラさんの柔らかな日本語がすごいです。ロジックだけで話していないんです。体ごと日本になったみたいな感じ。やっぱり語学の才能が豊かな人っているんだなーっ!

出演:ベルナルド・ブルーズ、ミゲル・デクレール、ギイ・デルムル、ステファン・オリヴィエ、ウィリー・トーマス、ミック・フェルディン
作:平田オリザ 演出:王立フランドル劇場(KVS)&トランスカンカナル ドラマツルギー、オランダ語・英語翻訳:サラ・ヤンセン フランス語翻訳:ローズマリー・マキノ・フェイヨール 美術:バート・ルイパード&レオ・デ・ニィジ 照明:ハリー・コール 衣装:ティスサ・ストリペンズ ツアーマネージャー ニコル・プティ セリーヌ・ロンション 製作:ベルギー王立劇場&トランスカンカナル
【発売日】2008/07/19 予約・当日共=3,000円 KISSセット券=8,000円(電話予約のみ)(日時指定・全席自由・整理番号付)◎フラマン語・ワロン語上演/日本語字幕付
※ポストパフォーマンストーク【9月10日(水)19:30】ステファン・オリヴィエ×多田淳之介 ゲスト:岡田利規(チェルフィッチュ)
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/kvs.html
http://www.kvs.be
http://www.transquinquennal.be


※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 12:27 | TrackBack

【写真レポート】王子小劇場「佐藤佐吉演劇祭2008・後夜祭」09/09王子小劇場

20080909_utage.JPG
エントランス前の「宴」プレート

 2008年6月から王子小劇場で開催されておりました「佐藤佐吉演劇祭2008」が、9/9(火)の後夜祭での各賞の受賞者・受賞団体の発表をもって閉幕しました。

 ⇒記者発表写真レポート
 参加団体のレビュー⇒

 ※情報はシアターガイド賞選考ブログより。写真を追加しました!大きさがまちまちですみません、技術不足です・・・(2008/09/14)。

 ⇒演劇祭公式ブログ(飛鳥高校演劇部感想リレーあり!)

ROBOT(発表順)

 株式会社ロボットの映像作品にいずれ出演してもらいたい俳優を選出。
 審査員:本広克行監督はじめ、株式会社ロボット関係者

【reset-N】松下好(エグゼ)
【劇団競泳水着】清水那保(DULL-COLORED POP)
【劇26.25団】長尾長幸(劇26.25団)
【柿喰う客】佐藤みゆき(こゆび侍)
【smartball】遠藤留奈
【smartball】石井舞
【smartball】深谷由梨香(柿喰う客)
【空想組曲】中田顕史郎
【柿喰う客】玉置玲央(柿喰う客)

松下好さん↓
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清水那保さん↓
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石井舞さん↓
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深谷由梨香さん↓
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中田顕史郎さん↓
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玉置玲央さん↓
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こりっち ⇒ 【柿喰う客】

 参加団体のホームページをはじめ、Web上のプロモーションを総合的に審査。選出された1団体の次回公演バナーが、CoRich舞台芸術!TOPページに掲出されます。※どの公演を対象とするかは、劇団とこりっち(株)が相談して決定。
 審査員:株式会社ジョブウェブ代表取締役 佐藤孝治氏
 (王子小劇場のオーナー企業・佐藤電気株式会社の創設者 佐藤佐吉氏の孫)

シアターガイド ⇒【柿喰う客】

 シアターガイド編集部がすべての公演を観て、取材をしたいカンパニーを選出。「脚本」「演出」「俳優」「舞台美術」「(知人・友人への)おすすめ度」「期待度」「取材したい度」の7項目を軸に、作品への評価を審査員3人で話し合ったそうです(こちらより)。
 審査員:シアターガイド編集部(鈴木理映子/小林靖弘/巽大介)
 副賞:シアターガイドの人気コーナー「わたしの今月」に1年間執筆する権利と、シアターガイド・ホームページに劇団主宰のインタビュー記事を掲載。

 「断トツで柿喰う客でした。対抗馬が居なかったことが残念」(小林氏談)

中屋敷法仁さん(柿喰う客)↓
satosakichi2008_norihitoN.JPG


■シルバーフォックス賞(発表順)
 観劇通が役者・スタッフを問わず今後に期待する若手演劇人を選出。
 審査員:王子小劇場が依頼した観劇通のお三方
 副賞:図書カード(協賛:シアターガイド)

【劇団競泳水着】梅舟惟永(ろりえ)
【柿喰う客】佐藤みゆき(こゆび侍)
【スパンドレル/レンジ】美術・art-pine
【柿喰う客】堀越涼(花組芝居)
【空想組曲】美術・松本わかこ
【劇団競泳水着】細野今日子(カカフカカ企画)

堀越涼さん↓
satosakichi2008_ryoH.JPG

細野今日子さん↓
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■ゴールデンフォックス賞 ⇒【smartball】
 演劇祭の全演目を見た観客が、演劇祭で最も面白かった作品、最も印象に残った作品に一人1票を投じ、最多得票カンパニーを選出。純粋な観客賞。
 審査員:キャッシュバック企画で全ての公演を観た観客と、劇場支援会員で全ての公演を観た観客(合計41名だったと思います)。
 トロフィーと賞状、副賞として現金10万円を贈呈。協賛は東京コカ・コーラボトリング株式会社。

 ※smartball主宰・名執健太郎さんの代理で、制作の山田恵理子さんが賞を受け取られました。

 王子小劇場につどう演劇関係者とたくさんお話させていただき、楽しい時間を過ごしました。

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 それにしてもシアターガイドの編集者が3人も観に来て、全てについてレビューを書いてもらえるなんて、なんと恵まれているんでしょう!
 そして映像分野のプロの方々からも「いつか仕事をしましょう」とラブ・コールがあって・・・♪

 次の佐藤佐吉演劇祭は2年後に開催予定だそうです。この演劇祭により注目が集まり、参加することが小劇場界の1つのブランドになればいいですね。一観客の立場としても応援していきたいと思います。

satosakichi2008_audience2.JPG

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Posted by shinobu at 11:36 | TrackBack

2008年09月10日

映画「たみおのしあわせ」(脚本・監督:岩松了)

 岩松了さんが脚本・監督された映画「たみおのしあわせ」を観に行ってきました。ロードショーが終わる前に何とか駆け込み鑑賞。

 小さな映画館で声を殺しながら笑って、ヘンなところでじわじわ涙して。あ~・・・面白かった。
 プログラムに載っている結婚にまつわる偉人の格言集がすごくためになりました。

 人間の汚さ、情けなさにあきれて、ため息と一緒に笑いが吹きこぼれてしまう。
 泥沼から逃げて生きる方法を探すなんて無謀でばかげてるかもしれない。でも、それを求める気持ちはきれい。

 ここからネタバレします。

 民男「あんな走りやすい靴、初めてだよ。」で爆笑。
 最後は幻想的で、神話みたいだった。

出演: オダギリ ジョー/麻生久美子/原田芳雄/大竹しのぶ/小林薫/忌野清志郎/石田えり ほか
監督・脚本: 岩松了 (C)2007『たみおのしあわせ』フィルムパートナーズ
http://tamiono.jp/

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Posted by shinobu at 14:37 | TrackBack

2008年09月08日

【情報】CoRichスポンサード公演・渡辺源四郎商店「どんとゆけ」チケットプレゼント申し込み受付中!

 「CoRich舞台芸術まつり!2008春」グランプリを受賞した渡辺源四郎商店の新作「どんとゆけ」は、100万円スポンサード公演です。

 青森でのグランプリ授賞式に参加して、東奥日報の取材を受けました(⇒fringe blog)。スポンサード公演特設サイトにその記事の写真が掲載されています。

 ■スポンサード公演「どんとゆけ」(青森・東京公演)のチケットプレゼントのお申し込みは、ただいま受付中!
 ※申込締切⇒【青森公演】9/18(木) 【東京公演】10/6(月)

 アトリエグリーンパークではちょうど『修学旅行』が上演されており、テレビカメラが数台並んで撮影をしていました。全国ネットで放送されるそうです。

 ■民教協テレビ番組「発見!人間力
  第24回「演じて考える平和~人って、なんで争うの?~」
  2008年9月29日(月)10:25~10:55 青森放送(青森県内)
  2008年10月11日(土)6:00~6:30 テレビ朝日(全国ネット)

Posted by shinobu at 20:12 | TrackBack

青年団『「ヤルタ会談」+特別企画「森の奥」リーディング公演』09/05-07アトリエ春風舎(キスフェス1)

 メルマガ2008年9月号でご紹介しておりました、青年団こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスフェス」が開幕しました。

 6演目+αのトップバッターは、『ヤルタ会談』(⇒過去レビュー)と『森の奥』リーディング(A、Bのダブルキャスト)のセット公演。上演時間は約2時間20分(途中10分の休憩を含む)。

 ステファン・オリヴィエさん(トランスカンカナル)とフェスティバルディレクターの多田淳之介さんとのトークを目当てに千秋楽に伺いました。リーディングはAチームを拝見。

