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2006年08月30日

【フェスティバル】『佐藤佐吉演劇祭2006・前夜祭』08/29王子小劇場

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前夜祭

 佐藤佐吉演劇祭2006の前夜祭にお邪魔してきました。劇場オーナーからの真摯なご挨拶、参加劇団による短編披露、映画監督・佐藤佐吉さんのおもしろトークなど、盛りだくさんなパーティーでした。⇒まとめページ

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1■王子小劇場CM映像上映(出演=奥田ワレタ/板倉チヒロ)
2■フェスティバルディレクター玉山悟氏の挨拶
3■演劇祭参加団体主宰 紹介・挨拶

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佐藤行雄氏

4■佐藤行雄氏(佐藤電機株式会社・社長)挨拶
 佐藤氏「インターネットで王子小劇場への賛辞、批判などをチェックしました。天井が高いことを喜んでいただいているようです。でも「コードが足りない」という批判もよく見かけられました。さっそく改善したいと思っています。私は電機屋ですから、そういうのはとても気になるのです(笑)。」

5■佐藤佐吉氏(映画監督・脚本家)演劇祭開催宣言
6■「佐藤佐吉氏・王子小劇場生涯招待パス」授与

7■王子シャッフル上演
 映画監督・佐藤佐吉氏からお題の台詞「ジャイアンツの上原の歯茎ってどう思う?」「それでこそセックスレス夫婦!」のふたつを必ず使う。上演時間のめやすは5分間?
 ※出演者名の後の(かっこ)内は、所属劇団・演劇祭で出演する劇団名です。

1.演出=下西啓正(乞局) 出演=竹岡真悟(elePHANTMoon)/中島佳子(無機王)/中島徹(メタリック農家)
 ⇒男2人と女1人の会話。なぜか男同士が手をつないだり、つついたり、なでまわしたり。ゲイなのかな?でもシラーっと無視して会話は続く。少しずつ怪しいムードになっていく男2人にかまわず、女は会話を続ける。女が座っていたイスを男の一人が蹴って、女は転ぶ。

2.演出/出演=楢原拓〔chari-T〕(チャリT企画) 出演=瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ・ブラジルに出演)/古市海見子(メタリック農家)/ブラジリィー・アン・山田(ブラジル)/西山聡(クロム舎・ブラジルに出演)
 ⇒「ハンカチ王子小劇場」「乞局」などの言葉(セリフ)に、簡単な動作をつけて繰り返す。どんどん言葉と動きを追加していく。終わりがないように見えてきて(敢えて終わらないようにして)、司会が途中で止める。

3.演出=名執健太郎(smartball)出演=池田ヒロユキ(リュカ.に出演)/酒巻誉洋(elePHANTMoon)/松葉洋子(自己批判ショー)
 ⇒女の部屋に上がりこんで飲んでいる男二人。深夜なのにニ人とも全然帰ろうとしない。一方の男が女を襲うが、女は必死で拒む。拒まれた男は傍観していた男とキスしちゃう。

4.演出=栗原崇浩(自己批判ショー) 出演=境宏子(リュカ.に出演)/中川智明(ブラジルに出演)/荒木拓(smartballに出演)
 ⇒ラジオ体操をする三人。でもラジオ体操の音楽がちょっと替え歌になっている。体操のつもり、手足を動かすつもり、等。突然停電し、暗闇で三人がエッチにくんずほぐれつ。

5.演出=渡邊一功(リュカ.) 出演=松本大卒(チャリT企画)/小倉ちひろ(smartball)/秋吉孝倫(乞局)
 ⇒おそらくどこかのオフィスの休憩室。タバコを吸いにぱらぱらと集まってきて若者たちの世間話。ハンカチ王子の話等とからめて、お題のセリフを言う。日常のある時間を切り取ったかたち。

6.演出=マキタカズオミ(elePHANTMoon) 出演=伊藤伸太朗(チャリT企画)/山田佑美(無機王) /岩瀬亮(martballに出演)
 ⇒女と別れたいと思っている男が、自分の男友達にニセの恋人役をしてもらう。女の前で男同士でキスまでして、ゲイであることをアピール。女は立ち去ってくれたが、今度は友達が本気になってしまって…。

 ≪王子シャッフル全体の感想≫
 演出家のカラーの違いがはっきりと出たことがまず面白かったですね。また、役者というのは演出次第でこうも変わるんだなということも見て取れました。
 「(他の作品が)現代口語劇ばかりだったから、途中で作風を変えた」と楢原拓さん(チャリT企画)がおっしゃっていました。ほんとにそうですね、静かで日常的な会話が多かったです。私は楢原さんの作品を最後まで観たかったです。やっぱりね、やりきって欲しいんですよ。

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9人の主宰が揃う

8■主宰クロストーク
 参加劇団の主宰さんが全員壇上にあがってお話されました。王子シャッフルに参加された方々は、前夜祭当日のお昼から劇場に集まって、作品を作られたそうです。準備も創作方法も人それぞれですね。初対面の人といきなり演劇作品を創るわけですから、いろんな苦労もあったことと思います。作品発表とインタビューのおかげで、演出家の作風と人柄を少し覗き見できて楽しかったです。演劇祭の本番の予告編を体験したような気持ち!

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佐藤佐吉さん(左)はとっても面白い方!

9■佐藤佐吉氏トーク
 演劇祭の名前と同姓同名だというご縁でつながった、映画監督・脚本家の佐藤佐吉さんをお呼びしての爆笑トーク。映画「キル・ビル」出演秘話など、おもしろいエピソードを率直に語ってくださいました。「王子小劇場生涯招待パス」もお受け取りになったことですし、ぜひぜひ演劇も観に来ていただきたいですね。

 ≪前夜祭の感想≫
 2年前にブラジリー・アン・山田さん(ブラジル)が「演劇祭では参加劇団が交流する企画をした方がいいのではないか」と提案されて、今回のこの前夜祭の企画が生まれたそうです。王子シャッフルは刺激的な体験になったのではないでしょうか。私は一小劇場ファンとしてかなり楽しめました。

佐藤佐吉演劇祭2006『劇視力2.0「物語の現在地」』
フェスティバル・ディレクター=玉山悟 演劇祭実行スタッフ=松本謙一郎遠山浩司野坂実黒澤世莉 協力=佐藤電機 主催=王子小劇場

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Posted by shinobu at 17:10 | TrackBack

【フェスティバル】佐藤佐吉演劇祭2006『劇視力2.0「物語の現在地」』10/04-12/05王子小劇場(まとめ)

 今年の10/4(水)から12/5(火)まで王子小劇場で開催される、佐藤佐吉演劇祭2006の公式レビュアーになりました。演劇祭で上演される9作品すべてを観劇し、その感想を王子小劇場のウェブサイトに公開します(「しのぶの演劇レビュー」にも通常どおり掲載します)。

 公式レビュアーは“休むに似たり。”のかわひ_さん、参加する全9劇団の過去作品をご覧になったことのある佐藤佑吉さん(匿名)、そして私、高野しのぶの3人です。一作品につき必ず3人の感想が公開される、クロス・レビューが実現します。3人とも全然好みが違うので、読み応えのあるものになると思います♪
 公募モニター4人のレビューも掲載されることになりました(2006/11/01加筆)。
 ⇒佐藤佐吉演劇祭2006レビューブログ

 ※このエントリーは佐藤佐吉演劇祭2006のまとめページになります。レポートやレビューが更新され次第、まとめて載せていきます。掲載内容は随時変更予定。
 ⇒前夜祭(8/29)レポート

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 【佐藤佐吉演劇祭とは?】下記、王子小劇場公式サイトより引用します。

 王子小劇場が自信をもって薦められる公演、より多くの観客に観てもらいたい作品、そして、佐藤佐吉賞ノミネート最有力候補が集まった演劇祭。
 今後も王子小劇場では注目すべき作品・才能が集まった時にのみ、この「佐藤佐吉演劇祭」を開催します。

 ※佐藤佐吉賞とは、王子小劇場で年間上演されたすべての公演を対象に、優れた作品・戯曲・演出・舞台美術・照明・音響・衣装・宣伝美術・主演男優/女優・助演男優/女優の各部門を表彰するものです(毎年開催されます)。

■佐藤佐吉演劇祭2006『劇視力2.0「物語の現在地」』10/04~12/05 全9作品ラインナップ
 ⇒レビューを読む時はタイトルをクリック!
 
1.乞局廻罠(わたみ)』10/04-09
  ※過去レビュー⇒

2.チャリT企画アベベのべ』10/13-17
  ※過去レビュー⇒

3.smartballMy Legendary Girlfriend』10/20-24

4.自己批判ショーzico-hihan-show THE MUSICAL「木曜の男」』10/27-30

5.リュカ.vocalise(ヴォカリーズ)』11/02-06
  ※過去レビュー⇒

6.メタリック農家『食欲の秋新作公演「」』11/08-12
  ※過去レビュー⇒

7.無機王吉田鳥夫の未来』11/15-19

8.elePHANTMoonシュナイダー』11/22-26

9.ブラジル恋人たち』11/29-12/05
  ※過去レビュー⇒10


 ポツドールシベリア少女鉄道、日本演出者協会の若手演出家コンクール2004で最優秀賞を受賞したひょっとこ乱舞、コアなところではむっちりみえっぱり等も、王子小劇場で公演を打っていますね。「劇団の青田買いなら王子」と、数年前から演劇ファンの間でもささやかれていました。

 王子小劇場は「劇場での上演作品のいっそうの充実をめざし、2007年4月から劇場利用団体を審査」するそうです(佐藤佐吉演劇祭2006チラシより)。首都圏に200~300ヶ所もある劇場の中で、使用団体のすべてを審査する劇場は、公的な劇場以外ではこまばアゴラ劇場(およびアトリエ春風舎)だけでした。王子小劇場の英断に乾杯!
 この流れが大きな勢いとなって、玉石混淆の演劇界に新たな、そして確かな尺度が生み出されていくことを望みます。(2006/08/29)

佐藤佐吉演劇祭2006『劇視力2.0「物語の現在地」』
フェスティバル・ディレクター=玉山悟 演劇祭実行スタッフ=松本謙一郎遠山浩司野坂実黒澤世莉 協力=佐藤電機 主催=王子小劇場
王子小劇場=http://www.en-geki.com/

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Posted by shinobu at 03:08 | TrackBack

2006年08月28日

りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ『オセロー』08/28-31梅若能楽院会館

 新潟のりゅーとぴあがプロデュースする、能楽堂で上演されるシェイクスピアシリーズの第四弾です。私はお能が苦手なので今まで遠慮してきたんですが、植本潤さんのイアーゴー役に惹かれて初めてチケットを取りました。(『オセロー』に関係するお芝居のレビュー⇒

 東中野の梅若能楽院会館(1961年・昭和36年竣工)も初めてだったんですが、近代建築ならではのムードがあってかっこいい劇場でした。ただ、入り口が暗くてわかりづらかったです。私を含め何人かのお客様がうろうろと迷いました。山手通り沿いにどなたか道案内の方が立っていてくださると助かります。あと、看板に矢印があるとなお良いのではないか、と。

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 上演時間は3時間15分(途中休憩15分を含む)。これを見た瞬間、「やばいな」と思いました。果たして私は持ちこたえられるだろうか、と。そして、やっぱり耐えられず・・・・。途中休憩で帰りました、ごめんなさい。私の体調が万全じゃなかったのと、座ったイス(正面の後方)が合わなかったのと、クーラーがかなり効いていたのと・・・色んな要因が重なってしまったんだと思います。
 うーん・・・でも、やっぱり一番の原因はセリフでしょうかね・・・。シェイクスピアのお芝居って独白が長々と続くんですよね。それをじっと聞いていられたら平気だったのでしょうけど、早口でどなることが多く、私はあまり聞きたい気持ちになれませんでした。

 衣裳が豪華で美しかったです。着物風で生地が凝ってるんですよね。デズデモーナの衣裳の模様(刺繍?)がものすごく可愛かったです。「♪」柄とか。
 4人の女性が舞台上でパーカッション(というか太鼓)を演奏されるのですが、その息がばっちり合っていました。

 市川笑也さん。デズデモーナ役。配役を全く知らずに観たので、すっかり女優さんだと思ってました・・・(汗)。ものすごく可愛い声で、ピンクと白の衣裳がお似合いでした。
 谷田歩さん。オセロー役。厳格なお顔が凛々しくてかっこ良かったです。ムーア人の将官オセローにぴったり。
 植本潤さん。イアーゴー役。ものっすごい早口でびっくりしました。あんなに早くはっきりと話せるのは凄いと思いますけど、私は疲れちゃいました。演技に色んな工夫をされているのもわかったのですが、何らかの固定されたルールにのっとって演技をされているように見えました。前半の終盤(オセローにデズデモーナの不義を吹き込むシーン)は、ぐぐっと引き込まれました。あのシーンが良かったから、帰ろうかどうか迷ったんですけどね・・・。

≪新潟、東京≫
出演=谷田歩/植本潤/市川喜之助/山賀晴代/河内大和/荒井和真/栗田芳宏/横山道子/田島真弓/横山愛/塚野夢美/住田彩/塚野星美/市川笑也
作=ウィリアム・シェイクスピア 翻訳=松岡和子 構成・演出=栗田芳宏 振付=横山道子 衣裳デザイン=時広真吾(リリック) ヘアメイク=佐藤圭 小道具=後藤信子 衣裳=山田志麻 音響=武藤竜也(りゅーとぴあ) 照明=大倉勝茂(りゅーとぴあ) 舞台監督=椎谷忠弘(りゅーとぴあ) 題字・画=泉田佑子(墨遊はちまき屋) 宣伝美術=名和和嘉子(株式会社新交企画) 広報=小嶋香織 制作=星野睦/木澤美恵子 制作助手=佐藤竜太郎 宣伝協力=滝北典子 企画アドバイザー=笹部博司(りゅーとぴあ演劇部門芸術監督) 企画・製作=りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館) 制作協力=松竹株式会社/株式会社おもだか 主催=(財)新潟市芸術文化振興財団
メジャーリーグインターネット予約(東京公演のみ)6月24日(土)19:00~ SS席5,000円S席4,500円A席4,000円
公式=http://www.majorleague.co.jp/

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Posted by shinobu at 22:17 | TrackBack

2006年08月27日

モダンスイマーズ『赤木五兄弟』08/22-27 THEATER/TOPS

 今、大きな劇場でも小さな劇場でも大活躍の、蓬莱竜太さんが作・演出されるモダンスイマーズの新作です。上演時間は1時間30分弱。最後は「え、これで終っちゃうの??」と意外な幕切れでしたが、登場人物にしっかり感情移入することができ、続編が作られるならまた観たいなと思いました。

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 ≪あらすじ≫
 男ばかりの5人兄弟が暮らす赤木家の庭。父と母は約1年前に交通事故で亡くなっている。兄弟全員が中学を出てすぐに父親と同じ大工になっており、父亡き後の赤木組は息子達が支えている。ある日、末っ子の優吾(恩田隆一)が可愛がっている飼い犬のミロが死んだ。ミロの埋葬の日から約1日間のお話。※イヌの名前はミロだったかどうか・・・曖昧です。ごめんなさい。
 ≪ここまで≫

 肌触りが良くて親しみやすい笑いが、男たちのぶっきらぼうな会話に気持ち良く挟まれます。会話からごく自然に登場人物たちの背景が明かされ、それぞれの行動の理由(わけ)がはらり、はらりと、ほどけるように届いてくるのが快感です。ごく等身大のドラマなんですね。

