2005年11月30日
reset-N『DUST』11/28-12/06bar drop
reset-N(リセット・エヌ)は夏井孝裕さんが作・演出される劇団です。私は大ファンなので賛助会員になっています。
『DUST』3年ぶりの再演はA、Bのダブルキャスト公演で、会場は初演の中野ザ・ポケットから吉祥寺のバー・ドロップへ。もともとクラブを舞台にした作品なので、今回の方がずっと臨場感がありました。もー・・・男優さんがかっこ良すぎて大変!目移りして、どこを見たらいいのか迷っちゃったよ(笑)。※私が拝見したのはAキャストです。Bキャストは12/3~。
☆千秋楽ソワレにもう一度観に行きます♪
開演の1時間前からDJタイムが始まります。私はクラブという文化に触れない方の人間なので、カウンターでお酒をいただきながらまったりとしていました。お芝居の雰囲気を開演前から味わっておくと良いと思うので、少し早い目のご来場をお薦めします。また、開演直前に来ると見づらい席になる可能性があります。一番前の席がお薦めです♪
≪あらすじ≫ 踊る芝居好きのダメ人間日記に初演VS再演のキャスト一覧表あり。
明け方のクラブ。帰らずにソファでぐだぐだしているカップル(篠原麻美&瀧川英次)。フロアに寝そべる黒い服の男(原田紀行)。DJや店員はいつもことだと思いつつ、客にやんわりと帰るように促す。カップルの女の方は相手の男を置き去りにして、黒い服の男と消えた。
置いてきぼりになった男はそれから毎日のようにクラブに現れる。あの夜以来、女が消えてしまったからだ。そこに再び黒い服の男がやってきて・・・。
≪ここまで≫
初演よりずっと面白かったです。場所が良かったのが一番の理由でしょう。あとは黒い服の男のセリフがちゃんと心に響いてきたのが大きかったかもしれません。そして、男優さんがすべからくカッコ良かった・・・私好みの人が揃っている(笑)だけじゃないと思います。演技が素晴らしい。
ただ、全体の完成度の点ではまだまだ上を目指せると思いました。12/6までの13ステージ公演なので、良くなっていくのではないでしょうか。
ここからネタバレします。
クラブを切り盛りするのはハルカ(長谷川有希子)とキョウコ(丸子聡美)。飛び入りお手伝いのモモ(町田カナ)はちゃらんぽらんな店長(鶴牧万里)の昔からの友達。店長に呼ばれてきた元人気DJのミコシバ(平原哲)と、客だったが今はDJ志望の若い男ヤシロ(綾田將一)。彼らの日常に侵入してきたのが、不気味な黒い服の男(原田紀行)。
登場人物は自らを「変態」だと言います。同性愛とか異常性欲とかが出てきますしね、確かにちょっと変わってます。社会的にはマイノリティーに属するであろう若者たちのお話。
黒い服の男は「太陽」から逃げてながら生きています。つまり昼間は寝て夜に動いています。人間および地球全体に無条件に愛を注ぐ太陽を恐れ、避けているのに、無条件に自分を受け入れてくれる人(聴力を奪われ平衡感覚を失った女)を求めて夜を彷徨っているのです。
また彼は、生まれたことや誰かを好きになること等、人間の存在や行動に理由なんてないと主張するのですが、“自分を無条件に必要としてくれる誰か”を切望しています。その“誰か”がすなわち自分が生きていることの“理由(拠り所)”になるわけで、「理由なんてない」と言いながらやはり理由を求めるという矛盾をはらんでいます。
命がけで何かを求め、あがいている人間っていうのは、完全に矛盾していても光るものなんですね。可哀想な奴だなぁと思いつつ、目は釘付けでした。
ゲイのモモ(町田カナ)は、店長(鶴牧万里)のことが好きだったので、店長のために性転換をしました。前からモモのことを好きだった定員のキョウコ(丸子聡美)は、モモがプラットフォームから転落死した後に「女になってからのモモの方が好きだったかも」とつぶやきます。そしてモモが元・男性だとは知らずに彼(彼女)に一目ぼれしたのはヤシロ(綾田將一)。報われない恋心が交錯しているんですよね。それぞれの一方通行の恋の切なさがあまり感じられなかったのが残念。
また、ここから逃げたいのに逃げられないでいて、最後もやっぱり出て行けなくなってしまった実質店長のハルカ(長谷川有希子)は、現代人をよく表していると思います。だからもうちょっと切実さが欲しかったかな。
黒い服の男が女(客の女とキョウコ)を強く抱きしめながら耳を刺すっていうのが、すごく矛盾をはらんだ動きでセクシーです。襲ってるくせに「危ないから動かないで!」と言うのもひどい矛盾(笑)。あぁ思い出すだけでプチ興奮。
実質店長のハルカ(長谷川有希子)とDJミコシバ(平原哲)のキスシーンが最高に良かった!ソファで眠っているミコシバにハルカが静かに寄っていってそっとキスをします。ミコシバが寝たままハルカを抱こうとするとその両腕をハルカが上から押さえる。それも3回!なんてセクシーなんだ!これだからreset-Nはやめられないんスよ。
町田カナさん。性転換したモモ役。足きれーーーっ!!黒い服の男に向かって殴りかかるのが迫力(笑)。ただ、静かな会話の演技は堅かったですね。視線が迷っているように見えました。
原田紀行さん。黒い服の男役。そこに、居ました。本気で。目と顔に嘘がないのです。長いセリフもきっちり聞かせてくださいました。
平原哲さん。DJミコシバ役。演技が上手いなー、ほんとに。取巻きがいるほどの人気DJだったことを全く鼻にかけていない様子が良かった。キスされてびっくりする表情もリアルでした。
鶴牧万里さん。店長役。いつもかっこいいですが、今回はゆらゆら動いているのにどっしりとした存在感があって貫禄を感じました。
瀧川英次さん(七里ガ浜オールスターズ)。フラれる男役。チェルフィッチュの常連役者さんで『目的地』ではセクシーな猫役だったのですが(笑)、今回はマジメ優等生のような短髪に黒ぶちメガネでイメージ一新。大声で怒鳴る度に笑いが起こっていました。面白かったー!
A、Bのダブルキャスト公演。11/29のDJは石山雄三さん(nest)。
出演=町田カナ/篠原麻美/原田紀行/平原哲/綾田將一/長谷川有希子/丸子聡美/鶴牧万里★/ますだいっこう(客演)★/瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ) ★ダブルキャスト出演 A:鶴牧万里 B:ますだいっこう
作・演出=夏井孝裕 グランドデザイン=massigla lab. 制作=秋本独人/河合千佳 主催=eset-N 協力=ステージオフィス / にしすがも創造舎(豊島区文化芸術創造支援)
日時指定・全席自由 前売・当日共に3,000円(1drink付)
公式=http://www.reset-n.org/jp/dust2005/index.html
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2005年11月29日
文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場『母・肝っ玉とその子供たち~三十年戦争年代記』11/28-12/11新国立劇場 中劇場
大竹しのぶさん主演・栗山民也さん演出の新国立劇場演劇ということで、今年の年末の目玉公演のひとつです。東京初日に伺いました。
『肝っ玉~』は1600年代の戦場のドイツを舞台にした戯曲で、中劇場を余すことなく使った広大な戦場を、ちっぽけな人間たちが無様に走り回ります。
大竹しのぶさんはやっぱり凄いです。圧倒されて、体中がこわばって涙が溢れて、観ているだけで疲労困憊(笑)。土日以外は残席あるようですのでお見逃しなく!
ブレヒト作の『母・肝っ玉とその子供たち』は『肝っ玉おっ母とその子供たち』というタイトルが日本では一般的です。今作のために谷川道子さんが戯曲全部を新訳されてタイトルも変更されたそうです。とても良いタイトルだと思います。
私は今年4月の吉田日出子さん主演のもので、はじめて『肝っ玉』を拝見しました。パンフレットによると日本では1998年からほぼ毎年上演されています。有名な作品だからというだけでなく、今の日本人が観るべき作品だからではないでしょうか。
《あらすじ》 パンフレットより引用。(役者名)を追加。
舞台は17世紀ドイツ。ヨーロッパ諸国を巻き込んだ「三十年戦争」のまっただ中。「肝っ玉」といわれる女商人アンナ(大竹しのぶ)は、3人の子供たちとともに幌車で戦場から戦場へ商いをしながら回っている。しかし長男(粟野史浩)は傭兵係に誘われ入隊。次男(永山たかし)は会計係に採用される。娘(中村美貴)との旅の途中で料理人(福井貴一)、従軍牧師(山崎一)、娼婦イヴェット(秋山菜津子)と出会う。・・・・・・戦争は続き、「肝っ玉」は幌車を引いてまた戦場に向かうのだった。
《ここまで》
ここからネタバレします。
有名な作品ですし、あらすじをわかってから観に行っても楽しめると思います。
1600年代のドイツで実際に起こった戦争を描いたお話ですが、現代的な要素が多い演出で、今の地球上のどこかをイメージさせる作品になっていました。
中劇場をそのまま広く使った舞台は、黒と灰色の廃墟。さびて折れ曲がった巨大な鉄骨がそびえ、崩れたコンクリート片から鉄の棒が剥き出しになっています。地面は数個のブロックにあらかじめ分かれたもので、あるきっかけで動いて亀裂が入ったり、大きく移動して場面転換もします(その意味では前より後ろの席の方が見やすいかもしれません)。
17世紀の戦争というと泥にまみれ、じけじけとしていて汗臭いようなイメージがあったのですが、舞台から感じ取られたのは、鈍く光る薄っぺらい金属のツルっとした冷たさ、無味乾燥で空虚な都会的空気、地面(地球)と人間が乖離していることから生まれる根底からの孤独・・・などでした。描かれた世界はとても現代的で、どの国のどの戦争にも当てはまると思いましたし、戦場にはなっていないけれど、今の日本社会でもあると思えました。
スーツを着た梅沢昌代さんが、ずーっと舞台上(上手舞台袖の近く)にいながらアナウンサーのように場面タイトルを読み上げます。あるシーンで起こることを先に話してしまうので、観客はどんな悲劇が起こるのかを知りながら、そこへと到達していく過程を目撃していくことになります。その梅沢さんが第2幕では農婦として登場しますので、現在と17世紀が具体的につながります。
役者さんは深刻になりすぎず、笑いを生み出す種を常に蒔きながら、軽快に舞台を駆け回ります。しかし描かれるのは、容赦なく、納得のいく理由など全く無いままに、奪い、奪われていく戦争の姿。盛りだくさんに蒔き広げられた喜び、怒り、悲しみ等の多くの感情と、それを瞬時に破壊してしまう戦争とがシーンの一つ一つに同居しています。それらを受け入れていくことに体力を消耗しました。
銃殺された次男の左足は膝まで赤く塗られていました。処刑が決まった長男の左腕もまた赤く塗られており、暴力を振るわれてレイプされた長女の右の額にも、同じ赤のあざが出来ていました。どんなに肝っ玉が彼らを守ろうとしても、彼らは彼らの信じる正しいことを実行したが故に、死に至らしめられます。
たとえば命は尊いし、青空は美しい。そんな単純な真実が簡単に裏返ってしまうのが戦争です。彼らはそれを読み違えたのかもしれないし、惑わされずに信念を貫き通したのかもしれません。でもやってきたのは死でした。時代に、流行に流されて、理不尽に人の命は奪われていきます。肝っ玉の子供たちの体に施された“赤”は戦争によってゆがめられ、汚された人間全体を象徴するものだと思いました。
私は客席前方の通路に面した席だったので、大竹しのぶさんが歌いながら目の前を通りました。こみあがってくる涙を歯を食いしばって抑えながら、迫ってくる「肝っ玉」をグっと凝視し続けました。なぜだか、そうしないと居られなかったから。
終盤で唖(おし)の長女が声にならない叫び声をあげながら、全力で太鼓をたたき続けるところも、息が詰まるほどの悲しさで涙が溢れました。アナウンスでは“石(長女)が動いた”と言っていましたね。
原作どおりにパウル・デッサウの音楽が使用され、バンドの軽快な生演奏で聴かせてくださいました。ミュージカルではなく音楽劇なんですよね。歌はかなりセリフに近い歌い方でした。歌というよりは、叫びでした。
美術の色は暗い目でしたが、衣装や照明から視覚的に楽しませる演出が多々ありました。肝っ玉の衣装は明るい水色、黄色、緑が揃ってにぎやかで、長女のスモーキーな水色のロングスカートも舞台に映えました。娼婦イヴェットの真っ赤な花柄のドレス&帽子も素敵。赤や金色の大きな布による場面転換はダイナミックかつスピーディーで、照明と織り交ざって色合いも鮮やかでした。照明と鉄骨の影によってステージに落ちた十字架の影は、恐ろしく、美しかったです。
エンディングでは舞台奥の布のスクリーンにデジタルの日付が映写されて、1600年代から2000年代へと数字が進んでいきます。17世紀ドイツから21世紀の日本へ。決して止まることなく同じ速さで進み続ける時間の中に、刻まれてきた戦争を知りました。希望が感じられるラストではありませんでしたが、これからやってくる未来を生きる私は、戦争の記憶を持ち続けてその悲惨さ、理不尽さを語り続けていかなければいけません。
大竹しのぶさん。「大竹しのぶ」という女優が居ることだけで、このお芝居の成功は約束されていたのかもしれません。セリフを早口で同じ音程でしゃべりがちなのは、いつも少し気になるのですが、あの歌とあの存在感だけで大満足です。
秋山菜津子さん。娼婦イヴェット役。愛嬌たっぷりの娼婦で、笑いもいっぱい。キュートさ、コミカルさも絶妙に挟み込まれたソロの歌には、鬼気迫るものがありました。遠い遠い舞台奥から静かに歩いたり、全力で走ったりして登場する姿は、白いメイクのせいもあって死神のようにも見えました。
「肝っ玉」の子供たち3人(中村美貴/粟野史浩/永山たかし)は皆さんとても良かったです。初々しくて光っていました。
≪兵庫、東京≫
【出演】大竹しのぶ/福井貴一/秋山菜津子/山崎一/中嶋しゅう/梅沢昌代/たかお鷹/沖恂一郎/中村美貴/粟野史浩/永山たかし/金子由之/岡森諦/保村大和/福井博章/川北良介/鳥畑洋人/鈴木健介/横山敬/岸槌隆至/飯嶋啓介/伊藤総/さけもとあきら 【演奏】朴勝哲/大坪寛彦/高良久美子/徳高真奈美/船木善行/川上鉄平
作=ベルトルト・ブレヒト 翻訳=谷川道子 演出=栗山民也 音楽=パウル・デッサウ 美術=松井るみ 照明=勝柴次朗 衣装=ワダエミ 音楽監督=久米大作 音響=山本浩一 歌唱指導=小川美也子 アクション=渥美博 演出助手=大江祥彦 舞台監督=増田裕幸
S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/s279/s279.html
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2005年11月28日
ブラジル『おしっこのはなし』11/25-12/04サンモールスタジオ
ブラジリィー・アン・山田さんが作・演出されるブラジルは私の大好きな企画ユニットです。所属俳優は辰巳智秋さんお一人だけ。今回の出演者の写真はこちらです。
初のロングラン公演ということですが、fringeの東京小劇場観劇速報には早々とレビューがアップされて来ています。私は初日に拝見いたしましたが、たぶんステージを重ねるごとに面白くなっていく作品だと思います。
《あらすじ》
美月(近藤美月)は余命3ヶ月と宣告されて入院している。見舞いに訪れるバイト先の友人(山中郁・吉田久代)、先輩(諌山幸治)、恋人(辰巳智秋)、そして母(松岡洋子)。美月に小説の執筆を依頼する編集者(ハセガワアユム)も現れた。
美月の病室のひとつ上の階には、交通事故にあって記憶喪失になった男・中川(中川智明)が入院していて、そこにも見舞客(異儀田夏葉)が訪れる。
《ここまで》
主演女優の最初の言葉(一連のセリフ)を聞いた瞬間、「これはお稽古のしすぎかな」と思いました。言葉のひとつひとつに細かい演出がついていて、役者がそれを守ろうと必死になっているように見えたのです。「稽古のしすぎ」ってヘンな言い方ですよね。稽古はやらないよりもやる方がいいのに。でもそう感じたんですよね~。稽古、稽古、稽古としっかり続ける内に本番が来てしまい、役者が誰か(演じる人物)になって舞台上に居るということが、おろそかになっているような。
ブラジルは前回の『偽装/辻褄』において、計算された言葉と演技によって積み上げられる、緊張に満ちた二人芝居を発表されました。明らかにそれまで(2003年11月、2004年2月、9月、12月)とは違う方向性を示されたばかりですから、この作品は新生ブラジル誕生までの過渡期にあたるのかもしれません。
役者さんはとても達者な方が揃っていますので、今公演中にどんどん進化していくことと思います。
ここからネタバレします。
客席に2方向から対面式に挟まれた白いステージ。片側に病院のベッド、もう片側には病室の出入り口のドアがあります。5階の美月の部屋として始まりますが、暗転の後にベッドに中川が寝ていると、そこは6階の中川の部屋になります。中川が美月の部屋に来ることもあるので、観客は「今、この部屋はどこなんだろう?」と考えながら観ることになります。また、美月が本当に余命3ヶ月なのかどうか、中川が本当に記憶を無くしているのかどうかを最後まで謎のままひっぱりますから、それに集中しながら観続けるのがとても面白いです。
美月と彼女が心を寄せる先輩(諌山幸治)とのオープニングの会話(美月の想像の中?)、記憶喪失の中川とその主治医(そして妻)である女医(黒岩三佳)の終幕間際の会話が良かったです。言葉もしっかり選ばれているし、二人の間に戦いがありました。
武藤心平さん(クロム舎)がブラジルの見所でもある“舞台で何が起こるかわからない”ハプニング性を担っていらっしゃいました。いわゆる飛びキャラってことで目立ってらっしゃいましたし、役割もきちんと果たしていらっしゃいました。
この緊張に満ちた二人芝居とハプニング性がせめぎ合って爆発するのが観たいですね。
松岡洋子さん(風琴工房)。美月の義理の母役。風琴工房でドラマティックな演技を拝見してきましたが、今回はめちゃ面白ろキャラ!!コロコロ変わる感情を、深みをなくさずにきちんと演じてくださいました。時々見せてくれるだらしない笑顔がセクシー。
ハセガワアユムさん(AAA)。美月に官能小説を書かせようとする編集者役。ひょうひょうとしていて、だけど熱い時は本気だから怖さが引き立ちました。
出演=辰巳智秋/近藤美月(bird's-eye view)/諌山幸治/吉田久代(ククルカン)/ハセガワアユム(AAA)/葛木英(メタリック農家)/山中郁(bird's-eye view)/黒岩三佳(あひるなんちゃら)/中川智明/武藤心平(クロム舎)/異儀田夏葉/友松栄/松岡洋子(風琴工房)
作・演出=ブラジリィー・アン・山田 照明=シバタユキエ 音響=佐藤春平(SoundCube) 宣伝美術=川本裕之 写真=427FOTO 制作補=池田智哉(ギリギリエリンギ) 堀島圭介(VARNA) 制作=恒川稔英・ブラジル事務局
前売2600円 当日2800円 その他割引あり
ブラジル=http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
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【情報】PARCO歌舞伎『決闘!高田馬場』
PARCO歌舞伎『決闘!高田馬場』03/02-26パルコ劇場
作・演出=三谷幸喜
出演=市川染五郎/市川亀治郎/中村勘太郎/他
前売開始=2006年1月22日(日)
詳細はこちら(パルコ劇場内)
情報元=stage note archives
すごそうですねぇ・・・・『12人の優しい日本人』のようなチケット争奪戦になるのは間違い無いでしょう(涙)。
2005年11月27日
三条会『山椒大夫』11/26-27三条会アトリエ
『ニセS高原から』ですっかり有名になった(と私は思います)関美能留さん率いる三条会が、劇団のアトリエをオープンされました。こけら落とし公演の第1弾は『山椒大夫』。4作連続公演なのですが、代表作と名高い『ひかりごけ』は完売のようです。
JR千葉駅ってはじめて降りたんですが、めっちゃでかいターミナルなんですね!百貨店もバンバン建ってるし、人通りも多くて、でも道が広くてすっきりしていて気持ちのよい場所でした。
『山椒大夫』は森鴎外の小説です。大昔に読んだはずなのですが、ストーリーを全く覚えておらず着いて行けませんでした・・・勉強不足です。ごめんなさい。
ここからネタバレします。
映画「ウエストサイド・ストーリー」の名曲“トゥナイト”で幕開け。女(大川潤子)が大声で歌いあげます。すげー。コレだけでおなか一杯になるぐらいのボリューム(笑)。私はウエストサイドが好きで、トゥナイトは歌えるぐらい好きなので、すっごく楽しかった。
で、内容は・・・・おそらく、私が受け取れたのは「男が女を、女が男をダメにした」ということ。着物を着た女の人が出てきましたが、意味を汲み取れませんでした。無念。
12/3、4の『砂の女』(安部公房)は勉強していきま~す。
※Perfomance Theater 水と油のメンバーが客席にいらっしゃいました。そういえば三条会って劇団だけど、パフォーマンスの要素が大きいですよね。
三条会アトリエ柿落とし公演 2005年日本近代らりぱっぱ4部作
出演=大川潤子/榊原毅/立崎真紀子/舟川晶子/中村岳人
作=森鴎外 演出=関美能留 照明=佐野一敏 制作=久我晴子
発売開始=10/25(火) 前売り・予約・当日共2,000円(日時指定・全席自由・各回30席限定)
三条会=http://homepage2.nifty.com/sanjokai/
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2005年11月25日
ペンギンプルペイルパイルズ『不満足な旅』11/16-23ザ・スズナリ
『ワンマン・ショー』で岸田國士戯曲賞を受賞した倉持裕さんが作・演出されるペンギンプルペイルパイルズの再演作品です。私はOFF OFFシアターでの初演を拝見しましたが、残念ながら初演の方が面白かったですね。OFF OFFシアターのあの狭さが良かったのかもしれません。
出演者の小林高鹿さんのブログに舞台写真がアップされています。他の日の日記にも写真が沢山ありますので、ぜひチェックしてください。素敵な装置でしたよね(2005/12/02加筆)。
《あらすじ》チラシ・公式サイトよりそのまま引用。(役者名)を追加。
着々と死傷者を出しながらはしゃぎ狂うカーニバル真っ最中の国。入国するなり恋人とケンカ別れした男(小林高鹿)は、この旅行で初めて知り合った彼女の弟(吉川純広)と、世界一周旅行敢行中のアカの他人(宮崎吐夢)と共に、蒸し暑い安宿に取り残される。窓を開ければ耳をつんざく楽団の演奏。
パオーン!