 ⇒CoRich舞台芸術!「『ヤルタ会談』+特別企画『森の奥』リーディング公演

 来日する海外のカンパニーへのリスペクトを込めて、日本のカンパニー(青年団・東京デスロック)が彼らの作品と対になる作品を上演するという、ラインナップ自体が国際交流している企画です。さまざまな国の作品がただ並べられているのでなく、作品同士が対話をする仕組みになっているんですね。それらを観る観客は、自ずとその対話に参加することになります。

 多田さんがパンフレットに書かれているように、世界で何百年も愛されている「演劇」を一緒に楽しむことで、つながりを実感できれば、それで大成功。観客はただ観て、感じるだけでいいんだと思います。

■『ヤルタ会談』
 スターリン(松田弘子)、ルーズベルト(高橋緑)、チャーチル(島田曜蔵)が登場する短編三人芝居。第二次世界大戦終結間際に開かれたヤルタ会談を思いっきり皮肉って、笑いもいっぱい。笑っていられないんだけど、笑っちゃう。笑いながら、冷静に考える。ぜひ友達、恋人、家族と一緒に観たい作品ですね。

 「まんがパレスチナ問題」(山井教雄著・講談社現代新書)を読んでいて良かった。

 ↓アトリエ春風舎に飾られた「ヤルタ会談」原画とチラシたち(劇団関係者より写真を頂戴しました)。
kissFesBoard_review.jpg

■『森の奥』リーディング公演(Aチーム)

 『元ベルギー領コンゴに生息する類人猿「ボノボ」を飼育する人々の姿を描いた新作(公式サイトより)。』です。

 白衣を着た役者さん6名が、テーブルを囲んで静かにセリフを読みます。それぞれが猿のぬいぐるみを手に持って、登場人物の動作をぬいぐるみで表現します。これが可愛らしいし可笑しい。
 ※“猿の毛皮を着たムーミン”を持っていた人が1人いました(笑)。あの人が科学者じゃないからかしら。

 ここからネタバレします。

 「ボノボは乱交型で、子供の父親が誰かわからないから(自分の子供かもしれないから)子殺しが起きない。」など、研究でわかった事実を語りながら、科学者が猿の性交をぬいぐるみで表現します。役者さんが実際にやるとどうなるのかわかりませんが、人形で示すことで想像力が増してエッチだったかも(笑)。

 人間は動物とどこが違うのかと直接問われる題材に、めっぽう弱い私です。科学者たちの私生活の問題(5歳の息子が自閉症など)と、類人猿が二足歩行を始めた原始時代の絵が頭の中で交差して、涙がこぼれました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:ステファン・オリヴィエ(トランスカンカナル)/多田淳之介(「キスフェス」フェスティバルディレクター)/通訳:サラ・ヤンセン

 観客「平田オリザさんに戯曲執筆を依頼した経緯・理由を教えてください。」
 ステファン「1998年にサッカー選手権がフランスで行われた時、その選手権に参加する38カ国の演劇作品も上演されました。その中の日本代表が青年団『東京ノート』だったのです。私たちの作品もベルギー代表に選ばれて上演されました。『東京ノート』をぜひ上演したいと思ったのですが、私たちにとって大人数の芝居は(上演が)難しいので、少人数の新作を書いていただくようお願いしました。たまたまあの時、日本とベルギーがめずらしく(笑)サッカー選手権に選ばれていたおかげです。」
 多田「サッカー選手たちのおかげですね(笑)。」

 多田「日本で演劇をやっていくことは経済的に楽ではないのですが、ベルギーはどうですか?」
 ステファン「国から援助(助成金)はもらっていますが、その分配方法に問題があると思っています。」

青年団こまばアゴラ劇場国際演劇月間「キスは何回?」フェスティバル 愛称「キスフェス」!!!
■『ヤルタ会談』 作・演出:平田オリザ
出演:松田弘子 高橋緑 島田曜蔵
■特別企画『森の奥』リーディング公演 脚本:平田オリザ 演出:多田淳之介
【出演】<A>松田弘子 永井秀樹 木崎友紀子 安倍健太郎 森内美由紀 海津忠 <B>木崎友紀子 安倍健太郎 森内美由紀 海津忠 桜町元 中村真生
舞台美術:杉山至 照明:岩城保 装置:濱崎賢二 『ヤルタ会談』字幕テキスト翻訳:松田弘子 コーディ・ポールトン
【発売日】2008/07/19 予約・当日共=2,000円 KISSセット券=8,000円(電話予約のみ)(日時指定・全席自由・整理番号付)◎『ヤルタ会談』=英語字幕付
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/kissfes.html
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/yalta.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 13:24 | TrackBack

【書籍】山井教雄 著「まんが パレスチナ問題」 (講談社現代新書)

 紀元前19世紀から現代にいたるまでのパレスチナについて解説してくれます。歴史上の人物(イラスト)が語る形式ですので、視覚的にも頭に入りやすかったです。

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)
山井 教雄
講談社
売り上げランキング: 50046

 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の違いについての簡潔な表は瞠目モノ。小・中・高と歴史を習ってきたけれど、何も知らなかったんだな~・・・。

Posted by shinobu at 11:29 | TrackBack

2008年09月06日

ひらり、空中分解。『5GB~Five Guys Burger for seat~』09/03-07赤坂RED/THEATER

 ひらり、空中分解。は1999年から活動している男優5人組のエンターテインメント集団。脚本は金津泰輔さん、演出は郷田ほづみさんが手がけられています。今回初めて伺いました。

 開演前のアナウンスで、劇場の上にある赤坂グランベルホテルの紹介をされていて、「こういうの、良いな~」と思いました。赤坂RED/THEATERは赤坂の町に根ざして舞台芸術を発信していくおしゃれな小劇場ですものね!

 上演時間を失念。シアターガイドによると約1時間30分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『5GB

 ≪あらすじ≫
 荷物を盗まれて一文無しになった運の悪いカップル、盗んだ宝石の取引をしようと奔走するギャングの兄弟、元女優と彼女のスクープ写真を撮ろうとするカメラマンらの騒動が、ニューヨークを舞台にゆるやかにつながっていく。
 ≪ここまで≫

 ニューヨークの風景写真が舞台中央のスクリーンに映写される中、3つのエピソードがつながっていくわかりやすいコメディーでした。いつもは1幕1場のシチュエーション・コメディを上演されているそうですので、今回はいわば違うスタイルへの挑戦だったようですね。

 最後まで観てやっと全体の構造がわかる、上手に計算された脚本でした。あるシーンが演じられる横で、そのシーンに関係があるエピソードが再度演じられますので、どこでどのようにつながるのかがよくわかりましたし、演劇的な効果としても面白みがあったと思います。ただ、演技についてはコント風と言うか、説明およびネタのための形式ばったものに見えることがあり、私には少々物足りなかったです。

 ここからネタバレします。

 それぞれのエピソードが違う場所で同じ時刻に起こっているかと思いきや、実は時間のズレがあって、観光用ボートの案内人(坂本充広)だけが3つの話の全てと直接的な関わりを持っていたことが最後に明かされます。

 ひらり、空中分解。の方々が演じる“Five Guys Burger”というグループが歌うライブ・シーンでは、おそらくアドリブでオオギリのようなことをされていました。プロのお笑い芸人さんみたいにボケ・つっこみが気持ちよく入っていました。中でも「さんろく、ふ」が一番可笑しかったです。
 元女優を演じられた枝元萌さんは、ご自身の魅力をばっちり生かした演技をされていて面白かったです。

ひらり、空中分解。vol.15
出演:ひらり、空中分解。(八幡朋昭・大波誠・若山慎・坂本充広・松川貴弘) ゲスト:山口景子(バイ・ザ・ウェイ)・枝元萌(ハイリンド)
脚本:金津泰輔 演出:郷田ほづみ 照明:阿部由紀子 音響:斎藤裕喜 美術:小松うらら フライヤーデザイン:サイトールリ 舞台監督:金安凌平 制作:中野良恵 制作協力:SUI 企画・製作:ひらり、空中分解。 制作協力:融合事務所
【発売日】2008/07/27 前売り3500円、当日3800円 全席指定
http://hirari.com/

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Posted by shinobu at 22:45 | TrackBack

新国立劇場演劇研修所トライアル公演『ラヂオ・ドラマON STAGE!「首の飛ぶ女」』09/06新国立劇場演劇研修所

 新国立劇場演劇研修所3期生有志によるラジオ・ドラマの舞台化トライアル。上演時間は約20分。

 ≪「首の飛ぶ女」あらすじ≫ パンフレットより
 父のところに、ある日Kという友人が尋ねてきた。中国から引き上げてきたというその友人は、問われることもなく、中国からつれてきた美少女との隠微な関係を語り始める。しかし、その美少女はやがてある男が好きになる。嫉妬に駆られた男がしてしまったことは・・。残された娘が語るその父とKの凄惨な物語。
 ≪ここまで≫ 