 息子たちは「オヤジだったらこうしてた」と何度も言います。それぐらい父親を心酔していた彼らですが、人は誰も否応なしに変わっていくし、誰もオヤジ本人になれるわけじゃないし・・・という現実にぶつかります。私も家族を亡くしたことがあるので、その気づきがやってくるまでのタイムラグ(この場合は約一年)に共感しました。

 末っ子の優吾だけ、母親が違います。産みの母親は父と母の葬儀の時に初めて赤木家を訪れました。それを知っていたのは優吾と長男の幸太郎(西條義将)だけでした。優吾が「赤木家を出てその母親と一緒に暮らしたい」と言い始めて、兄弟の関係に大きな波紋が生まれ・・・。優吾をはじめ、優吾の爆弾発言に揺れ動く兄弟一人一人の、細やかな心情を味わえました。

 「俺の方が似てる!」と争いながら、息子達がどんどん死んだ父親(および母親)の真似をしていくシーンが素晴らしかったですね。あそこでは涙が搾り出されました。舞台に登場しない人物の姿が鮮やかに浮かび上がることが、お芝居の醍醐味だと思います。

 ここからネタバレします。

 以下、セリフから読み取った内容を書いてみます。

=====
 優吾は女好きだった父が愛人に産ませた子供だった。父は「俺の子は俺が育てる」という強い意志の持ち主(てか、わがまま)で、優吾は2歳の時から赤木家に引き取られてきた。母は他の息子達と分け隔てなく優吾を育てた。
 
 父と母は1ヵ月前に買ったばかりの新しいトラックで、夜中にドライブに出た時に事故に遭った。事故現場は、家から立川へ向かう途中の場所だった。優吾の産みの母親は立川に住んでいて、優吾は彼女とこっそり手紙のやり取りをしていた。優吾は自分と母親の手紙を見つけたせいで、父と母が事故に遭った、自分のせいで父と母が死んだのだと感じている。だから兄弟の顔を見るのが辛くて、葬儀の後すぐにピザ屋のバイトを始めた。今は母親が同居を望んでいることもあり、早く家を出ようと考えたのだ。
 (父と母は優吾を手放したくなかったから、産みの母親に話をしに行ったのかもしれない。)

 ミロはまだ2歳になる前だったのに、前足がない子犬を産んで死亡した。つまり、無理やり妊娠させられたのだ。兄弟たちははらませた犬が許せないから復讐を誓う。そもそもミロは父と母が優吾のために買い与えた犬だった。「お前にも弟が欲しいだろ」と言って(でもメス犬だった・笑)。だからミロを一番可愛がっていたのも、世話をしていたのも優吾だけだった。兄たちは誰が復讐をするのかと揉め合い、すったもんだするのだが、ミロを襲った犬は冒頭で既に優吾に殺され、庭に埋められていた。
 (父と母は優吾を赤木家に引き止めるために、ミロを買ってやったのかもしれない。)
=====

 優吾は犬を殺して埋めたことで警察に自首します。警察での取り調べを受ける間、ピザ屋を休まざるを得ない優吾のために、兄たち全員でピザの宅配の稽古をするのがラスト・シーンでした。これは唐突過ぎたんじゃないかしら。もうあとワンシーンあればさらに良かったのではないかと思います。

 四男の鉄志(津村知与支)の彼女・ノリベンちゃんを演じられたのは加藤亜矢子さん。黒くてペッタリしていて・・・のり弁っていうのはぴったりのあだ名でした(笑)。

出演=古山憲太郎/津村知与支/小椋毅/西條義将/恩田隆一(ONEOR8) /加藤亜矢子
作・演出=蓬莱竜太 美術=伊達一成 音響=今西工 照明=松本由美(東京舞台照明) 大道具=ステージファクトリー 宣伝美術・衣裳協力=小原敏博 衣裳補=栗原沙織 宣伝写真=引地信彦 記録写真=Yoshizo Okamoto 制作=神野和美 制作補=松尾由紀 制作協力=(株)オフィスPSC 重留定治 広川由季
7月19日(水)前売開始 前売=指定席3,000円 自由席2,800円 当日3,300円 学割2,000円(Habaneraのみ取扱い/学生証提示) ※24日(木)14:00の回のみ特別割引2,800円(全席指定)
公式=http://www.japan-pr.com/habanera/modern_swimmers/top.html 
新・公式=http://www.modernswimmers.com/ (8月OPENならず)
制作=http://www.japan-pr.com/habanera/

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Posted by shinobu at 23:52 | TrackBack

2006年08月26日

tpt『BAKXAI-バッカイ』08/26-09/10ベニサン・ピット

 演出=熊林弘高、台本=木内宏昌、出演=佐藤オリエのtpt作品は、これまでに2作品拝見しました(レビュー⇒)。
 『血の婚礼』も良かったですが、今回もまた美術(二村周作)が美しい!衣裳(原まさみ)とヘアメイク(鎌田直樹)も絶品でした。

 原作は三大ギリシア悲劇の作家エウリピデスの二千数百行の詩で、約2500年前の神話の世界が現代に現れます。お話自体はやはりわかり易いとは言えないので、これからご覧になる方はパンフレットの解説を開演前に読まれることをお薦めします。

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 ≪あらすじ≫ パンフレットより。(役者名)を追加。
 戦争に明け暮れる都市国家テーバイは、ディオニュソス(バッコス:佐藤オリエ)とその信者たち(バッカイ:中川安奈/若松智子)を迫害した。若き王ペンテウス(進藤健太郎)とその一族に復讐をはじめるディオニュソス。人間の知恵を超える一日の物語。
 バッカイ:「バッコス」の女性複数形。「バッコスに狂わされた女たち」を意味する。また、ギリシャ語の性質上、バッカイをバッカイたらしめる者という意味も含む。
 ≪ここまで≫

 劇場に入るなり美術に魅せられました。『血の婚礼』と同様に、およそ三方から客席が舞台を囲み、いつものベニサン・ピットの面影がないぐらいに変貌しています。舞台の中央から上手には、大きなガラス張りの壁が丸く立ちはだかり、それはいまどきの新しいビルのよう(例えば⇒)。壁の向こう側は完全に透けていて、奥に洋服がかかったクローゼットが見えます。青い灰色のタイル状の床も、冷たい都会のムードを盛り上げます。まさに今、ここでしか体験できない異空間です。

 衣裳がまた素晴らしかった!男性のスーツに民族衣装っぽいロング・スカートと鹿の毛皮を合わせる、あのセンス!驚愕のかっこよさです。バッカイ役のアジアの女たち(中川安奈/若松智子)のドレスも、生地のミクスチャーが洗練されていましたね。中川安奈さんはもともと美しい女優さんですが、今回はヘアメイクも衣裳もばっちりで、立っている姿を見つめるだけでも幸せでした。

 ギリシア神話のセリフがわりと平易な日本語になっているのと、役者さんの佇まいや衣裳が現代風なため、比較的とっつきやすい世界になっています。でも登場するのは神、国王、神をたたえる信者等ですから、作品世界はかなり奇抜で複雑な設定です。たとえば蜷川幸雄さんが演出するギリシア悲劇のように、メロドラマ的な要素にどっぷり感情移入するというよりは、一歩引いた場所から冷静なままで見続けられたのが面白かったです。古代と現代とを比較したり、共通点、相違点を見つけようとしたり、常に何かを考えながら観ていました。
 ただ、今の私たちの人生につながる瞬間や、何らかのとっかかりが見つけられたかというと、具体的にはなかったですね。最後まで冷静なまま見つめていました。

 ここからネタバレします。

 テーバイの王ペンテウス(進藤健太郎)がバッコス(佐藤オリエ)を迫害したため、バッコスはペンテウスを騙してバッカイらのところにおびき寄せ、彼の母親アガウエ(佐藤オリエ)に彼を殺させます。罰を与える神と罰を受ける人間の二役を、佐藤オリエさんがお一人で演じられることで、運命の皮肉さ、残酷さがより際立つ効果があると思いました。

 進藤健太郎さんは『スラブ・ボーイズ』に続いてのtpt出演ですね。セクシー度がアップしていて、細身のパンツ・スーツに先が長細い靴がキマってました。女装は・・・どうなんでしょう(笑)。笑うところなのか、冷静に受け止めるところなのかが曖昧で、私は戸惑っちゃいました。そういうシーンが他にもあったんですが、役者さんのせいではないでしょうね。これから演出が先鋭化されていくと良いなと思います。

 終演後の出待ちの女性客が多いなーと思ったんですが、元・宝塚歌劇団の男役の月船さららさん(⇒ご本人のブログ)が出演されていたからでしょうか。宝塚退団後の初舞台の初日ですものね。男役だった方があの衣裳で、あの演技って・・・・かなり刺激的!超エッチでしたよん(笑)。

出演=佐藤オリエ/中嶋しゅう/進藤健太郎/花王おさむ/中川安奈/月船さらら/若松智子/鴻森久仁男
作=エウリピデス 台本=木内宏昌 演出=熊林弘高 美術=二村周作 照明=佐野雅昭/小林芳祐 音響=長野朋美 衣裳=原まさみ ヘア&メイクアップ=鎌田直樹 舞台監督=増田裕幸
全席指定5,250円 学生料金3,150円(TPTのみのお取り扱い)
公式=http://www.tpt.co.jp/

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Posted by shinobu at 23:30 | TrackBack

2006年08月24日

【ワークショップ】日本演出者協会『チェルカスキイ 演出家育成ワークショップ』08/09-22芸能花伝舎内スタジオ(8/22レポート後編)

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PRESS PASS

 セルゲイ D. チェルカスキイ氏のワークショップの最終日、8/22(木)の聴講レポート(後編)です。(⇒まとめページ)。
 すべてが終った後に稽古場で終了式およびパーティーが開かれ、参加者およびスタッフの皆さんと、このワークショップの成果を確かめ合うことができました。

 見学にいらした流山児祥さんのブログ“祥 MUST GO ON! ”も、ぜひお読みくださいませ♪関連エントリー⇒

 見学者のレポート⇒マーミンカ通信

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 見学しながらノートにメモしたことを書きます。「(かぎかっこ)」はチェルカスキイ氏の言葉です。“⇒”以降は私の感想です。

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シーン・スタディ

●「かもめ」より、ドールンとポリーナのシーン・スタディ。
 ニ人一組でひとつのシーンを演じます。途中でチェルカスキイさんが止めて、質問や提案をされます。

 「身体行動を真似して良いというのは、誤解。最も大切なのは、身体感覚の記憶です。」
 「与えられた設定に対する信頼を生むこと。例えば、手でコップを持っているマイムをする時は、俳優本人が手の中のコップを信じなければならない。でなければ観客が信じられるわけがない。」
 「戯曲の中の設定にきちんと存在しているのかどうか。」

 「『役を演じるということは、戯曲全体を演じることだ』とスタニスラフスキーは言っていました。」
 「課題に取り組む時は、今日できたことが明日にできなかったとしても、失望しないでください。スタニスラフスキー・システムは人間観察のプロセスです。だから、ハっと目が覚めるような驚き(気づき)ばかりが続くわけではない。」
 「演じる時は衣裳を着てください。衣裳を着て、役への旅が始まる。『もし私がポリーナだったらどうなる?』と。自分自身を観察してください。ジーンズを着ている時と夜会服を着ている時では違うはずです。自分を(衣裳で)変えてください。」

 「ドールンは何かをするために登場します(人間は何らかの目的をもって、それを実現するために、行動している)。」
 「(役を)作るのではなく、理解する。役を自分に近づけるのではなく、自分が役に近づいてください。」
 「ポリーナはドールン(の心)を盗もうとしている。彼を盗むために彼女は何をするのか?女性は(男性の気を引くために)日常はもっと繊細に具体的なことをやってらっしゃいますよね。色んな秘密があるはず。微笑んでスカートを直すだけでは足りない。実際の人生では(女性は)繊細に、わからないように、積極的にやっているはずです。」
 「言葉を知って、言葉を練習する。行動を考える。」

 「(シーンで)何が行われようとしているのか、どんな振る舞いを遂行しているのかを、演出家は考えます。」
 「俳優が(自分の)人生の中からアレンジメント(応用、道具立て)を引き出してくる。俳優が自分で考え付かなければなりません。そこに創造者としての結果が表れます。」
 「一秒一秒を詳細に研究することで結果が得られる。」

 「『この人物は何をしているのか?』と常に考えること(=行動分析)。同じ行動も色々な方法で舞台に乗せられる。俳優が自分で考えて色々試すことです。100個でも200個でもできるはず。たとえばポリーナはドールンの注意を引くために、酔っ払う、おしゃれする、倒れる、もうすぐ死ぬと脅す・・・など、さまざまな行動ができる。」
 「人生も同じですよね。ひとつの目的を達成するためにいくつもの道があります。」
 「分析と具現化を同時に行うことが、一番大切です。」

 「セリフはチェーホフが書いた戯曲どおりに話してください。行動については(“退場”以外に)戯曲には書かれていません。だから、(勝手に)思いつくのではなく、セリフの裏にどういうことがあるのかを、理解しようとしてください。」
 「私は(戯曲から離れて勝手に創作したのではなく)、設定を鋭く見せただけです。」

 ⇒「このカップルは凄い!」と思えるような発表には出会えなかったですが、チェルカスキイさんのお話は非常にわかりやすく、はじめの一歩を踏み出すところから丁寧に教えてくださるので、目からウロコな気持ちでずっと拝聴していました。
 参加者の話によると前日に大きな発表があったそうで(「かもめ」の劇中劇をチームごとに上演)、今日の発表については準備時間が充分ではなかったようです。うーん、残念。前日も見たかった!!

tcherkasski_WS_3.JPG
絵画から演劇的葛藤を発見する

●絵画を見て、演劇的葛藤を見つける。
 約10枚ほどの絵画のカラーコピーが壁に貼られている。その中の数枚を取り上げて話し合う。

 「皆さん、良い絵を選んで持ってきてくださいました。良い絵を選ぶことは演出家の重要な資質です。そして演出家は現実主義者でなければいけない。」
 「絵画から演劇葛藤をくみ出す(作業を行います)。」
 「今皆さんはこの授業において、私の質問に対する答えを考えるのではなく、どういう質問が出るのかに注意を払ってください。」

 ○日本絵画「ためさるる日(?)」
 踏み絵をまさに踏もうとしているおいらんと、彼女を見つめる芸者たち。

 ○「ビラを貼る」
 警察官に向かって犬が吠えている。犬の綱を持っているのは小さな少年。警察官の右後方で、壁にビラを貼る男がいる。

 ○夜のカフェに女がたったひとりで座っている絵(たしかタイトルは『夜の孤独』?)
 「ストーリーも気分もある。しかし演劇的葛藤はない。」
 「『(彼女の状態は)何も変わらない。待っていても誰も来ない。』ということを表している。孤独を表している。悲しみが伝わってくる。彼女は毎晩、同じところにいる雰囲気がある。憂鬱が宇宙的。後ろの黒が広く、深い。」
 「映画にすると良いかもしれない。映画は散文に近い。」
 「悲劇はある。いい絵だ。でも演劇的葛藤はない。これを演劇にしたなら舞台上で5分間、ただ人が動かないままでいることになる(笑)。」