あわやパレードの象に踏まれかけたところを救われた会社員(玉置孝匡)は、
「河口湖で死んだ同僚を想うあまり調子に乗りました」と舌を出す。
しかし何だ・・・・・隣から聞こえる呪文は何だ?
「同窓会よ」と隣室から来た女(ぼくもとさきこ)は言った。
「子供の頃、ワニと一緒に寝かされても泣かなかった勇敢な女たちの同窓会よ」
彼女たちの狙いは、カーニバル終盤に現れるという“生き女神”の暗殺だった。
《ここまで》
うーん・・・タイトルどおり『不満足な旅』でした(笑)。あらすじの最後の一文「暴力、博愛、人見知りについて、きわめて感情的に記された旅のしおり」は素晴らしいですね。この通りの内容だったと思います。
公演が終了していますので、ここからネタバレします。
OFF OFFシアターの不自然なまでの狭さが、このお芝居の面白いところだったんだなぁとしみじみ思います。はるばる遠い国に旅行に来たのに、じめじめした狭い部屋に閉じこもり、窓の外には賑やかなカーニバルの音。その狭い空間に次々とヘンな人間が増えていく・・・というのが奇想天外で良かったんですよね。
美術はいつもどおり、すごく良かったです。壁のよごし、窓の異常な小ささ、込み入ったドア。2台あるベッドの下手側の方は、黒い壁にひっついていて途中でぶっつりと切れています。これがチョーカッコイイ!
照明も良かったですねー。(小林高鹿)の彼女の弟(吉川純広)が死ぬ前に見た幻(「マイ・ウェイ」を合唱)は秀逸。
初演に引き続き出演されている劇団員の小林高鹿さん、ぼくもとさきこさん、玉置孝匡さんは演技が上手くなられてると思いました。順序良くこなしているようにも見えて、初演で心地よく感じた“うさんくささ”が薄れ、可笑しみが減っていた気がします。難しいですね、上手いのに越したことはないはずなのに。
宮崎吐夢さんが演じられた世界一周旅行中の男役は、初演では中山祐一郎さんが演じられていました。やっぱり中山さんの面影がちらつきましたね。宮崎さんはいかにもバックパック旅行をしそうな風貌で、そういう意味でのリアルさがありました。中山さんは人物としての存在感が大きく、旅行をしているのかどうかが曖昧な感じだったんです。“得体の知れない放浪者”という雰囲気に説得力があって、すごく印象に残っています。
出演=小林高鹿/ぼくもとさきこ/玉置孝匡/吉川純広/宮崎吐夢(大人計画)
作・演出=倉持裕 舞台監督=橋本加奈子(SING KEN KEN) 照明=清水利恭(日高照明) 音響=高塩顕 舞台美術=中根聡子 音楽=星野源(SAKEROCK) 宣伝美術=坂村健次 宣伝写真=引地信彦 制作=土井さや佳 企画・製作=ペンギンプルペイルパイルズ
指定席3,600円 当日3,900円 ベンチシート前売3,400円 当日3,700円(整理番号付自由席)
公式=http://www.penguinppp.com/
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プラチナ・ペーパーズ『ラフカット2005』11/23-27全労済ホール/スペース・ゼロ
ラフカットは毎年スペース・ゼロで開催されている(→2003)全キャストがオーディションで選ばれる企画です。30分の短編4話のオムニバス形式で、脚本家はそれぞれ違いますが、全作品の演出が堤泰之さん(今回は)。途中休憩10分を挟んで2時間20分ぐらいでした。
堤さんの演出について改めて実感しました・・・女優の体の露出度が異常に高い!胸がっ!足がっ!・・・男性には前の方のお席がお薦めです(笑)。あ、でも全席指定ですね・・・。
カラーが全然違う4作品でした。私が好きだったのは第二話「コインランドリーマンズ」。全体の完成度が高かったのは第四話「晩秋に吠えろ」だと思います。第三話では男優さんがかなり頑張っていました。
下記、ところどころネタバレあり。
■第一話 「震度2」脚本=樫田正剛<劇団方南ぐみ>
あらすじ→テレビ局の会議室。自分勝手で気難しい部長のせいで深夜まで会議が延びそうだ。若い社員は嫌気がさしている。
いわゆる下手な小劇場芝居みたいになってしまっていて、残念な仕上がりでしたね。脚本の樫田正剛さんはテレビのお仕事もされているので、テレビ局の実情をご存知だから書いてらっしゃるのでしょうけど、これが現実ならかなり恥ずかしいですよね。
地震・・・あんまり必要性を感じませんでした。とってつけたような終わり方でした。
吉田真琴さん。大女優役。堂々としていて良かったです。帽子をとって髪がファサッとなったのはかっこ良かった。
■第二話 「コインランドリーマンズ」脚本=桑原裕子<KAKUTA>
あらすじ→コインランドリーに集まる人々の群像劇。サラリーマンVSフリーターなど。
面白かったーっ!コインランドリーって実は無料でたむろできる便利空間だったんですねぇ(笑)。大人になって、資本主義社会にどっぷりはまって生きている。でもおでんは美味しいし、恋人のことは大好きだ。夢と現実がいつの間にか乖離していってしまう、あらゆる普通の人たちの、ささやかな欲望とジレンマ。
三浦知之さん(InnocentSphere)が超素敵!細くて小さな彼女(星野友紀)を抱きしめるシーンでほろりと来ちゃったよぉ。三浦さんは体格が良いからでしょう、上半身裸シーンもありました(笑)。
■第三話 「バカ少年。」脚本=中島淳彦<道学先生>
あらすじ→昭和51年のどこかの田舎町。ガラス工場の2階に溜まるダメ高校生たち。
きちんとパネルも立ててリアルな部屋が出来上がって驚きました。ダメダメ感に満ちた昭和の空気に「うわー・・・・この感じ、知ってるわぁ(油汗)」といやな気分になりつつ、徐々にその中に入っていけました。ストーリーは好きではないですが、ちゃんと作品になっていて楽しめました。セリフが方言になっているので、役者さんはけっこう大変だったんじゃないでしょうか。
それにしても教師に乱暴された女子高生(秋山夏美)の胸元、V字の襟ぐりで露出しすぎ!「隙がある」どころじゃないよぉ(笑)。でも、すっごくきれいな胸元でした。
■第四話 「晩秋に吠えろ」脚本=堤泰之<プラチナ・ペーパーズ>
あらすじ→テニスクラブで生まれる大人の恋の物語。悪い女に気をつけろ。
テニスですから。女子はスコートですよ、スコート!キワモノキャラの五反田マコ(蛭田真知子)の衣装は異常(笑)。テニス用ユニフォームと言いつつ、どう見てもボンデージ・ファッションで、実態は赤いプロレスラーでした。目が離せないですよ、あらゆる意味で(笑)。
お話はとってもよくできていて、役者さんもこの回が一番レベルが高かった気がします。作・演出の両方が堤さんだからかも。
レビューを書きながら思ったのですが、「役者」に対して非常に率直な演出ですね。若い人は若いからこその持ち物(ぴちぴちした肉体等)を、年配の方は年配ならではの持ち味(年輪を感じる佇まい等)を、お客様に披露するのです。ちょっぴり酷かもしれないけど、実はそこで勝負するしかないですものね、舞台でさらされる役者さんは。ラフカットはありがたい経験になるのではないでしょうか。
出演(オーディションで選ばれた役者たち)=《第一話》五十嵐富子/日下部千太郎/工藤良輔/熊野善啓/榊原健一/鈴木那奈/中川智咲子/福井利之/松本永倫子/吉田真琴/渡辺裕樹 《第二話》荒木秀行/岡戸三樹/奥田直樹/窪田道聡/小堀友里絵/野辺富三/濱田龍司/星野友紀/三浦知之/横山真弓 《第三話》赤星アメ/秋山夏美/おがわじゅんや/落合孝裕/加古臨王/北野ジン/鈴木穣/長尾健太郎/東川清文/村岡奈緒美/吉村公佑 《第四話》石田誠二/尾上康代/片山重滝/河合咲/白神允/津之村真子/西村理沙/蛭田真知子/田村義晃/山本東
演出=堤泰之 脚本=中島淳彦/樫田正剛(劇団方南ぐみ)/桑原裕子(KAKUTA)/堤泰之
4人の作家によるオムニバス。演出は堤泰之。
美術=本江義治 音楽=樋口亜弓 照明=倉本泰史(A・P・S) 衣装=渡辺まり 舞台監督=古賀裕治(ワーズ) 演出助手=奥村亜紀 制作=冨山絵理・藤野和美(オフィス・REN) 協力=洗い屋本舗 イラストレーション=ゴトウヒロシ 写真=大須賀博 宣伝美術=鳥井和昌 全席指定 前売・当日共 3,500円
プラチナ・ペーパーズ=http://www.platinum-papers.com/
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2005年11月24日
燐光群『パーマネント・ウェイ』11/20-12/04シアタートラム
燐光群のデイヴィッド・ヘアー新作連続上演の第一弾です。このチラシ、大好きです。でも内容とはかけ離れています。
最初の5分で胸が苦しくなり、1時間半経った時に限界だと思いました。なのでその後の40分はほぼ拷問・・・最前列で照明も当たるし、帰るに帰れなかったんです。開演前にわざわざ劇場の人が「開演するとお席を立てませんので、お手洗いはお早めにお済ませください。上演時間は2時間10分を予定しています」と言いに来られましたしね。
★BACK STAGEに充実のインタビューあり(2005/11/25追記)
劇作家のデイヴィッド・ヘアーさんがイギリスの鉄道および連続して起こった鉄道事故に関わる人たちにインタビューをして、それを構成した戯曲でした。誰かがデイヴィッド・ヘアーさんと向かい合って話した、生の言葉たちがそのまま脚本になっているようです。
舞台はリアルな敷石と線路。線路の両側を客席が挟む形の舞台です。シアタートラムって自由自在ですね。
今作と同じく実際に起こった事故(飛行機)を扱った『CVR』と明らかに違うのは、役者さんが観客に向かって、主張や感情を強く訴えかけようとしていたことです。私はすごく不快でした。
亡くなった方や被害者、遺族の方々のありのままの気持ち・考えを、他人である役者がそのままに感じ取って代弁することは、「他人である」という理由で物理的に不可能です。どうやったって気持ちは自分の中から生み出すしかありません。「被害者そのものに成りきるのは不可能だ」という動かしようのない事実を踏まえた上で、それを伝えよう努力する姿勢は正しいし、尊いことだと思います。でも今作品ではその謙虚さが感じられませんでした。
異常に早口で、大声で怒鳴って、セリフは耳に入れる気持ちになれない不快な音になっていました。役者さんは体と心に全然フィットしていない激しい動きをがむしゃらに連発して、顔も体も過剰演技で見ていられませんでした。私は舞台を観ないようにして、そっと耳だけを開放して、否応なしにぶつけてられてくる言葉たちの、意味だけを受け取ろうと努力しました。
開演からしばらくして、何人かの役者さん(渡辺美佐子さん、大西孝洋さん、猪熊恒和さん)のやわらかい声に助けられました。「ヒステリックな友情」というセリフがありましたが、役者さんがヒステリーになる必要はないと思います。
音楽がひどかったです。テレビの2時間ドラマみたいなサスペンス調にしていましたが、せめてNHKスペシャルぐらいに押さえてくれればマシだったかも。わざとらしいドラマも、無理やり作るストーリー的盛り上がりも、不要だったと思います。無駄な飾りつけなどしなくても、観客の胸にずっしりと届く戯曲でしたから。
戯曲は心底すばらしいと思いました。人間の生の声をそのままに届けようとなさっています。2002年の事故で「起訴なし」だったのには衝撃。
「あのシステムの問題は、誰もが責任転嫁できて、誰も何の責任も感じないっていうことです。」このセリフにすべてが詰まっていますよね。日本でも今年、尼崎・列車脱線事故がありました。あの事故も遅れることが許されなかったから、スピードを速めていたんですよね。
一緒に観ていた友達が「遺族がかざしていた被害者の顔写真が、外人の顔だったのが気になった」と言っていました。そういえば私もちょっといやな気持ちがしていたんです。だってセリフを言っている役者さんは日本人ですから、写真が外人(イギリス人)なのは明らかにヘンですよね。写真は入れずに額だけにしても良いのではないかと思いました。
率直に書き連ねましたが、次回の『スタッフ・ハプンズ』も観に行きます。どんなにつらくても燐光群の作品は観に行くって決めていますから。今作は私には耐え難いものでしたが、知り得なかった真実を教えていただけたことに感謝しています。
≪東京≫
デイヴィッド・ヘアー新作連続上演vol.1
出演=渡辺美佐子/中山マリ/川中健次郎/猪熊恒和/大西孝洋/鴨川てんし/江口敦子/樋尾麻衣子/内海常葉/向井孝成/裴優宇/久保島隆/杉山英之/小金井篤/工藤清美/桐畑理佳/阿諏訪麻子/安仁屋美峰/市川実令/尾形聡子/坂田恵/椙本貴子/塚田弥与以/中川稔朗/樋口史/樋口美恵/松山美雪/亀田ヨウコ
作=デイヴィッド・ヘアー 訳=常田景子 演出=坂手洋二 美術=加藤ちか 照明=竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響=島猛(ステージオフィス) 衣裳=前田文子 舞台監督=森下紀彦 演出助手=吉田智久 演出部員=清水弥生・福田望 文芸助手=久保志乃ぶ・圓岡めぐみ 宣伝意匠=高崎勝也 制作=古元道広・近藤順子 制作助手=藤木亜耶・小池陽子・宮島千栄 コーディネート=マーティン・ネイラー イラスト=石坂啓 提携=世田谷パブリックシアター
全席指定(当日座席指定引換)一般3,500円/当日3,800円 大学・専門学校生3,000円/高校生以下2,000円 その他各種割引あり
公式=http://www.alles.or.jp/~rinkogun/permanentway.html
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2005年11月23日
Blue Shuttle Produce・演劇ユニットAxle(アクサル)『BANANA FISH』11/21-27シアター代官山
劇団ひまわり内プロダクションのBlue ShuttleがプロデュースするAxle(アクサル)という男優集団の第5回公演です。
『BANANA FISH』は1985年から1994年まで連載されていた吉田秋生さんの大ヒット少女漫画です。私も洩れずにストリートキッズのアッシュにハマっておりました。
いわゆる芸能プロダクション系の美男子芝居でしたが、いるかHotelの谷省吾さんが参加されていてちょっと意外。劇団☆新感線のタイソン大屋さんもいい役で出演されていました。
そして、予想していたよりも面白かったんです。なにしろ『BANANA FISH』は単行本で19巻もある大作ですからね。「どこの部分を上演するのかな~」と思っていたらなんと全部やりきっていました。約2時間45分(休憩10分を含む)はちょっと長かったですが、最後は大河ドラマを見終わった充実感がありました。
オープニングはベトナム。アッシュの兄のグリフがBANANA FISHのせいで狂乱するシーンです。兵士達がアメリカ民謡(の有名な歌)を歌っていたのですが、思いっきり上手い!めちゃハモってるし、息もあってる!そしてストリートキッズのダウンタウンへと場面が変わる時は、ダンスです。やっぱりお約束ですね、歌とダンス。そしてそのダンスもまた上手い!
長すぎるダンスシーンを観ながら考えました。「きれいな劇場で、歌って踊れる若い美男子俳優が、面白い脚本を使って本気で芝居やるなんて、そりゃ女性にはお得よね」って。終演後のロビーでは物販に役者が出てきてましたしね。歌と踊りとお笑いがあるStudio Lifeってことかな。
ここからネタバレします。
でも、女性ファンサービスを目的としたおちゃらけや物販ネタ、例えばチョコトッピングの納豆をアッシュ役の柄谷吾史さんと英ニ役の斎藤准一郎さんが食べるとか、ファンじゃない人には見苦しい内輪ウケがいっぱいありました。そういう性質の舞台だと思って私は耐えました。
さて肝心の作品についてですが、脚本・構成がよく出来ているなぁと思いました。場面転換が素早くてとてもよかったです。舞台装置の使い方もうまいと思いました。2階部分と舞台奥、黒紗幕を使ったシーンでは、セリフだけでは描けない心の裏側を簡潔に表現できていました。照明も良かったですね。
ショーター(古川貴生)があんなに早く死んでしまったのには驚き。でも最後までやるならしょうがないですよね。
アッシュ(柄谷吾史)が英ニ(斎藤准一郎)に対して心を許していく過程があまり描けてなかった気がします。前半がかなりはしょって走っている感じだったからかもしれません。後半は大勢のキャラクターそれぞれについて想像力が追いついていたので、ちょっとした会話からほんのり現れる心の動きなども楽しめるようになりました。クライマックスの病院炎上はグっと胸に来ましたね。
開演前の館内アナウンスがさっぶ~いものだったのですが、それが幕間にも終幕にも使われてすごくイヤでした。特にラストは、アッシュが静かに息を引き取るシーンなのに「こら、そこの寝てる人!」とアナウンスで呼びかけるんです。興ざめにもほどがありますよね。いわゆる感動的なシーンの直後に意図的にギャグを入れて軽くする演出はよく見られましたが、あそこだけはやって欲しくなかったです。
役者さんとして印象に残ったのは李月龍(ユーシス)役の斎藤洋一郎さんと、ブランカ役の吉谷光太郎さん。吉谷さんは脚本・演出もされています。演技も良かったし殺陣もカッコ良かった。立派だなぁと思いました。
≪大阪、東京≫
出演=柄谷吾史/田中照人/斎藤洋一郎/斎藤准一郎/古川貴生/松木賢三/山本健史/加藤巨樹/田倉伸紘/日ノ西賢一/内藤悠一/梅林亮太/タイソン大屋/谷省吾/吉谷光太郎
原作=吉田秋生「BANANA FISH」(小学館フラワーコミックス) 脚本・演出=吉谷光太郎 監修=BS文芸部 アクションコーディネイト=RESCUERS 振付=江良健二・奥山賀津子 音楽=石田雄一 歌唱指導=伊達響子 美術=西本卓也(GiantGrammy) 照明=浜崎亮(LUPO) 音響=児島塁(Quantum Leap*) 衣裳=松村郁 小道具=日ノ西賢一 舞台監督=石田昌也 アドバイザー/生田朗子 宣伝美術=黒田武志(sandscape) 宣伝写真=伊東俊介 ヘアメイク=芦田歩 制作=瀬戸憲一・大西千保 プロデューサー=砂岡誠 協力=Afro13・いるかHotel・劇団☆新感線・劇団ひまわり 企画・製作=Blue Shuttle 後援=FM802
全席指定4,000円
アクサル=http://www.himawari.net/axle/
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2005年11月22日
ハラホロシャングリラ『ジュラルミンケース~Aプログラム』11/16-23シアターサンモール
ハラホロシャングリラは放送作家でもある中野俊成さんが作・演出・主宰される劇団です。今回は中野さんの脚本を2人の演出家にあずけ、それぞれ違うエンディングが用意されたA、Bの2ヴァージョン公演。
サードステージのプロデュース公演などでご活躍の板垣恭一さんが演出される、Aプログラムを拝見してまいりました。稽古の断片(Aプロ)に写真多数掲載。
ある警備会社で発見された、正体不明のジュラルミンケースが巻き起こす騒動。ジュラルミンケースの中身をめぐって、ごく普通のサラリーマン達が勝手な妄想の中で天国と地獄を行ったり来たり。
青山円形劇場での初演を拝見していましたので、ある程度の筋をわかって観ていました。初演は何も無い空間での会話劇で、どたばたしている割にサラっと上滑りしてしまっている印象でしたが、今回は中盤から終盤にかけて、ググッと人間の心の深いところに差し込んでいく感覚がありました。また、初演のエンディングに合点がいかなかったので、今回はそれが変わっていて良かったです。
でも全体的には「地味だなぁ・・・・」という感覚がぬぐえませんでしたね。特に事件は起こらずに会話だけで2時間弱を魅せるわけだから、もっと奇抜なところがあっても良かったのではないかと思いました。舞台美術が地味目だったのも原因かしら。
セリフを噛んだために(言い間違えたために)、笑いや間(ま)がズレてしまうことが多かったのは残念。セリフを話す時になぜかあせり気味になる役者さんが多かった気がします。
ここからネタバレします。これからご覧になる方はお読みにならないでくださいね。
「ジュラルミンケースの中には1億円が入っている」とリーダーの権谷(松沢仁晶)が言います。「そのことを知ってるのは俺達だけなのだから、誰にもどこにも報告をせずに・・・・。」つまり、着服しちゃおうということなのです。
1億円を6~7人で分ける相談をしているうちに大金が自分のものになった気になって、取らぬ狸の皮算用はどんどんエスカレートします。分配方法をめぐって言い争うので、取り分が5000万円になったり1000万円になったり、急上昇・急降下の連続です。それぞれの頭の中の架空の未来は、ものすごいスピードで膨らんだりしぼんだりして、実は何も起こっていないのに舞台上の人物はどんどんと変化していきます。
いざジュラルミンケースを開けてみると、入っていたのは確かに1億円でしたが、防犯用のニセ紙幣でした。あんなに自分の気持ちや過去を暴露させられて、本性をさらけ出すハメになったのに、結果はふりだしに戻っただけ・・・。ぬか喜びさせられてみんなは怒り心頭、そして意気消沈。でも、幕が開いた時よりも明らかに登場人物たちは仲良くなっていたし、生き生きとしていました。
初演ではジュラルミンケースの蓋が開くと中には光り輝く1億円が!「やったー!」「これで大金持ちだ!」という歓喜の表情が、徐々に暗転の中に消えていって終幕・・・というものでした。
眺めていて面白いなぁと思ったのは、住宅ローンのための資金を欲しがっているリーダー・権谷役の松沢仁晶さん。汗だくになっての熱演でした。
弁護士を目指していたことのある正義漢・白鳥役の山本佳希さんは、たった一人で果敢に盗っ人連合に立ち向かう姿がけなげです。きれいな心で真面目な生き方一筋のキャラクターを好演されていましたが、欲を言えばもっとはっちゃける瞬間があって欲しかったですね。声のトーンが一定だったのが物足りなかったです。
【出演】Aプログラム=松澤仁晶/山本佳希/菊池洋/白井勝雄/丸田恭正/横澤裕章/石黒亜実/渡邊美智代/井手規愛/松山ケメ子/林悦子/小林恵子 Bプログラム=滝裕次郎/いんげん/四方田祐輔/神山健太/大石康隆/渡辺巨樹/河野景子/こんどうえみこ/澤田よしみ/田村直子/小林和未/加島愛
作・製作総指揮=中野俊成 演出=Aプログラム:板垣恭一 Bプログラム:赤堀二英 照明=関嘉明(日高舞台照明) 音響=眞澤則子/丸山真由美 Aプロ音楽=小林章太郎 舞台美術=田中敏恵 舞台監督=坂野早織 舞台美術助手=田村夏 大道具=夢工房 小道具製作=蕪木久枝 宣伝美術=ワンツーパンチ! スタイリスト=小笠原靖子 ヘアメイク=石山恵理/市瀬ひとみ 写真=園田昭彦 託児=マザーズ 撮影=テアトルプラトー(SKY PerfectTV!) 演出助手=Aプロ・鬼塚大輔 演出助手=Bプロ・鈴木建次 制作=寺澤正美/武谷有希子/おにつかひでこ Special Thanks=池田風見
AプログラムとBプログラムのダブル演出・ダブルキャスト公演。
前売¥3800 当日¥4000(全席指定) A・Bプログラム 2公演分で¥7,000(全席日時指定) 中学生・高校生の当日券¥1,500(学生証提示・当日券のみ有効)
劇団=http://www.harahoro.com/
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2005年11月18日
青年団+劇団PARK 日韓合同公演『ソウルノート』10/26-30こまばアゴラ劇場(原題=『東京ノート』)
何度も再演されている青年団の代表作で、10年前に岸田國士戯曲賞を受賞している『東京ノート』のソウル版。舞台を東京からソウルの美術館に変えただけで、内容はほぼ同じだそうです(私は『東京ノート』未見です)。
平田オリザさんの脚本を、韓国人演出家の林広正さんと平田さんが共同演出し、俳優も日本人と韓国人の競演でした。※公演は終了しています。
劇場に入るなり舞台美術の素晴らしさに感涙。『ニセS高原から』などで通い詰めたアゴラ劇場が全く違う使い方をされて、現代風の新しくて美しい美術館のロビーになっていました。これこそ劇場の魔法じゃないですか!?こまばアゴラ劇場バンザイ!!