原作:倉橋由美子『倉橋由美子の回帰掌編「首の飛ぶ女」』(新潮社刊)より
【出演:新国立劇場演劇研修所3期生】娘:熊坂理恵 父:長元洋 K:若菜大輔
構成演出:新国立劇場演劇研修所 照明:鈴木良苗 生音効果音:野村真理・辻村優子
http://www.nntt.jac.go.jp/training/drama/index.html

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Posted by shinobu at 17:50 | TrackBack

2008年09月05日

東宝『青猫物語』09/05-28シアタークリエ

 北村有起哉さん、黒谷友香さん主演のラブ・コメディーです。上演時間は約2時間30分(途中20分の休憩を含む)。

 久しぶりにシアタークリエに伺いまして、快適に過ごさせていただきました。場内案内の女性がとても親切でほがらかですし、休憩時間は外に出てスターバックスでゆったり(笑)。2度目にしてシアタークリエの楽しみ方がわかったかも。雨が降ったらどうなるかわかりませんが・・・。

 ⇒CoRich舞台芸術!『青猫物語

 ≪あらすじ≫
 昭和8年の築地。カフェ青猫に住み込む自称ダンサーのそら(黒谷友香)と、築地小劇場で演出をしている新劇青年・八起静男(北村有起哉)の恋の行方は?
 ≪ここまで≫

 舞台はレトロなカフェ。マスター(きたろう)が観客に話しかけるタイプのとても親しみやすい構造です。
 すんなりうまく行くかと思いきや、悪いタイミングが重なってなかなか結婚できない2人。北村さんの細やかな演技の七変化が面白いです。年配のお客様の心もしっかりつかんだようですね。

 北村さんと黒谷さんは背の高さもいいバランスで、恋人同士にはぴったりでした。今さら言うことじゃないですが、黒谷さんは本当にスタイル抜群ですよね!お顔もきれいだし、演技も可愛らしい。眺めてるだけでプチ幸せ気分。カーテンコールの挨拶でもひたむきさが伝わってきました。

 S席8,800円とお高い公演ですが、こういうのもたまにはいいなと思えました。初日ということもあり、出演者の必死さが表に出ていたのも私好みだったのだろうと思います。

 ここからネタバレします。

 八起が東郷平八郎に変装している時間がけっこう長くて、一体どうなるのかな~と少し不安に。なるほど、この役は演技派でコメディーのセンスがある方じゃないとできないですね。

 そらの弟のチンピラ(橋本淳)が女学生に本気でホレてしまい、「本当は帝大の学生じゃない」と告白します。それが東郷元帥に変装している八起にも重なるのが上手い仕掛けになっていました。

 演劇の上演台本に検閲が入り、突然俳優が特高にしょっぴかれる、言論の自由がない昭和初期。赤紙が来たら若い男たちは召集されていきます。そんなエピソードがサラっと挿入されていて、胸が傷みました。今、こんなことが起こったらと想像するとぞっとします。

 黒谷さんの衣裳は基本的にスタイルがよくわかるドレスやネグリジェで、眼福。ただ、最後に着る巨大な青いリボンを胸につけた白いドレスはちょっと・・・意図がわかりませんでした(笑)。

出演:北村有起哉 黒谷友香 きたろう 近江谷太朗 岸博之 小須田康人 橋本淳 北村岳子 富田麻帆 山下裕子 荒井正樹 小椋毅 佐藤淳 本田誠人 石田佳名子 岡村さやか 関谷春子 羽柴真希
脚本:マキノノゾミ 演出:山田和也 音楽: 川崎晴美 美術: 中根聡子 照明: 宮野和夫 衣裳: 木村猛志 ヘアメイク: 宮内宏明 音響: 本間俊哉 演出助手: 福原麻衣 プロデューサー: 横田優希 製作: 東宝
【発売日】2008/06/28 S席:8,800円/青猫シート:6,800円(全席指定・税込)
http://www.tohostage.com/aoneko/index.html

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Posted by shinobu at 23:02 | TrackBack

Studio Life『マージナル』08/28-09/28紀伊國屋ホール

 男優集団Studio Lifeが萩尾望都さんの漫画『マージナル』を舞台化しました。⇒製作発表写真レポート

 スタートとゴールは同じですが、道筋が違うという仕組みの2本立て公演です。どちらを観ても舞台『マージナル』をひととおり鑑賞することができますが、両方観るとさらにその世界が深まるんですね。

 グリンジャ、キラ、アシジンが活躍するのが「砂漠編」、メイヤードが中心になるのが「都市(シティ)編」です。メインの3役が“womb(ウーム)”と“uterus(ジュテレス)”の2チーム・ダブルキャストになっていますので、全種類観るなら劇場に4回通うことになります。

 興味はあるけどまだチケットを取っていない方は、お気に入りの役者さんがどのチームのどの役で出演するのかを早めにチェックして、スケジュールを立てることをお薦めします。公演終盤になって「あ、この日空いてる!」と思っても、すでに観たバージョンだったりすると悲しいんですよね~(苦笑)。
 ※私はuterusチームの「都市編」を拝見しました。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『マージナル

 いつもながら原作をとても大切にしていて、「ここがこの漫画の肝だ!」というところをはずさない。ファンの気持ちを汲んでくださっている脚本・演出だと思います。倉田さんご自身が原作をとても愛してらっしゃるのでしょう。取りこぼすことなくまとめようという気持ちが伝わってきます。ただ、あまりに見どころの多い作品ですので、少々長いと感じることもあり。

 人物が袖から登場して短いシーンを演じて、すぐにまた袖にはけることが繰り返し続きます。そうならざるを得ないのは理解できますが、場面転換の時間をもっと詰めてもいいんじゃないかと思いました。

 んー、やっぱり砂漠の三人組が観たいな~。グリンジャがほとんど出てなかったし。

 劇場ロビーの物販スペースが豪華に装飾されていて驚きました。「マージナル」と「シティ」の紋章(?)の刺繍がされたタオルのハンカチが可愛かった。
 終演後は客演の渡部紘士さんがブースに入って、ご自身の写真集を販売してらっしゃいました。お客様と握手しておしゃべりしての大盤振る舞い。

 ここからネタバレします。

 腐って赤くあわ立つ映像と、青くゆらめく映像とがまざる海の中で、キラ(松本慎也)が海と一体になる演出が良かったです。
 林勇輔さんのセンザイマスターがキュートでした。奥田努さん演じるネズもブっ飛んでて面白かった。

出演:笠原浩夫、曽世海司、岩﨑大、仲原裕之、荒木健太朗、松本慎也、青木隆敏、三上俊、林勇輔、舟見和利、前田倫良、奥田努、篠田仁志、吉田隆太、原田洋二郎 神野明人 緒方和也 石井昭裕 渡部紘士(客演)、山﨑康一、石飛幸治、藤原啓児、河内喜一朗
原作=萩尾望都 脚本・演出=倉田淳 美術=松野潤 照明=森田三郎 森川敬子 舞台監督=本田和男(ニケステージワークス) 音響=竹下亮(OFFICE my on) ヘアメイク=角田和子 衣裳=竹原典子 アクション=渥美博 舞台監督助手=倉本徹 美術助手=渡辺景子 演出助手=平河夏 荒川真寿恵 宣伝美術=河合恭誌 菅原可奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真=薮田修身 小道具=高津映画装飾 大道具製作=俳優座劇場 デスク=大野純也 大谷容弘 熊田美波 山﨑みれい 制作=稲田佳雄 揖斐圭子 麻場優美 大田香織 小山智子 瀬津丸砂織 若松美香 制作協力=東容子 縄志津絵 宮澤有美 小泉裕子 八木美穂子 宣伝PR=る・ひまわり 主催:テレビ東京・Studio Life 企画・制作=Studio Life プロデュース:河内喜一朗
【発売日】2008/06/29 (全席指定/税込) 前売¥5,200 当日¥5,400 セット券(「砂漠編」「都市編」を一度に購入した場合)¥10,000(劇団前売販売のみ) 学生割引¥3,000 (要学生証。劇団前売販売のみ) ※学生割引券の取り扱いは劇団通常電話予約(7/2 13:00~)以降となります。
http://www.studio-life.com/stage/marginal/index.html

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Posted by shinobu at 11:48 | TrackBack

【情報】ポケットメディアスタンド“Caution!”を見つけました

20080904_choice.jpg
PMS

 駅前劇場とOFF OFFシアターの間に白い物体を発見!「ポケットメディアスタンド“Caution!”」(PMS)です(折込チラシのサービスなどを行っているネビュラエクストラサポートが管理)。⇒fringe blog

 PMSのポケットに入っている情報誌「Choice!」(vol.0)では、お薦めの舞台と映画が2本ずつ紹介されていました。
 私はいつも舞台ばかりチェックしているので、専門家が厳選した映画を紹介してもらえるのは嬉しいです。映画「僕のミライへの逆回転」は観たいな~。舞台の紹介文は舞台公演を観たことがない人向けに書かれていて新鮮。映画ファンの方が映画館で手にとって読んでくれたらいいな~。
 ※映画情報執筆:相田冬二 舞台情報執筆:徳永京子