 ○「シベリアのメンシコフ一家」(祥 MUST GO ON!に画像あり)
 『夜の孤独』との対比をする。


 「戯曲の葛藤はどこにあるのかを本能的に悟る。どこに美しいものがあるのか。どういうものが芝居にできるのか。」
 「演出家の主要な課題は、どのように作者の世界を成立させるか、ということ。(作家の世界を)壊すところにその課題はない。」
 「今やってきたことは、演劇的葛藤をどう発見できるかのトレーニングです。」
 「これで私の授業は終わりです。今後、ひとつお願いがあります。美術館に行くたびに私のことを思い出してください(笑)。そして絵を見て、これは演劇にできるのか、演劇的葛藤があるかどうかを考えて欲しい。」

 【最後の質疑応答】メモしたチェルカスキイさんの言葉だけを書きます。

 「俳優としての仕事は、与えられた設定の詳細を分析することから始まります。」
 「瞬間的にうまくいくものではない。訓練が必要。」
 「経験のあるスパイは瞬時に顔と名前を覚えます。初歩的なスパイは、私の顔と名前だけを覚えます。なぜなら赤い服を着ているからです(笑)。だから皆さんは経験のあるスパイになってください。」
 「全てを見て、聞いて、全てを目に留める。それを舞台上に実現させてください。」
 「具体性、詳細を見つけ出すために、自分、体、感覚を知る。何が起こるのかを学ぶ。自分の目や心臓がどう動くのかを、よく勉強して学ぶ。俳優トレーニングができると、分析もできるようになる。」

 「戯曲を舞台化することは、戯曲を劇場のことばに翻訳していく作業。それを知っていればいい作家、いい演出家になれます。」
 「作・演出家は、自作の脚本を演出する時に、脚本家の意識を多く残してしまうと失敗する。」
 「頭でわかっても、感情と結びついていなければ、共感は生まれない。体の状態にのめりこめれば(よい)。役者に真実の体験をさせること。設定を先鋭化させること。」

 

●終了式(認証証授与)&パーティー
 チェルカスキイさん、生徒さん、スタッフさん達とゆっくりお話できました。
 コーディネーターの村井健さんのお言葉↓
 「皆さんはこれでやっと、朝から夜まで稽古するというハードな日々から開放されますね、お疲れ様でした。夜10時にこの教室を追い出されてから場所を移動して、もっと遅くまでお稽古をされていましたね。今まで色んなワークショップをやっていましたが、こんなに熱心な参加者が集まったのは初めてだったと思います。ありがとうございました。ただ、ロシアの演劇大学ではこれが日常なのです。これが4年以上続くということを憶えておいてください。」

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全員で記念写真

 ≪まとめ≫
 幸せな時間でした・・・・。ずっとずっとあの稽古場に居たかった。
 流山児さんのブログにも書かれていますが、チェルカスキイさんの説明はすごくわかりやすいです。俳優の始めの一歩から、具体的に、丁寧に演技というものについて話してくださいます。参加者の方々は基本の基本(または、基本というものが存在すること)に、気づくことができたのではないでしょうか。※スタニスラフスキー・システムこそが演劇の基本である、という意味ではありません。

 参加者から「約2週間という長期間でこんなに充実していて50,000円は安い!」という声があがっていました。私も同感です。2006年夏のワークショップをまとめましたが、その中でもかなりお得なものだったと思います。
 たったの30名に選ばれたの参加者の方々はラッキーだと思います。今後も日本演出者協会がこのようなワークショップを開いてくれることを期待します。

 旅行が苦手(しかも極度の飛行機嫌い)な私ですが、ロシアに行ってみたいな~と、ほんのり思い始めちゃったようです。・・・超やばい。散財にもほどがありますよね(冷汗)。

チェルカスキイ SERGEI D. TCHERKASSKI 演出家と俳優のための本格的ワークショップ
講師:セルゲイ D. チェルカスキイ(ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学国際関係副学長、演技・演出教授)/ガリーナ・コンドラーショヴァ(女優・振付師・演出家・ムーブメント・ティーチャー・チェルカスキイ氏の奥様)
コーディネーター:村井健 通訳:久保遥/上世博及 国際部担当:佐々木/黒澤 主催:日本演出者協会 協力:日露演劇会議 2006年度文化庁優秀指導者特別指導助成事業
日時:2006年8月9日(水)~8月22日(火)10:00~17:00 参加費用:50,000円 応募〆切=7/31必着

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Posted by shinobu at 17:30 | TrackBack

ペンギンプルペイルパイルズ『道子の調査』08/23-09/03ザ・スズナリ

 倉持裕さんが作・演出されるペンギンプルペイルパイルズの新作です(過去レビュー⇒)。上演時間は約2時間10分。ポストパフォーマンストークのある初日に伺いました。
 体感時間的に長かったですが、最後の最後には爽快な気持ちになりました。

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 ≪あらすじ≫
 海が見える街にあるモーテルの一室。道子(伊藤留奈)はナミコという女を調査をしている。6年前にもナミコについて調査していた女・砂恵(ぼくもとさきこ)がいたが、彼女も行方不明になっていた。6年前と同様に、ナミコを知る人々がモーテルにやってきて証言をし始める。
 ≪ここまで≫

 6年前と現在が照明の変化だけで素早く場面転換します。過去と現在の時間が同時に舞台上で流れることもしばしば。
 今回も装置がかっこよかったです。何より、ど真ん中の大きな窓が理不尽な位置関係で良かった。照明も美しかったですね。ペンギンプルペイルパイルズの舞台の、肌に残るような質感がすごく好きです。

 ナミコという女についての証言を聞いていくにつれ、ナミコの人物像が明らかになる・・・はずなのですが、うまくつながらないんですよね。集まる情報があまりにバラバラで、ナミコという人をリアルに想像しづらいのです(意図的に)。ナミコよりもむしろ証言をする人たちの6年前と現在の対比や、それぞれの異常さが面白いです。曖昧な目的のためにぞろぞろと同じ部屋に集まる人間たちの滑稽さと、正体不明のナミコという女に振り回されていく不気味さが、じわじわと肩にのしかかり、体に沁み込んでくるようでした。

 ひとつのシーンが終わるごとに、お芝居が途切れて一区切りついて、新たに違うシーンが始まるように感じることが多かったです。もったいない気がしました。終盤になるに従ってパーツが組み合わさっていき、クライマックスに向かって一体になって転がっていくように感じられたら、お芝居自体の長さも気にならなかったのではないかと思います。でも昨日は初日でしたし、これからどんどん良くなるのではないでしょうか。

 ここからネタバレします。

 モーテルは道子の会社が所有する保養所で、たしか左遷先でした。自分のことよりも他人の要望の方に気を取られて、自分のやるべきことが達成できない性格の砂恵は、職場ではいじめられていましたが、モーテルでは証言者たちに重宝がられます。自分達を(証人として)必要としてくれて、居場所を提供してくれて、しかもわがままを聞いてくれる便利な人なんですよね。その砂恵には意外な顛末が待っています。

 道子は砂恵とは違って証言者に好かれるタイプではありませんでした。めぼしい協力は得られずに調査は頓挫し、別居しはじめた夫とその愛人(?)との関係もきな臭いものになってきます。
 最後に道子は突然、水色のビキニ姿になって舞台中央の大きな窓に飛び込みます。これがすごく美しかった!ドッキリして、体がビクっと震えました。私にとって脈絡は全くつながっていなかったし、ただただ唐突だったんですが、道子と一緒にすっかり解放された気持ちになり、視界がパっと晴れ渡ったように感じました。
 隣の部屋の住人の蕨(加藤啓)に「水着を着たいなら着ろよ」と言われて「いやよ!」って応えたはずなんですよね。なのに自分からスパっとワンピースを剥ぎ取ると同じ水着を既に着ていて、すかさず海に飛び込むんですから・・・矛盾だらけです(笑)。でも、それが良かった。意味はわからなかったけど、気持ちはわかるような気がして、とにかく爽快でした。

 衣裳がとってもおしゃれでした。特に道子が最後に着ていた葉っぱの柄のワンピースと、水色のショールが素晴らしかった。まさかあんな仕掛けがあるとは全く想像しませんでしたし(笑)。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫ 印象に残ったことの記録です。かなりネタバレしています。
 出演=倉持裕/赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT)/徳永京子(ライター)

 赤堀「犬のアパッチの仕掛けは?(犬の姿はなく綱だけが見えていた)」
 倉持「アパッチは『スマイル・ザ・スマッシャー』にも登場してた犬です。ああいう仕掛けは安っぽければ安っぽいほど面白いですよね。テンションが上がります。」

 徳永「砂恵がなぜ腹部から血を出したのか、道子がなぜ水着になって窓から海に飛び込んだのか、そういうことはヤボなので敢えて聞かないことにしますが(笑)。」
 倉持「全部こたえを用意しているわけではないです。」

 徳永「今回のお芝居の発端は何からですか?」
 倉持「しょっぱなは机です。大きな机を舞台に出したかった。そこから取調室、とか・・・」

 倉持「(今回の作品のテーマは)他人の要求ばっかり聞いていると本人は滅ぶ、とか。攻撃する側もあまり自覚的ではないんです。自分の体験からもあるんですが。気づいた時には本人は瀕死の状態になっている、とか。長いことかけて微量の毒薬を投与されているような状態ですね。」

 徳永「今回は倉持さんの脚本にしては珍しくわかりやすいなと思っていたんですが、最後になって軸をずらされたように感じました。」

 倉持「道子は密告者(夫の愛人?)に、砂恵はナミコに振り回されます。そういう姿のない、姿を見せない存在が高まってきたから、最後は肉体にしてもいけると思いました。概念が大きくなったところで、生の肉体を持ってくることができた、というか。」

 徳永「下ネタが多いのもちょっと意外です。」
 倉持「肉体から来てるのかもしれません。出てこない、肉体のない人間の話ばかりしますから。それと対比する意味で性の言葉を使った(のかもしれません)。」

 赤堀「倉持くんの芝居は双眼鏡で見ている感覚がある。双眼鏡の先に見える人たちの滑稽な姿というか。」
 徳永「倉持さんは海の音、と書きますが、赤堀さんだったら海の匂い、かもしれません。」
 倉持「匂いっていいですよね。音は役者が聞いていればお客さんも聞いていますが、匂いは舞台上では表現できないので、いいなと思います。」

≪東京、大阪≫
出演=小林高鹿/ぼくもとさきこ/玉置孝匡/内田慈/近藤智行/吉川純広/松竹生/山本大介/伊藤留奈/加藤啓(拙者ムニエル)
作・演出=倉持裕 舞台監督=武藤晃司(SING KEN KEN) 舞台監督助手=金子晴美 照明=清水利恭(日高照明) 音響=高塩顕 舞台美術=中根聡子 衣裳=松本夏記(ミシンロックス) 大道具= 小道具= 宣伝美術=坂村健次 宣伝写真=江隈麗志 チラシイラスト=今枝大輔 WEB製作=いのくちあきこ ステッカー製作=雨堤千砂子(WAGON) 舞台写真=引地信彦 制作=土井さや佳 主催=ペンギンプルペイルパイルズ
前売り開始7月16日(日) 指定(いす席)前売3,600円 当日3,900円 自由(前方ベンチシート、日時指定、整理番号付)前売3,400円 当日3,600円 
公式=http://www.penguinppp.com/

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Posted by shinobu at 16:39 | TrackBack

2006年08月23日

【ワークショップ】日本演出者協会『チェルカスキイ 演出家育成ワークショップ』08/09-22芸能花伝舎内スタジオ(8/22レポート前編)

russian_chocolate.JPG
ロシアのチョコレート

 セルゲイ D. チェルカスキイ氏のワークショップの最終日に伺いました(⇒まとめページ)。8/22(木)の聴講レポート(前編)です。

 稽古場に入ったとたん、のびのびとしていて柔らかな空気を感じました。毎日朝から晩まで13日間にわたるこのワークショップで、参加者の皆さんの関係がとても柔軟で、能動的なものになっているんですね。

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 見学しながらノートにメモしたことを書きます。「(かぎかっこ)」はガリーナ氏の言葉です。“⇒”以降は私の感想です。

【ガリーナさんのムーブメントの授業】

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両手で押し合い、自分の重心を知る

●柔軟などの後、ニ人一組に。「今までやったことを確認しながら」、バランスを取るエクササイズを数個。 

 ⇒皆さんがすごく自然にペアになって、自立しつつ助け合っているのがわかりました。

●約15人の二組に分かれる。番号順に一人ずつポーズをとって静止する。前の人との関係・位置を見て、空間を作っていく。
 全体で何らかの意味のあるコンポジション(composition)を完成させる。見ている人がそれに題名をつける。1回目のチームは「井戸掘り」。2回目のチームは「阿弥陀堂めぐり」「観光」「新興宗教の説明会」等。

 「前の人との関連性を見てください。」
 「自分の体にファンタジーをふくらませなさい。」

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山を登る(?)旅人

●旅人の道を作る
 旅人を一人選ぶ。旅人が進む道(道ならぬ道)を他の全員で作る。森、洞窟、岩場など。
 旅人はずっと進み続ける。止まらない。道をつくる人も、旅人の前にどんどん作り続ける。
 旅人が通り過ぎたら次の道へと加わっていく。
 障害だけでなく、支えにもなるように。
 一人の人に自分の体重をかけない。首にも体重をかけない。
 
 「自分のファンタジーを広げて道を作ってください。」
 「(エクササイズの目的は)相手をしっかりと感じること、見ることの大切さを知ること。」
 「集団の練習です。相手の手、肩を感じることが大切。」
 「ファンタジーが溢れていました。ハラショー(結構です)。」 

●ニ人一組で「近づきたい」VS「近づかせたくない」

 全員で大きな円になる。自然と二人一組になる。片方は相手に近づくように、もう片方は相手を自分に近づかせないようにする。お互いに近づくことができたら終了。
 一方通行の状態が続いて停滞したら、近づかせない方からも何らかのアクションを起こす。言葉を使っても良い。

 「相手をよく感じる練習です。」
 「円の中から自然にパートナーを見つけられたのが良かった。」
 「(ある男女の一組が、キスして抱き合うところまで至った。)貴重なものを見せてくれました。」

 ⇒マイズナー・システムのワークショップを思い出しました。目と目の、体と体の間で生々しく、大胆に通い合う感情!ものすごく刺激的です。
 ⇒キスまで至った2人がいたことについて、ガリーナさんが感激して涙を流されていました。見ていた人たちの中にも泣いている人がいました。私の座っている場所からそのカップルが見えづらかったのもありますが、私はあまりの気迫に負けてしまい、また、恥ずかしくなって目を開けていられず・・・。これは私の心がオープンでなかったからだと思います。情けない・・・。

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こんがらがってるのに、元に戻れるのが凄い

●棒でつながり、からまり、ほどける。
 2組に分かれる(約15人ずつ)。手の平だけで棒の先端を押さえ、同様にもう一方の先端を他の人が押さえ、人と人との間が棒でつながる状態になる。4~5人のグループが3つできる。棒を落とさないように、音楽に合わせてからまっていく。しばらくしたら、もとの3つのグループに戻る。
 15人全員がつながる、大きな輪になる。同様にからまっていき、元に戻る。
 「相手を感じるための練習です。」

 しのぶ「こちらのチームは女性が多いから(腕力が弱いので)、よく棒を落としたのですか?」
 参加者「いいえ、力は関係ありません。「わ、落としちゃった!」などと言って、素に戻って笑っていては出来ない。全体を感じて集中し続けなければいけません。」