詳しいレビューはこちらにも⇒ デジログからあなろぐ
≪あらすじ≫
2014年5月のソウル。15万人もの日本人が住んでいる(ことになっている)。舞台となる美術館にはフェルメールの絵画が全て揃っていて、韓国人だけでなく日本人も美術鑑賞に訪れる。ヨーロッパで大規模な戦争が起こっており、絵画などの美術品がアジアの国々に避難してきているのだ。
美術館のロビーには、ヨーロッパの戦争に志願する人、反戦運動をしたけれど挫折をした人、無思慮のまま輸出用の武器の部品を作る人らが登場する。
≪ここまで≫
字幕の2014年という文字を見たとたん、いっぱい想像しました。青年団の近未来を舞台にした作品だと『S高原から』と『南島俘虜記』を拝見したのですが、ひとことのセリフから舞台設定を予想するのがとても面白いですし、そういう想像力を喚起してくれる空気感が、青年団の作品にはあります。
今回は「2014年になると日本よりも韓国の方が戦争の危険が無いようになっていて、お金持ちや国の要人だけがソウルに来ることができる状態なのかな」と想像しました。それが『S高原から』のサナトリウムに重なり、また、時代は違うけれど『その河をこえて、五月』の桜の咲く川辺のことも思い浮かべながら、日本と韓国という海を挟んで隣同士の国と国の、過去から未来へつながる関係が見えてくる気がしました。
先にも述べましたが、とにかく舞台美術が素晴らしいです。普段のアゴラ劇場は劇場入り口から入ると客席の最後列になります。今作では劇場の中の通路をググっと右に入り込んで、右側に舞台、左側が客席でした。壁は白と黒、そこに差し色の赤、そしてイマドキのおしゃれな美術館によくある白木製のパネル(壁)やベンチが置かれ、床がコンクリート(のよう)だったのも現代的でリアル。劇場は魔法の箱です。奇蹟がおこる部屋です。一歩踏み入れた瞬間にそれを体中で感じることが出来ました。
さて、肝心の役者さんの演技についてですが、韓国人の役者さんは良かったですが、日本人が出てくると退屈して、眠くなりました。日本人の家族がいっぱい登場したシーンはほとんど記憶がありません。オリジナル版とほぼ同じ配役なのに、青年団の俳優さんはどうしたのでしょう。何か起こったのかな。
オープニングとエンディングにいいムードの音楽が流れました。青年団のお芝居ではなかなかない(決してない?)ことだそうです。“悲しいけれど心温まるイイお話”という始末がついてしまって、世界が狭くなってしまっているように思いました。オリジナル版『東京ノート』を是非観てみたいです。
※お芝居の舞台が東京から韓国になっていますから、脚本は大々的に韓国語に翻訳されています。韓国人の俳優と日本人の俳優が共演し、演出も共同ですから、当然のごとく言葉の壁を越えて創作しなければなりません。たとえば学芸員役のひらたよーこさんはセリフのほとんどが韓国語でした。
あの・・・こんなこと私が言う必要ないぐらい明らかなんですが、これって、めちゃくちゃ大変ですよね・・・?日本語の脚本を韓国語に訳して韓国人の俳優さんが演じるだけじゃないんですよ。新しい作品を韓国人と日本人とが一緒に作り出すんです。こんなに積極的で具体的な国際的文化交流はなかなかないんじゃないでしょうか?
平田オリザさんをはじめ、青年団の方々へ。心から感謝申し上げます。私は観ることしかできないですが「観ることが、育てること。 」との優しい呼びかけに、ちょこんと乗っからせていただきたいと思います。
追加公演=10月30日18時開演
出演=山内健司/ひらたよーこ/松田弘子/足立誠/山村崇子/角舘玲奈/天明留理子/チェ・ヨンミン(Choi Yong Min)/ユ・ヨンス(Yoo Yun Soo)/イム・ユヨン(Lim You Young)/チェ・チャンヨル(Choi Chang Youl)/チャン・ソンヨン(Jang Seon Yeon)/ファン・ジヨン(Hwang Ji Young)/ハン・スンド(Han Seung Do)/イ・ジンヒョク(Lee Jin Hyuk)/パク・ジュヒ(Pak JuHee)/ク・ボンジュ(Ku Bon Ju)/ノ・ジョンア(No Jeong Ah)/チャ・ヘジョン(Cha Hye Jung)
作=平田オリザ 演出=平田オリザ/Park Kwang Jung 翻訳=ソン・キウン 演出助手=ジュジヒ(Ju Ji Hee) 音楽監督=ハン・ジェコン(Han Jae Kwon) 技術監督=キム・ヨンヒョン(Kim Yong Hyun) 舞台美術=杉山至 照明=岩城保 音響操作=薮公美子 通訳=ソン・キウン(Sung Ki Woong) 字幕操作=ソン・キウン(Sung Ki Woong)/秋山建一 字幕制作=青年団 宣伝美術=京 制作=一條智子/西山葉子 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共同制作=ソウル国際公演芸術祭 後援=駐日韓国大使館 韓国文化院・韓国文化観光部
日時指定/全席自由/整理番号つき 前売・当日共 一般3,000円 学生2,000円 高校生以下1,500円
公式=http://www.seinendan.org/
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2005年11月17日
青年座『パートタイマー・秋子』11/15-20本多劇場
永井愛さんが青年座に書き下ろした傑作の再演です。演出は『見よ、飛行機の高く飛べるを』と同様に黒岩亮さん。メルマガ10月号、11月号でもご紹介しておりました。初演のレビューはこちらです。
やっぱり面白い!これは大人だけが見るのはもったいないです!ぜひ若者も本多劇場に集ってください!!
《あらすじ》 公式サイトよりそのまま引用。(役者名)を追加。
舞台は、とある町の小さなスーパーマーケット「フレッシュかねだ」従業員控え室。
樋野秋子(高畑淳子)はつい半年前まで中堅企業の部長夫人として恵まれた生活をしていた。が、不況による倒産で夫は失業し、再就職の難しさにいささかやる気をなくしている。行き先不安を感じた秋子は、ついにパートタイマーとして働く決意をした。が、秋子が選んだのは、高級住宅地にある自宅から遠く離れた町の小さなスーパー。心は部長夫人のままパート先に向かう秋子。物語はその第一日目から始まる。
まもなく秋子はこのスーパーの信じられない実態を目の当たりにすることになる。陰謀と策略が渦巻く中、「フレッシュかねだ」起死回生を狙った“激安セール”は成功するのか。そしてその裏側にあるものは・・・。
《ここまで》
このチラシのビジュアルだと商業演劇っぽいドタバタ喜劇のように見えますが、決してそうではありません。単純な笑いももちろんありますが、観てる方が恥ずかしくなる苦笑が盛りだくさんです。そしてその笑いの中に日本社会への痛烈な皮肉もちりばめられており、ガハハと笑いながら自分も身につまされ、胸がギュルンと苦しくなる社会派コメディーです。
ラストの秋子(高畑淳子)と貫井(山本龍二)の対話に涙、涙でございました・・・(泣)。
このお話の舞台はスーパーマーケット“フレッシュかねだ”ですが、これは家庭、学校、町内会、会社など、人間が集まる場所ならどこにでも当てはまるお話です。
店長(横堀悦夫)・貫井(山本龍二)を筆頭とする“フレッシュかねだ”改造推進派と、自分たちだけのわがままパラダイスを守るための現状維持および店長解任を目論むパートおばちゃん連合との、狭い世界の熱い戦い。いじめ、裏切り、贈賄・収賄、派閥争いなど、人間の心の汚い部分が生み出す悪行の吹き溜まりが“フレッシュかねだ”なのです。
2度目なので言葉をより深く味わうことができ、今回は21年間無遅刻・無欠勤の小笠原さん(藤夏子)の言葉が特に心に留まりましたね。
小笠原さんは決して自分の気持ちは言わずに、「どうなんだか・・・」という曖昧な言葉で口を濁してきました。“赤っ恥セール”に参加するのかどうかを決めるようにと店長に詰問されて、はじめて自分がとっていた態度について考え、秋子に告白します。
「何かを言ったら、何かが起こってしまう。それが怖かったの。だからといって、何も言わなかったら、それは本当にこのフレッシュかねだのことを思っていたとは言えないわよね・・・(セリフは意味を踏襲して創作)」。
これは今の日本人のことを表していると思います。「まじめに、まともに生きているのだから自分には非がない。自分が生きていく分の責任だけは果たしているし、迷惑はかけていない。それどころかしっかり働いて社会に貢献しているのだ」・・・と自分に言い聞かせて、できるだけ自分の意見や感想を言わずに、なるべく事を起こさないように、かたくなに現状を維持し続けること。それは誰か(なにか)と無関係でいることを選ぶという、いわば愛情の反対の表現なのではないでしょうか。マザー・テレサいわくの「愛情の反対は憎しみではありません。それは無視です。」ということだと思います。
最近、意見を言うこと自体が愛情表現じゃないかなって考えています。有言実行は理想ですが、有言不実行の方が無言不実行よりも、ずっと、ずっと暖かいと思うのです。
主役の高畑淳子さん、山本龍二さんは言うまでもありませんが、役者さんは皆さんその役柄になりきってらっしゃいます。森塚敏さんは少しセリフがおぼつかない、の、かな・・・??、と感じる瞬間が少しありましたが、やはり演技は良かったです。森塚さんがまたこの役を演じられているのが嬉しかったです。
※店長(横堀悦夫)が小笠原さん(藤夏子)向かってに「肝心なところで何も意見を言わないのは、“小笠原流”ですか!?」とやじるシーンがあります。
小笠原流礼法は室町時代から続く日本の礼儀作法でして、私、少しかじっていたことがあるのです。ちょっぴりウンチクを書かせていただきますと、小笠原流礼法は「自分の意見を言わない」ことを特に奨励したりはしてはいません。物についても言葉についても「丁寧に、真ん中に、置く」というのがありまして、上品に、誰も傷つけることなく、しかし自分自身でもあり続けるという、それはそれは素晴らしいお作法でございます。
≪大阪、東京、ほか演劇鑑賞会など≫
出演=高畑淳子/山本龍二/横堀悦夫/津田真澄/小林さやか/土屋美穂子/藤夏子/井上夏葉/手塚秀彰/石母田史朗/小豆畑雅一/森塚敏
作=永井愛 演出=黒岩亮 装置=柴田秀子 照明=中川隆一 音響=井上正弘 衣裳=三大寺志保美 宣伝美術=早田二郎・中山千絵 舞台監督=安藤太一 制作協力=山中寿子(スタッフユニオン) 製作=紫雲幸一
一般5,000円 ゴールデンシート4,000円 ユニバシート3,500円 チェリーシート2,500円
公式=http://www.seinenza.com/performance/181/
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2005年11月16日
【情報】二兎社公演32『歌わせたい男たち』東京追加公演
イープラスと公式ブログからの情報です。
「歌わせたい男たち」東京追加公演決定!!!
日時:12月6日(火)14:00開演
場所:亀戸・カメリアホール
■11月15日(火)より、カメリアホールにて先行予約を受付けます。
TEL.03-5626-2125(10:00~21:00)
■一般発売日 :11/19(土)10:00
公演詳細・お申込みはコチラ(イープラス)。
イープラスの特集はこちら。『歌わせたい男たち』ブログはこちら。
私のレビューはこちらです。
G-up sideB;session『ゼロ番区』11/15-20新宿スペース107
松本匠さんが作・演出・主演されているプロデュース公演です。2001年初演で今回が再々演なんですね。
『ゼロ番区』とは死刑囚舎房のこと。男ばかりのシリアスな7人芝居は少々地味すぎる雰囲気でしたが、ラストは客席中ですすり泣く音が響きました。
※イープラスの得チケに、日にちにより残席あり。
≪あらすじ≫
東京拘置所にある死刑囚舎房は通称“ゼロ番区”と呼ばれる。入所して数年経つ南(松本匠)、秀島(大内厚雄)、浜田(入山宏一)はあきらめとともにゼロ番区での生活に慣れてきたが、入ってまだ間もない今西(岡安泰樹)は「自分は冤罪で拘置された」と主張し、再審を求める手続きに没頭している。
数日前から新しく配属された看守長(関秀人)は、ゼロ番区の囚人たちに異常につらく当たる。部下の藤原(日高勝郎)と小松(濱本暢博)も不穏に思うほどだ。実は看守長は過去に・・・。
≪ここまで≫
前半は役者さんの演技が硬くて会話がうまく回っていないようでした。特に主役の南やすし役の松本匠さんの演技が、「セリフを読んでます」と言わんばかりの状態でちょっと困りました。でも中盤ぐらいから言葉もだいぶん伝わってくるようになり、会話もスムーズに受け取れるようになりました。初日だったからかもしれませんね。
ステージの上に3つの四角い島舞台が設置してあり、3つをひっつけて雑居房、別々にして独房というように変化させます。舞台が刑務所内なので意図的なのかもしれませんが、装置は全体的に地味でした。終盤になると照明にも大胆な変化があって良かったですが、前半から中盤は、空間の演出がシンプルすぎるように思いました。
風琴工房の『ゼロの柩』を観た時と同じで、答えは出ませんでしたけど、「死刑って何なんだろうなぁ・・・」と考えました。裁判で死刑の判決を下すのは裁判所ですが、実際に死刑執行を決定するのは法務大臣で、執行の瞬間のボタンを押すのは看守なんですよね。ものすごい乖離を感じます。
殺人は犯罪ですし取り返しがつきません。殺された人やその親類、友人の傷みは、殺人犯が死刑になったからといって完全に癒えることはありません。でもその殺人犯に死刑が執行されると決まったら、彼の周りに居た人間はやはり別れるのが悲しくて泣くんですよね。その意味で死刑は刑罰であり、殺人でもあります。
ここからネタバレします。
南は幼い頃に強盗3人に両親を惨殺されたので、大人になってからその強盗3人を刺し殺しました。彼はその殺人罪で死刑囚となったのですが、死刑執行直前に「看守長が正しいです。殺しても何にもならなかった」と言います。彼は自分の罪を罪として受け止め、それゆえの死刑に納得していました。
看守長(関秀人)は若い頃に実兄を殺された恨みを晴らすために、ゼロ番区の死刑囚達にやつ当たりをしていました。でも南の殺人が両親の復讐のためだったと知り、南の罪と自分のやっていることを重ね合わせて考えた結果、「自分が間違っていた」と気づきます。この2人の気づきが、暗くてシリアスなドラマの本質的な救いとなっていました。
私は輪廻転生を信じています。そして人間がこの世に残した強い意志や感情は、それが愛だとしても恨みだとしても、来世へと引き継がれるのではないかと考えています。だから死刑が執行された時、その死刑囚が自分の罪を罪だと思っていなかったり、今西のように「冤罪なのに」と恨んでいたりしたら、おそらくその人は来世でも何かやってしまうのではないかと私は想像します。だから、南がそんな恨みをいっさい持たずに天に召されるというエンディングを嬉しく思いました。
浜田(入山宏一)の病死後に新聞に掲載された俳句「叫びたし 寒満月が 割れるほど」(うろ覚えです)は、とてもいい歌だと思いました。
関秀人さん。非情の看守長役。全体的に声が聞こえなかったし大人しかったですねぇ。暴力を振るったり残酷なことを言い放ったり、けっこう怖い役のはずなのですが、敢えて押さえた演技をされていたのでしょうか。でも最後に南(松本匠)に謝るところの弱々しい、だけど真摯な気持ちが表れた表情は、めちゃかっこ良かったです。
南(松本匠)の死刑執行が言い渡されたところで、今西(岡安泰樹)がおんおん泣きながらしゃべっていたのが良かったです。あれで私は泣いちゃいました。
出演=関秀人/大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)/岡安泰樹(エル・カンパニー)/入山宏一(絶対王様)/日高勝郎(InnocentSphere)/濱本暢博(劇団OUTLAWS)/松本匠(エル・カンパニー) 声の出演=山野勝/内田びん太(俳協)/今西恵子/瀧澤奈々絵(フラッシュアップ)
作・演出=松本匠(エル・カンパニー) 音響=平田忠範(GENG27) 照明=廣井実 舞台監督=長谷川裕 演出助手=田村友佳(KAKUTA) 宣伝美術=松井秀樹写真事務所 制作=伊藤恭子 企画=RISU PRODUCE 製作=G-up プロデューサー=赤沼かがみ
全席指定 前売3,800円 当日4,000円
G-up=http://www.g-up.info/
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2005年11月15日
パルコ・プロデュース『メアリー・ステュアート』11/03-22パルコ劇場
白石加代子×麻美れいヴァージョン(1990年初演)が3度も再演されているし、きっと良いのだろうと思って早めにチケットを買っていたのですが、途中休憩の時に帰りました・・・。同じ回を観ていた友達は開演後20分で席を立っていました。
宮本亜門さんの演出は当たりはずれがあって、その振れ幅が激しいんですよねぇ(苦笑)。『INTO THE WOODS』には大感動したのですが、ミュージカル『キャンディード(初演)』は今作同様、途中休憩で帰りましたし。
《あらすじ・解説》 ぴあの特集コラムより引用。
つねに男性によって人生を変えられたスコットランド女王、メアリー・ステュアート。政治に男女問題が介入するのを嫌い、生涯、独身を通したイングランド女王、エリザベス1世。ふたりは同じ時代に生きながら、正反対の人生を歩んでいた。お互いを強烈に意識しながらも、実際には1度も顔を合わせることがなかったふたりが、夢の中で何度も出会う。そしてまだ見ぬ相手との会話でだけ、男、親、人生、権力、プライドと弱音、相手への嫌悪と親近感など、誰にも打ち明けたことのない本心を語りだす。(以下省略)
《ここまで》
前半50分、休憩15分、後半70分のお芝居でした。私は休憩の時に帰りましたから、「2人が夢で何度も出会って本心を語る」前に出ちゃってましたね。
チラシがすっごくきれいですよね?花柄ドレスといい草の緑といい、超私好みなのですが、実際の衣装や舞台装置は全然違うものでした。すっごくがっかり。裏切られた気分。
舞台下手には銀色の金属製の壁がそびえており、その上には明らかに血を思わせる赤色の、大きな筆で書かれた模様がうねっています。そちらがメアリー(南果歩)のスペース。大して上手にはどっしりと荘厳な石造りの壁。こちらがエリザベス(原田美枝子)のスペース。舞台中央よりも少し上手側に、上手の壁と同じ石造りの大きくて頑丈そうな柱があって、それが2人の空間を分けています。壁の裏側を通って役柄が変わったりも。
衣装の全体イメージはちょい昔の言葉で言うところの“近未来風”というか、昔のSF映画に出てくる宇宙人スタイルというか。メイクはお二人とも目の周りを黒のアイラインでぎっちり書いてましたから怖い感じです。
メアリーは金髪と茶髪のメッシュの散切り頭にピンク色のグランジ系ドレス。ひざ下ぐらいまでの丈で、スカートの下には足首までの黒いスパッツを履いています。靴は薄汚れた金色のハイヒール。エリザベスは灰色のロング丈のドレス。形は正統派ドレスに近いですが、生地はプリーツ加工されたポリエステル素材で、もじゃもじゃの皺がよっています。ヘアスタイルはでパンチパーマが四角く盛り上がったような黒髪かつらでした。
女優さんお二人は大きな声を張り上げて怒鳴るような話し方ばかり。言葉の意味がまったく届いてこなかったです。目をぎらぎらさせて、嫉妬、憎悪、嘲笑、皮肉などの悪意が表情にも立ち姿にも満ち満ちています。そしてお二人とも声を枯らしてらっしゃいましたから、聞き苦しいことこの上なし。
そして音楽が・・・ドス黒くて暴力的で、わざわざ恐怖を誘い出そうと意図されたもののように感じました。
白石加代子×麻美れいヴァージョンとは違う作品に、という意図が働いていたのかな。それを観ていないから判断できないですが。
※どこかの演劇雑誌で読んだのですが、野田秀樹さんが「日本の客は、つまらないと思っても途中で帰らないからダメだ。だから演劇が育たない」という意味のことをおっしゃっていました。イギリス留学から帰ってきた時のインタビューだったかな。
それを読んで以来、私は我慢しないで席を立つようにしています。観客はそういう意思表示をしてもいいと思います。
フリードリッヒ・シラー作「メアリー・ステュアート」の自由な翻案
≪東京、大阪、松本≫
出演=原田美枝子×南果歩
作=ダーチャ・マライーニ 訳=望月紀子 演出=宮本亜門 美術=レイチェル・ホーク 衣裳=岩谷俊和(DRESSCAMP) 音楽=産毛 照明=中川隆一 音響=高橋巌 ヘアメイク=小島裕司 演出助手=西祐子 舞台監督=徳永泰子 製作=伊東勇 企画製作=株式会社パルコ 主催=TOKYO FM・パルコ
*これまでに白石加代子×麻美れい主演で3度上演されています。
全席指定 ¥7,500
劇場=http://www.parco-play.com/web/page/information/mary/
ぴあ=http://www.pia.co.jp/column/play/mary_stuart.html
イープラス=http://eee.eplus.co.jp/s/mary/
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2005年11月14日
パラドックス定数『大正八年永田町』11/09-13王子小劇場
パラドックス定数は前回の2人芝居『5seconds』が面白かったので楽しみにしていたのですが、その期待を上回るものを観せてくださいました。
《あらすじ》公式サイトよりそのまま引用。一部(ふりがな)追加。
国会議事堂の建設と地下鉄の敷設。大正八年に始まった二つの事業は人間の思惑を超えて疾走する。策略が交錯する永田町。この場所で静かに男たちは牙を剥く―――
議事堂の設計コンペから竣工までの17年間を4人の設計士中心に描き出す。大正デモクラシーとも呼ばれる自由闊達な時代から徐々に軍部が台頭し、第二次世界大戦になだれ込むまでを背景にした、モノを創ることにとりつかれた人間の群像劇。
議事堂建築と平行して、要塞都市、防災都市としての顔も持ち始めた首都東京とその地下の姿を大胆に想像する。ほんの70年前に完成した国会議事堂だが、その設計者の名は未確定となっている事実。フィクションとノンフィクションの間隙(かんげき)を衡く物語が緊張感を孕んで展開する。
《ここまで》
「一番前の席がお薦め」という噂がしっかり回っていたようで、けっこう早めに行ったつもりだったのですが、前からガンガンに席が埋まっていました。ネット&メールの口コミはすごい!