 PMSは劇場だけでなく映画館にも設置されます。舞台ファンと映画ファンをつないでお互いにメリットになればいいですね。
 ※駅前劇場とOFF OFFシアターの間にPMSが置かれるのは、クロカミショウネン18『祝/弔』が終わる9/15(月・祝)までです。

Posted by shinobu at 11:02 | TrackBack

2008年09月04日

クロカミショウネン18『祝/弔(弔)』09/04-15 OFF OFFシアター

 野坂実さんが作・演出される劇団クロカミショウネン18が、下北沢の駅前劇場とOFF OFFシアターで2作品(両方新作)を同時上演。OFF OFFシアターで「弔(とむらい)」を拝見しました。上演時間は約1時間45分。

 隣り合う場所で同じ時刻に起こる騒動を、2つの劇場を使って描くドタバタ・コメディーです。そんなに数は観てないんですが、今まで観たクロカミショウネン18の作品の中で、一番笑っちゃいました。

 9/8日(月)19:30と9/11日(木)19:30には前回公演の上映会もあります。

 役者さんが走りまくる稽古場予告編映像↓が面白い!上演中に劇場の外が観たい(無理だけど・笑)。
■クロカミショウネン18「祝/弔」予告編

 
 ⇒CoRich舞台芸術!『祝/弔(弔)

SHIMOKITAZAWA 2PLAY BUT 3PLAY? PROJECT 2ND ACT・2劇場連携使用&同時開演公演(公開ゲネプロ)
出演:吉川アダム/加藤裕/渡辺裕也/久米靖馬/ワダ・タワー(以上、クロカミショウネン18)
/日ケ久保香/太田鷹史(スターダス・21)/岡田梨那/古賀亜矢子/松岡努/山田留美(スターダス・21)/遠藤祐生/小山志保/神崎友里/清水智子/杉本政志/中泉裕矢(Oi-SCALE)/高橋美津子/長谷川恵一郎(くろいぬパレード)/細身慎之介(劇団上田)/米田弥央(カムカムミニキーナ)/関根信一(劇団フライングステージ)/猪股俊明
脚本・演出:野坂実 美術:加藤ちか 照明:黒尾芳昭(Azure) 音楽:北原慎治(ダムダム弾団) 音響:平井隆史(末広寿司)・はらことり 衣裳・メイク:中西瑞美 舞台監督:大友圭一郎・鳥養友美 照明操作:工藤雅弘(Fantasista?ish.)・吉村愛子(Fantasista?ish.) 宣伝美術:立花和政 演出助手 北川翔子・寺田千晶 舞台写真:鏡田伸幸 大道具:王様美術 小道具:高津装飾美術株式会社 稽古場:にしすがも創造舎 印刷:東京書籍印刷株式会社  制作協力:塩田友克(クロムモリブデン)・坂本あみ・遠山ちあき 制作:大谷美有希 プロデューサー:樺澤良 企画・製作:クロカミショウネン18/劇団制作社
【発売日】2008/07/30 前売3,200円 当日3,500円 全席指定席 
http://www.ks-18.com

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Posted by shinobu at 17:58 | TrackBack

2008年09月03日

冨士山アネットproduce『EKKKYO-!』09/02-03ザ・スズナリ

 長谷川寧さんが主宰する冨士山アネットが、作品だけでなくその存在自体も個性的な団体ばかりを6つ集めたイベントです。

 タイトルの「EKKKYO-」の意味は「越境」ですが、色んな団体を集めて、その結果ジャンルを超えたイベントになるのではなく、そもそもジャンルを超えた活動をしている団体を集めたんですね。とても面白かったです。映像で観たことのあった夙川アトムさんを生で見られたのも良かった(笑)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『EKKKYO-!

 ここからネタバレします。上演の順番はうろ覚えです。ごめんなさい。

■夙川アトム
[ひとりコント“赤ずきんちゃん”]作・演出・出演 夙川アトム

 「ギロッポン」とか「ちゃんねー」とか。エセ業界人を思いっきりデフォルメ。ピンクのセーターを肩から掛けてるのが可笑しい。

■ピンク
[子羊たちの夕焼けボート]振付・出演:磯島未来 加藤若菜 須加めぐみ

 少女マンガ的スポ根系ダンス?音楽に合わせてかっこよく踊った後に、音楽なしでほぼ同じ振付で踊ったのがすごく面白かった。ダンスすることに溺れることなく、自分たちのパフォーマンスを客観的に見て、作品作りをされているように感じました。かっこ良かった。

■劇団山縣家
[ホームビデオ家族でスズナリ]出演:やまがたひろとも 山縣恵子 山縣太一 作・演出:やまがたひろとも

 以前に観たことがある演目でした。これぞ存在自体が強烈な個性である劇団。プロデューサーの長谷川さんによると、劇団山縣家のジャンルは“家族”(ポスト・パフォーマンス・トークより)。
 本当の家族が家族役を演じるという構造に、何度もうす笑いさせられる。お母さん役の方(本当にお母さんなんだけど)のソロダンスも良かった。

■快快
[いそうろう(リメイク.ver)]出演:大道寺梨乃 山崎皓司 原作:シノダ リメイク:北川陽子 演出:シノダ スタッフ:天野史朗 北川陽子 佐々木文美 篠田千明 藤谷香子

 こちらの公演で上演された戯曲のリメイク。今月また上演されます
 女2人芝居だけど登場したのは女と男。登場する2人の女のセリフは、ほとんど女優さんが一人でしゃべりました。つまり1人2役。男優さんは言葉は話さず身体表現で女優さんが演じる女の相手の女を演じます。
 舞台奥の大きなホリゾント幕に映す映像も雄弁。快快らしい演出でした。

■夙川アトム
[ひとりコント“鍾乳洞ののろい”]作・演出・出演 夙川アトム

 お笑い芸人が本番でしゃべってる最中、どんどこ歯が抜けていく。強引なボケ突っ込みやウケ狙いでなく、演技を重ねて笑いを作っていくので、私はとても好き。

■FUKAIPRODUCE羽衣
[お金の話しが終わったら]出演:伊藤昌子 日高啓介 鯉和鮎美 高橋義和 澤田慎司 西田夏奈子 深井順子 作・演出・音楽:糸井幸之介 演出助手:井出智子 衣裳:吉田健太郎(yu-GEN CRaFTS)

 男女があけっぴろげにセックスしまくってて、歌でもセックスセックス歌ってるよ・・・。でも最後は感動して泣いてしまった。しゃかりきに叫ぶ歌がいいですね。歌詞もロマンティック。誰か(歌手とかアイドルとか)に楽曲提供したらいいのにな~。
 「本公演に行ってみようかしら・・・」と考える自分が怖くもある(笑)、まさに“リトマス試験紙”的な団体。

■夙川アトム
[ひとりコント“浦島太郎”]作・演出・出演 夙川アトム

 再びエセ業界人で登場。最初よりキレが良かったです。紙芝居の紙をめくって「バーン!(だったかな?)」と大声を出して体を開く演技が面白い。長谷川さんにはこういうところが“ダンス”に見えたそうです(ポスト・パフォーマンス・トークより)。

■冨士山アネット
[行方知れず]出演:小椎尾久美子 山本伸一(BQMAP) 石川正義 長谷川寧 作・演出・振付:長谷川寧 音楽監督:吉田隆弘 衣裳:竹内大悟 大久保美彩

 「藪の中」をもとにしたダンス・パフォーマンス。脚本を書いてから創作をされるそうなので、実は演劇と言えるかもしれないんですね。
 表が白で裏が黒のビスケットの個数を数える(実は5個あったんですが、今は4個しかない等)。白と黒の衣裳を着た男3人、女1人が互いに影響を与え、受けながら踊ります。

≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:夙川アトム ピンクのメンバー1名(加藤若菜さんだったと思うのですが・・・) 山縣太一 篠田千明 糸井幸之介 長谷川寧(司会)

 夙川アトムさんがいいところで盛り上げて、散らばった話もきれいにまとめられて、さすがは芸人さんだな~と思いました。

出演:冨士山アネット・快快・劇団山縣家・ピンク・夙川アトム・FUKAIPRODUCE羽衣
企画/構成:長谷川寧 舞台監督:中西隆雄 照明:奥田賢太(colore) 映像:浦島涼(PUREDUST) 音響:楠瀬ゆず子 宣伝美術:京(kyo.designworks) 撮影:山本晃久(月と太陽製作所) スチール撮影:松本和幸 制作:大石丈太郎+冨士山家 主催:冨士山アネット
【発売日】2008/07/19 一般 前売2800円 当日3000円 学生2500円(前売・当日共/要学生証提示)
http://fanette.fc2web.com/

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Posted by shinobu at 21:51 | TrackBack