●相手を感じて、同時に同じ方向に動く。
 2人が舞台に出てきて客席に向かって立ち、横に並ぶ。合図(指示)を出したり、言葉を使ったり、触ったりせずに、相手を感じて、同時に一歩前に踏み出す。2人でそれが出来るようになったら、両端に1人ずつ増やしていく。8~10人ぐらいになるまで続ける。
 「衝動を飛ばしてください。」
 「あせらないで。」
 「2人でひとつの塊になってください。」
 「最初の2人の世界ができるのが、まず第一。」

 ⇒ガリーナさんは最後に、「近づきたい」VS「近づかせたくない」のエクササイズでキスまで至った2人を、最初の2人にしました。これが凄かった!ただ横に並んで立っているだけなのに、2人の体からもやもやと、何かが生まれているように見えました。いや、目には見えないので体で感じたのかもしれません。また、その2人の最初の一歩は、前方でなく後方だったんです!(初めの一歩は前方に進むというのが一応の決まりでした) 2人の動きはタイミングが完全にシンクロして、スピードも同じ!呼吸も一緒になってたんじゃないかしら?
 その2人の後に2人、また2人と追加されて行きます。あせらず、じっくりと全体を感じていったそのチームの動きは、バラバラの人間の集まりなのに完全にひとりになったような状態でした。見ていて胸があつ~くなりました。


●ガリーナさんからのお言葉
 「(参加者に向かって)皆さんはオープンな方々です。多くのことができました。見つけたものを忘れず、わかちあって、自分の中にいくつも貯めて、宝物にしてください。この先、仕事先などで出会った人(こと)から学んだことを、蓄積していってください。」
 「このような素晴らしい文化がある、豊かな国では、新しい演劇が生まれると思います。すばらしい演出家、俳優たちでした。ご褒美に(笑)、皆さんにロシアのチョコレートです!」

チェルカスキイ SERGEI D. TCHERKASSKI 演出家と俳優のための本格的ワークショップ
講師:セルゲイ D. チェルカスキイ(ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学国際関係副学長、演技・演出教授)/ガリーナ・コンドラーショヴァ(女優・振付師・演出家・ムーブメント・ティーチャー・チェルカスキイ氏の奥様)
コーディネーター:村井健 通訳:久保遥/上世博及 国際部担当:佐々木/黒澤 主催:日本演出者協会 協力:日露演劇会議 2006年度文化庁優秀指導者特別指導助成事業
日時:2006年8月9日(水)~8月22日(火)10:00~17:00 参加費用:50,000円 応募〆切=7/31必着

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Posted by shinobu at 15:31 | TrackBack

2006年08月21日

Piper・ネルケプランニング『ニコラス・マクファーソン 奴らは彼を守れるか+奴らは彼を殺せるか 』08/16-22紀伊國屋サザンシアター

 後藤ひろひとさんの脚本を竹下宏太郎さんが演出される、小劇場出身の有名役者さんが揃った公演です。1999年のPiper第2回公演の再演で、私は初見。上演時間90分は気持ちいいですね!

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 白翠館、葵の間。日本との国交成立の調印式出席のため来日したとある国賓ニコラス・マクファーソン。しかし、国交成立に反対する組織により、調印式の場にて彼を暗殺するとの情報が!
 ニコラス・マクファーソンを暗殺の危機から守るべく迎賓館で夜通しのボディガードのリハーサルを行う二人の刑事(小須田康人&三上市朗)。一方迎賓館近くの倉庫に迎賓館と全く同じセットを作りニコラス・マクファーソン暗殺の予行演習を行う殺し屋二人(みのすけ&川下大洋)。果たしてどちらの作戦が勝つのか?
 ≪ここまで≫

 ある部屋と全く同じ部屋を作ったという設定で、同じ装置のまま2ヵ所に転換するのがスピーディーで楽しいです。ボディガードVS殺し屋、それも2人対2人の男同士ということで、行動がシンクロしていきます。

 役者さんがルール通りに動いている状態が気になってしまい、ちょっと退屈しちゃいました・・・。

 ここからネタバレします。

 4人の男は、別の建物だけれども全く同じデザインの部屋にいる設定です。その設定を利用して、4人全員が同時に舞台上に居るシーンが面白いです。
 カーテンコールで川下大洋さんが「段取りだらけの芝居」とおっしゃっていました。セリフもそうですが、銃を持ってゲームをするシーンなどは、足を一歩進めるぐらいの細かい動作にも決まりがあったのでしょうね。もうちょっど段取りっぽく見えない方が、私は好みですね。

 ピザ屋の店員役の平田敦子さんがとっても可愛らしかったです。

≪東京、大阪≫ 「Nicholas McPherson」
出演=小須田康人/みのすけ(ナイロン100℃)/三上市朗(劇団M.O.P)/六角慎司/平田敦子/アドゴニー/川下大洋(Piper)
作=後藤ひろひと(Piper) 演出=竹下宏太郎(Piper) 美術=小池れい 照明=池田哲朗 音響=児島塁 衣裳=名村多美子 ヘアメイク=有吉奈津子 舞台監督=古賀裕治 演出助手=佐々木智史 宣伝美術=黒田武志 宣伝写真=伊東俊介 制作=安積智子/中西明紀子/伊藤宏美/長谷川由美 プロデューサー=永田聖子 企画=Piper・ネルケプランニング 制作協力=吉本興業 主催=ネルケプランニング 
前売開始 2006年6月18日(日)チケット料金 5,500円(全席指定)
公式=http://www.nelke.co.jp/piper/index.html

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2006年08月20日

DULL-COLORED ANTI-POP『4 nudists』8/17、19、20不思議地底窟 青の奇跡

 谷賢一さん が作・演出されているDULL-COLORED POPの企画公演(過去レビュー⇒)。一人芝居の4本立てです。20代前半の若い役者さんが、30分の一人芝居に挑戦するのは勇気があると思います。“nudist”とはよく言ったもので、おっしゃるとおり、全裸で舞台に立つってことですね。
 途中に休憩があるとはいえ、上演時間が2時間30分っていうのは・・・反則だと思いました(苦笑)。

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●新作上演『無意味の逆』作:岩藤一成、出演:上野庸平(尊師)
 一人芝居の難しさがしみじみと・・・。同窓会とかには興味が沸かないなぁ、とか。

●新作上演『アムカと長い鳥』作:谷賢一 出演:清水那保
 なんと、30分、飽きずに拝見できました。
 露出度が異様に高い、レースふりふりのベビードール下着で可愛い女の子が一人芝居・・・その時点で私は嬉しい(笑)。
 脚本が面白かったです。言葉も流れも。携帯で若者のだらだらしゃべりをしたり、つぶやいたり叫んだり、色っぽいため息をついたり。読み方の演出にも工夫がありました。照明で瞬時に転換するのも楽しかった。
 赤ん坊の泣き声がノイズ音になっていたのも良かったですね。女性ヴォーカルの音楽の選曲も好みでした。charaとか。
 清水那保さん。幼さとしたたかさが同居する、とても度胸のある役者さんでした。しかも可愛らしい。まだ大学生でとってもお若い方のようです。役者さんを続けられるなら、ぜひ頑張っていただきたいと思いました。

●新作上演『チル・オ・チル』作:遠藤恵一 出演:堀奈津美
 ほんわか始まったのに、どんどんひどい方向に進む脚本でしたね(苦笑)。娼婦が娼婦に見えなかったです。レイプとかにも実感が沸かず。

●翻案上演『藪の中』原作:芥川龍之介 翻案:谷賢一 出演:菅野貴夫
 数人の視点からひとつの殺人事件を語る形式。菅野貴夫さんがお一人で若者も老婆も、何役も演じます。
 最初のインパクトは凄かったです。若いころの加藤健一さんの『審判』が思い浮かびました(加藤さんの舞台写真のイメージです)。でも、やっぱり何人もを演じ分けるのは相当な技術が必要ですよね。

出演=上野庸平(尊師)/清水那保/堀奈津美/菅野貴夫
演出=谷賢一 照明=海老沼佑貴 音響=宮袋充弘 制作=西村俊彦/大藤多香子
ソワレ(夜公演)はお酒を頂きながら、幕間に座談しながらの観劇。ワンドリンク制1500円。マチネ(昼公演)はチケット料金のみの1000円。
DULL-COLORED POP=http://www.dcpop.org/

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Posted by shinobu at 12:58 | TrackBack

少年社中『アルカディア』08/15-20シアタートラム

 “廃墟に眠る少年の夢”シリーズ三部作の最終作です(⇒第一部第二部)。シアタートラムを使いこなせていました。凄いと思います。
 ただ、30代の私がロールプレイング・ゲームのような“少年の夢”に入っていくには、信じる・信じさせるパワーが足りなかったように感じました。上演時間は約2時間。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 伝説の大陸『アルカディア』
 それは、果てしなく続く大海原の終着点。
 すべての大地が海に飲み込まれた世界に生きる人類の希望。
 記憶を失った少年『クラウド』(宇都宮直高)は海を漂流していた。
 クラウドが覚えているのは、 霧の中に浮かぶ幻の大地と、そこで失った姉『パナップ』(芳賀淳子)…。
 唯一の手がかりはオルゴールが奏でる音色。
 そんな中、クラウドは男装の女海賊メアリー(大竹えり)と出会う…。
 時を同じくして、巨大船「カルネアデス号」は、 深海の怪物「メガロドン」の襲撃を受ける。
 はたして少年は、最果ての地、「アルカディア」に辿り着き、自らの記憶と姉を取り戻す事ができるのか!?
 ≪ここまで≫ 

 元・劇団四季所属で『ライオン・キング』のシンバ役を演じられていたという、宇都宮直高さんが主役のオーシャン・クラウド役でした。視線がピュアで、やっぱり歌がお上手。見ごたえも聴きごたえもありました。ただ、少年社中の公演で主役が外部の方っていうのは少し寂しい気もしました。ストーリーにおいても歌がキーワードになってましたし。

 シアタートラムを余すところなく使いこなせる小劇場劇団って、少ないんじゃないでしょうか。というか、少年社中以外で観たことないかも。照明も舞台も見事です。
 ホーク・アイの血族(堀池直毅ら)が空を飛ぶ演技は本当に飛んでるみたいに感じられました。飛び上がる瞬間がすっごく様になっています。舞台中央から奥にはける時、必ず役者さんは飛び降りていますよね。あれは役者さんの後姿が客席からきれいに見えるように、階段を作っていない(もしくはあっても使わない)のではないでしょうか。そういう工夫も憎いなぁと思います。

 ここからネタバレします。

 クチイヌ(井俣太良)がオーシャン・クラウド(宇都宮直高)に「アルカディアにお前と一緒に行くのが夢だった!」と言ったり、船を「イルカが応援してくれる!」のって、旧型ファミコン時代の「ドラゴン・クエスト」で体験したような・・・。「だって、友達だから!」とか言われてもオバちゃんの私は共感できないし(30代ですから・・・)、イマドキの中学・高校生にも、そういうのって受け入れられるのかな~等と考えちゃいました。

 私が観た回の役者さんの調子が良くなかったのではないでしょうか。こういうファンタジーって、そもそもがあり得ない世界なわけですから、最初のパワーが肝心です。無理やりにでも引っ張っていってくれたなら、入り込めないわけじゃなかったように思います。その意味では、バケモノのウツボ男爵役の土屋雄さん、グリーン・アース・クラウド役の森大さんが良かったです。

 第一部、第二部とつながっている“夢”というテーマについては、観た人にはわかるけれど観ていない人にはわからない、もったいなさがありました(仕方ないですが)。もうちょっと具体的にわかるシーンがあっても良かったんじゃないかしら。わかる人は「あぁ、なるほど~」と腑に落ちて、人物(特にメアリー)の深みが伝わってきます。この↓セリフは好きでした。
 オーシャン・クラウド「夢はで一人で見るもんじゃない。僕はそれを知っているんだ。」
 
「廃墟に眠る少年の夢~the Lost Adventure~」
出演=井俣太良/大竹えり/岩田有民/堀池直毅/森大/廿浦裕介/加藤良子/長谷川太郎/杉山未央/山川ありそ GUEST出演=宇都宮直高/松下好(エルカンパニー)/宮本行(ブルージェイイースト)/土屋雄(innerchid)/鈴鹿貴規(Team AZURA)/加藤敦(ホチキス)/芳賀淳子(Ele-C@)/園山ことえ(SUPER★GRAPPLER)※小松愛は一身上の都合により降板。代役は園山ことえ
作・演出=毛利亘宏 照明=斎藤真一郎(A.P.S) 音楽=YODA Kenichi 衣裳=村瀬夏夜 舞台監督=杣谷昌洋 舞台美術=秋山光洋 演出助手=園山琴絵(SUPER★GRAPPLER)/太田守真(ギリギリエリンギ)/師岡優太 音響=佐藤春平(Sound Cube) ヘアメイク=沖島美雪 小道具=和田由里子 振付=右近貴子/杉山未央 殺陣指導=Team AZURA スチール=金丸圭 講演記録=カラーズイマジネーション イラスト=井俣太良 宣伝美術=武田和香/真野明日人 WEB=田中祐子 企画協力=佐藤春平 制作=吉野礼 製作=少年社中the entertainment prison/サイキックエイト 演奏=The Arcadia Band(宇津木あい/長谷川陽子/若野研二/大上仁彦/平形佳之/直井哲也 コーラス=宇都宮直高/吉住和人/園山琴絵 Piano=YODA Kenichi)
一般前売り開始:7月1日(土) 全席指定。前売り3,000円 当日3,300円 (8/15,8/18の14:30開演の回のみ 前売2,800円(指定席)当日3,000円) 4枚一組の団体割引(一人当たり2500円)、学割(高校生まで1000円)、リピーター割引(1500円)。
公式=http://www.shachu.com

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Posted by shinobu at 12:23 | TrackBack

2006年08月19日

【ワークショップ】日本演出者協会『チェルカスキイ 演出家育成ワークショップ』08/09-22芸能花伝舎内スタジオ(8/17レポート)

20060817%20tcherkasski%20workshop2.JPG
チェルカスキイWS

 セルゲイ D. チェルカスキイ氏のワークショップに再びお邪魔いたしました(⇒まとめページ)。ほぼ中日の8/17(木)の聴講レポートです。この日の参加者は31名で、男15人/女16人でした。

 スケジュールなどはこちらでどうぞ。聴講(1日5000円)は当日申し込み可能です。

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 見学しながらノートにメモしたことを書きます。「(かぎかっこ)」はチェルカスキイ氏、およびガリーナ氏の言葉です。“⇒”以降は私の感想です。

【ガリーナさんのムーブメントの授業】

 色んな体操(エクササイズ)をする授業です。はじめの柔軟体操から、自分を知る、相手を感じる、その関係を作るヒントがいっぱいです。下記、印象に残ったものです。

 「息を吐くときに、体はリラックスしている。緊張が緩和する。」

●2人1組のペアになる。一方は目を閉じる。もう一方が相手の体の部分を指で触る。触られた方は、触られた部分から、触られた方向に動く。相手から衝動をもらい、それに反応する。

 ⇒目をつぶって動いている人が、ものすごくきれいに見えます。体の神経を研ぎ澄まして、触られたところに集中し、ゆるやかに動き続ける様子はセクシーです。

 2人1組をやめて、全員でやってみる。永遠に動き続ける生き物みたいに。

 ⇒面白かった!みんなが影響しあって、カオス状態。

●全体を2チームに分ける。一人を中心に置き、周りを丸く囲む。中心の一人は目を閉じて、棒のようにしっかりと力を入れて立つ。そして好きな方向に倒れ、体を周りに完全にまかせる。周りはそれを支えて、違う方向へと誘導する。キャッチボールのように。