あらすじにありますように「静かに男たちは牙を剥く」・・・のです!ダーク系のスーツ&眼鏡で統一された軍隊・民間企業・国家公務員戦士がかっこいーっ!!スーツ男子に目が無くて、眼鏡ボーイもお好みな私にとってはお徳過ぎの空間(笑)。
舞台上にはクラシックでシンプルなイスしかありません。役者さんは自分のシーンが終わったら舞台の上下(かみしも)に並べられたイスに座って待機しますので、一度舞台に出たらずっと出ずっぱり。
照明は暗い目&控えめですが人物の影がとてもきれいです。セリフの後にスパっと暗転するタイミングが絶妙。小気味よい切れ味があって余韻も残ります。
説明くさくなるようなセリフや、特にストーリーに関係の無いおしゃべり等が極力排除されているので、観ている方が登場人物の名前やバックグラウンド(職業、家族構成など)をしっかりと想像して観ていかないと、置いてけぼりを食らうかもしれません。でも、それぐらい言葉に磨きをかけているからできることであり、強気で勝負しているのがカッコイイと思います。
登場するのは戦う男たち。暴力ではなく、権力、財力、人脈、話術、そして自分の頭脳および腕一本で、生涯をかけた戦場に立っています。形態は違いますが今の日本のサラリーマンに姿が重なりました。
緻密に積み重ねられる好戦的な言葉、言葉、言葉。あくまでもスマートです。売り言葉に買い言葉、嫌味の上に嫌味を重ね、どんな小さな弱点も逃さず刺し貫き、刺されても傷跡は決して見せず、新たな攻撃に出ます。勝っても決して油断せず、手加減もしないし、負けても痛快な捨て台詞を発して毅然としています。
セリフは全然正確じゃないですが、私が感動したやりとり・セリフは下記。
「戦争も外交手段のひとつです」「人殺しは外交ではない!」
「美しいものが創りたかっただけなんだ」
前売り1800円で王子小劇場で拝見したお芝居としては、満点以上の出来だと思います。だからもうその枠にはまる必要がないと思うんですよね。脚本は新劇の大劇団(文学座とか青年座とか)に提供しても上演できると思いますし、将来は(改善すれば)新国立劇場の舞台にも乗せられると思います。
なので少々厳しい視点から意見を言わせてもらえれば、これは『5seconds』の時にも感じたのですが、意図的に笑いや心の通じ合いなどが排除されているのはもったいないと思います。切って切られての、無駄を省いた戦いのコミュニケーションだけではどうしても単調で、焦点がぼやけてしまいます。そして登場人物の生い立ちや友人関係、家族などの生々しいバックグラウンドが完全に排除されているのでは、説得力に欠けます。
また、17年間を描いていたはずだけど時間の経過が感じられないことが多かったですね。そこは役者さんの演技やセリフにもうちょっと味付けをしなければいけないのではないでしょうか。
脚本や演技、演出以外の細かいことについても、こだわりを実現している作品でした。国会議事堂や地下鉄の路線の設計図がたくさん出てきますが、とても精巧に出来ていて、全て手作りだとか(残念ながら私の席からは見えませんでした)。最後にモールス信号の音が聞こえるのですが、「ニイタカヤマノボレ1208(日本語)」という真珠湾攻撃の指令だそうです。ブログで噂の“切符型チケット”は、受付でパチンとハサミを入れてもらうのが嬉しかった。
制作面では『5seconds』の時に当サイトやfringe blogで指摘されていたことが全て改善されていて、劇団ホームページも開設!ザクザクと前進している劇団だと思います。※役者さんは特に劇団所属ではないようなので、劇団というよりは作・演出の野木萌葱さんを軸にしたプロデュース団体なのかもしれませんね。
男優さんなら誰もが出てみたいと思う渋い作風じゃないかしら?モテ間違いなしだと思いますよっ♪
出演=植村宏司/十枝大介/杉田健治/西原誠吾/舞場壊人/井内勇希/千葉伸吾/大塚秀記/小野ゆたか
作・演出=野木萌葱 照明=木藤歩 音響=井川佳代 舞台監督=栗山佳代子 宣伝美術=山菜春菜 WEB広告=富永淳 制作=パラドックス定数研究所
王子小劇場提携公演 日時指定・全席自由 前売り1800円 当日2300円
公式=http://paradoxconstant.tank.jp/taisho8/
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【お知らせ】新国立劇場 演劇研修所 第2期生(2006年度4月入所)募集概要が発表されました
新国立劇場演劇研修所(第1期生稽古場風景その1、その2)の第2期生の募集概要が発表されました。試験は2006年2月です。★まずはじめに所定の願書を取り寄せる必要があります。住所、名前などを記入した願書請求表を郵送して、願書を入手してください。※請求表はダウンロード(pdf)できます。
研修所は全日制・3年間の国立の“俳優養成学校”です。劇団や事務所に所属している役者さんは、研修所に入る際に辞めなければなりません。新国立劇場付属劇団はありませんので、研修所を卒業した後の進路は個人の自由になります。
超豪華な講師陣に思わず唸りますよね~っ!「身体と演技」の山中ゆうり先生、「声と演技」の池内美奈子先生、「つくらない演技」のジェレミー・ストックウェルさんにお会いしましたが、どなたも大らかで優しい方で、そして言うまでもありませんが感動的にプロフェッショナルな先生です。ジェレミーさんにはお会いした途端にパッと視界が広がった気持ちになりました。
情報元はこちら。私がゲスト出演させていただいたセミナーの主催者でもある、川南恵さんのコラムです。川南さんは研修所の教務主任でいらっしゃいます。
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2005年11月13日
KOKAMI@network『トランス youth version』11/08-27紀伊國屋ホール
『トランス』というと、山崎銀之丞×ともさかりえ×河原雅彦出演・木野花演出版を観たことがあります。初演情報(1993年)はこちら。今回私が拝見したのは高橋一生×すほうれいこ×瀬川亮版(youth version)です。
戯曲はやっぱり面白いな~と思いました。でも演出は心底楽しめるというわけではなかったです。若者向け、じゃないかしら。
全然関係ないですけど、ライブドアの堀江社長が観に来ててちょっとびっくりしました。開演直前に堀江さんに名刺を渡しに行くビジネスマンが居て、これまたびっくり。あきれましたけど、たしかにこんなご縁はめったにないですよね(苦笑)。
≪あらすじ≫
雅人(高橋一生)はフリーのライター。自分の記憶がすっぽり抜け落ちている時間があることに気づき、高校時代の同級生の礼子(すほうれいこ)を訪ねて精神科にやってきた。また雅人は偶然に、礼子と同じく同級生だった参三(瀬川亮)とも再会する。参三はゲイバーで働いていた。
数年ぶりに再会した3人は嬉々として旧交を温めるが、雅人の行動に異変が起きて・・・。
≪ここまで≫
白を基調にした装置でした。ちょっと汚れたりぼろぼろになった家具(机・ベッド等)が全て白く塗られていて、壁はタイルのような四角いパーツが並んで出来ています。ピンク、黄緑などのパステル系の派手な照明が頻繁に使われましたが、清潔感があって良かったです。
ストーリーをすっかり忘れていたので、ふむふむと普通に楽しく追いかけていましたが、スカッと元気な若々しい演出が出てくると、気持ちにストップがかかってしまいました。
ここからネタバレします。
若者が一人ぼっちで手探りしながら、泣きそうになりながら現代社会を生きているのが伝わってきました。これは10年前も一緒だったのかな。生真面目でまっすぐで、強がりながらも救い(愛)を求める若者の言葉って胸を打ちますよね。
若者3人がポップソングが流れる中はつらつと踊ったりするシーンは引いちゃいました。病院の屋上で青い空を見上げながらのピクニック、というような根っから明るく楽しい状況で、ハッピーな雰囲気の歌が流れて踊ってしまう・・・というのを素直に受け入れづらい年齢になってしまったようです(苦笑)。もしかすると皮肉を込めたシーンだったのかしら・・・?
誰が患者なのか医者なのか、誰が本当のことを言っているのかわからなくなるのは楽しいです。ただそういう作品ってよくあるので新鮮さや衝撃はなかったですね。でも目新しさなんて目指してらっしゃるわけがないですから(何度も色んな方の手によって再演されている演目だし)、それは期待するのがおかしいですよね。
高橋一生さん。記憶が飛ぶ雅人役。期待通り、でした。陛下になってからはあんまり面白くなかったな~・・・ってこれは役柄だからしょうがないんですが(笑)。
すほうれいこさん。新興宗教にはまっていたが、大学に入りなおして精神科医になった礼子役。明らかに演技が下手なんですよね・・・3人芝居なので比べられちゃいますしね。キリっとした表情で正面切って独白するのはきれいでした。きれいな女の子はやっぱり良いです。
瀬川亮さん。おかまバーで働く参三役。小須田康人さんに似てる!って思いました。体のキレがあって、元気で良かったです。
youth version出演者=高橋一生/すほうれいこ/瀬川亮 elder version出演者=松本紀保/みのすけ/猪野学
作・演出=鴻上尚史 美術=松井るみ 照明=坂本明浩 音響=堀江潤 衣裳=山本華漸(Future Eyes) ヘアメイク=西川直子 舞台監督=澁谷嘉久 制作=高田雅士・森田友規子 制作協力=細川展裕
一般5,800円 学生席3,800円(ぴあ店頭扱いのみ・要学生証)
公式=http://www.thirdstage.com/knet/trans2005/index.html
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ひょうご舞台芸術『芝居~朱鷺雄(ときお)の城~』11/08-13紀伊國屋サザンシアター
ひょうご舞台芸術は見逃さないようにしています。山崎正和さんの戯曲の再演で、豪華キャスト&スタッフですから否応なしに期待が高まったのですが、「期待のしすぎ」だったかも・・・。
≪あらすじ≫ 公式サイト内のあらすじはこちら。
八州朱鷺雄(やしま・ときお=辻萬長)は超売れっ子作家。しかしこの2年ほどは駄作続きで人気も名声も低迷している。朱鷺雄は昔からの友人を呼び出して「即興で芝居をしないか」と持ちかけた。友人とは朱鷺雄を担当する編集者の瑠璃(田島令子)、朱鷺雄の作品について本を出している評論家の滝(水野龍司)、そして朱鷺雄を政界へ誘い込もうとしている政治家の鰐渕(勝部演之)の3人だ。
彼等は朱鷺雄の誕生日に朱鷺雄の豪邸に集合したが、呼び出した当人は不在。住み込んでいる作家の卵の下沢耕治(大沢健)と、若い娼婦の園美(宮本裕子)がその“芝居”の記録係となっていた。
十数年ぶりに再会した3人は、朱鷺雄についてそれぞれの思いを話しだし、彼等の青春時代の中心人物だった天才作家・風間敏の死のについて、重い口を開きだした。
≪ここまで≫
俳優座劇場ぐらいの小さな劇場で観たかったですね~。サザンシアターの後ろの方では届いてこなかったです。
演出も美術も想像の範疇を超えないもので、正統派というよりは単に地味だなぁと感じるばかり。脚本は・・・内容は面白いと感じることが多かったですが、言葉遣いや役者さんの語り口がどうも古臭いように思いました。
田島令子さん、水野龍司さん、勝部演之さんの演技に真実味が感じられませんでした。だからといって辻萬長さん、宮本裕子さん、大沢健さんがすごく良かったと言えるわけでもなく・・・。やっぱり演出のせいですかね。
※ここからネタバレします。公演は終わっていますし推理部分は書きませんので、読まれても大丈夫かと思います。
子供から大人になって何十年も社会にもまれて汚れてきた人間は、何が本当なのかわからなくなっていて、自分でも本当のことを知りたいと思わなくなっています。嘘にまみれた自分の人生に嫌気が差して“本当のこと”を探していたら、朱鷺雄はサーカスに出会いました。「サーカスは、演技をしている人間が恐怖を感じている(だからあれは本当だ)」と。
辻萬長さんと宮本裕子さんが筋トレしながら談笑するシーンは、お2人の肉体美にみとれつつ、日ごろから鍛えてらっしゃるのが伝わってきて少々身につまされる思いもありました(笑)。これは肉体という絶対的な存在の、健全な美しさを表したのかな、とも思いました。朱鷺雄のサーカスに対する賛美とも重なるし、思想や感情が伴わない、ただの肉の塊にも本物の美が存在するという意味も感じました。
サーカスから発展して、娼婦の園美が「人間はサーカス(見るからに本物であること)だけに感動するんじゃない。“夢”にも感動する。そしてその“夢”というものを作り出すのは“物語”という完全な嘘だ」と言います。さらに「“物語”には2種類あって、それは人間の未来への夢と過去の思い出だ」と。作家と娼婦との禅問答のような会話から、論理的かつ明快で、だけど論理の中にはおさまらないもの(夢や物語など)の存在を肯定・賛美する確固とした思想が現れます。
この娼婦(宮本裕子)のセリフでかなり感動したのですが、う~ん・・・それだけだと不満だなぁ。もっと衝撃とか官能とかが欲しかったです。推理劇としてはテンポがスロー過ぎる気がしました。
※ここから推理のネタバレをします。
天才・風間の死について、朱鷺雄を含む友人4人全員に動機がありました。そして朱鷺雄が風間の作品(および構想が書かれたノート)を盗んでいたという事実も徐々にあらわになり、とうとう朱鷺雄自身が風間の作品を自分の名で発表してきたと白状します。でも朱鷺雄は自分のためではなく、風間を愛していたが故に、自分を殺して彼になりきって生きてきたのです。これには驚き、そして腑に落ちました。
「嘘だらけの世界」とか「通じ合えないことへの絶望」がこの多重構造の“芝居”の中の前提部分を占めていたと思いますが、もっと深いところまで掘下げてから、主張へと移った方が良かったのではないかと思いました。私達の現状はもっと深刻で、深刻ぶっても仕方がないぐらい日常的になってしまっているから、悩む前にその中で生きる術を編み出して実践してしまっていると思うんですよね。
若い人の小劇場作品を観慣れているからかもしれませんが、どうしても古いと感じざるを得ませんでした。
≪兵庫、東京≫
出演=辻萬長/宮本裕子/大沢健/田島令子/水野龍司/勝部演之
作=山崎正和 演出=鵜山仁 美術=島次郎 照明=勝柴次朗 衣裳=緒方規矩子 音響=斉藤美佐男 ヘアメイク=佐藤裕子 演出助手=城田美樹 舞台監督=北条孝 宣伝美術=東學 プロデューサー=三崎力(兵庫県立芸術文化センター) 制作=荒川由紀(R・U・P) 芸術顧問 =山崎正和 製作=兵庫県芸術文化協会
全席指定 5,000円
アール・ユー・ピー=http://www.rup.co.jp/
※イープラスの得チケで2,500円!(手数料が別途300円かかります)
http://click.eplus.co.jp/?5_301041_22010_11
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2005年11月11日
GUNDAM展覧会@上野
GUNDAM
GENERATING FUTURES
来るべき未来のために
11/06-12/25
@上野の森美術館
http://www.gundam-exhibition.jp/
11月初めに上野に2度も行ったので気になってたんですが、やっぱりすごい盛り上がりなんですね。あ、私はガンダム好きなのです。ファーストだけですが。1/1コアファイターとか、萌えるよね(笑)。
プーシキン美術館展、北斎展とあわせて平日に朝から晩まで堪能できたらいいなぁ・・・(無理だけど)。
2005年11月10日
パルコ/リコモーション『ダブリンの鐘つきカビ人間』10/28-11/13ル テアトル銀座
カビ人間役はラーメンズの片桐仁さん、ヒロインは中越典子さん。私は1度目の再演(2002年5/23~6/9パルコ劇場)を拝見しましたので演目自体は2度目の観劇です。
うーん・・・なんだかバラバラな感じ、でした。私の好みが変わってきているのもあると思います。
2度目だからというわけじゃないと思うのですが、楽しめなかったな~・・・。役者さんのキャラクターや特技に依ったギャグ等で流れが中断されるのが、あまり好きじゃないんですよね。
装置の構造は再演版とほぼ同じ。配役もけっこう被ってますね。お馴染みのキャラで楽しそうに演じてらっしゃる方が多かったです。
井手茂太さんの振付は、うまく行ってるところと行ってないところの差が出てしまってたように思いました。特にオープニングはインパクトが弱くて残念。
カビ人間(片桐仁)と、思っていることの反対の言葉しか喋れなくなった娘・おさえ(中越典子)の心が、少しずつ近づいていくのは素敵です。こういうストレートな愛情表現こそ人間に必要だよな~って思います。
牧師(山内圭哉)と侍従長(中山祐一朗)のハンバーガー・ショップ漫才(?)と、司会者ジョン・森(後藤ひろひと)の「カブトムシで脱臼(?)」パントマイムが面白かった!笑わせていただきました。
旅人役の土屋アンナさんは映画『下妻物語』の印象が強いから、あの不良キャラなのかしら。早口で流れてしまう演技が多かったです。でも殺陣とかとってもがんばってらっしゃって良かった。
姜暢雄さん。Studio Lifeでは見られない演技だったな~、誰だかわからなかったし(笑)。姜さんの役は2002年版では長塚圭史さんが演じてらっしゃいました。長塚さんはびっくりするほど歌が上手かったんですよね~。姜さんは・・・しょぼい感じが可愛かったです(笑)。
出演=片桐仁(ラーメンズ)/中越典子/橋本さとし/山内圭哉/中山祐一朗/及川健/八十田勇一/田尻茂一/トロイ/山中崇/平田敦子/土屋アンナ/姜暢雄/後藤ひろひと/池田成志/若松武史
作=後藤ひろひと 演出=G2 美術=綿谷登 衣裳=有村淳 照明=黒尾芳昭 音楽=佐藤史朗 音響=井上正弘 ヘアメイク=小島裕司 振付=井手茂太 殺陣=アクションクラブ 劇中歌=瓜生明希葉 演出助手=山田美紀 舞台監督=二瓶剛雄 宣伝美術=河野真一 宣伝画=洗智樹 宣伝写真=岡田貴之 宣伝衣裳=三大寺志保美 プロデューサー=尾形真由美/高橋典子/大西規世子 制作=長谷川ゆみ子 広報=米田律子 制作協力=キューブ 企画=G2プロデュース 製作=パルコ・リコモーション≪東京、名古屋、大阪、福岡、広島、長野≫
S席¥8,400/A席¥6,800(全席指定・税込)/BOXシート(2名様) ¥16,800(※チケットぴあのみ取扱)
パルコ内=http://www.parco-play.com/web/page/information/dublin2/
公式=http://www.parco-play.com/web/play/dublin2/
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メルマガ号外 『屋上庭園/動員挿話』
新国立劇場演劇『屋上庭園/動員挿話』
10/31-11/16新国立劇場 小劇場
※公演詳細はこちら(劇場内サイト)
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“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.23 2005.11.10 727部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新国立劇場演劇『屋上庭園/動員挿話』
10/31-11/16新国立劇場 小劇場
☆出演=七瀬なつみ/神野三鈴/小林隆/山路和弘/ほか
作=岸田國士 演出=宮田慶子〈屋上庭園〉/深津篤史〈動員挿話〉
岸田國士の短編2作品を実力派俳優が連続上演。
全席指定4,200円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s274/s274.html
◎観劇後のコメント◎
技術のある俳優による、静かで濃密な会話劇。
昭和初期に初演された戯曲ですが、今も新しいです。
レビューはこちら↓ ※ネタバレ含む
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1110155332.html
故・岸田國士(きしだ・くにお)さんは
お名前を拝した戯曲賞もある、日本を代表する劇作家です。
文学座を設立された方で、女優の岸田今日子さんのお父様なんですね。
客席にはご年配の方が多いですが、お若い方にもお薦めです!