スロウライダー『トカゲを釣る-改-』09/02-07 THEATER/TOPS

 山中隆次郎さんが作・演出されるスロウライダー。チラシのデザインがかっこいいですよね~。
 2006年に上演された『トカゲを釣る』の再演かと思いきや、『-改-』とありますように完全な新作でした。上演時間は約2時間強。

 「あぁ、今わたしはTOPS(THEATER/TOPS)の芝居を観てる!」とお芝居の途中で実感して、嬉しくなりました。作り手が独自の世界観を堂々と示し、やりきって、観客も“ムチャな設定”“ありえない展開”を進んで受け入れて、身を乗り出して楽しむ感じ。
 SFホラー的要素が濃いのでお好みは分かれると思いますが、私は充実の観劇ができて面白かったです。役者さんも見ごたえがありました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『トカゲを釣る-改-
レビューは後ほどアップ予定。

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 製薬会社の工場町として栄えた地方都市、串浦。
 地元住民が近づかない山奥に、ひっそりとその施設はある。
 老朽化した施設が、そもそもなんの目的で、何者によって建てられたのか、
 地元住民の口伝いに、その存在は噂として様々に囁かれたが、そのどれもが憶測の域をでない類いのものだった。
 施設で働く人間が、日が落ちるのを待って、隠れるように山から降りてきては串浦の町に紛れ込んでいると、妖怪かマタギようにも言われるが、やはり実際に施設の人間と会った者はない。
 施設の正門は、いつでも固く閉ざされている。
 私の友人は、その施設にもう、10年ちかく閉じ込められている。
 ≪ここまで≫ 

出演:數間優一、芦原健介、日下部そう(ポかリン記憶舎)、金子岳憲(ハイバイ)、町田水城(はえぎわ)、大和広樹、中川智明、遠藤留奈、岡村泰子(きこり文庫)、林灰二(oi-scale+灰spec(s))、泉陽二
脚本・演出:山中隆次郎 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏(At Sound) 音楽:山野井譲 舞台監督:西廣奏 演出助手:田中慎一郎 宣伝美術:上田大樹 web運営/栗栖義臣 記録・映像:トリックスターフィルム 記録・写真:西田航 制作協力:スギヤマヨウ(QuarterNote) 制作補:池田智哉(feblabo) 企画・製作:スロウライダー
【発売日】2008/08/02 平日割引(火・水・木のみ要予約):3000円 前売・予約:3300円 当日券:3500円
http://www.slowrider.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:58 | TrackBack

2008年09月01日

俳優座劇場プロデュース『東京原子核クラブ』08/30-09/07俳優座劇場

 1997年に読売文学賞を受賞したマキノノゾミさんの戯曲を宮田慶子さんが演出。おととしの初演でメルマガ号外を発行しました。ハーフチケット(1日と2日) 2800円はオトク♪家族連れで伺いました。

 2006年版と比べて変わったように感じたところもありましたが、笑って、泣いて、考えて・・・やはり充実の、幸せの観劇でした。ご覧になったことのない方はぜひこの機会にどうぞ!上演時間は約2時間50分(途中1回の休憩を含む)。

 戯曲本は単行本も文庫本も発売されています。ロビーでは文庫本が発売中。

 ⇒CoRich舞台芸術!『東京原子核クラブ

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 昭和7年、東京本郷にある下宿屋「平和館」。理化学研究所に勤める若き物理学者・友田晋一郎は研究を諦め故郷に帰ろうとする矢先、提唱していた物理学上の仮説が認められ、研究所に残る決心をする。下宿に住むピアノ弾き、新劇青年、野球に熱中する東大生らと共に、愚かしくも美しい青春の日々が始まる。だが日本は少しずつ戦争に向かって歩んでいた……。
 1997年に読売文学賞を受賞した名作を、宮田慶子による新演出で2006年に上演。好評を受け再演が決定!!
 ≪ここまで≫

 同じ脚本で同じ演出家、そして数名を除いて同じキャストなのに、感じることは変わるものですね。作品についての感想は前回のメルマガ、レビューを参考にしていただけたらと思います。

 今回は・・・戦争で若者が死ぬことが、なんと理不尽なことだろうと強く感じました。なぜ赤紙が来たら兵隊にならなければいけないのか。なぜ女は「行ってらっしゃい」と見送らなければならないのか。“国が決めたことなのだから”とか“みんな同じなんだから”とか、「仕方ない」とあきらめるための理由はいくらでも見つけられます。でも「行きたくない」「死にたくない」という自分のエゴイスティックな気持ちこそ、信じるべきものじゃないかと思います。
 今さら何を言ってるんだろうと自分でも不思議なのですが、おそらく、おととしより私の中で危機感が強まっているからかもしれません。

 作品全体については、どちらかというと前回の方が良かったなと思いました。おそらく役者さんの演技の変化が原因ではないかと思います。声がつらそうな人が多かったんですよね。あと、見せるための演技をしている方も多い目だったような。たまたま私が観た回がそうだったのだと思います。

俳優座劇場プロデュースNo.78 ≪東京のあと、演劇鑑賞会ツアー≫
出演(配役順):田中壮太郎、石井揮之、若杉宏二、小飯塚貴世江、西山水木、田中美央、二瓶鮫一、檀臣幸、佐川和正、渡辺聡、外山誠二、佐藤滋
脚本:マキノノゾミ 演出:宮田慶子 美術=横田あつみ 照明=中川隆一 音響=高橋巖 衣裳=半田悦子 舞台監督=樽真治 演出助手=松森望宏 ピアノ=清水絵里子 イラスト=伊波二郎 宣伝美術=ミネマツムツミ 企画制作=俳優座劇場 
【発売日】2008/07/22 一般 5600円 ハーフチケット(1日・2日=★) 2800円 グリーンチケット 2800円(俳優座劇場のみ扱い)
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 23:04 | TrackBack

新国立劇場演劇研修所2期生 試演会2『テネシー・ウィリアムズの世界』08/29-31新国立劇場 小劇場

 2005年に開講した新国立劇場演劇研修所の2期生の第2回目の試演会です⇒予約情報 ⇒2期生の試演会1

 テネシー・ウィリアムズの短編3本立て(「バーサよりよろしく」「しらみとり夫人」「ロング・グッドバイ」)で、ダブルキャストです。初日にAキャスト、千秋楽にBキャストを拝見。戯曲本を読んでから伺いました。上演時間は約2時間弱(途中15分の休憩を2回含む)

 ⇒CoRich舞台芸術!『テネシー・ウィリアムズの世界

20080831Tennessee_Wiliams.jpg
劇場入り口の看板

 新国立劇場でプロのスタッフワークが味わえて、休憩時間が終わる度に新しい舞台装置が現れるんですから、無料公演だと思うとお得すぎます。
 初日は演技の硬さが目につきました。今回の収穫は、なかなか上演されないテネシー・ウィリアムズの短編を3作連続で見られたことかな・・・と思っていたのですが、千秋楽では忘れられなくなるであろう、劇的な瞬間を見せていただけました。

■バーサよりよろしく "Hello from Bertha"(1961年初演) 上演時間は約30分。
 ≪あらすじ≫ パンフレットより (役者名)を追加。
 セントルイスの場末の私娼窟。年増の娼婦バーサ([A]佐々木抄矢香[B]熊澤さえか)は具合が悪く、この二週間働いていない。女主人のゴールディ([A]滝香織[B]岩澤乃雅)は家賃の滞るバーサを追い出そうとするが、バーサは出て行こうとしない。とうとうゴールディが病院へ連絡したと聞いたバーサは、助けを求めようと昔の恋人チャーリーに手紙を出そうとする…。
 ≪ここまで≫

 今にも死にそうに苦しみながら感情のピンからキリまでを行ったり来たりするバーサ役は、女優さんにとって演じ甲斐のある役だと思います。
 【A】皆さん熱演でしたが劇の世界がぐっと温まる感覚が薄く、最後まで冷静に眺めることに。終盤にバーサが可愛がる同僚のリーナ(吉田妙子)が登場し、バーサとの関係に緊張感が見られて良かったです。
 【B】女主人ゴールディ役の岩澤乃雅さんが、冒頭から大迫力。バーサ役の熊澤さえかさんも、痛々しさがかなりアップ。[A]で吉田さんが演じたリーナと[B]で保可南さんのリーナが全く違う人物(性格)に見えたのが、とても面白かったです。吉田さんの方がしたたかな悪者のようで私好み。

■しらみとり夫人 "The Lady of Larkspur Lotion"(l949年初演) 上演時間は約15分。
 ≪あらすじ≫ パンフレットより (役者名)を追加。
 ニューオリンズのフレンチ・クォーターにある下宿屋。女主人のワイア夫人([A]岩澤乃雅[B]滝香織)が部屋代を徴収しにハードウィック=ムーア夫人([A]藤井咲有里[B]深谷美歩)の部屋を訪れるが、ゴキブリと部屋代を巡って押し問答となる。その騒ぎを聞きつけた別の部屋を借りている作家([A]角野哲郎[B]阿川雄輔)が仲裁に入るのだが…。
 ≪ここまで≫