 相手との信頼関係のムーブメント。
 中心の人が自分から倒れ、その後は周りにまかせっきりにする。
 最初はゆっくりと始める。
 重い人は必ず二人で支える。
 絶対に中心の人を落とさない。
 倒れる人は体を堅くしておく。ぐちゃっとくずれないように。首をまっすぐ、頭もまっすぐ、床に着いた足を絶対に動かさない。
 倒れる人が怖がっていたら、円を小さくする。
 人数は関係ない。
 
●2人1組のペアになる。稽古中の「かもめ」で相手役になっている人はその相手と組む(トレープレフとニーナなど)。
 向い合って離れて立つ(稽古場の端と端に、全員が2列に分かれて並ぶことになる)。ガリーナさんが鳴らすシンバルの音を合図に、相手に向かって全速力で走る。ぶつかる直前で止まり、互いに目を見詰め合う。次のシンバルの音でもとの位置に走って戻る。その繰り返しをしている間に、音楽が鳴る。音楽が鳴ったら、その音楽にあわせて自由に演技をする。言葉は使わない。シンバルが鳴ったら、走って離れ、同じことを繰り替えす。
 「相手の目、自分の目」
 「楽で、自由で、自然でいられる状態。」
 「相手からもらってください。」

 ⇒過剰に感情を動かそうとする音楽が多く、照れが入ってしまう人が多々いました。私もかなり笑っちゃいました。でも、少しずつその状態に溶け込んでいく人が増えてくると、その人たちの世界がすごく生き生きとして見えて来ました。
 ⇒コミカルなやりとりに進むペアや、「ロミオとジュリエット」のように、お互いの瞳に吸い込まれるように見つめ合い続ける美しいカップルも生まれました。完全に観客気分で楽しんで拝見しました。

20060817%20nnt%20drama%20studio2.JPG
奥に見えるのが稽古場

【チェルカスキイさんの演技の授業~「かもめ」の1シーンの発表~】

 大きく「詳細」と書かれた紙が、部屋の壁に貼ってあります。
 チェーホフの「かもめ」の1シーンを6組(7組?)のチームが発表する。各チームの出演者は3名(トレープレフ、ニーナ、ソーリン&ヤーコフの2役)、演出家は2名(?)。
 下記はそれぞれのグループの発表の前や後に、チェルカスキイさんが話された言葉です。

 「人間は感じる情報の80%以上を目と耳から得ています。」
 「この設定の中に、居る、ということ。」
 「自分だったらどうするか。」
 「ニーナはこの時、10kmの道のりを馬に乗ってやってくる。髪はぐちゃぐちゃ。顔は泥まみれ。でも大事な人に会うためにおしゃれをしているはず。それを汚してはいけないから、どんな工夫を?・・・(ニーナの状態をたくさん説明)」

 「スタニスラフスキーは1930年代後半から、俳優が自ら考えるという方向へ。」
 「自分の人生の経験から何か出してください。」
 「自分で考えて下さい。」

 「行動とは、時間と空間において、与えられた設定(given circumstances)との闘いの中、何らかの形で表現された目的を、達成しようとしているプロセス。」

 「内面における人生。記憶、その内容に重点を置く。」
 「内面と外面を引き離すのは有害。」
 「設定(人生)には障害がある。」
 「人生には2通りの終り方がある。目的を達成するか、もしくは事件が起こって目的自体を変えてしまうか。」

 「言葉で説明するのではなく、行動で表す。」
 「設定を自分の人生のものにする必要がある。」
 「愛は身体性から演じなければいけない。」

 「(突然の大雨。大道具をいっせいに片付ける生徒たち)これがなぜ面白かったか。それは今、ここで起こったことだったから。この先どうなるかがわからなかったから。観客はこの瞬間を求めて劇場にやってきます。」

 ※設定を現代に変え、セリフも変えた作品を発表したグループに対して
 「チェーホフの設定に近づかなければ行けない。それを自分達に近づけるのではなく。」
 「テーマにそってエチュードを演じるのとは違う。テキスト暗記とも違う。」

 ⇒出演者の演技の種類がバラバラで、観客視点でいると困惑しちゃう状況でした。でも、どんな発表についてもチェルカスキイさんによる“詳細”にわたる解説・提案があるので、それがすごく面白かったです。登場人物一人一人がすごく身近で、大切になりました。人間は多様で、ひとりの人間は誰とも同じでないですね。
 観客は座席から舞台上の詳細を観て、感じています。役者さんはそれを自分で表さないとだめなんですね。
 参加者から聞いた言葉ですが、「役を演じない。役から演じる。そこで遊ぶ。楽しむ。」という意味が少しわかった気がします。

チェルカスキイ SERGEI D. TCHERKASSKI 演出家と俳優のための本格的ワークショップ
講師:セルゲイ D. チェルカスキイ(ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学国際関係副学長、演技・演出教授)/ガリーナ・コンドラーショヴァ(女優・振付師・演出家・ムーブメント・ティーチャー・チェルカスキイ氏の奥様)
コーディネーター:村井健 通訳:久保遥/上世博及 国際部担当:佐々木/黒澤 主催:日本演出者協会 協力:日露演劇会議 2006年度文化庁優秀指導者特別指導助成事業
日時:2006年8月9日(水)~8月22日(火)10:00~17:00 参加費用:50,000円 応募〆切=7/31必着

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Posted by shinobu at 23:53 | TrackBack

Rel-ay, コントライブ『れぺとわ 其の三』08/19 NAKED LOFT

 Rel-ay(リレイ)はかあきじいんず さんが作・演出するユニットです。『其の一』、『其のニ』に続いて『其の三』を拝見しました。
 同じ会場で三度目だからか出演者のリラックスした雰囲気があり、観ている方もかなり安心でした。継続は力なり、ですね。

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 “れぺとわ”はフランス語で“レパートリー”の意味で、これまでに上演したコントが主なラインナップですが、新作も入っています。

 新作『カフェ・ド・一休』は店長役の長井教行さんの堂々としたボケっぷりが良かったです。永野麻由美さんの『胡蝶蘭フジコ(ニジコだっけ?)』も二度目だけど笑えました。
 最後の『職場バーベキュー』はコントというよりはお芝居でしたが、切なくて良かったですね。終わり方にもう一工夫ほしいところでした。
 
 かあきじいんずさんの実際の職場の話は毎回すごく面白いです。いや、面白いって言ってる場合じゃないネタばっかりなんですが(笑)。地震に強いはずのビル、そしてそのビルの中のエレベーター(シンドラー製)のその後を、ぜひまた教えてもらいたいです。

出演=永野麻由美/長井教行/桜井昭博/かあきじいんず
脚本=かあきじいんず・桜井昭博・永野麻由美  構成=Rel-ay 音響=秋山龍 制作=河口礼志
昼の部&夜の部(各回入れ替え制) 予約1,500円 (+1drinkから)、当日2,000円 (+1drinkから)※1drink=500円 
公式=http://www.rel-ay.com/

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Posted by shinobu at 22:59 | TrackBack

パルコ・プロデュース『噂の男』08/11-09/03パルコ劇場

 作=福島三郎、演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチの初タッグ&超豪華キャストです。「いやな話」だとチラシに書いてありますが、ほんっとにイヤな話でした(苦笑)。前知識ゼロだったし、福島さん作・演出の心温まるラブ・ストーリーを観たばっかりなので、意外さ倍増(笑)。

 前売券は完売です。当日券予約の方法はこちら

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより部分転載。
 時は現在。
 場所は大阪にある宝田興業の持ち小屋、昭和の戦後に建てられた、宝田グランド劇場。
 その舞台袖、地下にある『ボイラー室』と呼ばれる一室。
 そこを訪れる、芸人たちとそれをとりまく人々。
 五人の男と一人の女、そして一人の幽霊(?)が集まって、やがて露呈するそれぞれの思惑・・・。そして12年前、アキラの死の直前に一体何があったのか・・?過去と現在を行き来しながら、物語は意外な方向へと展開していく・・・。
 ≪ここまで≫ 

 お笑い芸人のお話で、思いっきり漫才を楽しめたのは嬉しかったです。やっぱり上手いですね~。
 有名な役者さんの意外な面をわざと目立たせる配役および演出だったように思います。特に堺真人さんがあんな姿になるのは・・・(笑)。
 華のある男優さん達の、自由自在な舞台遊びを堪能したっていうところですね。
 照明だけで過去と現在の場面転換をするのが、鮮やかですごくきれいでした。

 ここからネタバレします。

 オープニングからいきなり女性のあえぎ声っていうのは・・・福島さんの脚本とは思えない(笑)、全面的にケラさんカラーな作品でした。スプラッター・ホラーで残酷趣味なのに、思いっきり爆笑できちゃうとか。殺人シーンでスカっとしちゃうとか。最後の字幕で「directed & ○○○(失念) by ケラリーノ・サンドロヴィッチ」とあったので、ケラさんが脚本に手を加えられたのではないでしょうか。
 ※ケラさんは潤色・演出とクレジットされているそうです(教えてくださった方、ありがとうございます)。
 ※字幕は「Directed & Adapted」だったようです。ゲストブックで教えていただきました。ありがとうございました(2006/08/21)。

 橋本じゅんさんがツッコミで橋本さとしさんがボケの、橋本コンビの漫才はかなり面白かったです。流暢な大阪弁も気持ちよかったです。そういえば出てくる地名も全部関西だし(当然か)。

 ただ、もうちょっとグっと来たり、ゾクっとしたり、ドキドキするような瞬間が多かったらよかったなーと思います。

 “堺さんのあんな姿”っていうのは「キュビズム!」のところ。橋本じゅんさんにいじめられるシーンです。ポロシャツをお腹からまくりあげて顔に被せ、上半身裸にされ、さらにズボンを下ろされてトランクスが露出するっていう・・・もー目も当てられない(笑)。オールバックのホモ支配人っていうのも・・・(笑)。「笑顔で喜怒哀楽の全てを表現する!」って言われて客席が大爆笑っていうのも可笑しかったです。
 
≪東京、大阪、福岡、名古屋≫
出演=堺雅人/橋本じゅん/八嶋智人/山内圭哉/橋本さとし/猪岐英人/水野顕子
作=福島三郎 演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ 美術=小松信雄 照明=関口裕二 音響=水越桂一 衣裳=前田文子 ヘアメイク=河村陽子 演出助手=相田剛志 舞台監督=福澤諭志+至福団 宣伝美術=東學 宣伝写真=谷敦志 製作=山崎浩一 企画=細川展裕+ヴィレッヂ 制作=高石由紀子
プロデューサー=佐藤玄 企画・製作=株式会社パルコ
一般発売日7月2日(日) 8,000円 追加公演=8月20日(日) 19:00開演&8月27日(日) 19:00開演
公式=http://www.parco-play.com/web/page/information/uwasa/
イープラス=http://eee.eplus.co.jp/theatrix/special/uwasa.html

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Posted by shinobu at 22:22 | TrackBack

ハイリンド『牡丹燈籠』08/16-20「劇」小劇場

 かっちょいいチラシが超目立っている、ハイリンドの第二回公演です(⇒第一回公演のレビュー)。三遊亭円朝(Wikipedia)の怪談『牡丹燈籠』を2時間15分の現代演劇に。『牡丹燈籠』というと、山の手事情社公演でも観たことがあります。(『牡丹燈籠』関連⇒

 ものすごく濃い、濃い、濃い時間でした・・・とにかく役者さんが素晴らしい!落語のように一人何役も演じていきますが、その一人一人のリアルさったらもう!!上演中に心臓がバクバクしちゃって、途中で手を胸に当てて目をつぶって、心を静めなければならないぐらいでした・・・。終演した時にはぐったり疲労困憊で朦朧となり、足もふらふら・・・(苦笑)。
 上演時間は2時間15分、休憩なしでしたが、これは紀伊國屋ホールなどの中劇場で、休憩15分を挟む2時間30分でやってもらいたいクオリティです!

 満員御礼に近い状態のようです。どうぞご予約はお早めに。そして体調を整えて、腹ごしらえをして、開場時間には劇場に着くようにお運び下さい!全席自由席ですので・・・背もたれがない席はこたえると思います。
 レビューをアップしました(2006/08/20)。

 Yahoo!動画ハイリンド「牡丹燈籠」ノーカットです。(2007/06/23)

 カラフルな着物姿の役者さんが落語家のようにとことこ登場し、座布団に座って語り始めます。あらすじは山の手事情社公演のレビューでどうぞ。

 役者さんは言葉と動きのひとつひとつについて、しっかりと根拠のある演技をされていました。舞で(セリフなしで)恋心を表したり、長い長い物語を簡略化する演出も美しく機能していました。
 怪談、人情話などのジャンルがどうであれ、描かれているのは人間なんですよね。人間の本物の心理と行動が舞台上にあるかどうか。まずこのことが重要だ(舞台作品の大前提ではないか)と、今、私は思っています。この作品についてはそれがありました。ありすぎるぐらいに(笑)。このシーンが良かった、あのシーンで泣けた、などと挙げればきりがありません。ただでさえギュっと凝縮された『牡丹燈籠』ですから、毎分、毎秒のごとく、人間の発火するような感情と行動に触れ続け、観ている方が息も絶え絶えでした(笑)。

 ここからネタバレします。

 選曲が奇抜でしたね。エルトン・ジョンの「Your Song(僕の歌は君の歌)」(⇒視聴できます)は・・・ちょっといただけないなーと思いました。意図は受け入れられないわけじゃないんですが、メジャーすぎるんじゃないかな、と。井上陽水などがかかった時は、もう「Your Song」で免疫ができたのでそれほど衝撃はなかったです。でも、芝居の中から追い出されるぐらいの音楽のせいで、あの異常なほどの没頭から逃れられたと思えば、私にとってはちょうど良かったのかもしれません(笑)。

 多根周作さん。飯島家の主人、平左衛門役。細かい部分に綿密な役作りが見えます。もーその心が痛いほど伝わってきて涙ボロボロ・・・。孝助の母親役にもしびれました。
 はざまみゆきさん。飯島家に奉公する孝助役。潔い一途な思いが清く、青く光り、胸に突き刺さりました。
 伊原農さん。萩原新三郎を裏切る伴蔵役。後半の情けなさ、いやらしさが色っぽさまで届きました。愛嬌のある方ですね。
 枝元萌さん。伴蔵の妻おみね役。わかっているのに、気づいているのに、でも引き込まれてしまうお約束を完璧に見せられる人。やっぱり呼吸も素晴らしい。
 斉藤範子さん。平左衛門のめかけのお国役。悪女の色気炸裂!一人語りのあまりの艶っぽさにのめり込んじゃいました。
 小林高之さん。お露と恋に落ちる萩原新三郎役。一目ぼれのアノ瞬間!!!あぁ、時間が止まりました!恋、恋、恋!
 谷村実紀さん。萩原を愛し、焦がれ死にするお露役。舞う姿を見つめるだけで息が苦しくなり、でも目が離せなくって、心拍数が上がっちゃいました・・・!こんなに切なくせまられたら、私も死んでいいと思っちゃうかも。
 中原三千代さん。お露の世話をするお米役。扉座で拝見する役どころに近いけれど、こんなに生き生きとしてらっしゃるように感じたのは、初めてかもしれません。