★ご覧になった方の詳しいレビューです。
Somethig So Right
http://tabla.cocolog-nifty.com/junrei/2005/11/post_829c.html
Club Silencio
http://clubsilencio.seesaa.net/article/8898078.html
藤田一樹の観劇レポート
http://white.ap.teacup.com/kazudon/264.html
※Z席(1500円)でご覧になった中学生レビュアーさんです。
《チケットについて》
公演は来週の水曜日(11/16)まで。残すは5ステージです!
●チケット料金
全席指定=4200円
Z席(当日券)=1,500円/当日学生券=50%割引
チケットのお求め方法はこちら↓
http://www.nntt.jac.go.jp/season/boffice/index.html
●土日のステージは完売です。Z席(当日券)をご利用ください。
《お問い合わせ》
新国立劇場ボックスオフィス
TEL 03‐5352‐9999(10:00~18:00)
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◆ 【編集後記】
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◎私がこの作品を拝見したのは11/4(金)でした。
号外発行が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
◎11/6(日)開催のセミナーへのご来場ありがとうございました!
3時間(休憩10分含む)でしたが、しゃべりはじめたらあっという間♪
機会があればまた是非やってみたいと思っています。
参加された方のご感想をお読みいただけます↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
◎新しい職場に移りました。演劇関係のお仕事です。
でも1月末までという短期なので、2月以降のお仕事募集中!(笑)
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121
◎皆様の観劇感想をお寄せ下さい!
このメルマガについてのご感想でももちろん結構です♪
ご感想は転用させていただくことがあります。
お便りはこちらへ→ 《 shinobu@mtr-standard.co.jp 》
※件名は「メルマガ感想」としてください。
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◆ 【このメルマガについての注意事項(毎号同じ内容です)】
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今回の配信は“号外”です。
毎月1日発行のメルマガで、その月のお薦め舞台10本をご紹介します。
バックナンバーは全て公開中!
→ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
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このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
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◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったら・・・ごめんなさいっ。
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新国立劇場演劇『屋上庭園/動員挿話』10/31-11/16新国立劇場 小劇場
戯曲賞にも名を残す岸田國士(きしだ・くにお)の短編の2作品上演です。パンフレットにも書かれていますが「岸田國士はいつも新しい」。まさにその通りです。ハンカチを握り締め、何度も涙をぬぐいながら拝見いたしました。
遅くなりましたがメルマガ号外を発行します。今晩中に。
チケット代4200円は安いと思います。平日は残席あり。お求め方法はこちら。年齢層が非常に高い客席でしたが、若い方にもとってもお薦めです。
《ご覧になった方のレビュー(順不同)》
演劇◎定点カメラ
Club Silencio
Somethig So Right
OLD FASHION
因幡屋ぶろぐ
藤田一樹の観劇レポート
私の芸術鑑賞記
ここからネタバレします。セリフは完全に正確ではありません。
『屋上庭園』演出=宮田慶子
《あらすじ》
偶然デパートの屋上で出会った2組の夫婦。夫同士が若い頃からの友人なのだ。文人を目指していたが挫折した並木(山路和弘)と、経済人として着々と前に進んで金銭的に恵まれている三輪(小林隆)。過ぎ去った年月は2人の人生を大きく変えていた・・・。
《ここまで》
現代の日本のどこの誰にでも当てはまるお話です。私も身につまされます。
すごく自然な成り行きで並木が三輪に金を無心し、三輪は快く「20円なら」と大金を渡します。その直後の、無言でいっさい動きのない“間”の長いこと!心の通い合った語らいが、お金に変換された瞬間でした。
宮田慶子さんの演出は凄いです。さらりと過ぎれば「普通」と取られてしまうであろう夫婦の対話が、こんなに残酷で、こんなに優しくなるなんて。いや、もしかすると既に戯曲に書かれているのかもしれませんね。それを宮田さんと役者さんたちが丁寧に見つけ出し、表に現していった結果がこの空間なのでしょう。
衣装も良かったですね~。男は背広、女は着物を着ているのですが、布の材質、柄、色、そして生活が滲み出す皺のより方など、とてもデリケートに人物像を描き出しています。
勢いよく昔の友人に見栄を張り、しかし背中を向けながらこっそりと無様な涙を流す、並木役の山路さんの演技が素晴らしい。
夫・並木(山路和弘)の強がりの嘘をすっかり真に受けながら、実は全てを知っている並木の妻役は神野三鈴さん。「あなた、お友達がなくなるじゃない?」というラストのセリフでの、けなげな眼差しと嗚咽に涙しました。
『動員挿話』演出=深津篤史
《あらすじ》
日露戦争が勃発した。陸軍少佐の宇治(山路和弘)も出兵することになり、馬蹄の友吉(小林隆)を一緒に連れて行こうとする。しかし友吉の妻の数代(七瀬なつみ)が断固として許そうとしない。友吉は果たして戦場に行くのか、行かないのか・・・。
《ここまで》
『屋上庭園』の舞台はビルの屋上一箇所だけでしたが、『動員挿話』では数箇所に変化します。舞台のほぼ中央に吊り下げられた黒板状の壁には、白い雲と見下ろされるビル群が描かれており、『動員挿話』のオープニングでは兵士(太田宏)がそのビル群を消して、日の丸の絵をたくさん書き出します。
「国家のために」という大義名分をもって男同士で盛り上がり、「しかたがない」とか「みんなやってる」などという理由にならない理由をまことしやかに押し付けて、家族を捨て、命を捨て、そして人殺しをしに行く男。国がどうなろうと、他人がどうなろうとかまわない、自分にはあなたが必要なんだ、一緒にいられるだけで幸せなんだと、愛する男を引きとめようとする女。
大切なのは「しかたがない」なんてことは無いということ。そんな政治的な、言い訳がましい、心にもない言葉を真に受けてはいけないのです。
深津篤史さんの演出は宮田さんのそれよりも野心的というか、冒険をされていました。たとえば宇治(山路和弘)を送り出した後、黒板に描かれた日の丸の中央の赤丸を、宇治の妻(神野三鈴)が素手で消していくとか。
兵士(太田宏)が日の丸の絵を黒板に書いている時の少々きちがいじみた笑顔と、最後に友吉(小林隆)を呼びに来た時のしてやったりな顔、および声色は・・・おそらく当時の日本国家もしくは軍隊を彼を通じてあらわしたのかもしれませんが、ちょっと嫌味が過ぎるのではないかと思います。
最後の赤い照明は・・・ダサイいんじゃないかな?と思いました。小林さんが全身全霊で悔恨し、荒れ狂う演技だけで十分でした。
つまり、深津さんの演出はちょっと過剰な気がするんですよね、個人的に。でも数代が友吉を説得しようと友吉に抱きついて、涙をぼろぼろ流しながら取っ組み合って、からみあって・・・というシーンは迫力があって面白いし、ガツンと胸に響きました。
主要の4人の役者さんは皆さん素晴らしかったです。プロの役者というのは舞台の上で自分が演じる役柄になりきる、というよりは自分の中からそれを生み出すというか、「自分であり、その役でもある」という状態なのではないかと思います。
兵隊役の太田宏さん(青年団)。reset-N『キリエ』での怖いお兄さん役が強烈でしたが、今作でも静かでひょうひょうとしたかましい佇まいから、冷たい殺気を感じさせました。怖いけどかっこいいです。
劇場ロビーで岸田國士展が開催されており、ゆかりの品の数々が展示されていました。中でも私は岸田さんが毛筆で書かれた掛け軸に目を奪われました。書かれていたのは↓
「一人では何も出来ない 然し 誰かが始めなければならない」
(意味だけ覚えて帰ってきたので文が正確かどうかは不明。ごめんなさい。)
《今公演のプロンプターをされた多根周作さんのブログ》
棚から牡丹餅
※岸田國士に挑む稽古場の厳しい、しかし充実した空気が読み取れます。山路さんの素敵な私物とか、小林さんのアップメニューとかも。役者さんは必読です。
《私が観た回の最後の暗転について》
岸田作品をご存知のお客様が多かったのでしょう、最後に暗転した瞬間に拍手を始めた方がいらっしゃいました。とっても、とっても残念。あの長い暗転で余韻を味わいたかった。演出の面でも小林さんの着替え時間の面でも、あの暗転は意図的なものです。観客は「拍手、してもいいかな・・・・」と様子見をすべきだと思います。舞台と一緒に呼吸すればわかるのではないでしょうか。
THE LOFT 小空間からの提案
出演=七瀬なつみ/神野三鈴/小林隆/山路和弘/遠藤好/太田宏
作=岸田國士 演出=宮田慶子〈屋上庭園〉/深津篤史〈動員挿話〉 美術=池田ともゆき 照明=磯野睦 音響=上田好生 衣裳=半田悦子 演出助手=川畑秀樹 舞台監督=米倉幸雄 芸術監督=栗山民也 主催=新国立劇場
公式=http://www.nntt.jac.go.jp/season/s274/s274.html
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2005年11月09日
大人計画・ウーマンリブ『七人の恋人』10/15-11/13本多劇場
宮藤官九郎さんが作・演出するウーマンリブの第9回公演。私はウーマンリブって今までに1回しか観てない気がします。あれ、2回かな。
恋っぽいものをテーマにした短編集でした。ばかばかしいことを思いっきりやって、やりたいことも思いっきりやって・・・かっこいいオノコ達でした。上演時間は2時間10分ぐらい。
観たからといって特に役に立つ知識を得られるわけでもないし、人生の悩みを解決してくれるわけでもない、男ばかりの短編です。でも、ほんっとーにおバカなことを全力で、めちゃ計算してやってる成人男性(それも30歳を超えている)を「かっこえーな~・・・」としみじみ眺めていました。
あと、私、男子学生服が好きなので(笑)、金ボタンの詰襟でバンド演奏されたら萌えますってば(笑)。
阿部サダヲさんが色んなキャラを演じられていて、どれも凄かったです。うんこに刺さったホスト、マタニティ・ヴィクスのインストラクター、エロ本を買いたい小学生(?)、ゴスロリ少女、田舎の家族の長男、オレンジの恋人。
一番好きだった短編は「ほとんど×三宅マン」。
ラストの「七人の恋人」で薬師丸ひろ子さんのアナウンスを堪能できました。きれいで可愛らしい声。
「尾美くん」作詞=宮藤官九郎 作曲=星野源
「七拍子の人」作曲=星野源
「ほとんど×三宅マン」作詞・作曲=宮藤官九郎 アレンジ=葉山たけし 歌=阿部サダヲ コーディネート=安井輝(GYO Music International)
「ねむさん」作曲=星野源
「セブン」作曲=宮藤官九郎
「七人の恋人」作詞=宮藤官九郎 作曲=星野源
≪東京、大阪≫
出演=阿部サダヲ/三宅弘城/少路勇介/星野源/宮藤官九郎/尾美としのり/田辺誠一
作・演出=宮藤官九郎 舞台監督=青木義博 照明=佐藤啓(Sound ConcRete) PA=瀬谷正夫 恩沢=宮藤官九郎/星野源 舞台美術=武藤晃司 衣裳=戸田京子 ヘアメイク=大和田一美 振付=八反田リコ 映像=ムーチョ村松(トーキョースタイル) 映像デザイン=吉田りえ(トーキョースタイル) 演出助手=大堀光威/佐藤涼子 演出部=望月有希/幸光順平/山本哲平 音楽制作協力=折茂治彦 ピアノ演奏=門司肇 ナレーション=薬師丸ひろ子/松尾スズキ 写真撮影=田中亜紀 チラシイラスト=篠崎真紀 宣伝美術=吉沢正美 大道具=C-COM 小道具=高津映画装飾 特殊小道具=土屋工房 背景=(有)拓人 制作助手=河端ナツキ/北端智子/赤堀あづさ 制作=長坂まき子 企画・製作=大人計画/(有)モチロン
全席指定 前売¥5,000/当日¥5,300
大人計画=http://www9.big.or.jp/~otona/
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2005年11月08日
主催・企画・製作=ホリプロ/TBS『ブロードウェイミュージカル「リトルショップ・オブ・ホラーズ」』11/03-27青山劇場
テレビに出てるスターが出演するブロードウェイミュージカル日本語版。山本耕史さんが出演してるとどうしてもチケットを買ってしまいます(笑)。
映画で知っていましたので、始めの音楽(女性3人コーラス)を聴いて懐かしいなぁと思いました。ただ全体的な盛り上がりはイマイチ。上演時間がそれほど長くなくて良かったです。
あらすじはコチラ。
とりあえず2階席(A席)がガラガラで、それだけでテンションが下がってしまいました。後半は席を移動して少々前の方で観賞。やっぱり近いと違います。後半は楽しかった~。
バケモノ植物オードリーⅠⅠの声が和田アキ子さんだったのが素晴らしいかったです。なぜか地味~だった序盤が、和田アキ子さんの声が聞こえた瞬間から一気に盛り上がりました。山本耕史さんの大きく響く美声も堪能できるようになってホっと一息。
上原多香子さん。元SPEEDの方ですね。足ほそっ!折れそう!おっぱいきれい(たぶん)!声も演技も可愛い!だけどミュージカルには技術不足ですね、仕方ないです。一生懸命だし好感は持てました。
女性コーラス3人組の歌がすごく上手で良かったです。でももっと動きとかは派手にしてもらわないと、空間が埋まってない気がしました。特にオープニングは寂しかった。
ここからネタバレします。
ストーリーをすっかり忘れていたのでラストにはちょっと驚きましたね。ヒロインに続いてヒーローも食べられちゃって、オードリーⅠⅠの種が全世界に蒔かれてしまったあかつきに、「どうかヤツに餌を与えないで!」って大合唱。それでいいんでしょうか(笑)。
しかも食べられた人たちが、赤い花のかぶりものに全身緑色のオードリーⅠⅠルックで登場したのは苦笑もの。でもオードリーⅠⅠの巨大バルーンは凄かったです。あれは楽しかった。
≪東京、大阪、高知≫
出演=山本耕史/上原多香子/越中睦(MAKOTO)/小堺一機/浦嶋りんこ/Tina/尾藤桃子/結樺健/QOMO 声の出演=和田アキ子
台本・作詞=ハワード・アシュマン 音楽=アラン・メンケン 翻訳=常田景子 訳詞=竜真知子 音楽監督=前島康明 演出=吉川徹 テーマ曲振付=KABA.ちゃん 振付=青木美保 装置=松井るみ 照明=高見和義 音響=山本浩一 衣裳=出川淳子 ヘアメイク=宮内宏明 技術監督=眞野純 舞台監督=白石良高 主催・企画・製作=ホリプロ/TBS
S席¥10,000/A席8,500/3枚セット券¥26,400(全席指定)
公式サイト=http://www.LSOH.jp/
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チェルフィッチュ『目的地』11/03-15こまばアゴラ劇場
今、演劇界で一番の話題だと言っても過言ではない、チェルフィッチュの待望の新作。やっと今日、行けました。朝日新聞、読売新聞、シアターガイド、ぴあ、流行通信、STUDIO VOICEなどの雑誌に作・演出の岡田利規さんのインタビューおよび公演情報が掲載され、その切抜きが劇場に貼られていました。そしてNHK「芸術劇場」から大きなお花が。圧巻ですね~。
またもや大感動。自分のツボだったシーンで涙ボロボロ。優しく、厳しい視線、そして強い主張を含む、今だからこそ生まれた、今観るべき演劇です。
メルマガ号外を出そうかどうか迷ったのですが、好き嫌いが強く分かれる可能性が高いと思い、踏みとどまりしました。でもぜひぜひ沢山の人に観たもらいたいです。いつかNHKで放送されるでしょうけど、ぜひ生(ライブ)で、こまばアゴラ劇場で。
チケットは若干枚数残っているようです。どうぞお早めにお問い合わせください。
→こまばアゴラ劇場 03-3467-2743
※チェルフィッチュの過去作品のレビュー→2003年『コンビニ』、2004年『三月の5日間』『クーラー』『労苦の終わり』、2005年『ポスト*労苦の終わり』
上演時間は1時間40分とアナウンスされました。その100分の間に盛り込まれた内容の多いこと!何もないと言っても過言でないステージに静かに溢れる、見たことがあるようで実はありえない動きと若者言葉の洪水の中に、演出手法もメッセージも“現代演劇のデパート”って言えるぐらい盛りだくさんです。
今回あらためて思ったのは「チェルフィッチュってかっこいい!」ってこと。脚本はもちろんですが、美術、照明、音楽や役者さんの佇まいにしてもセンスが超素敵。オリジナリティに満ちたクールでコミカルな空間です。演劇雑誌だけでなくファッション雑誌に取り上げられるのも大納得。
繰り返される身体表現については、以前までは窮屈に感じたり飽きたりしたのですが、今回は不確定なリズムに乗ったダンスのように見えて、あるきっかけで振付が発展していくことも楽しめました。止まらずに進むダンスから、ほんのり香るような、人間の体温を感じられるような空気が漂いました。
チェルフィッチュの特徴とされる上述の動きと若者言葉について、今回あらためて感じたことがあります。
こっけいな動きの繰り返しには、自分の気持ちを心の中央からそらす作用があると思います。そうやって日本の若者は、相手を傷つけないようにするのと同時に、社会から自分を守っているのだと捉えました。「~~とか思うんですけどって感じで・・・」と、自分の考えや感じたことをオブラートに包み、少し濁しながらおずおずと主張するのは、若者の優しさだと思います。(ク・ナウカの演出家・宮城聰さんの『ク・ナウカで、夢幻能な、オセロー』パンフレットに書かれた文章を思い出しました。いつか書けたら追記します。)