 こんなにコメディ色が前面に出た演出になるとは、全く想像していませんでした。やはり戯曲本を読んだだけではわからないものですね(←私に読解力がないだけかも)。
 【A】好感は多いに持てましたが、決めた型にそって演じている感がぬぐえず、役者さんのがんばりを冷静に眺めることに。
 【B】ムーア夫人を演じる深谷美歩さんのコメディエンヌぶりが素敵でした。

■ロング・グッドバイ "The Long Goodbye"(1940年初演) 上演時間は約40分。
 ≪あらすじ≫ パンフレットより (役者名)を追加。
 小説家志望のジョー([A]宇井晴雄[B]西原康彰)は、今日まさに生まれ育った街を出て南米へ行こうとしている。友人のシルヴァ([A]遠山悠介[B]西村壮悟)は政府の失業対策事業の仕事を勧めるが、ジョーの決心は変わらない。そこへ運送屋がやってきて、次々と家具を運び出していく。病院に支払いが出来ないのを苦に自殺した母([A]深谷美歩[B]藤井咲有里)、母の死後堕落し家を出ていった妹のマイラ([A]保可南[B]吉田妙子)、そして行方不明の父…さまざまな思い出がジョーの胸をよぎる。やがて空になった部屋に別れを告げ、ジョーはゆっくりと出て行く。
 ≪ここまで≫

 やはりとても面白い戯曲だなと思いました。特にシルヴァという男性がどういう人物なのかがわからなかったので、こうやって演じて見せてもらえたことが大きな収穫。
 【A】ジョーとシルヴァの関係が太く見えてこなくて、表面を上滑りしたような感覚。妹マイラが衣裳・ヘアスタイルを変えて登場するのがやはり効果的。
 【B】母役の藤井咲有里さんの独白が素晴らしくて、ドライブ中の景色が鮮やかに浮かびました。マイラ役の吉田妙子さんのきめ細やかな変身っぷりがお見事。

※「テネシー・ウィリアムズの世界」配役表より
■「バーサよりよろしく」
【Aキャスト29日19時/30日14時】ゴールディ(女主人):滝香織 バーサ(年増の娼婦):佐々木抄矢香 リーナ(バーサの同僚):吉田妙子 若い女:熊澤さえか
【Bキャスト30日19時/31日14時】ゴールディ(女主人):岩澤乃雅 バーサ(年増の娼婦):熊澤さえか リーナ(バーサの同僚):保可南 若い女:佐々木抄矢香
■「しらみとり夫人」
【Aキャスト29日19時/30日14時】ハードウィック=ムーア夫人:藤井咲有里 ワイア夫人(下宿屋の女主人):岩澤乃雅 作家:角野哲郎
【Bキャスト30日19時/31日14時】ハードウィック=ムーア夫人:深谷美歩 ワイア夫人(下宿屋の女主人):滝香織 作家:阿川雄輔
■「ロング・グッドバイ」
【Aキャスト29日19時/30日14時】ジョー(小説家志望の青年):宇井晴雄 マイラ(ジョーの妹):保可南 母(ジョーの母):深谷美歩 シルヴァ(ジョーの友人):遠山悠介 ビル(マイラの男友達):阿川雄輔 運送屋1:角野哲郎 運送屋2:西村壮悟 運送屋3:西原康彰 運送屋4:米川貴久(3期生)
【Bキャスト30日19時/31日14時】ジョー(小説家志望の青年):西原康彰 マイラ(ジョーの妹):吉田妙子 母(ジョーの母):藤井咲有里 シルヴァ(ジョーの友人):西村壮悟 ビル(マイラの男友達):角野哲郎 運送屋1:阿川雄輔 運送屋2:遠山悠介 運送屋3:宇井晴雄 運送屋4:米川貴久(3期生)
作:テネシー・ウィリアムズ 翻訳:鳴海四郎「バーサよりよろしく」「しらみとり夫人」 倉橋健「ロング・グッドバイ」早川書房刊 演出:西川傷廣 美術:工藤明夫 照明:鈴木武人 衣装デザイン:出川淳子 メイク指導:川端室生 音楽:上田亨 音響:青木央 演出助手:田中麻衣子 舞台監督:米倉幸雄 演出部:大杉良 協カ:小島恵三子 舞合・照明・音響操作:新国立劇場技術部 シアターコミュニケーションシステムズ・レンズ(舞合:本庄正和 照明:矢場拓史 音響:黒野尚 デザイン:北村俊也 調整:久村泰代 大道具:細井敏之 大道具義作:C-COM 小道具:高津映圖装飾 鳥城清 履物:神田屋 スチール:落合高仁 制作:新国立劇場演劇研修所 研修所所長:栗山民也
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000134_training.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 20:49 | TrackBack

メルマガ 2008年9月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2008年9月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 52     2008.9.1  1,343部 発行

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   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
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 ◎秋の芸術シーズン開幕!9月は注目公演が目白押しです
  今年の秋も実り多い劇場体験が期待できそう♪

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
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 ◆1【今月のお薦め10本+α】
   
   ◎No.1→世田谷パブリックシアター『The Diver(ザ・ダイバー)』
       09/26-10/13シアタートラム
       http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/09/the_diver.html

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→こまつ座『闇に咲く花』
       08/15-31紀伊國屋サザンシアター
       ≪東京、市川、九州の演劇鑑賞会ツアー≫
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0816163809.html

 ◆3【こまばアゴラ劇場・国際演劇月間“キスは何回?” 】

   ◎ヨーロッパの3団体と日本の2団体による密な国際交流!
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/kissfes.html

 ◆4【お薦め芝居の前売情報 the company『1945』 】

   ◎終戦直後の日本を舞台にした青木豪&アッカーマンの新作!
    http://www.thecompany-t.com/

 ◆5【編集後記】

   ◎福岡と青森の観劇遠征レポート
   ◎おすすめ舞台中継情報 ★本日午後です!
    全国高校演劇・優秀校東京公演「青春舞台2008」
    青森県立青森中央高等学校「河童」(作:畑澤聖悟)

 ◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

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 ◆1 【今月のお薦め10本+α】
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 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


1.花組芝居『怪談 牡丹燈籠』
  09/03-15あうるすぽっと
  ≪東京、兵庫、北海道≫
  ☆出演:花組芝居
   原作:三遊亭円朝 脚本・演出:加納幸和
   一般5,800円 学生割引(平日のみ)4,800円 当日料金は各200円増
   前半平日ソワレ割引4,000円 ※9/3、4、5、8の19:00の回
    http://hanagumi.ne.jp/
   加納幸和さん率いる花組芝居が、落語の『牡丹燈籠』を舞台化。
   豪華絢爛の衣裳をまとった男たちが、
   込み入った物語をわかりやすく、面白く見せてくれそう。


2.サードステージ『ドラえもん「のび太とアニマル惑星」』
  09/04-14東京芸術劇場 中ホール
  ≪沖縄、熊本、福岡、富山、兵庫、愛知、東京≫
  ☆出演:坂本真 すほうれいこ 脇知弘 小林顕作 板垣桃子 他
   声の出演:水田わさび
   脚本・演出:鴻上尚史
   大人6,000円/子ども(6~12歳)4000円
    http://www.thirdstage.com/dora/index.html
   「ドラえもん」の舞台化!それだけで興味津々!!
   ドラえもんは着ぐるみで登場するそうです。


3.東宝『青猫物語』
  09/05-28シアタークリエ
  ☆出演:北村有起哉 黒谷友香 きたろう 他
   脚本:マキノノゾミ 演出:山田和也
   S席:8,800円 青猫シート:6,800円
    http://www.tohostage.com/aoneko/index.html
   マキノノゾミさんが1994年に発表した作品を、山田和也さんが演出。
   昨年、朝日舞台芸術賞寺山修司賞、読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した
   北村有起哉さんがラブコメ初主演。


★4.シス・カンパニー『人形の家』
  09/05-30シアターコクーン
  ☆出演:宮沢りえ 堤真一 山崎一 千葉哲也 神野三鈴
      松浦佐知子 明星真由美 ほか
   脚本:ヘンリック・イプセン 演出:デヴィッド・ルヴォー
   S席9,000円 特設S席9,000円 A席7,000円 コクーンシート5,000円
    http://www.siscompany.com/03produce/20ningyou/index.htm
   イプセンの名作をデヴィッド・ルヴォーさんが演出。
   四方囲みの客席は臨場感がありそう。豪華キャスト。


5.加藤健一事務所『音楽劇 詩人の恋(Old Wicked Songs)』
  09/06-10本多劇場
  ≪東京、多地域公演≫
  ☆出演:加藤健一 畠中洋
   作:ジョン・マランス 訳:小田島恒志 訳詞:岩谷時子 演出:久世龍之介
   前売5,000円 当日5,500円 高校生割引2,500円(当日のみ)
    http://homepage2.nifty.com/katoken/70index2.htm
   多数の賞を受賞している男二人芝居。
   東京は10月にも紀伊國屋サザンシアターで上演。