出演=伊原農/枝元萌/多根周作/はざまみゆき/京極圭(東京ヴォードヴィルショー)/小林俊祐/小林高之/斉藤範子(Theatre劇団子)/谷村実紀/中原三千代(扉座)
作=三遊亭円朝 演出=西沢栄治 舞台監督=井関景太(るうと工房) 照明=豊山ゆうこ(y/s company) 音響=高橋秀雄(Sound Cube) 音響オペレーター=岡田悠(Sound Cube) 舞台美術=向井登子 衣裳=阿部美千代 所作=若柳絵莉香 殺陣=岡村まきすけ 宣伝美術=西山昭彦 スチール=夏生かれん 舞台監督補=鈴木晴香 稽古場助手=竹下好幸/川和恵里賀 Webデザイン=古川健司/薮地夏子 制作=竹内佐江(Double Decker)
一般前売り3300円 当日3,500円 賛助会員2300円(入会者ご本人様分のみ)
公式=http://www.hylind.net/

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Posted by shinobu at 00:44 | TrackBack

2006年08月18日

【ワークショップ】日本演出者協会『チェルカスキイ 演出家育成ワークショップ』まとめ

tcherkasski.JPG
チェルカスキイWS

 今年の夏は、ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学国際関係副学長、演技・演出教授のセルゲイ D. チェルカスキイさんのワークショップを追いかけました。
 聴講レポートのまとめページです。

 ⇒企画紹介
 ⇒初日レポート(8/9)
 ⇒シンポジウム(8/16)
 ⇒中日レポート(8/17)
 ⇒最終日レポート(8/22前編)
 ⇒最終日レポート(8/22後編)

日本演出者協会=http://www.k2.dion.ne.jp/~jda/index.html

Posted by shinobu at 12:17 | TrackBack

【レポート】シンポジウム「演劇教育はなぜ必要か」8/16(水)18:00~@世田谷パブリックシアター/セミナールーム

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会場入り口

 日本演出者協会主催『演出家育成ワークショップ』で来日中の、セルゲイ D. チェルカスキイさんを迎えてのシンポジウムです。
 「演劇教育はなぜ必要か」というタイトルですが、演劇教育(小学校でワークショップをする等)ではなく俳優教育にテーマを絞ったお話でした。パネラーは永井愛さん、栗山民也さん、司会は演劇評論家の村井健さん。
 3時間15分休憩なしはきつかったですが、面白いお話が聞けました。
 ⇒チェルカスキイ・ワークショップのまとめページ

  8/23(水)18:00~特別公演「知られざるスタニスラフスキー~後期スタニスラフスキー・システムについて~」も開かれます。

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 私が重要だと感じたり、憶えておきたいと思った言葉をノートに記録しました。下記、備忘録のためのレポートです。発言者のお名前については敬称略。

 村井「1902年から日露の演劇交流は始まった。1912年には小山内薫がロシアに行った。日本では新劇=共産主義とみなされていた時代の不幸があり、スタニスラフスキー・システムはすなわちイデオロギーであるという誤解が続いた。」
 村井「1980年以降、スタニスラフスキーの認知度が上がる。リー・ストラスバーグがアクターズ・スタジオで教えたり、それがイギリスに入って・・・ぐるりとまわって再び日本にやってきた。」
 村井「チェルカスキイさんが教えるロシア国立サンクト・ペテルブルグ演劇大学は、生徒が100倍の倍率で入学してくる。演技、ムーブメント、ヴォイス(レイチ)の3つの柱。常設劇場は、毎日日替わりのレパートリーシステム。俳優は常に3~4本のレパートリー作品のセリフと新作の稽古を抱えている。藤山寛美が無数に必要な状態。クビになることもある。非常にハードな競争社会で日々勉強しなければならない。」
 
 チェルカスキイ「演劇の教育には、劇場の将来がかかっている。私は卒業してから15年間、講師をやっています。大学は1773年創立なのでフランス革命の10年前。約1000人の生徒がおり、5%が海外からの学生。4つの学部がある(この詳細については初日レポートをご覧ください)。200名の講師がいる。1人の生徒の席に100人の希望者がいます(100倍の競争率)。1週間48時間授業で4~5年制だが、5年制にしたいと考えている。」
 チェルカスキイ「サーカスの芸人やバレエのダンサーは、プロかどうかの差は見ればすぐわかる。しかしながら俳優はそれほど差がわからない。“提案された状況の中でどれだけ確信を持てるのか”。それが演劇教育を受けたかどうかの基準になる。」
 チェルカスキイ「プロの俳優と素人とをイスに座らせる。「洪水だ!」と声をかけると、教育を受けた俳優ははっきりと洪水を想像することが出来る。汗をかいたり、鳥肌が立ったり、体の状態自体が変わってくる。俳優教育は時間がかかる。」

 チェルカスキイ「スタニスラフスキー・システムが流行するひとつの理由がある。俳優存在が成立する課題を設定し、身体と心理の法則を見つける。これは科学的発見に近い。スタニスラフスキーはパブロフ(「パブロフの犬」で有名な)とも交流を持っていた。俳優教育で現代の心理学、身体科学を使います。(演劇教育を)科学に近づけるのではなく、それらは相関しているのです。俳優教育は先に行けば行くど難しい。」

 チェルカスキイ「私たちの敵はビデオです。俳優がビデオを観るので本を読まなくなる。想像力を損なう。本を読むということは、その登場人物のことを想像すること。」
 チェルカスキイ「学生は4、5年後に学士号を取る。そしてロシア全土に散っていく。モスクワとペテルブルグが2つの中心です。」

 チェルカスキイ「重要なポイントはアトリエ制。1年生の練習課題から4年生の卒業公演まで一人の先生が教える。講師は劇場で働いている人たち。本当(現場)の芝居に結びつくことがよくある。2年の中ごろか後半に作品を作る。それがレパートリーとして4年間上演される。作品を作るとそれが全てレパートリーになるので、卒業する頃には4つか5つのレパートリーがある状態になる。指導者好みの作風になることはある。」
 チェルカスキイ「海外から勉強しに来る講師が感心するのは、専門課程が緊密に結びついていること。俳優(演技)とムーブメントがバラバラではない。専門課程の講師が劇場で働いているから、教育の統合性がある。」

 チェルカスキイ「メイエルホリドは2年間、わが大学で講師をしていた。その時、演出学部に多大な影響をもたらした。スタニスラフスキー・システムと融合した面もある。だからスタニスラフスキー・システムは“20年前に死んだ人のシステム”ではない。色んなものが組み合わさっている。スタニスラフスキーとメイエルホリドは対立するものだとみなされがちだが、1930年代にメイエルホリドが亡くなってから、スタニスラフスキー・システムと結びついた。現在は切り離せないものになっている。日々進歩し、変わっていくものなのだ。」

 チェルカスキイ「スタニスラフスキー・システム=リアリズム演劇ではない。」
 チェルカスキイ「アメリカの“メソッド”とロシアの“スタニスラフスキー・システム”は別のものだ。リー・ストラスバーグが提唱した“メソッド”は、初期スタニスラフスキー・システムとフロイトの精神心理学を足したもの。映画で効果を発揮するが、演劇では映画ほどはうまく働かない。」

 チェルカスキイ「現代は、俳優への要求が高くなっている。演出もドラマトゥルギーも複雑になっている。だから俳優が演出家の人形でいるのはムリ。非常に難しい。共同作業に向いていなければならない。」
 チェルカスキイ「ロシアでは、総合芸術としての舞台演劇であることが大切。内面から教育されていて、スタッフ(照明、美術など)の中での話し方を知っていなければならない。俳優とは、ただ演じる人ではなく、創造者(クリエイティブ)でなければならない。それはとても難しいことで、新しい出口、逃げ口を探す作業です。昔、居た天才たちの作業を乗り越えていく作業。これについて2時間ではとても話せません。討論は真夜中まで続くでしょう。」

 栗山「(?)の社会的役割を痛感します。スウェーデンのストックホルムの王立劇場でイプセン作・ベルイマン演出の『ゆうれい』を観ました。アウグスト未亡人役の俳優が素晴らしかった。ベルイマンが監督する映画のアップのシーンのように観られた。言葉がこちらに触れてくるようだった。」
 栗山「スウェーデンに王立演劇学校は5校あり、5年制です。15人の生徒に対して15人の先生。マンツーマンです。税金が高い国だからですが、授業料がタダです。」
 栗山「王立演劇学校の講師に新国立劇場のパンフレットを見せたら、素晴らしい劇場だと言われました。でも演劇学校がないということを伝えると、『では、舞台には誰が立っていらっしゃるんですか?』と青ざめて聞かれてしまいました。」
 栗山「新国立劇場演劇研修所(NNTドラマスタジオ)は7年かかって作ることが出来ました。重層的な学校ではなく、フランスのコンセルヴァトール的な小さなスタジオです。これからの10年、15年で結果が出てくる、今はそのプロセスの途中です。」

 永井「桐朋学園でルコック・システムを学んだ。スタニスラフスキー・システムの授業もあったけれど、村井さんがおっしゃったように批判的な評判だったので、勉強しなかった。30代を過ぎてから改めてスタニスラフスキーの本を読んだら、驚くほどルコック・システムに類似する点があった。」

 村井「スウェーデンは(ロシアも)授業料が無料ですよね。生徒は劇場で芝居を観るのも無料です。日本ほど初日が多いことはないけれど、(レベルの高い芝居が常に上演されているから、頻繁に)良いものを見られる。観客としてはより良い舞台を観たい。だから日本の現代演劇の俳優も、早くグローバルスタンダードに上がってもらいたい。そのためには新国立劇場演劇研修所での基礎教育を1本に絞るべきなのでは?個人的には“(色んな国の、いろんな技術の)シャワーを浴びせすぎ”のように思える。まず10年間、ひとつにすべきではないか。」

 栗山「イギリスは3年制、フランスも3年制、ドイツは4年制かな(日本は3年)。フランスのコンセルヴァトールの教育方針は『美しいフランス語の伝承』と『演劇を国民の歴史的装置と置く』という2つですが、これが良い気がします。3年というのは基礎教育です(入り口に過ぎません)。」


 チェルカスキイ「なぜ俳優を教育しなければならないのか。ロシアはついていた(ラッキーだった)。ミッションが高く受け入れられた。プレス(新聞など)がよく取り上げた。ソビエト時代は教会でも演劇が上演された。劇場は文学よりも自由な場所で、みんな興味が集中する場所だった。だから俳優は興味の中心でした。社会的地位が高かった。給料は少なかったけれど。」
 チェルカスキイ「スタニスラフスキー・システムは演技のある領域です。舞台上の俳優存在が有機的である状態。私たちの道は自分を知ることです。」
 チェルカスキイ「コメディア・デラルテは能に似ています。コメディ・フラセーズはレイチ(ものいい)の権威です。」

 村井「ロシアでは2年の後半しかシーン・スタディをやらないんですよね?戯曲を使った授業をする前に、長い基礎訓練の時間があります。」

 チェルカスキイ「ヴェートーヴェンとチャイコフスキーの曲を弾きたいと思っても、素人にはムリです。訓練を経てからしか、芸術は表現できない。ピアニストが手を置く位置を毎日訓練するように、バレエダンサーが毎日バーレッスンをするように、俳優も訓練することが必要です。」
 チェルカスキイ「最初の半年はずっとエチュードです。観察することを教える。人生はどんなファンタジーよりも豊かであることを教える。人生についてより多くのことを知っているのが優秀な演出家です。」
 チェルカスキイ「身体感覚と記憶のトレーニングは 俳優が生理的なことを信じなければ、観客もそれを信じられない。」
 チェルカスキイ「その半年後(入学してから約2年後ぐらい?)にテキストに入ります。戯曲ではなく散文から。最初に言葉から入ると、言葉の観点からとらえてしまう。言葉と言葉の間に克明に人物の行動が書かれている。行動はテキストよりよほど重要です。」


 栗山「スタニスラフスキー・システムは思想ではない。道具である。うまく使えば必ず役に立つ。そのことがよくわかりました。それはスタニスラフスキーがチェーホフと同時代に生きていたことが大きいと思う。ものごとは多義的に見ないと、解決しない。小泉純一郎がマイケル・ムーア監督の『華氏911』という映画について、「あんな偏見に満ちた映画は見ない」とインタビューに答えていましたが、見てもいないのになぜ偏見に満ちていると思うのか。非常に一義的な考え方です。」

 栗山「今の日本人に欠けていることは、見ること、そして聞くことだと思います。YesとNoの間には、無数の回答が隠されている。稽古という実践の場でそれを探すのです。」
 栗山「イギリスの俳優学校で、手に平を握る(YES)、開く(NO)というエクササイズの話を聞きました。その2つだけの動作については日本人はとても上手なのですが、3分間かけてその動作をするということは難しい。3分間の手の形の数だけ、答えがあるのです。“テンションとカンカク(?)”という言葉をよく演出で使う人がいますが、おおざっぱに言えば、それだけで演出なんてできてしまうんですよね(笑)。(でもそれは真実ではない)」

 村井「日本でも俳優教育者の育成が必要です。」

 ≪質疑応答≫ 参加者の質問に対する答えの一部です。

 質問「総合芸術としての演劇とおっしゃいましたが、ロシア人の演出家○○(人名を失念)は役者に命令をする作り方をしていたそうですが。」
 チェルカスキイ「役者と演出家の関係について。○○(人名)は有能な演出家でわが大学でも講師をしていました。彼は芸術的構想に俳優が興味を持つように持って行き、俳優を夢中にさせようにしていた。演劇は共同作業の芸術です。演出家の仕事は独裁ではない。(演出家の仕事は)才能のない役者のやることを隠すことです。創造的な役者と創造的な演出家、スタッフがそろって作り上げる時、私たちの夢見る劇場が現れます。」

 チェルカスキイ「演出家教育の3つの基本は、
 1.演出家に役者と同じ俳優教育を受けさせること。俳優の生理を知る必要があるから。
 2.スタニスラフスキーが発明してその弟子たちが発展させた、行動分析。
 3.芸術的な総合性。演劇は総合芸術です。たとえば演劇のスタッフを話し合うこと。」

 チェルカスキイ「演出家の胸の中には一人の俳優がいなければならない。」
 チェルカスキイ「演出家は⇒アイデアを持ってドラマを舞台芸術に翻訳する。専門家(照明、美術など)によるばらばらの仕事を自分のテーマに沿って統合させる。その中から主要なテーマを見出す。客席が興味を持つことを出し続ける。それらを芸術的な形に昇華させ、人生に対する真剣な問いも投げかける。」

 栗山「僕の卒業論文のテーマは世阿弥の「風姿花伝」だった。」
 栗山「稽古場は、俳優が戯曲で読んだことをプレゼンする場である。自立した俳優が演出家と同じ地平に立てることが必要。そういう俳優を育てたい。『ものいう術』という本がありますが、「ものを聞く」能力の欠落が著しい(日本では)。相手をどう動かすか、ばかり考えている。」

 質問「俳優教育者にとって最も大切なものは何ですか?」
 チェルカスキイ「生徒に対する愛情です。そして忍耐。講師は、才能はあるけれどあまり何も出来ない生徒と、ずっと触れ合っていかなければなりません。忍耐力が必要です。講師は影の中に立つ仕事です。俳優は光の中で、講師は舞台袖で心配するばかり。また、講師は現代的な人間でなければならない。常に新しいことを求め、勉強しなければならない。」

 チェルカスキイ「ある時、夏休みの課題をワイルダーの『わが町』にしました。アメリカの小さな街で死んだ一人の人間が、14歳の誕生日に戻るお話。生徒にはどの戯曲なのかは教えずに、小さな街の人物を観察すること、そして若者の愛、20年連れ添った夫婦の愛、40年連れ添った夫婦の愛について考えてくることを宿題にしました。新学期には、愛を物語る準備ができました。」

 流山児祥「アジアの身体性というのもあるのではないか。日本の役者はスタッフ(照明、美術など)が出来る。これは世界中を見ても日本だけ。」

 村井「推古天皇の時代、バリ、ジャワ、インド、中国などから舞楽、伎楽などのさまざまな芸術が日本に集まりました。古代に異文化交流が盛んに行われていたのです。日本の文化が花開くのは(文化・芸術の発展が臨めるのは)、歴史的に見ても明らかに異文化の接触からです。」


パネラー=セルゲイ D. チェルカスキイ/永井愛/栗山民也 司会=村井健 通訳=久保遥/上世博及
参加費=500円
日本演出者協会=http://www.k2.dion.ne.jp/~jda/index.html

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Posted by shinobu at 11:36 | TrackBack

2006年08月16日

【寄稿】『TOKYOSCAPEで、KYOTOトリップ!』@週刊「マガジン・ワンダーランド」

 小劇場の いま にふれる劇評サイトWonderlandのメルマガ、「マガジン・ワンダーランド」に記事を書かせていただきました。毎週水曜日発刊の“週刊”の劇評メルマガです!