そのような現代の日本人に対する愛だけでなく、今の日本の若者に対して、国家に対して、資本主義社会に対して、岡田さんの批判を含む主張が堂々と発信されていることにも感動です。これがNHKで放送されるなんて快挙なんじゃないでしょうか。
ここからネタバレします。
ほぼ正方形のステージの隣り合った2面に客席があります。それぞれの客席の正面に、文字映像が映される正方形の白いパネルが備え付けられています。文字映像(テロップ?)の使われ方は一様のようで、実は同じ種類の演出ではありません。文字映像が一人の俳優として機能するもの、結果として舞台上で起こっていることの補足説明になるもの、舞台上の会話と関係ない情報を表示して、舞台と字幕の2方向から多重の意味を発信するもの、など。
文字映像用パネルの裏側に仕込まれた蛍光灯の白い色がきれい。役者がエレベーターで出はけするのも、ドアの内側からの光が漏れるので面白いです。パネルの文字の上に重なる緑やピンクの四角いラインの照明もかっこ良かった。
とても身近でリアルな日常の出来事を題材にしていますので、観客は「これは自分のことだ」と思いながら観ることができます。同時に、横浜の具体的な地名や店名を出しながら、横浜に暮らす人の日常や細やかな感情の動きを描いていますので、観客は“自分ではない誰か”のリアルに触れたように感じ、世界中にいる他人の存在を認識してつながることができます。また、人間の日常が描かれる場に猫(=動物)も同時に存在させることで、舞台は日本から地球へと広がっていました。
役者さんはこの『目的地』という作品の不可欠な要素として存在しています。出演者とか役者とかではなく。みなさん、とっても魅力的。チェルフィッチュ常連の方が多いようですが、当然ですよね。これをやれる役者さんは少ないと思います。
《あらすじ覚書》※シーン順はうろ覚え。セリフは雰囲気だけ踏襲して創作。→以下が私の感想。
舞台は港北ニュータウン。冒頭に文字映像ですっごく細かい説明あり(人口とか)。
●客席は明るいまま、女(松村翔子)が歩いて登場。「これから『目的地』をはじめます」。「妊娠しちゃったかも」と悩む女(松村翔子)。彼氏の名はイス君。目の前にあるイスに話しかける。いかにも不良っぽい男(瀧川英次)が現れ、乳首をひっかく動作をしながらイスにすわり、イス君になる。しかしいつの間にか彼は猫になり、次に出てきた男(山縣太一)がイス君になる。
●猫になった男(瀧川英次)。イスにツメを立てて、引っかく動作。飼い主の女(松村翔子)に向かって「妊娠って、そんなこと俺に言われてもさ、自業自得だよ」と助言。猫は舞台隅のダンボール紙の上に座る。そこに緑色の照明が当たる。
→“彼は猫なんですよ~っ”って、まるで舞台に宇宙人とか幽霊が出てきた時の対処のような演出。これには爆笑しちゃいました。
●イス君(山縣太一)が結婚している先輩(下西啓正)の家を訪ねる。「これ(妊娠)って責任とらなきゃってこと?ねえ、先輩、どう思います?」。先輩が長々と、でもあいまいに返事。「あ、結局それは責任トレってことスね」。
この間、文字映像はある夫婦が道端で捨て猫を見つけた時の話。おのずと舞台に居るカップル(下西啓正&岩本えり)のことだと想像したら、案の定そうでした。
→「結婚前に彼女が妊娠したら」という、今となってはありふれた風景から、現代の若者の子供、家族についての思慮不足を丁寧に描きます。これが後につながります。
●イス君(山縣太一)が猫に変身。港北ニュータウンのどこかの駅で毎週末に開かれる、捨てられたペット(犬や猫)の里親を探すイベントの話。「マジちょー可愛いいコ(猫)がいて、俺、隣りの檻だったんスけど、その前に若い夫婦が来て、ああ、あの夫婦は絶対あの娘を飼って行くなって思ってて・・・」。
●夫(下西啓正)が「日曜日のイベントで捨てられたペットの里親探しをしていて、あの猫を飼おうと思ったんだけど、妻(岩本えり)の妊娠がわかったからやめた」という話。一度繰り返した後に、夫の視点・思考(ぶっちゃけ猫に興味ない)から妻の視点・思考(猫かわいい)へ。夫が1人で2人分を語る間、妻は中央のイスは座っているだけ。
→私の大泣きポイントでした。一人の人間が誰かのことを思い浮かべ、その人が何を考えているのかをその人自身になりきるほど全力で想像しているように見えたから。この場合、夫が妻のことを考えているので、夫から妻への愛情だと取れます。でも、妻の思考の中に夫との生活や二人の子供のことも入っているので、妻から夫への愛情も現れます。一人長セリフの中に相思相愛の幸せがありました。
●妻(岩本えり)は子供がちゃんと生まれるのか不安。長々とその不安について語るが、夫(下西啓正)はサラリと流して退場。
→出産についての男と女の差が出てるなぁと思いました。女は産むけど男は産みませんからね。
●夫(下西啓正)が、妻(岩本えり)が浮気しているのではないかと妄想する。
妻(岩本えり)の愛人(山中隆次郎)が「日本は戦争している国だ。そんな場所で子供産むなんて、人殺しを増やすだけ。セックスしたいからして、デキたから産むなんて、勝手過ぎ。無責任っていうんでしょ、それ。」愛人は自転車で妻にぶつかろうとする。
→このシーンも凄かった。もーボロ泣き。そう、私たちが作った世界を私たちの子供が生きていくことになります。それを実感しなきゃ。そして責任を果たさなきゃ。
自転車をぶつける演技はほんの一撃だったのですが(その前に助走が1度あり)、地点『三人姉妹』でアンドレイが入っているバスタブに、ナターシャがカートを全力でぶつけまくるのと重なりました。
●猫たち(瀧川英次と山縣太一)の会話。「あの子(猫)、可愛いよね~」。ツメを引っかく動作あり。
→猫が人間のような思考をしていたら・・・というのが面白い上に、世の男子たちが可愛い女子に対して感じるウキウキのときめきを描いていて胸きゅん。役者さんの顔がにやけて輝いています。
●猫が一匹増える。増えた猫(難波幸太)が可愛い子猫ちゃんの行方を話す。その猫の隣りの檻にいた猫(山縣太一)「なんでお前が彼女のこと知ってんの?ってマジむかつくんですけど」。
その間の文字映像=「妻が『私たちが飼わなかった可愛い猫は、親切な老夫婦に飼われた』という想像をする」
増えた猫(難波幸太)は今までの誰もしなかった、かなり激しい動きをしながら、可愛い子猫にもなりつつ、彼女の近況(妻の想像でしかない)を話す。「優しい老夫婦に飼われて良かった。前に居た若い夫婦だったらどうなっちゃってたか、と思う」。
●夫婦は座っている。
その間の文字映像=みなとみらいの観覧車によく乗った。夜に乗ってずっとキスしてた。でもきっと子供が出来てから行くのはセン南(駅名。南か北かは曖昧)の観覧車だろう。
→子供ができたとたん、若者の未来の行動範囲が完全に変わることが表されています。子供がいない内はファミリー向けのデパートのことになんてまったく無関心なのに、子供ができた途端にそこにしか行かなくなります。「そんな風に、単なる無関心が原因で社会を切断している状態は、好ましくないどころか犯罪じゃないの?」と私達若者に呼びかけているように思いました。
文字映像=そして、夫婦は今まで足を踏み入れたことのなかったベビー用品売り場へ。大賑わいの売り場には自動横揺れ機能付きのベビーベッド、おむつの匂いが洩れないおむつゴミ箱、肩からかける○○製(忘れました)のだっこ紐など、特に必要じゃないのに多種類・多機能化したベビー用品の山。いらないかもしれないのに買う妊娠時期の便利用品(だき枕など)。そしてめちゃくちゃ知識豊富な販売員。
→目的・用途に応じて商品が不必要なほど多様化している状況は異常で、それに気づかないで乗っかっている消費者、商品を作っている企業、売っている企業への批判だと受け取りました。
●夫(下西啓正)が会社で、子供ができたことをサラリーマンの友達(トチアキタイヨウ)に幸せそうに話す。対してちょっぴりウザそうな友達。優しげな音楽が流れてほんわか幸せな日常スケッチ。
友達がファミレスでの出来事を話しだす。「暴れる子供を見て不快だという素振りをしたら、その親に『ファミレスはファミリーって付いてるんだから、子供がいて当然だし、子供がいるからファミレスにしか来られないでしょっ!?』と逆ギレされた。いや、キレてんのは子供にじゃなくてお前にだよ」。
→子供の悪行は子供のせいではなく、親のせい。自覚しようよ、私たち。
夫は自分の子供のことを話し続け、友達はファミレスでのことを話し続ける。互いのセリフが重なっていく。
→一方通行のコミュニケーション(つまり、今よく言われるコミュニケーション不全)。
その間の文字映像=住民からの強い要望があったのに、東京急行はあざみ野駅に急行と特急が止まるようにしなかった。でも、ワールドカップサッカーが横浜で開催されることが決まった途端、手のひらを返したようにあざみ野駅に特急と急行が止まるようにした。
→企業は利用者(=住民)よりも経済優先。資本主義社会の害。“考え方の順番が逆”とかではなく、単に間違っていますよね。人に喜ばれることをして、その対価としてお金が入ってくるのが正しいです。金儲けのために人を騙したり、利用したりするのが現代。これでは幸せな世界になどなるはずがありません。
《あらすじ覚書、ここまで》
出演=松村翔子/瀧川英次/山縣太一/下西啓正/岩本えり/山中隆次郎/難波幸太/トチアキタイヨウ(登場順)
作・演出=岡田利規 舞台監督=藤本志穂 照明=大平智己 宣伝美術=岡本健+ イラスト=阿部伸二 制作=中村茜 制作協力=プリコグ 企画制作=チェルフィッチュ/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 協力=P.E.C.T./乞局/七里ガ浜オールスターズ 主催=(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
前売2,800円 当日3,200円 学生2,000円
チェルフィッチュ=http://www.chelfitsch.net
劇場内=http://www.komaba-agora.com/line_up/2005_11/chelfitsch.html
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2005年11月07日
三島由紀夫全戯曲上演プロジェクト『サド侯爵夫人』11/05-13東京国立博物館(特別第5展示室)
三島由紀夫全戯曲上演プロジェクトの第一回公演です。ぜひぜひ継続して全作品を上演してもらいたいですね。
豪華キャストなのに演劇関係ではチラシや宣伝を見かけませんでしたし、公式サイトにはタイムテーブルも掲載されていません(イープラスかぴあでチェックしてくださいね)。婦人画報が特別協賛していますので、もしかするとあまりオープンされていない公演なのかしら。でも当日券はありました。
上野の東京国立博物館は演劇を上演する場所としてすっかり定着した感があります(Ort-d.d『四谷怪談』、ク・ナウカ『マハーバーラタ』&『マクベス』など)。
開演前と1回目の休憩時間に博物館の外で照明&プロジェクター画像(石井幹子)と音楽(三枝成彰)のインスタレーションがありました。夜の闇に赤く、青く、浮かびがる洋館と木々が、幻想的でなかなか楽しかったです(写真は2005/12/04にアップ)。本館裏では『マクベス』が上演中のはずなんですが、音は大丈夫だったのかしら・・・。※Club Silencioにも写真がアップされています。

ライトアップされた博物館。館内は赤い照明です。表慶館も木々の後ろで美しい。
『サド侯爵夫人』は新国立劇場で鐘下辰男さん演出のもの を拝見いたしました。今回とにかく衣装がスゴイ、です。コシノジュンコさんデザインで、まさに「コシノジュンコッ!!!」感覚炸裂です(コシノさんのブログはこちら)。女優さんは大変なんじゃないかしら・・・なにせあの“かつら”が!頭の上にもうひとつ頭が乗せられてるみたいな巨大なオブジェ!重いでしょうし、その、イメージが・・・(笑)。新妻さんのかつらはアサヒアートスクエアの黄色いきん斗雲(きんとうん)みたいだゾっ!(笑)。
衣装もコンセプチュアル宇宙人ドレス、というか、生地がビニールとかプラスティックだし、靴は透明か黒のピンヒールだし。あぁ、舞台写真がネットにアップされて欲しい・・・!
ちょっと面白おかしく書いてしまいましたが、官能的でゾクっと来る瞬間もある、見ごたえのある3時間(休憩2回を含む)でした。
ここからネタバレします。作品解説は新国立劇場のページに詳しいです。
第1幕はまだ温まってないな~という空気でした。でも衣装やメイクの奇抜さに目が点になり、スタイルの良い女優さんの奇天烈な格好に心奪われたまま、気持ちよく過ぎました(笑)。
第2幕で、悪徳の女・サン・フォン侯爵夫人(椿真由美)の羊の血の儀式の話からグっと盛り上がります。地味~な変化だけだった照明も大胆に暗く、赤くなって迫力満点。
その盛り上がりに沿って、サド侯爵夫人・ルネ(新妻聖子)とルネの母親(剣幸)との激しい言葉の戦いが素晴らしかった!とにかく新妻さんの、あの血の色が見えて来そうな演技の高まりには目も心も奪われました。三島由紀夫の残酷だけど美しい日本語を、一語たりとも力を抜かず、きれいな声で伝えてくださいました。新妻さん、すごく賢い方なんじゃないかな。ミュージカルだけじゃなくて演劇にも出てもらいたいです。
第3幕は、第2幕の盛り上がりを超えられなかったですね。ちょっぴりがっかりしましたが、最後だけムービングライトを使用して、青い空間が足元から白んでくる演出はかっこ良かったです。
石井幹子さんの照明を初めて拝見したのですが、とっても上品ですね。舞台全体のライトアップというか、徹底的に静かに変化していって、ハっと気づいた時には世界全体が完全に変化している、という感じ。好きでした。
肝心の物語についてあまり書きませんでしたが、この戯曲『サド侯爵夫人』は傑作だと思います。ご覧になったことのない方は、ぜひこの機会に。演じるのに高い技術が必要ですから、そんなに簡単には上演できないと思います。
ただ、衣装については免疫が必要かも(笑)。「とにかくコシノジュンコだ」と思って観に行ってください。
新妻聖子さん。サド侯爵夫人・ルネ役。光と闇が紙一重の“貞淑”を体当たりで表現してくださいました。めちゃかっこえー!でも闇、すなわち背徳の方が深く、説得力がありましたね。第2幕の母親とのケンカでものすごい色気を出してくださり、私は新妻さんにホレました(笑)。でも、第3幕でも同じ雰囲気になってしまったのは残念。
剣幸さん。ルネの母親・モントルイユ夫人役。第3幕の笑いを誘う開き直りが面白く、16年の月日が経ったことがよく伝わってくる演技も良かったです。でも、ちょっと几帳面すぎかなぁと思いました。
佐古真弓さん。ルネの妹・アンヌ役。残念ながら佐古さんが空気を壊すことが多かったような・・・。まだ緊張してらっしゃるのかしら。単に他の女優さんに追いついていないのかもしれません。
椿真由美さん。背徳・悪徳のサン・フォン伯爵夫人。言葉が正確・丁寧で、しっかり計画通りに演じられている印象でした。観ていてとても安心です。でも“背徳”の面では、新妻さんの方がリアリティがありました。
三幕・婦人画報創刊100周年記念/三島由紀夫全戯曲上演プロジェクト第1作
【出演】ルネ(サド侯爵夫人)=新妻聖子 モントルイユ夫人(ルネの母親)=剣幸 アンヌ(ルネの妹)=佐古真弓 シミアーヌ男爵夫人=福井裕子 サン・フォン伯爵夫人=椿真由美 シャルロット=米山奈穂
原作=澁澤龍彦「サド侯爵の生涯」に拠る 作=三島由紀夫 演出=岸田良二 装置=秋山正 照明=石井幹子 衣装=コシノジュンコ ヘアアーティスト=伊藤五郎 顔の美術=鈴木寅二啓之 舞台監督=山本圭太 光と音のインスタレーション(照明・画像演出=石井幹子 音楽=三枝成彰) 演出助手=大野愛子 企画アドバイザー=和久田誠男 制作=宮前日出夫/西尾聡/寺田航 エグゼクティブプロデューサー=西尾榮男 主催=日本テレビ放送網(株) 特別協賛=(株)アシェット婦人画報社 制作協力=(株)ソーゴー東京 協力=(株)電通テック 企画・制作=三島由紀夫全戯曲上演プロジェクト
全席指定¥6,000
公式=http://mishimayukio-project.com/index.html
イープラス=http://mars.eplus.co.jp/ss/kougyou/syosai.asp?kc=013591&ks=01
ぴあ=http://www.pia.co.jp/cgi-bin/w/w.cgi?id=014324
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【お知らせ】セミナーが終了いたしました。
飾らせて頂いたお花
ネットワークユニットDuo主催のアーツマネジメントセミナー“今、面白い芝居を作り続けている劇団ってどこ?”が終了いたしました。
⇒詳細、fringe blogに関連記事
何十人ものお客様の前で素(?)で話すなんて、小学校の日直以来だと思いつつ(嘘)、緊張しながらも率直にありのままにお話させていただきました。聴いてくださったお客様、おおらかに私を受け止めてくださってありがとうございました。
≪参加してくださった方がご感想を書いてくださっています。ありがとうございます!≫
△ ゾウの猿芝居 ▽
箱の中身
棚から牡丹餅
私がいかに傲慢で、個人的感覚にまみれている人間であるかが、おわかりいただけたことと思います(笑)。また演劇に対する、私の言葉で言う「愛」についても好き勝手に話させていただきました。
私は演劇が好きです。今、世界で一番好きな芸術です。
演劇があって、劇場があるから、私は生きる喜びを心の奥底から具体的に感じることができます。
その理由をお話したつもりです。それをお聞きいただけたことが、私にとっては一番の喜びです。
セミナー終了後にお顔を見て直接お話をできた方から「レビューで書かれていたことについて直接お聞きしたい」、「HPだけでは分からない色々なことは、本当に沢山ありますね」というご質問・ご感想をいただきました。私の文章が未熟でちゃんと表現しきれていないことが大きな原因だと思います。ごめんなさい。
もし今、このエントリーを読んでくださっている方で同じような疑問や意見をお持ちの方は、どうぞご遠慮なくメールいただけたらと思います。可能な限り、全力でお返事したいと思っております。メールはこちらへ⇒ shinobu(アットマーク)mtr-standard.co.jp
休憩10分を含む3時間は意外に早く過ぎました。講師なんて初めてだったものだから、どうやったら楽しんでくださるか、興味を持ってくださるか、質問をしてくださるか・・・と考えながらがんばったつもりでしたが、いかがでしたでしょうか?お聞きくださった方、もしよろしけれがご感想をいただけると嬉しいです。今後につなげていきたいと思っておりますので、どうぞご助言をよろしくお願い申し上げます。
アーツマネジメントセミナーシリーズVol.2「10年後、あなたは演劇、続けていますか?」“今、面白い芝居を作り続けている劇団ってどこ?”