6.文学座アトリエの会『Mrs.Savage(ミセス・サヴェッジ)』
  09/11-22吉祥寺シアター
  ☆出演:文学座
   作:ジョン・パトリック 翻訳:安達紫帆 演出:上村聡史
   前売・電話予約4000円 当日4300円 ユースチケット2500円
   その他、劇場会員割引など
    http://www.bungakuza.com/savage/index.html
   アメリカの近代・現代演劇を上演する2008年の文学座アトリエの会。
   4月の『ダウト』↓が好評でした。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0423004948.html


7.世田谷パブリックシアター『偶然の音楽』
  09/14-28世田谷パブリックシアター
  ☆出演:仲村トオル/田中圭/三上市朗/大森博史/小宮孝泰/ほか
   脚本:ポール・オースター 構成・台本・演出:白井晃
   一般 A席 6,500円 B席 5,000円 TSSS(各一般料金の半額)、
   劇場会員割引、世田谷区民割引など
    http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/09/post_126.html
   白井晃さんが生み出す幻想的な世界。豪華キャストです。
   初演レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1102002808.html


8.ナイロン100℃『シャープさんフラットさん』
  09/15-10/19本多劇場
  ☆出演:ダブルキャスト2本立て。大倉孝二、三宅弘城は両方出演。
   【ホワイト】ナイロン100℃/佐藤江梨子、清水宏、 六角慎司、河原雅彦 他
   【ブラック】ナイロン100℃/小池栄子、坂井真紀、住田隆、マギー 他
   脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
   6,800円  ※2バージョンセット券12,000円(期間限定取扱い)
    http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/sharpsan.html
   ケラさんの新作はキャスト違いの2本立て。
   結末も違うようです。豪華キャスト。


9.新国立劇場「近代能楽集『綾の鼓』『弱法師』」
  09/25-10/13新国立劇場 小劇場
  ☆出演:十朱幸代 多岐川裕美 木村了 国広富之 綿引勝彦 他
   脚本:三島由紀夫
   演出:前田司郎(『綾の鼓』)/深津篤史(『弱法師』)
   A席5,250円 B席3,150円 Z席1,500円
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000061_play.html
   三島由紀夫著「近代能楽集」の中の2編を、若手演出家が手がけます。
   前田司郎さんと深津篤史さんは、岸田國士戯曲賞受賞作家でもあります。


★10.世田谷パブリックシアター『The Diver(ザ・ダイバー)』
  09/26-10/13シアタートラム
  ☆出演:野田秀樹 キャサリン・ハンター ほか
   脚本・演出:野田秀樹 ※英語上演(日本語字幕付)
   一般6,500円 TSSS 3,250円 劇場会員割引、世田谷区民割引などあり
    http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/09/the_diver.html
   野田秀樹さんが多くの賞を受賞した『THE BEE』以来、
   再びキャサリン・ハンターさんと組んだ新作。

  ●お薦めポイント●
  野田秀樹さんの濃厚で刺激的な演劇を、小空間で間近に味わえます。
  NODA・MAP番外公演『THE BEE(日本バージョン)』
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0702130956.html
  NODA・MAP番外公演『THE BEE(ロンドンバージョン)』
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0717234257.html


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  前売3000円台の気になる作品を4本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

【1】スロウライダー『トカゲを釣る-改-』
  09/02-07 THEATER/TOPS
  ☆脚本・演出:山中隆次郎
   平日割引(火・水・木のみ。要予約)3000円
   前売・予約3300円 当日券3500円
    http://www.slowrider.net/
   山中隆次郎さん独特の不思議ホラーな世界観。
   個性的な若手男優らが出演。初演レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0326112301.html


【2】THE SHAMPOO HAT『葡萄』
  09/10-23ザ・スズナリ
  ☆出演:那須佐代子(青年座)/池谷のぶえ/いせゆみこ/劇団員 他
   脚本・演出:赤堀雅秋
   自由席:前売り3500円 当日3800円
   指定席:前売り3800円 当日4000円
    http://www.shampoohat.com/
   赤堀雅秋さんの新作。劇団員+豪華女優客演陣。


【3】アル☆カンパニープロデュース『ゆすり』
  09/23-28 SPACE雑遊
  ≪新宿、川崎≫
  ☆出演:平田満 井上加奈子 大谷亮介
   作・演出: 青木豪 
   前売り: 3500円 当日: 3800円
   学生割引(当日券のみ): 2500円 高校生以下: 1500円
    http://aru-c.com
   青木豪さんの作・演出。平田満さんと奥様の井上加奈子さんが
   プロデュース&出演する3人芝居。

   
【4】KAKUTA『STAR MAN』
  09/27-10/05青山円形劇場
  ☆脚本・演出:桑原裕子
   前売3500円 当日3800円 学生割引3000円
   ※平日は来場者全員に「オマケCDダイジェスト版」をプレゼント
    http://www.kakuta.tv/starman/
   岸田國士戯曲賞候補にもなった劇作家・演出家の桑原裕子さんの新作。
   秋の円形劇場に、さわやかで切ない空気を作ってくれそう。


 ☆☆☆―――――――――――――――――――――――――――――― 
  前売2000円台の気になる作品を3本ご紹介します。
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《1》冨士山アネットproduce『EKKKYO-!』
  09/02-03 ザ・スズナリ
  ☆出演団体・個人:冨士山アネット・快快・劇団山縣家・ピンク・
           夙川アトム・FUKAIPRODUCE羽衣
   一般:前売2800円 当日3000円 学生2500円(前売・当日共)
    http://fanette.fc2web.com/
   ブっ飛んでいる、旬のカンパニーの6つの小品集!?
   平日2日間、3ステージのみでプレミア感、大。


《2》ピチチ5(クインテット)『全身ちぎれ節』
  09/12-21三鷹市芸術文化センター 星のホール
  ☆出演:植田裕一 碓井清喜 オマンサタバサ 小村裕次郎 千葉雅子 ほか
   脚本・演出:福原充則
   前売2500円 当日2800円 学生・大人(40歳以上)割引2000円
   高校生以下1000円(前売・当日とも) その他割引あり
    http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html
   福原充則さんが作・演出されるピチチ5が三鷹の星のホールへ。
   このキャストで2000円代って、かなりの低価格だと思います。
   

《3》パラドックス定数『三億円事件』
  09/30-10/05 OFF OFFシアター
  ☆脚本・演出:野木萌葱
   日時指定 全席自由 前売り2800円 当日3000円
    http://www.pdx-c.com/
   野木萌葱さんは今、注目を集める若手劇作家・演出家です。
   男ばかりの丁々発止の会話劇は見ごたえあり。


≪朗読劇、無料公演など≫

★○新国立劇場演劇研修所『朗読劇 少年口伝隊一九四五』
  09/16新国立劇場 小劇場
  ≪東京、茨城、山形≫
  ☆出演:新国立劇場演劇研修所2期生 ギター:宮下祥子
   脚本:井上ひさし 演出:栗山民也
   ※1日2ステージのみ。9月16日(火)4:00開演/7:00開演
   A席2,000円 B席1,500円
    http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000136_training.html
   国立の演劇学校の生徒が出演。初演↓の好評にこたえて早くも再演。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0223211426.html


 ○流山児★事務所『暗黒★歌劇「狂人教育」』
  09/06大隈講堂
  流山児★事務所(東京)×OFFICE30(香港)国際共同制作公演
  ≪東京、仙台、札幌、香港、杭州、上海≫
  ☆作:寺山修司 演出:流山児祥
   ※1日1ステージのみ。9/6(土)15:00開演
   全席自由 無料 (北京語版・字幕付)
    http://www.ryuzanji.com/kyo08.htm
   寺山修司没後25年記念公演。
   大隈講堂でアングラ、北京語のお芝居。無料です!


 ◎しのぶの今月の全予定(38本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
  9月は観たいものが多すぎて、とりあえず予定に入れるだけ入れています。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

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 ◆2 【先月のベスト3】
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1.こまつ座『闇に咲く花』
  08/15-31紀伊國屋サザンシアター
  ≪東京、市川、九州の演劇鑑賞会ツアー≫
  ☆21年前に書かれた戯曲なのに、今、胸に刺さる言葉ばかり。
   メルマガ号外発行を即決。家族にも観に行ってもらい好評でした。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0816163809.html


2.サンプル『家族の肖像』
  08/22-31アトリエヘリコプター
  ☆高い客席にびくびくしつつ(笑)、舞台の中にぬるぬる、ドロドロと
   自分も解けて混ざってしまうような、恐ろしくも甘美な体験をしました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0823121605.html


3.松竹『八月納涼歌舞伎』
  08/09-27歌舞伎座
  第三部「新歌舞伎十八番の内 紅葉狩」「野田版 愛陀姫」
  ☆「愛陀姫」はオペラ「アイーダ」未見の私でも存分に楽しめました。
   隅から隅まで行き届いた面白い仕掛けにわくわくします。
   何より歌舞伎役者さんの心が通った独白に感動。
    http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2008/08/post_29.html


  サスペンデッズ『MOTION & CONTROL』は自分の学生時代の思い出と
  重なることが多く、大いに(過剰に?)感情移入して落涙。
  『音楽劇 ガラスの仮面』は“劇場が観客と一緒に生み出す魔法”を
  原作とうまく組み合わせて大胆に表現してくださいました。

 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  2008年8月(観劇数28作品)はこまつ座『闇に咲く花』で発行!