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 2006年08月16日発行の第03号に掲載された『TOKYOSCAPEで、KYOTOトリップ!- 東京6劇団による同時多発公演 in 京都』という記事です。バックナンバーでご覧いただけます。近々Wonderlandにも掲載予定です(写真つきで!)

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Posted by shinobu at 13:01 | TrackBack

2006年08月14日

【情報】池袋西口の完全禁煙カフェ“MODeL T(モデル・ティー)”

20060812%20modelt%20entrance.JPG
MODeL T看板

 東京芸術劇場から徒歩2分ぐらいのところに、完全禁煙のきれいなカフェが出来ました。reset-Nから派生したステージワークユニットmassigla lab.(マッシグラ・ラボ)のメンバーである、浅香実津夫さん のお店です。⇒No Smoking Cafe「 model T 」

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20060812%20rainbow%20liquor.JPG
にじいろカフェ(1200円)

 実はこのカフェ(夜はバーになります)、演劇やライブが行えるのです!さすがmassigla lab.の方ですね。演劇公演は既にちらほらと決まりかけているとか・・・楽しみ♪ご興味ある方はぜひ。きれいなカフェですよ。

 私は先日、“にじいろカフェ”という特性リキュールをいただきました。なんと、リキュールが層になっているんです。きれいですよね。※作るのに時間が掛かるので要予約だそうです。

No Smoking Cafe「 model T 」 =http://www.nosmoking-cafe.net/
 住所=東京都豊島区西池袋3-33-17
 Tel/Fax=03-6909-9860
 Tea time=14:40-17:00 Bar time=18:00-23:00

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Posted by shinobu at 23:04 | TrackBack

【情報】シアターテレビジョン舞台放送「ボクたちのエロと戦争」

 「舞台」専門チャンネル・シアターテレビジョンの8月の特集「ボクたちのエロと戦争」が凄いです!かなり面白い小劇場作品ばかりが揃っています。

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エロ編
 ポツドール『女のみち
 TEAM 発砲・B・ZIN『テングメン』
 ナイロン100℃『男性の好きなスポーツ
 毛皮族『DEEPキリスト狂

戦争編
 チェルフィッチュ『三月の5日間』(2006年)
 燐光群『だるまさんがころんだ
 飛ぶ劇場『IRON(アイアン)
 作:前川知大・演出:赤堀雅秋『散歩する侵略者

「舞台」専門チャンネル・シアターテレビジョン=http://www.theatertv.co.jp/

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Posted by shinobu at 20:30 | TrackBack

【ワークショップ】日本演出者協会『チェルカスキイ 演出家育成ワークショップ』08/09-22芸能花伝舎内スタジオ(8/9初日レポート)

20060817%20tcherkasski%20workshop1.JPG
会場玄関

 セルゲイ D. チェルカスキイ氏のワークショップ、初日を聴講させていただきました。その備忘録的レポートです。⇒まとめページ
 参加者は30名(演出家10名/俳優20名が定員)で、見た感じだと男16人/女14人のような・・・次回確認いたします。

 スケジュールなどはこちらでどうぞ。聴講(1日5000円)は当日申し込み可能です。

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 拝聴しながらノートにメモに残したことを書きます。「(かぎかっこ)」はチェルカスキイ氏の言葉です。“⇒”以降は、私の感想です。
 
0■自己紹介
 参加者全員が名前(このワークショップでの呼び名)と簡単なプロフィールを話す。
 ⇒ロシア演劇に詳しい人や、ロシアに留学していた人がすごく多くてびっくり!

 【チェルカスキイ氏のお話(導入)】
 「ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学は230年前に創立された、ロシアでは一番古い演劇大学のひとつ。演出、演技、照明、美術などの演劇に関する全てのことが学べる。ドラマ(俳優と演出家)、美術(照明、美術、衣裳などの技術)、人形劇(大学内に独立して存在)、舞台評論(劇場の歴史、評論、舞台マネジャー)の4つの学部がある。演劇の全ての分野において卒業生が輩出される。」

 「俳優と演出家が学ぶドラマ学部では“スタジオ制”と呼ばれる方法を取っていて、一人の指導者が同じ生徒を4年間続けて教えることになっている。4年目に生徒が舞台作品を創る際、もし演技や演出が下手だったらそれはその指導者の責任になる。指導者はチームを編成し、ヴォイス・ティーチャーやムーブメント・ティーチャーを呼び寄せる(任命する)ことができる。」

 「生徒は卒業すると常設劇場で働くことになる。通常は1、2~5年契約。朝方に稽古をして、夜は毎日違う演目を上演する。一度作った作品は数年間、レパートリーとして記録される。学校のシステムもそのようになっており、2年生の時に作った演目は4年間保存される。レパートリーシステムなので俳優は月に2、3回、同じ作品で同じ役を演じることになる。」

 「スタニスラフスキー以前にも“システム”と呼ばれるような演劇の技術は存在していた。たとえばモリエールにも、レーシング(ドイツ)にも。ジロドー(フランス)は俳優のパラドックスについての本を書いている。
 スタニスラフスキー・システムは人間の心理的なものとつながったシステム。ドラマツルギーではなく、人間の生理をもとにしている。スタニスラフスキーは、何かを新たに生み出したのではない。彼は、人間の生理的な反応の成り立ちに、“すでにそうなっている”ということに気づいたのだ。」

20060817%20nnt%20drama%20studio1.JPG
新国立劇場演劇研修所の外観

1■コイン探し
 2ルーブル硬貨を教室のどこかに隠し、制限時間3分の間に一人の生徒A(本人が立候補)がそれを探すゲーム。言葉は使ってはいけない。
 Aが部屋の外にいる間にサプライズ(Aが部屋に入ったとたん、全員で「お誕生日おめでとう!」と盛り上げる)を用意し、硬貨を隠しておく。
 Aは部屋に入ると突然、全員に「お誕生日おめでとう!」と祝われる。Aは当然とまどうが、そのまますぐに硬貨を探すように指示される。必死で探すA。残り時間1分になるとチェルカスキイ氏が全員に、硬貨に近づくと「熱い」、遠ざかると「冷たい」と言うよう指示。みんなの助けを借りて、Aは硬貨を見つけることに成功。

 そして、上記の約5分間の出来事をそのまま繰り返す。サプライズがあることを知り、硬貨のありかを知った状態で、どこまで忠実に再現できるのか。
 2回目の終了後フィードバックをする。1回目と2回目でどういう違いがあったか、どこで一番気持ちが高まったか、そこから気づく人間の心理状態の変化を確認する。

 「“与えられた状況”の大きな輪。同心円状に○を3つ書く。真ん中の一番小さな○は舞台。それを包む二番目の○は戯曲。さらにその二つを包む○は全人生。」
 「ハムレットの人生は戯曲以前にもあった。それを作る(見せる)のが演出家の仕事。」
 「確信が繰り返しを助ける。自分がどうできているのか、どう考えるのか、感情が理性に作用しているのか、肉体が考え方に影響するのか・・・。」
 「自分自身を学ぶ。生理的感覚、注意力、どうやって他人と交流しているか。」
 「与えられた状況を生きることは、バレエの回転と同じ。」
 「自分の心の中に、自分がやってることについての確信を持つこと。」
 「演劇大学ではこれを2年間学びます。でもそれだけやっても足りない。全人生を通して自分を観察し続けることが大切。」
 「条件反射を定着させる。」
 「人間はほとんどの人生を無意識に生きています。集中力、生理的な感覚・・・」


2■名前記憶
 参加者全員で大きな円をつくり、自分の隣りの人の名前を順番に呼んでいく。一番目の人は「かつみ」。二番目の人は「かつみ、みなこ」という風に追加していくので、最後にまわってきた人は30人全員の名前を呼ぶことになる。

 「俳優には集中力が大切です。いつも訓練しなければならない。」
 「スタニスラフスキー・システムのワークショップで行うことは、多く場合、子どもの遊びに似ている。子供は遊びから色々なことを学んでいる。私たちに大切なのは再び学びなおすということ。やりながら分析して学ぶ。遊びだという風には受け取らないで、何のためにこれをしているのかを考えるのが大切。」
 「(私が)なぜ演劇が好きか?与えられた課題が楽しい。面白い。全然飽きない。終わりがない。」


3■手で憶える
 目をつぶって、自分の左手で隣りの人の右手を触わり、記憶する。選ばれた2人が、色んな人の手を触っていき、もともとの自分のパートナーを当てる。
 「手を触りつつ、自分も見つめてください。心の中でどういうプロセスがありますか?」

 ⇒目をつぶって、誰かの手をしっかり味わう様子が超セクシーでした。私ってばそんなことばっかり見ちゃって・・・すっかり観客です(笑)。


4■目で憶える
 2列に向かい合って並び、自分の目の前の人の姿を記憶する。

 「もしロミオがジュリエットを愛しているなら、彼女が着ている服がどういう服だったのかを記憶しているはず。着物じゃなくてドレスだったとかの程度ではなく、もっと詳細にわたって記憶しているだろう。憶えていないのなら、それは愛していないということだ。」
 「小さな真実の積み重ねが舞台上の真実を生み出す。17世紀のイタリア、フランス、イギリスの演劇では双子の兄弟が引き離され、再び出会うという作品が多くあります。その兄弟は何十年もの間あっていなくても、相手の笑顔や足のあざなどを覚えており、それを見て兄弟だと気づく(それを演じるには詳細にわたる記憶力が必要)。」


5■耳を澄まして部屋の中/外の音を聞く(1分間ずつ)

6■においを嗅ぐ/ものを食べる
 各自、飲み物のにおいを嗅ぐ演技をする。まずはお茶。ハチミツ。「実は石油だった!」
 りんごを食べる演技をする。
 その後、本当にりんごが出てきて、一人一つずつ食べる。空想のリンゴと本物のリンゴを交互に。
 「実際のところを、本物の人生を通じて、確認していかなくてはならない。」

 ⇒りんごを食べる演技の種類が人によってさまざまで面白かったです。本物のリンゴが出てきて「りんごを食べてください」と言われているのに食べようとしない人や、「空想のリンゴと本物のリンゴを交互に食べて違いを確認して」と言われているのに、単にりんごを美味しそうに食べる人がいて(笑)、その人間観察だけでも楽しかったです。


7■りんごを食べた後、汚れた手を洗う
 2人が選ばれる。1人がバケツに水を汲んで、相手の手にかけてあげる演技をする。水をかけられた人は手を洗う演技をする。
 その直後に、実際に水を受ける桶も用意して、バケツの水で手を洗ってみる。

 「真実は、ほんのちょっとの感覚の真実、ニュアンスから発生する。」
 「演技は細部。詳細が最も大切。」 
 「それはすなわち観察すること。道に終わりはないのです。」
 「本当の人生を結びつけて試している。」
 「人生は思っているより詳細を与えてくれている。人生の中から色んなことを発見できるのが良い演出家の仕事。」
 
 「何を訓練すれば良いかがわかれば、自分で訓練できる。」
 「一番大切なのは原理。全ての感覚を組み合わせて統合する。」
 「舞台の上に居る時の状態が、まさしく人生にあるものかどうか、それが大事。」

 「スタニスラフスキー・システムは、客観的、生理的、肉体的な事実をもとにしたシステム。どんな演劇ジャンルにも当てはまる。リアリズム演劇だけのためのものではない。シンボリズム(象徴)演劇でも使える。色んなジャンルで使うことができる、俳優のための俳優トレーニングです。」


8■『ロミオとジュリエット』のモンタギュー家とキャピュレット家の争いについて、チェルカスキイ氏が詳しい説明を加えつつ一人語りをする。
 「(ある設定を与えられたら)自動的に詳細な絵が浮かぶはず。」
 「憎悪は感覚的。頭からではない。すべては詳細を通じて表される。」

 ⇒チェルカスキイさんの“争い合っている2つの家の間にある井戸”を舞台にした一人語りは、ものすごく見ごたえがありました。そこがどういった環境なのか、登場人物がどういう心理状態なのかをじっくり説明しながら演技もしてくださり、「演技は詳細である」ということにすっかり感心&納得でした。


9■ガリーナ・コンドラーショヴァ氏による身体レッスン
 「火の中だ!」「砂浜だ!」「刈りたての田んぼだ!」と瞬時に設定を変更し、その演技をする。
 その他、男女ペアで指相撲などいろんなエクササイズ。
 ⇒ペアによって熱くなる度合いが違い、人の性格がそのまま出てしまってるのが面白かったです。特に指相撲での負けん気の強い女性の白熱とか(笑)。

 ⇒初日は、このワークショップの全体像をざっと紹介してくださった感じでした。これが13日間、しかもチーム分けをして色んな発表をしていくと思うと・・・あぁ、毎日通いたいっ!!