2005年11月6日(日)18:00~21:00
ゲスト:高野しのぶ(現代演劇ウォッチャー、「しのぶの演劇レビュー」主宰)
聞き手/進行:川南恵(舞台芸術コーディネーター)
受講料:各回 3,000円(受講料は当日お持ち下さい) 事前予約制、定員になり次第締切
企画・製作:ネットワークユニットDuo
詳細:http://www.unit-duo.net/duo_seminar/ams02.html
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2005年11月06日
クロム舎『ガレージの夜』11/02-06明石スタジオ
西山聡さんが作・演出されるクロム舎の第6回公演です。西山さんをはじめ、所属役者さんは他の劇団に客演されているのをよく拝見していましたが、クロム舎の本公演は初見です。チラシが大胆で素敵だなぁと思います。
上演時間2時間10分は長すぎましたね。最後のどんでん返しの連続がとても面白かったので、1時間30分にまとまっていれば傑作になったかもしれないと思いました。
≪あらすじ≫
小汚いスナックで30歳ぐらいの若い男達が荒々しく飲んでいる。高校時代の同級生が同窓会と称して集まったのだが、実はそのバカ騒ぎの裏では、ある企みが進められていた。
≪ここまで≫
女優さんは一人だけで、あとは暑苦しい(笑)男ばっかりの、身体を張ったアクション・シーンが多い作品でした。取っ組み合いを入れるための段取りのような会話のやり取りが多く、やりたいことが絞れていないのだなぁと思って眺めていました。
終盤になってから「友達とは何か」というテーマも盛り込んでいましたが、焦点がぼやけたまま長い会話が続いてしまい、伝わってきませんでした。
やりたいことと、やらなければいけないと思っていることが曖昧に混ざっている状態なんだろうと思います。ダメな奴等の徹底的にくだらない、だけど愛らしい会話劇がやりたいのなら、起承転結のあるストーリーにする必要はなかったと思いますし、どんでん返しがある、ハードボイルドなサスペンス系ドラマがやりたいのなら、バカ騒ぎや体力ネタなどはギュっと凝縮するべきでしょう。
役者さんは爆発力や瞬発力、タイミングを計ること等に力を入れているので、人と人との会話に心が入っている瞬間が少なかったです。
出演=武藤心平/清水徹也/松下千暁/服部弘敏(IDENTITIEZ)/江戸川卍丸(劇団上田)/山田(同居人)/足利彩(OrangePunPkin)
作・演出=西山聡 演出助手=清水徹也 美術=松本翠 舞台監督=小林英雄(Anjuta Arts) 照明=兼子慎平 照明オペ=河上賢一 音響効果=北原慎治(ダムダム弾団) 音響=佐藤春平(SoundCube) 衣裳=愛沢ななえ 宣伝美術=高口公輔 スチール=大橋小太郎 記録=木村樹 当日運営=池田智哉(劇団ギリギリエリンギ) 制作補佐=石井佳奈/山岡未絵(トリコ劇場)/窪田智美/高橋雄二/小島彩乃/山田花絵 協力=瀧川修平/ロングランプランニング(株) 企画・制作=クロム舎
公式=http://blog.kuromusya.com/
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【お知らせ】11/6(日)開催のセミナーにゲスト出演します
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2005年11月04日
SPARKO『Witch Tank』11/03-06王子小劇場
高羽泰雄さんが作・演出されるSPARKO(スパーコ)の久しぶりの本公演です。大ファンなのですっごく嬉しい!「ガールズ・アーティフィシャル・ポップ」を新たなキーワードとして活動を再開されるそうです。
スパーコは“若手女優限定の演劇プロジェクト”でもあるので、若いピチピチ女優の品評会的楽しみもあり(笑)、私はそれにも期待しています。毎公演、最前列はお兄さんたちが陣取ってますし・・・(笑)。今回もきゃわい~女の子たちが観られました。
レビューはこちらにも⇒休むに似たり。
≪あらすじ≫
舞台は水槽、のようなタンク。小さな魔女たちが飼育されている。お隣りには魔王たちのタンクがあり、定期的に“お見合い”が行われ、マッチしたカップルは繁殖用タンクに移される。彼等の運命はすべて主人が握っているのだ。
主人には息子があり、息子とその妻との3人暮らしだが、主人と妻とはあまりうまく行っていない。まず妻の目から見たタンクの様子が描かれる。
≪ここまで≫
最初は少したどたどしい静かな雰囲気でとっつきにくかったのですが、敢えて人形のように演じられるキャラクター同士の触れ合いが少しずつ描かれる内に、ストーリーに入り込むことができるようになりました。
魔女と魔王の生活を舞台で表現しながら、彼等を飼っている人間たちのドラマも描かれます。こういう構成は第一回公演の『PLAY SET』でも観られましたね。想像力が掻き立てられてとても面白いです。
ただし今回は、舞台奥・上部のスクリーンにアニメーション映像で人間を映し出していました。味気ない人間の動きに一喜一憂する魔女・魔王たちが、バカっぽくて切ないです。でも動画と演技のコンビネーションがそれほどうまく行っていなかったのは惜しいですね。初日の1ステージ目だったからかもしれませんが。
照明とセリフだけでさまざまな場所に移動するのですが、転換の際の暗転が多く、時間も少々かかり過ぎだった気がします。女優の衣裳と演技を変えるだけで登場人物を自在に変化させられるのですから、その辺りはよりスピーディーにできたのではないかと思います。
また、ストーリーも今までの作品に比べると数段わかりやすいものになっており、ちょっと私には物足りなかったですね。とはいえ最後はホロリと来ちゃったんですが。
ここからネタバレします。
魔女と魔王たちを多世代に渡って描き、同時に彼等を飼っている人間達の家族の変遷も描かれます。人間の状況が魔女や魔王に重なるところがあるのが面白いです。親から子へ、子から孫へとつらなっていく命は人間も魔女も同じということで、坦々と切り取られた時間の羅列の中から言葉では言い表せない愛の存在を感じることが出来ました。
休むに似たり。にもありますように、衣裳が黒だったのは私も残念・・・カラフルで、ちょっとエッチな感じなのが好みですね、スパーコなら。
スパーコ所属の小関ゆかりさん、高園陽子さんはさすがの貫禄と言いますか(笑)、演じる役柄それぞれにわかりやすい特徴を持たせて、演じ分けがはっきりとしていて良かったです。スパーコ常連の佐藤陽子さんは三世魔王の若い頃と年老いた頃を連続で何度も入れ替わりながら演じられているのが大変だなぁと思いました。あそこはもったいないですね。
畔上千春さん(ダンスが上手い魔女、気高い血筋の2世魔王など)、円谷久美子さん(自分で子供を育てようとする魔女、第3幕で振られる魔王)も、人形のような、ちょっと型にはまった役作りのまま、その役の感情をしっかりと表せていて引き込まれました。
出演=小関ゆかり/高園陽子/佐藤陽子(天然ロボット)/畔上千春(ボーダビッチ)/和田好美/土谷朋子/円谷久美子/真下かおる(くねくねし)/桜井奈都子/福島久美子
脚本・演出:高羽泰雄 照明=兼子慎平 音響=みづのかえる 舞台監督=金坂友美 美術=サノアヅサ 音楽=渡辺靖文(フロッタージュ) 小道具=藤井純子 衣装=宮川智美 メイク=高村マドカ 映像=赤虫プロダクション 映像協力=春日智文 振付=小関ゆかり 演出助手=宮本彩香 制作=岡野和義
前売¥2500 当日¥2800
SPARKO=http://www.apartment.gr.jp/sparko/
11月5日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します。
FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日に出演の予定です。
今回は前半に『ブラウニング・バージョン』の感想をお話し、後半は11月に観られるお薦めお芝居を数本ご紹介します。翌日のセミナーの宣伝も少しさせていただきます♪
西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
11月5日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
FM 84.2MHz
たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/
【情報】ク・ナウカ主宰・演出家の宮城聰さんからメールを頂戴しました。
ただいま上野の東京国立博物館で上演中の『ク・ナウカで夢幻能な「オセロー」』の公式ブログに、私のレビューをトラックバックさせていただいたところ、演出家の宮城聰さんからお返事のメールを頂戴しました。
宮城さんが私の感想を読んでくださり、それについて直接コンタクトをしてくださったことに感激しています。メールの内容は私と宮城さんとの秘密ですが(笑)、観客と作り手の間にインターネットを介した直接の交流が実現して、それが現在上演されている作品に影響を与えるなんて・・・こんなに嬉しいことはありません。
これは演劇がライブ(生)の芸術だからこそ出来ることですよね。映画や小説では不可能です(次の作品に影響を与えることは不可能ではありませんが)。
残念ながらもう一度公演を観に行くことができないので、作品がどう変化したのかを確認し、それを味わうことができないのですが、観客の視点から見えたことを作り手に伝えることで、上演中の作品に何らかの変化を生み出すことができたことに感動しています。ホームページやってて良かった・・・・(感涙)!
こんな奇蹟が起こったのは、ク・ナウカの公式ブログに「観劇された方は、遠慮なく観劇ノートにコメントを残していってください。」と書かれた[観劇ノート]エントリーがあったおかげです。観に行かれた方はぜひコメント、もしくはトラックバックを!現在、質問コメントを記入された方には、宮城さんご自身からのお返事が書き込まれています。
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DULL-COLORED POP 『東京都第七ゴミ処理施設場 ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』11/03-06荻窪アールコリン
DULL-COLORED POP(ダルカラード・ポップ)は谷賢一さんが作・演出する劇団です。これが旗揚げ公演ということで荻窪まで行ってきました。谷さんは先々月の明大文化プロジェクト『マクベス』で演出をされた現役明大生です。
ちょっと暗い目ですが、学生真っ盛りって感じでした。中盤以降のストーリー展開が面白かったので、前売り1,000円なら納得、というところです。
≪あらすじ≫
東京のどこかのゴミ処理施設。ゴミに埋もれた仕事場で、労働者たちには仕事がない。なぜかゴミが運ばれてこないからだ。元ひきこもりの鏑木(岩藤一成)は少し疑問に思いつつも、先輩の島本(上野庸平)と北原(堀奈津美)、そして10年以上ここで働いている知的障害者の理子(高橋絵梨佳)と一緒に、時間から時間まで何もせずに暇をつぶすだけの日々を過ごしていた。
ある日、ゴミの中の壊れた冷蔵庫の中に、小学校低学年ぐらいの女の子(清水那保)が眠っているのが見つかった。こんな不祥事がバレると役所の審査が入り、書類改ざんやワイロのことが世間に知れてしまう。必死で隠そうとする北原らだったが・・・。
≪ここまで≫
役者さんの演技が下手で、最初は見ていて非常に困りました。舞台上でおどおどと迷っているように感じましたし、セリフの途中で素に戻っていたりもしましたから。
でも、長いおしゃべりの中に少しずつ仕込まれていた前振りが、中盤に入ってから徐々につながって、様々な秘密や企みが明らかにされるようになり、その辺りから役者さんの集中力も上がってきたので、楽しく拝見できました。
演出は良かったところもありましたが、まだまだ荒削りで意図がしっかりと実現できていないようでした。セリフは細かい薀蓄(うんちく)を披露して、それを嘲笑やあきれ笑いに持って行くのが多かったです。セリフの意味自体はとても面白いのですが、役者さんが伝えられていなかったですね。
旗揚げ公演の初日でしたから緊張もすごかったのでしょうけれど、役者さんには最初から自信を持って役割を果たしてもらいたいです。でないともったいないですよね。
ここからネタバレします。
鏑木たちは、もえに音楽を聴かせるため、および暇をつぶすためにゴミの中から楽器を集めてバンド演奏の練習をしはじめます。すると、なぜかゴミ処理場を訪れた大手音楽プロデューサー・漆原(佐藤弘樹)からスカウトされて、ユニフォーム姿のまま音楽TV番組に出演することになります。天地がひっくり返ってもありえない出来事が起こったので、このままストーリーが破綻するのではないかと冷や冷やしました。でも、ちゃんと裏があったのでホっとしました。
ゴミ処理場の赤字を補填するために、上司の成島(遠藤恵一)は個人で借金を重ねていました。音楽プロデューサーの漆原は、ある歌手のプロモーション・ビデオの撮影にゴミ処理場を使おうと見学に訪れたところ、偶然に鏑木たちの存在とゴミ処理場がかかえた問題を知り、成島と組んで一儲けしようと考えたのです。漆原は「ゴミ問題についてまじめに考えるゴミ処理員の若者が、ゴミの中から拾ってきた楽器でメッセージ・ソングを歌う。しかもそれは、ゴミ処理場で発見された捨て子のもえの両親を見つけるためでもあった」というバック・ストーリーを捏造します。楽器は成島が買いそろえて、ゴミの中にあらかじめ用意していました。
それにしても、まさか本当にバンドの生演奏があるとは・・・最初はちょっと引きました。でもオリジナルの歌(2曲)がけっこういい曲だったし、ヴォーカルの女の子(理子=高橋絵梨佳)も下手ではなかったので、結局は楽しく聴けて良かったです。ヴォーカルのマイクの音量がもうちょっと大きい方がいいんじゃないかしら。たぶんメッセージが強く反映された歌詞だったと思うのですが、ギターやドラムの音に消されてほとんど聞こえませんでした。
照明を手動で前後に動かし、ライブシーンらしい演出を見せてくれたのは嬉しかったです。こういう手作り感覚、大切ですよね。
知的障害者の理子が上司の成島(遠藤恵一)と肉体関係を持っていた、というのはなんとなく気づいていました。でも、冷蔵庫の中に捨てられていた女の子・もえ(清水那保)が理子と成島の子供だった、というのには驚きましたね。番組の生放送の時に真実が暴かれるのは緊迫感があって良かったです。でも、もっと上手くできて欲しいですね。何かとあたふたしているようでした。
納得が行かなかったのは、成島(遠藤恵一)と一緒に汚染度の数値を改ざんしていた北原(堀奈津美)の、子供に対する態度です。もえを発見した時、「子供なんてウザイ、バカだ、お荷物だ、なかったことにしよう」と思っているような態度だったのですが、数日後にはもえを家に泊めてやろうとしたり、最後はもえを養子に取るまでになります。そもそも北原は離婚して親権を取られて子供を失っている母親なのですから、冷蔵庫に閉じこもっている小学生を見つけた途端、なんとかして保護しようとか、助けようと思うのが筋ではないでしょうか。そうでないなら明らかに北原の中で何らかの変化が起きたわけですから、演技やセリフでそれがわかるようにして欲しかったです。
チラシに「チケットのご予約はお電話・メール・ホームページ,またはお近くの関係者に直接お尋ねください。」とありました。なるほど、お友達に渡すことを目的で作られたチラシなんですね。もともと内輪向けに披露する予定だったのかもしれませんが、あんまり感心しないですね。公式ホームページがオープンしていて誰でもチケットが予約できる時点で、もう内輪ではありません。次回公演が3月にあるそうですので、その時は改善されているといいなと思います。
出演=岩藤一成/上野庸平/遠藤恵一/佐藤弘樹/清水那保/高橋絵梨佳/谷賢一/堀奈津美
作・演出=谷賢一 舞台監督=鮫島あゆ 照明=海老沼佑貴 音響=宮袋充弘(みつひろ企画) 音楽監修・作曲=新戸崇史(melico) 舞台美術=カニクリームおじさん 衣装=磯貝朝海 メイク=TSU-BASA 小道具=新井宏美 宣伝美術=岩藤一成 制作=立入梓
前売り1000円/当日1500円※11月4日(金)の昼の回(14:00~)は、前売り・当日ともに500円引
公式=http://www.dcpop.org/
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2005年11月03日
ク・ナウカ『ク・ナウカで夢幻能な「オセロー」』11/01-13東京国立博物館 日本庭園 特設能舞台
東京国立博物館でのク・ナウカ公演はお馴染みになってきましたが、今回はとうとう野外!日本庭園に能舞台を作っちゃうんだからスゴイ!
公式ブログで「寒いから防寒を!」と声高に教えてくださっているので、しっかりとセーター、マフラーなど持参して行きましたら、会場では携帯用カイロひとつと、ひざ掛け用毛布(3人で1枚)が用意されていました。なんて親切なのでしょう。客席にはちゃんとバルーン製(?)かまぼこ型の屋根があって雨にも安心ですし、野外といってもそれほどつらいわけではありませんでした。
上演時間は会場への誘導も合わせると1時間45分ぐらいかしら。ずっと座っているのでやっぱり寒いのは寒かったです。これから行かれる方はどうぞ防寒をしっかりしてくださいね。
整理番号順・自由席なので、会場時間になるとエリアA(前売り5,300円)のチケットを持った人から順番に会場へと誘導されます。私はエリアB(前売り4,300円)で後ろから2列目の席に座りましたが、中央だったので全く問題なし。
客入れに時間がかかっていたらしく、突然開幕しました。目の前には壁のない能舞台が静かに佇んでいます。照明が当てられて初めて目に入ったのですが、舞台の後ろには日本庭園、しかも池があるんですね。車が走る音などの騒音が響く中、白木の能舞台の上をそろりそろりと歩いて登場する、ビニール製の衣裳を着た役者たち。なんて刺激的なミクスチャー!
舞台下手の橋掛かり(能舞台の下手後方から斜め後ろに向かって掛かっている橋)の向こう側に字幕が映るボードがあって、セリフが表示されます。これは大変ありがたかったです。
パンフレットには能に関する用語説明や解説などが盛りだくさんです。それほど今作は能の様式がかなり取り入れられています。まず複式夢幻能(世阿弥が完成させた能の形式)の様式どおりの構成でした。
ここからネタバレします。読んでから観に行かれても、それほど問題はないかと思います。
「複式夢幻能」とは?