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 ◆3 【こまばアゴラ劇場・国際演劇月間“キスは何回?” 】
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 ◎青年団が運営するこまばアゴラ劇場で、国際演劇祭が開催されます。
  通称『キスは何回?』フェスティバル、愛称“キスフェス”!
   http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/kissfes.html

  参加するのはベルギー、スイス、スペインの3カンパニーと、青年団、
  フェスティバルディレクターの多田淳之介さん率いる東京デスロック。

  「観ることが国際交流」と大らかに謳うお祭りです。
  息づかいまで間近に感じられる小劇場で、チケット価格もお手頃♪
  ヨーロッパ3カ国と日本の交流に、観客も気軽に参加しましょう!


【1】青年団『「ヤルタ会談」+特別企画「森の奥」リーディング公演』
  09/05-07アトリエ春風舎
  ☆「ヤルタ会談」脚本・演出:平田オリザ
   「森の奥」リーディング 脚本:平田オリザ 演出:多田淳之介
   予約・当日共2,000円
   ◎「ヤルタ…」は英語字幕付/「森の奥」はA、Bダブルキャスト
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/yalta.html
   ベルギーのカンパニーが上演する「森の奥」の日本語朗読と、
   青年団の代表作の1つに数えられる短編「ヤルタ会談」のセット公演です。
   「ヤルタ会談」レビュー(2003年)
     http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0620003208.html


【2】王立フランドル劇場(KVS)&トランスカンカナル『森の奥』
  09/09-13こまばアゴラ劇場
  ☆脚本:平田オリザ
   演出:王立フランドル劇場(KVS)&トランスカンカナル
   予約・当日共3,000円 ◎フラマン語・ワロン語上演/日本語字幕付
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/kvs.html
   平田オリザさんがベルギーの王立劇場に書き下ろした日本未発表作。
    ※9/10夜のトークのゲストは岡田利規さん(チェルフィッチュ)
    ※ベルギー公演PV:http://jp.youtube.com/watch?v=MqofxtRqrPQ


【3】東京デスロック『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~』
  09/12-23リトルモア地下
  ☆構成・演出:多田淳之介
   予約2000円 当日2500円 LOVEセット券5000円
   「夏目LOVE」2000円(予約・当日同額。LOVEセット券ご購入の方1000円)
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/deathlock.html
   今回参加している海外の3カンパニーへのリスペクトをこめた、
   蜜月期・倦怠期・倦怠期の3本立て。リトルモア地下で何が起こる!?
   『演劇LOVE』(2007年)レビュー
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/1002182919.html


【4】テアトル・デュ・ムーランヌフ『ジャックとその主人』
  09/18-21こまばアゴラ劇場
  ☆脚本:ドゥニ・ディドロ 演出:イヴ・ブルニエ
   予約・当日共3,000円 ◎フランス語上演/日本語字幕付
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/moulin-neuf.html
   青年団と交流のあるスイスのカンパニーの初来日公演。


【5】テアトロフィーア『HERE WE ARE ~テアトロフィーアがやってくる!~』
  09/24-28こまばアゴラ劇場
  ☆脚本:テアトロフィーア 演出:ファン・レジュス
   予約・当日共3,000円 ◎台詞なし/字幕なし
    http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/teatrofia.html
   言葉を使わないサイレント・クラウンという手法を持つ、道化師3人組。
   スペインのカナリア諸島から4年ぶりの来日。


 ●セット券情報 (お問い合わせ⇒青年団 03-3469-9107)
  KISSセット券:8,000円 青年団+来日3カンパニー(計4演目)
  LOVEセット券:5,000円 東京デスロック『演劇LOVE2008』(計3演目)

  ※全演目を観るなら「こまばアゴラ劇場 劇場支援会員制度」がお得!
   http://www.komaba-agora.com/sien2008/index2.html

 ●劇場支援会員“限定”イベント ※今から会員に申し込んでも間に合います♪
  http://www.komaba-agora.com/info/sien/index1.html

 ・特別企画『森の奥』リーディング追加公演(Bキャスト)
  9/14(日)15:00@こまばアゴラ劇場
  ベルギー版『森の奥』と同じ舞台美術を使用して行う一度限りのステージ。

 ・韓国語版『ロミオとジュリエット』上映会
  9/15(月・祝)15:00@こまばアゴラ劇場
  ☆作:シェイクスピア 構成・演出:多田淳之介 出演:韓国人俳優
   多田淳之介さんが今年4月に韓国で製作・発表した作品を初上映。
   ◎韓国語上演/字幕なし 
   ※上映終了後に多田淳之介によるトークあり
    韓国の若い俳優も、演出も、めちゃくちゃかっこいいですよ!
   『ロミオとジュリエット』アルコ小劇場(韓国)レビュー
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0830175902.html

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 ◆4 【お薦め芝居の前売情報 the company『1945』 】
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 ◎世界で活躍する演出家ロバート・アラン・アッカーマンさん率いる
  the company(ザ・カンパニー)が、新作『1945』を発表します。
   http://www.thecompany-t.com/

 ●the company world premiere
 『1945(イチ・キュー・ヨン・ゴー)』
  10/25-11/03世田谷パブリックシアター
  ≪東京、新潟≫
  ☆出演:中村ゆり 山本亨 パク・ソヒ 瀬川亮 松浦佐知子 高橋和也 ほか
   原作:芥川龍之介「藪の中」
   脚本:青木豪&ロバート・アラン・アッカーマン
   演出:ロバート・アラン・アッカーマン
    http://www.thecompany-t.com/whats_on.php

  芥川龍之介著「藪の中」をもとに、1945年・終戦直後の日本を舞台に
  新しく書き上げたロマンティック・スリラー。日本人とアメリカ人が共に
  “戦争”に取り組む意欲作です。若手俳優の起用も見どころ。

  アッカーマンさんへのインタビュー(2008年8月)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0831202256.html
  第3回ワークショップの写真レポート(2008年8月)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0831121444.html

  アッカーマンさん(通称ボブさん)ご本人のブログも要チェック!
  “ボブさん's BLOG”⇒ http://ameblo.jp/ackerman/

 【チケット情報】
  ・一般発売日:2008年9月6日(土)
  ・全席指定 S席(1階&2階最前列)7,000円
        A席(2階2・3列)6,000円 B席(3階)5,000円
  ・チケット取扱
   ゴーチ・ブラザーズ:http://www.gorch-brothers.jp/
   イープラス:http://eplus.jp/sys/web/theatrix/special/company.html
   電子チケットぴあ:http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0831380

  ・お問い合わせ
   ゴーチ・ブラザーズ 03-3466-0944(平日11:00~19:00)

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 ◆5 【編集後記】
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 ◎8月は福岡と青森に観劇遠征してきました♪
  福岡写真レポート
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0805170332.html
  青森写真レポート
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0821150605.html


 ◎おすすめ舞台中継情報 ★本日午後です!
  全国高校演劇・優秀校東京公演「青春舞台2008」
   http://www.nhk.or.jp/seishunbutai/index.html
  9/1(月)午後0:15~5:45 NHK衛星放送第2
   ゲスト:川村毅・倉持裕・町田マリー

  【最優秀校】青森県立青森中央高等学校
   作品:「河童」(作:畑澤聖悟)
   ※畑澤聖悟さんは渡辺源四郎商店(青森)の劇作家・演出家です。
    http://xbb.jp/wgs/


 ◎記者会見の写真レポート
  テレビ東京・Studio Life『マージナル』
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0711121507.html
   9/28(日)まで紀伊國屋ホールで上演中!

  彩の国さいたま芸術劇場『彩の国ファミリーシアター「音楽劇 ガラスの仮面」』
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0716140127.html
  ※9/5(金)~7(日)まで北九州公演あり!
   http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/


 ◎王子小劇場「佐藤佐吉演劇祭2008」が9/3(水)で閉幕します。
   http://stage.corich.jp/special/tatakau.html
  こりっち賞、シアターガイド賞、ロボット賞などの受賞団体は、
  9/9(火)に王子小劇場で開催される後夜祭で発表!
   http://www.en-geki.com/


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  2008年8月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「Sweet Rain 死神の精度」
   http://www.shinigaminoseido.jp/
  ・「チーム・バチスタの栄光」←竹内結子さんにノックアウト。素敵!
   http://www.team-b.jp/
  ・「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」
   http://bokuchu.gyao.jp/
  ・「全然大丈夫」←意外に社会派で味わい深い作品でした。
   http://zenzenok.jp/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
  いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
  感想も書き込めますよ♪
   http://stage.corich.jp/
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  携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 10:36 | TrackBack