世阿弥が完成させた能の形式。前半と後半に分かれている。前半を前場、後半と後場という。前場のシテを前シテ、後場のシテを後(のち)シテという。前シテと後シテは同一人物の亡霊であるが、前場では土地の人間に憑依して現れ、後場では生きていた頃の姿で、ワキの夢の中に現れる。※シテ=主人口。面(おもて)をかける。ワキ=脇役のこと。旅の僧であることが多い。シテから物語や舞を引き出す役割を持っていて、シテの話しを聞き、シテの舞を観る。(パンフレットより引用)
ヴェネチアからサイプラス島を訪れた僧がワキです。今はギリシア人とトルコ人が住むサイプラス島ですが、昔はヴェネチア領でした。僧はヴェネチア軍に置き去りにされた不幸な女たちと出会います。その内の一人にデズデモーナが憑依しており、自分が成仏できない理由、つまり不貞の濡れ衣を着せられて夫オセローに殺されたことを話します。前場はここまで。「オセロー」の原作そのままではなく、かなり創作されていて面白いです。
※脚本を書かれた平川祐弘さんによる詳しい解説がこちらにあります。
公式サイトにあるとおり、今作の戯曲は「オセローに殺された妻デズデモーナの霊が思い出を生き続けているという設定」で書かれています。前半は野外の能舞台でク・ナウカ、というのが新鮮でもあったので集中できましたが、徐々にそのミスマッチさの魅力があまり感じられなくなってきて、ヘンだなぁ、とか、あまりかっこ良くないなぁと思い始めました。たとえば「オセロー」の間狂言の時に役者さんが被っていた面は、合ってないにも程が有るというか(笑)。きっと何らかの意図があるのだと思いますが、私にはわかりませんでした。
また、能は今までに何度か拝見しているのですが(“能っぽいもの”も含む)、私は必ず眠ってしまうのです・・・どんなにがんばってもね、気づいたら寝てるの。意味わかんないのが常。こないだのク・ナウカの『王女メデイア』も洩れずに寝てたし・・・そして今回もやはり、でした。いつになったらちゃんと観られるようになるのか・・・ごめんなさい。
美加里さん演じるデズデモーナは美しいのですが、幽霊だからなのか、心があまり伝わってきませんでした。特にクライマックスはデズデモーナの独壇場なので、あそこで眠くなったのは残念でしたね。自分の首を絞めたオセローを自らが演じて、その手から彼の純愛を感じ取って、成仏したのかなぁ、と。簡単ですがそのように受け取りました。
役者さんで一番私の心にズシンと来たのは、オセロー役の阿部一徳さん。小田島雄志訳の「オセロー」のセリフを滑らかに、自在に語りつくし、デズデモーナに対する“可愛さ余って憎さ百倍”の激烈な怒りがひしひしと伝わってきました。
パーカッションの演奏はいつもどおりかっこいいのですが、ドンドコドコドコ・・・と早く打つリズムが頻繁すぎた気がします。演奏している時間や回数も多く感じましたので、バリエーションの変化がもっと欲しかったですね。「あ、またこのリズムかぁ」と何度かがっかりしました。多くを求めすぎなのかもしれませんが。
女優さんはいつもながらの美人ぞろい。舞台上手で囃子方(はやしかた)としてspeakerをされているのにも目を奪われました。ただ、字幕が下手にあるのでどこを観るべきか迷いましたけど(笑)。
※能に関する用語説明はパンフレットから引用しました。
※「観劇された方は、遠慮なく観劇ノートにコメントを残していってください。」とのこと。ぜひコメントを!私はトラックバックさせていただきました。
※演出助手による稽古場日記(Ashleycat's Eternal Second banana.)→舞台づくりの詳しいレポートです。
“OTHELLO”愛を知らぬまま、愛しすぎた男~幸せすぎる時が、怖い時。
※野外公演(客席は屋根付)
出演=美加理/阿部一徳/吉植荘一郎/中野真希/大高浩一/寺内亜矢子/本多麻紀/片岡佐知子/鈴木陽代/加藤幸夫/たきいみき/大道無門優也/布施安寿香/池田真紀子/杉山夏美/高澤理恵
原作=シェイクスピア 謡曲台本=平川祐弘 演出=宮城聰 間狂言=小田島雄志訳ニヨル 照明=沢田祐二 空間設計=田中友章 衣裳=高橋佳代 演奏構成=棚川寛子 音響=AZTEC ヘアメイク=梶田京子 舞台監督=小谷武 宣伝美術=青木祐輔 WEBデザイン=井上竜介 制作=大石多佳子
エリアA=前売:5,300円 当日:5,500円/エリアB=エリアAの1000円引き ユースチケット(25歳以下)=2,500円 ※整理番号付自由席 東京国立博物館平常展入場券付き
公式=http://www.kunauka.or.jp/
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2005年11月02日
世田谷パブリックシアタープロデュース『偶然の音楽』10/31-11/20世田谷パブリックシアター(10/31はプレビュー)
白井晃さんが演出するポール・オースターの世界。2001年に新国立劇場で拝見した『ムーン・パレス』以来です。仲村トオルさんと小栗旬さんという美男俳優を向かえて、豪華スタッフで作り上げる詩的幻想空間。
苦しいんだけど美しいし、怖いんだけど甘い夢のような2時間強でした。初日(11/1)の緊張感が心地よかったです。3回あったカーテンコールでの役者さんの笑顔も素敵。
※思い出したことがあったので、文章を追加しました(2005/11/02)。
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≪あらすじ≫ パンフレットより引用。(役者名)を追加。
ある日突然、ジム・ナッシュ(仲村トオル)の元に、行方不明だった父親の莫大な遺産が転がり込む。彼は仕事を捨て、過去を葬り、生まれて初めて買った新車・赤いサーブに乗って、自由の旅に出る。しかし、自由とひきかえに金はどんどん減り続け、ナッシュは次第に追い詰められていく。
13ヶ月目に入って3日目。彼はボロボロの姿で歩いている男を見かけ、車に乗せて助ける。
男の名はジャック・ポッツィ(小栗旬)。ポーカーの天才だと自称する。そして、あさっての晩、宝くじで大富豪となった二人の億万長者フラワー(大森博史)とストーン(小宮孝泰)を相手に大勝負をかけるはずだったのだが、トラブルで元手を無くしたと言う。
それを聞いたナッシュは、その勝負に必要な金を提供しようと申し出る。ポッツィと組んで一山当て、資金が乏しくなった旅に新たな展開を求めようとしたのだ。
だが、フラワーとストーンの待つ奇妙な屋敷での勝負は、想像もしていなかった運命へと二人を巻き込もうとしていた。
≪ここまで≫
さすがポール・オースター。暗いです(笑)。『ムーン・パレス』は苦手だったけど、私もやっと学んだのかな~、今作品はとても好きでした。お話としては暗いし、つらいし、かなり残酷なのだけれど、常にふんわり浮遊しているような、少しメルヘンを感じる空気がクセになっている気がします。白井さんの演出、大好きです。
正方形で大き目の黒い石が敷き詰められた床。太くてごつごつとした柱が数本、上下(かみしも)にうっすらと見えます。全体的に暗い舞台です。黒に近い灰色のダークな洋服に身を包んだ役者さんが、ピアノ曲にあわせて規則正しくステージを歩き回ります。その振付は『ルル~破滅の微笑み~』に似た感じですね。音楽、照明、そして歩く俳優と移動させられる家具たちの息のあったステージングに目は奪われっぱなし。
特に照明が良かったな~・・・色の種類はそんなに多くないと思うんです。沢山の種類の白色の照明の効果的な使い分けがメチャ渋い。
ここからネタバレします。
≪あらすじ2≫
ポッツィはフラワーとストーンにポーカーで完全に負けてしまう。ナッシュは手持ちの1万ドルの他に、持ち金全部と赤いサーブまでつぎ込むが、それも奪われておまけに1万ドルの借金も作ってしまった。2人はその金を返すために大きな石を並べて壁を作る肉体労働をすることになり、掘っ立て小屋での共同生活が始まる。
苦しい作業の末に積み上げられていく石を見て、2人はある種の達成感を得ていた。とうとう借金を完済し、やっと自由になれると喜んだ2人だったが、生活費などが借金に上乗せされていて願いは叶わず。耐えられなくなったポッツィをこっそり逃がしてやり、ナッシュは一人で小屋に残ることにした。しかしその翌朝ナッシュが見つけたのは、顔をボコボコに殴られて頭にも傷を負い、意識もなく横たわるポッツィだった。
≪ここまで≫
フラワーとストーンの屋敷のシーンで、ストーンが5年かけて作り上げたミニチュアの街が、石だたみの下からせり上がってきた時は「うわ~・・・っ」とうっとりため息が出ました。なんて可愛らしいのかしら!だけどその箱庭の上手側に高い壁に囲まれた牢屋のような建物が見えて、すぐにゾっとしました(笑)。すっかりハメられましたね。
妻に逃げられて娘にも必要とされなくなり、金があるのに任せてただ浮遊していたナッシュが、毎日石を積み上げていくことで自分の存在を自覚し、ポッツィのことを思い出して彼を恋しく思うことで人間らしさを取り戻していきます。
1人で借金を完済したナッシュは、石積み現場の上司ら(三上市朗と櫻井章喜)と一緒に外に飲みに行き、その帰り道に自分が手放した赤いサーブを運転させてもらいます。自分の車を運転しながらナッシュは昔を思い出し、いつも聞いていたクラシック音楽を大音量にしてスピードをぐんぐん上げていきます。そして、対向車線の車と正面衝突する、その直前のほんの数秒か1秒もなかったかもしれない刹那に、彼は最後の思考をします。骨まで透かしてしまうような、白い、強い照明が舞台全体を正面から照らし、ナッシュの命の最も美しい瞬間を剥き出しにします。何かが爆発する時の発光の瞬間のような色でした。
ラストシーン。舞台奥のホリゾント幕に白い照明が当てられて、椅子に腰掛けたナッシュも家具も黒いシルエットになり、静物の全てが影のようにぽっかりと舞台に浮かびます。そこにただ、優しいピアノの音楽が流れ続ける・・・これは永遠、ですね。なんて、なんて、美しいんだっ!!胸にじ~んと来て、この瞬間、このビジュアルがあるだけでこの作品に大満足だと思いました。白井さんの作品って(コメディは別ですが)いつ、どこで写真を撮っても絵になるのでしょう。あぁ、思い出すだけで胸がぐっと熱くなります。
仲村トオルさん。主人公ナッシュ役。乱暴といえば乱暴なんだけど、基本的に物静かで朴とつ。ラブシーンが苦手なんだろうな~、そこも好感度大(笑)。手放しに演技が上手だとは言えないです。でも、仲村さんのありのままの心と体の状態が、この作品の世界にしっくり来ていました。今回もキャスティングの勝利ですね。
小栗旬さん。ばくち打ちの若者で、素行は悪いが超美形のポッツィ役。ばっちり、ぴったりの役ではないでしょうか。でも存在感は期待していたより小さかったです。もっともっと光れると思います。
強いこだわりがあってクセのある、正解の的を射るのが難しい作品だと思いますが、浮いている役者さんは居ませんでした。空間の密度が高かったと思います。2ヶ月間という長い稽古期間があったのも勝因の一つなのではないでしょうか。こういう一本芯のとおった作品を観られる事に感謝です。劇場プロデュースって素敵。
≪よく考えてみると・・・。2005/11/02追記≫
オープニングとエンディングに同じ場面がありました。ナッシュが車を運転していて、そこにポッツィがぶつかって、バッタリと倒れます(逆かもしれませんが)。
ナッシュが大富豪の家の箱庭にあった人形を盗み、それを火で燃やしてしまったために、ポッツィは運を逃し、殴られてぼろぼろになって死んだと描かれていましたが、実は現実世界でもポッツィがナッシュを轢き殺していたんですね。つまりこのお芝居は全て、死ぬ前の2人の男が同時に観た夢だった、ということなのかも。
映画『ルル・オン・ザ・ブリッジ』の最後にも、主人公のハーヴェイ・カイテルが救急車で運ばれている時に、ミラ・ソルヴィーノが通りかかるシーンがありました。ハーヴェイ・カイテルがその車中で亡くなったため、救急車のサイレンが止まります。それを見たミラ・ソルヴィーノが車に向かって祈りを捧げていた・・・ように覚えています。その祈りの瞬間、つまり死へと向かう主人公と、彼のためにひとときだけ純粋な祈りをささげたヒロインの間に生まれた愛の夢、それが映画の中で描かれていた全てだった、ような。記憶があやふやですみません。
出演=仲村トオル/小栗旬/三上市朗/大森博史/小宮孝泰/山田麻衣子/櫻井章喜/月影瞳
原作=ポール・オースター 翻訳=柴田元幸 構成・台本・演出=白井晃 照明=齋藤茂男 音響=井上正弘 衣裳=太田雅公 美術=二村周作 ヘアメイク=佐藤裕子(昨年まで林裕子として活動) 演出助手=河合範子 プロアクションマネージャー=堀内真人 技術監督=眞野純 舞台監督=藤崎遊 主催=財団法人せたがや文化財団 企画制作=世田谷パブリックシアター 制作協力=遊機械オフィス
公式=http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/guzen/
劇場内=http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-32.html
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2005年11月01日
メルマガ 2005年11月のお薦め舞台
2005年11月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 17 2005.11.1 715部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎ちょっぴり寒くなってきましたね。芸術の秋は劇場で堪能しましょう!
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をどんどんご紹介していきます。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→青年座『パートタイマー・秋子』
11/15-20本多劇場
≪大阪、東京、ほか演劇鑑賞会など≫
http://www.seinenza.com/performance/181/
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→イキウメ『散歩する侵略者』
10/20-30サンモールスタジオ
http://www.ikiume.net/
◆3【 ☆お知らせ☆ セミナーにゲスト出演いたします。】
◎“今、面白い芝居を作り続けている劇団ってどこ?”
http://www.unit-duo.net/duo_seminar/ams02.html
11月6日(日)18:00~ 開催まであと5日です!
◆4【さあ、今からクリスマス・シーズンの予約をしよう!】
◎ロマンティックな12月にぴったりの公演を5本ご紹介します♪
◆5【編集後記】
◎11月から新しい職場です。
◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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※★印がいちおし公演です(3本)。
※初日の早い順に並べています。
※掲載内容:主催・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
1.ク・ナウカ『ク・ナウカで夢幻能な「オセロー」』
11/01-13東京国立博物館 日本庭園 特設能舞台 ※野外公演(客席は屋根付)
☆キャッチコピーがかっこいい!
愛を知らぬまま、愛しすぎた男 ~幸せすぎる時が、怖い時。
出演=美加理/他 原作=シェイクスピア 演出=宮城聰
エリアA=前売:5,300円 当日:5,500円/エリアB=エリアAの1000円引き/
ユースチケット(25歳以下)=2,500円 ※エリア別・整理番号付自由席
http://www.kunauka.or.jp/
2.KOKAMI@network『トランス』
11/08-27紀伊國屋ホール
☆作・演出=鴻上尚史
名作の2バージョン再演。私はyouth versionを観に行きます。
youth version出演者=高橋一生/すほうれいこ/瀬川亮
elder version出演者=松本紀保/みのすけ/猪野学
一般5,800円 学生席3,800円(ぴあ店頭扱いのみ・要学生証)
http://www.thirdstage.com/knet/trans2005/index.html
3.パルコ・プロデュース『メアリー・ステュアート』
フリードリッヒ・シラー作「メアリー・ステュアート」の自由な翻案
11/03-22パルコ劇場
≪東京、大阪、松本≫
☆出演=原田美枝子×南果歩 演出=宮本亜門
これまでに白石加代子×麻美れい主演で3度上演されています。
全席指定 ¥7,500
劇場=http://www.parco-play.com/web/page/information/mary/
ぴあ=http://www.pia.co.jp/column/play/mary_stuart.html
4.ひょうご舞台芸術『芝居~朱鷺雄の城~』
11/08-13紀伊國屋サザンシアター
≪兵庫、東京≫
☆作=山崎正和 演出=鵜山仁
出演=辻萬長/宮本裕子/大沢健/田島令子/水野龍司/勝部演之
全席指定 5,000円
http://www.rup.co.jp/20050826hyogo_shibai/index.html
※イープラスの得チケで2,500円!(手数料が別途300円かかります)
http://click.eplus.co.jp/?5_301041_22010_11
★5.青年座『パートタイマー・秋子』11/15-20本多劇場
≪大阪、東京、ほか演劇鑑賞会など≫
☆作=永井愛 演出=黒岩亮
出演=高畑淳子/山本龍二/横堀悦夫/森塚敏/ほか
一般5,000円 ゴールデンシート4,000円 ユニバシート3,500円
チェリーシート2,500円
http://www.seinenza.com/performance/181/
●お薦めポイント●
永井愛さんが青年座に書き下ろした傑作、大阪&東京で再演!
ごく普通のスーパーマーケットを舞台に繰り広げられる
ごく普通の奥様の悲惨かつ壮絶な日常。
ご年配の方にも、お若い方にもお薦めできる爆笑コメディーです。
先月号のメルマガ↓でお薦め前売り情報にも掲載しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1001012358.html
2003年初演時のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0611165100.html
6.ペンギンプルペイルパイルズ『不満足な旅』
11/16-23ザ・スズナリ
☆作・演出=倉持裕
出演=小林高鹿/ぼくもとさきこ/玉置孝匡/吉川純広/宮崎吐夢
どんなに進化するのか楽しみです。チラシも素敵。
指定席3,600円 当日3,900円
ベンチシート前売3,400円 当日3,700円(整理番号付自由席)
http://www.penguinppp.com/
初演のレビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0123232226.html
7.燐光群『パーマネント・ウェイ』
11/20-12/04シアタートラム
☆作=デイヴィッド・ヘアー 訳=常田景子 演出=坂手洋二
燐光群の新作は、イギリスで実際に起こった鉄道事故について。
全席指定(当日座席指定引換)一般3,500円/当日3,800円
大学・専門学校生3,000円/高校生以下2,000円 その他各種割引あり
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/permanentway.html
★8.流山児★事務所『SMOKE~Long Version~』
11/26-12/06ザ・スズナリ
☆作・音楽=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出=天野天街(少年王者舘)
ケラ&天街の夢のタッグ。今月の小劇場、これを観ないで何を観る!?
前売り4000円 当日4500円 学生2500円
http://www.ryuzanji.com/
★9.パルコ・プロデュース『12人の優しい日本人』
11/27-12/30(11/27-29はプレビュー)パルコ劇場
≪東京、大阪≫
☆作・演出=三谷幸喜
出演=浅野和之/石田ゆり子/伊藤正之/江口洋介/小日向文世/
鈴木砂羽/筒井道隆/生瀬勝久/温水洋一/堀内敬子/
堀部圭亮/山寺宏一(五十音順)
一般料金 9,000円(全席指定)
※プレヴュー公演11/27,28,29 8,500円(全席指定)
http://www.parco-play.com/web/page/information/yasasii/
お薦めするまでもない、年末最大の目玉公演! 映画にもなってます↓
http://www.aii.co.jp/contents/eiga/movie_f/045_arg-gentle_12.html
10.文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場
『母・肝っ玉とその子供たち~三十年戦争年代記』
11/28-12/11新国立劇場 中劇場
≪兵庫、東京≫
出演=大竹しのぶ/福井貴一/秋山菜津子/他
作=ベルトルト・ブレヒト 翻訳=谷川道子 演出=栗山民也
豪華キャストの“肝っ玉”。
S席7,350円 A席5,250円 B席3,150円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s279/s279.html
★★★――――――――――――――――――――――――――――――
3000円以下のお薦め作品も特別に4本ご紹介します。
このコーナーが意外に好評で嬉しいです♪
――――――――――――――――――――――――――――――★★★
●SPARKO『witch tank』
11/03-06王子小劇場
☆前売¥2500 当日¥2800
http://www.apartment.gr.jp/sparko/
過去作品のレビュー↓『RENTAL SPACE』
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0329235917.html
●チェルフィッチュ『目的地』
11/03-15こまばアゴラ劇場
☆前売2,800円 当日3,200円 学生2,000円
http://www.chelfitsch.net
過去作品のレビュー↓『三月の5日間』
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0525002641.html
●ブラジル『おしっこのはなし』
11/25-12/04サンモールスタジオ
☆前売2600円 当日2800円 その他割引あり
http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/
過去作品のレビュー↓『美しい人妻』
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1219224618.html
●reset-N『DUST』
11/28-12/06bar drop(吉祥寺)
☆日時指定・全席自由 前売・当日共に3,000円(1drink付)
http://www.reset-n.org/jp/dust2005/index.html
過去作品のレビュー↓『ROSE』
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1229180326.html
+α(私は観に行けないのですが、その他、▼ダンス公演など)
▼白井剛『質量、slide , & . / syabi . 囲 . underground』
11/12-13東京都写真美術館
“恋よりどきどき コンテンポラリー・ダンスの感覚”企画内
3ステージ(1ステージ150名様先着順)前売¥3,000 当日¥3,500
http://www.syabi.com/schedule/details/dance_new.html
過去公演のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1128020627.html
▼SePT独舞vol.14 近藤良平『誓いの休暇』
11/10-13シアタートラム
全席指定4,000円 その他各種割引あり ※前売りは完売
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-33.html
◎しのぶの今月の全予定(24本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
キャスト・スタッフ情報あり!
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.イキウメ『散歩する侵略者』
10/25-30サンモールスタジオ
http://www.ikiume.net/
☆愛に溢れ、そして悲しい本格派SFドラマ。若い才能がここにも!
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1029231739.html
2.自転車キンクリートSTORE
『ブラウニング・バージョン(The Browning Version)』
10/20-30俳優座劇場
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1022230616.html
☆テレンス・ラティガン3作品連続公演の第2弾。
上質の戯曲を本物の役者さんで。演劇の幸せとはこのことです。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0910002224.html
*季刊誌「せりふの時代」に戯曲が掲載されています。
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_magcode?sha=1&zname=15677&keitai=0
3.青山円形劇場+ゴーチ・ブラザーズ共同プロデュース
『胎内』10/20-30青山円形劇場
http://asagayaspiders.net/modules/tinyd20/
☆三好十郎の言葉を、3人の若い俳優さんが全身全霊で伝えてくれました。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1026231816.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
10月は残念ながらメルマガ号外の発行はありませんでした。
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◆3 【 ☆お知らせ☆ セミナーにゲスト出演いたします。】
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ネットワークユニットDuo主催のアーツマネジメントセミナーに
ゲスト出演いたします。
11月6日(日)の夕方ですので、開催まであと5日ですっ!
◎アーツマネジメントセミナーシリーズVol.2
「10年後、あなたは演劇、続けていますか?」第2弾
“今、面白い芝居を作り続けている劇団ってどこ?”
詳細⇒ http://www.unit-duo.net/duo_seminar/ams02.html
申込⇒ http://www.unit-duo.net/duo_seminar/mail/index.html
★舞台芸術コーディネーターの川南恵さんとの対談形式。
川南さんは新国立劇場 演劇研修所↓の教務主任でいらっしゃいます。
http://www.nntt.jac.go.jp/training/drama/index.html
★演劇の作り手の方も、観客の方も、どうぞお気軽にお越しください♪
fringe blogにセミナー出演にあたっての私の意気込みを書きました!
http://fringe.jp/blog/archives/000360.html
川南さんのコラムで私のことをご紹介くださってます(照れる・・・)。
http://www.unit-duo.net/clmn/archives/2005/10/post_270.html
【日時】 11月6日(日)18:00~21:00 ☆5日後です!
【場所】 芸能花伝舎(東京・西新宿)
http://www.geidankyo.or.jp/12kaden/08access/index.html
【受講料】 3,000円(受講料は当日お持ち下さい)
★先着順・定員予約制 お申し込みはこちらへ↓
http://www.unit-duo.net/duo_seminar/mail/index.html
〆切間近ですよ~。
川南さんとは、とっても仲良くさせていただいています。
・・・本音トークにご期待ください(笑)!
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◆4【さあ、今からクリスマス・シーズンの予約をしよう!】
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今日から11月・・・本格的な冬は目の前ですね。
そろそろ12月のクリスマス・シーズンのチケットを確保しましょう!
ロマンティックな季節にぴったりの公演を5本ご紹介します♪
1■ミュージカル『ジキル&ハイド』12/04-28日生劇場
出演=鹿賀丈史/マルシア/鈴木蘭々/石川禅/浜畑賢吉/ほか
S席¥12,000/A席¥6,000/B席¥3,000
http://www.toho.co.jp/stage/jh/welcome-j.html
☆“2001年ミュージカル・ベストワン四冠達成(by月刊ミュージカル)”
すごく楽しかったのを覚えています。装置も衣裳もキャストも豪華!
2001年のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/1121233416.html
2■ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー
『夏の世の夢』12/09-17東京芸術劇場 中ホール
作=W.シェイクスピア 演出=グレゴリー・ドーラン
S席9,500円 A席7,500円
※イヤホンガイドあり(有料)/未就学児童の入場不可。
http://www.natsuyume.jp/
☆本場イギリスから、シェイクスピアをモダンな演出で。
2004年『オセロー』のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0508203957.html
3■自転車キンクリートSTORE
『セパレート・テーブルズ』
12/15-23全労済ホール/スペース・ゼロ
前売開始=11月5日(土) ※未就学児童の入場不可。
一般=5,000円(12/15(木)、12/16(金)は4,000円)
http://www.jitekin.com/html/kouen-joho.html#03
☆テレンス・ラティガン3作連続上演の最後を飾ります。かなりお薦め!
前2作のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0910002224.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1022230616.html
4■コンテンポラリー・ダンス公演
Noism05『Noism05 NEW WORK PREMIERES IN WINTER '05-'06』
12/23-25新国立劇場 中劇場
構成・演出・振付=金森穣 音楽=An Ton That 出演=Noism05
S席5,500円 A席4,500円 ※未就学児童の入場不可。
≪新潟、富山、大阪、札幌、東京、仙台≫
http://www.conversation.co.jp/schedule/noism05/index.html
☆イブをはさんだ3日間、美しい劇場で新しいダンスを。
Noism公演のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0728235047.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0621113434.html
5■青山円形劇場プロデュース『ア・ラ・カルト
~役者と音楽家のいるレストラン』12/01-26青山円形劇場
≪東京、大阪≫
前売開始=10月30日(日) 全席指定¥6,800
※未就学児入場不可/夜ステージのみワイン・サービスあり
http://www.aoyama.org/japanese/schedule/s2005/enkei/12alacarte/alacarte.html
☆クリスマス恒例の音楽と演劇のステージ。お友達・カップル・ご夫婦で!
前売りは完売の様子。お問い合わせは下記へ。
こどもの城劇場事業本部 03-3797-5678
去年のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1209003150.html
※『セパレート・テーブルズ』以外は全てチケット発売中です。
『ア・ラ・カルト』は10/30発売でどうやら完売・・・お早目に当日券を!
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◆7 【編集後記】
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◎来週から新しい職場に移ります。演劇関係なので嬉しいです♪
短い期間ですがご縁を大切に、丁寧な仕事をしたいと思っています。
◎人気ブログランキングで最高3位までランクインしました。
http://blog.with2.net/rank1170-0.html
応援のクリックをしてくださってありがとうございます!
おかげさまで色々な方とのご縁が広がっています・・・♪
これからもコツコツと更新していきますので、よろしくお願いいたします。
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載されています。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31442121
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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