チェルカスキイ 演出家と俳優のための本格的ワークショップ
講師:セルゲイ D. チェルカスキイ(ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学国際関係副学長、演技・演出教授)/ガリーナ・コンドラーショヴァ(女優・振付師・演出家・ムーブメント・ティーチャー・チェルカスキイ氏の奥様)
コーディネーター:村井健 通訳:久保遥 他 国際部担当:佐々木/黒澤 主催:日本演出者協会 協力:日露演劇会議 2006年度文化庁優秀指導者特別指導助成事業
日時:2006年8月9日(水)~8月22日(火)10:00~17:00 参加費用:50,000円 応募〆切=7/31必着

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Posted by shinobu at 15:28 | TrackBack

トム・プロジェクト『骨唄…骨、咲キ乱レテ風車…』08/05-15吉祥寺シアター

 劇団桟敷童子の東憲司さんが作・演出される三人芝居。高橋長英さん、新妻聖子さん、冨樫真さんという豪華キャストです。観に行った知り合い2人からお薦めがあったので、急遽観に行くことにしました。
 私はアングラが苦手なので、東さんの作・演出というだけで予定に入れていなかったのですが、脚本がとても面白く、観に行ってよかったです。ただ、やっぱり演出は苦手でしたが・・・。

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 ≪あらすじ≫ エミュウの解説はパンフレットより。
 九州のどこか、古くからの土着の風習が残る村。登場するのは死者の骨に飾り彫りを施す職人の父親(高橋長英)とその娘、薫(冨樫真)と栞(新妻聖子)。
 薫が12歳の時に母親が死んでから、娘たちは親戚にばらばらに預けられ、家族は別々に暮らしてきた。18年経ってサラリーマンになった薫は、保育士として働いていた栞が突然に失踪したと聞き、栞を探すために二度と戻らないと思っていたふるさとに帰ってきた。
 薫の予想どおり、栞は父が一人で暮らす実家に帰ってきており、村おこしのために作られたエミュウ(ダチョウに似た鳥、オーストラリアに生息する世界で二番目に大きな鳥…日本、アメリカ、アジアなどで食肉として飼育される。オーストリアでは国鳥に指定されている。)の飼育場で働いていた。薫は栞を説得して連れて帰ろうとするのだが、栞は父の後を継ぎ、骨細工の職人になると言う。
 一見明るく元気な栞だが、話している内に薫は栞の様子がおかしくなることに気がついた。栞は母親の葬儀で転んだ際に、風車の持ち手が耳に刺さり、脳に外傷を受けた。完治したと思っていたが、その後遺症がまだ残っていたらしい。あることをきっかけに栞は強い発作を起こし、その間の記憶が消えてしまうのだ。
 ≪ここまで≫

 会場に入るなり、舞台では無数の白い風車が、風でぐるぐる回りながらカラカラと音を立てていました。この時点で「あぁ、やっぱり・・・私には耐えられないかも(涙)」と思い、しっかりと構えた観劇姿勢に入りました。おかげでダメージは受けることなく、苦手なものは苦手なのだと受け流しつつ、胸に届いてくるセリフとその意味を考えながら観ることが出来ました。また、三人の役者さんの個性がものすごく強く、しかもばらばらだったため、それも個別に味わえました。人間、学習しますねっ!!(笑)

 ここからネタバレします。

 栞は幼稚園で飼育していたうさぎを全部逃がして、失踪しました。実家では“エミュウの里”で働きながら、エミュウを逃がしていました。発作が起こった時に常軌を逸した行動をし、発作が治まるとその間の記憶が消えてしまうのです。発作はある種の幻覚のような症状で、その時の栞のセリフに環境問題や過疎化、地方都市の混迷した政策(土地柄に合わない村おこし)など、現代社会の矛盾が映し出されます。

 前にしか進めない(後退できない)習性で、見かけはとても愛らしく、心優しいけど臆病で、寂しがりやのエミュウという動物は、まさに栞自身のことでした(この解釈は友人から教えてもらいました)。オーストラリアの鳥であることは、栞が村のよそ者であることとも一致します。
 栞はエミュウを献身的に世話して、可愛がりますが、その肉を食べなければなりません。そして、風車を倒して食べてしまうエミュウは敵でもあるのです。普段はエミュウの可愛さを自慢するように話す栞ですが、発作が起こると父と薫にエミュウを殺すように命じます。自分の愛するものが、同時に敵なんですね。しかもそれを食べて自分の肉にしなければならない・・・。矛盾だらけの人間存在を表しています。

 父親は、1000本の風車を海の見える山に並べたら蜃気楼が生じ、その蜃気楼を見ればあらゆる悲しみ、苦しみから解き放たれる・・・という言い伝えを信じています。それを栞に見せるために、家族三人でどんどん風車を作っていくことになりました。伝統、風習、言い伝え、迷信・・・色んな言葉がありますが、人間は現代社会において論理的には全く通用しそうにないことを信じ、叶いそうにない漠然とした夢のために一心不乱になることがありますよね。そしてその姿は、滑稽だけれど、愛らしく美しいものだなと思いました。たとえ人生において間違った方向に進んでいようとも。

 栞はエミュウの里を追い出され、絶望のふちに立った時に蜃気楼を見ます。自分はそこ(蜃気楼の世界)でしか生きて行けないけれど、そんな桃源郷は存在しないと知っているので、栞は高い台から飛び降りて死んでしまいます。意味は違いますが、「かもめ」のトレープレフの死と同様に、栞の死は必然だったと思いました。

 アングラ・テイストの演出が苦手な私には、やっぱり照明、音響、音楽が・・・つらかったですね。哀愁を誘う音楽の繰り返しとか、いかにもな瞬間にドドーンっ!という効果音+白い風車へのサス、とか・・・。最後は大量の白い花吹雪、舞台奥の黒幕がバサっと落ちて一面の風車、でした。予想どおりというか、もうお馴染みですよね。形式美になっているのだと思います。私は苦手ですが(くどいですね、すみません)。

 パンフレットによると、この戯曲は三人の役者さんへの宛て書きだったようです。見事だなと思いました。
 新妻聖子さん。声もきれいだしものすごく強い存在感です。びかびか光ってます。あたかも天と交信しているかのような演技でした。だから目の前の人とコミュニケーションしないんですよね(笑)。
 高橋長英さん。職人の役、多いですよね(笑)。しっかりと地に根ざした頑固さが体中から出ていて、説得力がありました。ただ、長英さんもやっぱりコミュニケーションはあまりされてなかったような。まあ頑固職人だからでしょうけど。
 冨樫真さん。真面目で不器用で優しい人なのかな~と思いました。その意味でも薫役にぴったり。父親にも妹にも本気で関わっていくのに、無視されるんですよね(笑)。かなり好感を持ちました。

≪東京(吉祥寺、亀有)、兵庫、福岡≫
出演=高橋長英/新妻聖子/冨樫真
作・演出=東憲司(劇団桟敷童子) 美術=東憲司 照明=相良浩司 音響=藤田赤目 舞台監督=根岸利彦 宣伝写真=塩谷安弘 宣伝美術=立川明 プロデューサー=岡田潔 企画制作=トム・プロジェクト
全席指定 一般=前売¥4,300/当日¥4,800 学生=¥3.300 シニア(60歳以上)=¥3.800(学生・シニア券はトム・プロジェクトのみの販売)
公式=http://www.tomproject.com/peformance/honeuta.html

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Posted by shinobu at 09:44 | TrackBack

2006年08月12日

オックスフォード大学演劇協会『恋の骨折り損』08/12-13東京芸術劇場小ホール2

 オックスフォード大学演劇協会(OUDS)の来日公演は、去年に引き続き東京芸術劇場なんですね。以前は世田谷パブリックシアター等でも公演があったそうです。
 シェイクスピア作品の中でも日本では上演されることが少ない『恋の骨折り損』。私は戯曲も読んだことがありませんでしたので、新鮮な気持ちで拝見いたしました。

 英国では野外公演だったようです。劇場での上演だと、そもそもの演出意図が実現できなかったのではないでしょうか。上演時間は約2時間30分弱だったと思います(途中15分間の休憩を含む)。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 ナヴァールの若き国王は、3人の臣下とともに、学問に打ち込むため、3年間、食べることも眠ることも、そして女性に会うことも制限すると誓う。しかし、その矢先、フランス王の代理としてやってきたフランス王女とその侍女3人に恋をし、あっさりと誓いを破ってしまう。ここから、男女8人の恋の駆け引きが始まります。
 思い込み、勘違い、行き違い、すれ違い・・・。彼らは、その先に本物の愛を見つけることが出来るのでしょうか。
 ≪ここまで≫ 

 出演しているのは大学の学生さんですので、かなり若いんですよね。パンフレットに書かれた「舞台にさわやかな風が吹いている」(東京芸術劇場館長・小田島雄志さんのメッセージ)というのに同感でした。20代前半の役者さんがあれだけのセリフをしゃべるのは、なるほど凄いかもとは思います。でも、やっぱり物足りなかったですね~・・・。
 まず舞台装置がシンプルすぎますし、王様、お姫様が登場するお芝居なのに、それにふさわしい荘厳さや気品があまり感じられず(意図的にそういう印象を消しているのかもしれませんが)、作品の中に入っては行けなかったですね。

シェイクスピア全集 〔9〕
ウィリアム・シェイクスピア〔著〕 / 小田島 雄志訳
白水社 (1983.10)
通常2-3日以内に発送します。

 イギリスの演劇というとロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)がよく来日しています。RSCはS席が約10,000円だったりしますから、前売り2500円の今作と比べるのはナンセンスなのかもしれません。でもどうしても比べちゃいますね・・・やっぱり英語の話し方が似てるので。
 ※OUDSの役者さんは俳優養成コース出身者ではないので、職業俳優ではないそうです。読者の方からご指摘をいただきました。RSCと比べても仕方ないってことで。その通りですね。(2006/08/13加筆)

 イギリス人って、やっぱり議論が好きなんだなーと思いました。ウィットに富んだ男女の恋の駆け引きはぜひとも味わいたいですが、今作ではとにかく言葉、言葉、言葉・・・と、言葉だけが強調されすぎていたように感じました。あと、これは古典だから仕方がないのかもしれませんが、色黒の女性に対する悪口とか、男たちに対する女の高飛車な態度とかが、どうもしっくり来ませんでした。

 ケネス・ブラナー主演の映画もあるんですね。ミュージカルにしちゃったのは妙案かも。

~Love's Labour's Lost~
Oxfort University Dramatic Society Japan Tour 2006 英語上演/日本語字幕付
出演=オックスフォード大学演劇協会(OUDS) :Jack Hawkins/Jack Farthing/Himanshu Ojha/Nick Bowling/Charlotte Cox/Nanw Rowlands/Alice Glover/Isabella Marshall/Pete Munro/Tom Cartlidge/Christopher Chalk/Henry Oliver/Ollie Brock/Aled Roberts
Director=Katherine Sagovsky Producer=Heather Oliver Assistant Producer=Ruth Weyman Designer=elinor White Music Director=Leo Steeds Production Manager=AlexDickens Lighting Designer=Christopher Nairne Production Assistant=Rick Malins
作=W.シェイクスピア 主催=(財)東京都歴史文化財団 東京芸術劇場 助成=(財)地域創造
6月17日(土)前売開始 全席自由 一般2,500円 学生2,000円 (東京芸術劇場チケットサービスで前売券のみ取扱)
公式=http://www.geigeki.jp/saiji_011.html

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Posted by shinobu at 23:38 | TrackBack

2006年08月11日

tpt『血の婚礼 - Bodas de Sangre』08/05-20ベニサン・ピット

 見逃さないようにしているtpt。『血の婚礼』はスペインの劇詩人ロルカによる1933年初演の戯曲です。演出はアメリカ人のアリ・エデルソンさん(⇒過去レビュー)。出演者はワークショップ・オーディションで選ばれた若い俳優さんが揃っていて、エデルソンさんも30代前半だそうなので、ものすごくフレッシュなカンパニーでした。
 うーん・・・詩のようなセリフが多くて、若い役者さんには難しかったようですね。美術が美しかったです。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトおよびパンフレットより。(役者名)を追加。
 婚礼のさなか、花嫁(宮菜穂子)が一人の男(パク・ソヒ)と抜け出した。
 その男とは、花嫁の父親と兄を殺した一族の人間だった……
 運命と情熱に導かれるまま愛し合い、死へと駆りゆく若者たち。
 花嫁「あたしは炎の女。心も体も苦しみに燃えていた。あなたの息子は一滴の水、子宝と健康を恵んでくれるはずだった。もう一人の男は闇を流れる大きな川、切り裂かれた木々を運んで、葦のざわめきと水の歌声を聞かせてくれた。」
 ≪ここまで≫

 劇場に入ったとたん、黒く広がる空間に魅せられました。足を一歩踏み入れると、そこは舞台の花道になっており、黒光りする通路を通って客席へと向かいます。ステージの形はL字型。四角い劇場の中で斜めに配置され、客席がその舞台の三方を囲むので、通常よりも広く感じるし一体感もあります。天井から白い大きな布が垂れ下がっており、役者さんがロープで調節してさまざまな効果を生み出しました。めっちゃくちゃ綺麗でした。美術は二村周作さんです。

 歌とダンスが多用される幻想的な演出でした。シェイクスピアの『夏の夜の夢』の森の中のように感じることがしばしば。衣裳がすっごく可愛かったですね。特に靴がかっこよかったな~。

 ただ、詩のような、というか、詩そのものであるセリフをしっかりと語ることが出来ていた役者さんは、残念ながらいなかったように思います。70年以上前の戯曲ですし、難しいのは当然ですよね。
 花嫁が昔の男と一緒に婚礼の宴を抜け出してしまうという、情熱的で破滅的な恋のお話です。できれば、二人一緒に死に向かってまっ逆さまに墜落していく姿から、官能を感じたかったですね。

 ここからネタバレします。

 婚礼から逃げ出した男と花嫁を、花婿や村人たちが追いかけます。「男と花嫁が心中しちゃうんだろうな」と思ったのですが、大ハズレ。男と花婿が殺し合って死んでしまい、花嫁だけが戻ってくるのです。花嫁は「私を殺して!復讐して!」と花婿の母親に言いますが、母親は「あなたを殺して何になる!?」と言い返し、花嫁を殺そうとしませんでした。あんなに息子を溺愛していて、怖い性格の姑だったのに・・・正論ですよね、圧巻でした。
 ラストシーンは女だけがずらりと勢ぞろいでした。いつの時代も残されるのは女、ということかなと思いました。

 花嫁役の宮菜穂子さん。可愛らしい方ですね~。タンゴを踊る時に足がスコーンと上にあがってセクシーでした。でも血がたぎるほどに燃えさかる恋心を感じられたかと言うと、それはなかったですね。
 花嫁と逃亡するレオナルド役はパク・ソヒさん。期待を裏切らない肉体美(笑)。舞台上で自然な存在感だったのはパクさんだけかも。でも、もっともっとセクシーになれるはずだと思います。
 花婿役は斉藤直樹さんで、その母親役は板垣桃子さん。斉藤さんは清潔でひ弱な感じが可愛らしかったです。でも、もうちょっと目立って欲しかったですね。板垣さんはお若いのにガツンと来る凄みが良かったですが、セリフの語り方は紋切り型で気になっちゃいました。

 第3幕で長い詩を語る“月”役は中村音子さん。振付もされています。オープニングでロフトから下を覗く姿に見とれました。でも、やっぱり詩は難しいのでしょうね。長い時間たった一人で独白されますが、大変そうでした。
 “月”の相手の“死”役は野口卓磨さん。山の手事情社『牡丹燈籠』で注目していたのですが、今作品でも色気があって良かったです。ギターを弾きながらもギラっと目力が出てました。ただ、言葉がもごもごして聞き取りにくかったのは残念。

スペイン最大の劇詩人ロルカの三大悲劇
出演=宮菜穂子/板垣桃子/パク・ソヒ/斉藤直樹/中村音子/松岡美希/鈴木智香子/野口卓磨/中村伝/倉本朋幸/小川祐弥/田村元/廣畑達也/井上裕朗/河野由佳/篠山美咲/夏川永聖/海老原礼子/大沼百合子
作=フェデリコ・ガルシア・ロルカ 演出=アリ・エデルソン(アメリカ) 台本=広田敦郎 美術=二村周作 照明=佐野雅昭・鈴木直之 音楽=後藤浩明 衣裳=原まさみ ヘア&メイク=鎌田直樹 音響=木暮拓矢 舞台監督=山口勝也
7月8日(土)前売開始 全席指定5,250円 学生料金3,150円(TPTのみのお取り扱い)
公式=http://www.tpt.co.jp/

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Posted by shinobu at 23:32 | TrackBack

【情報】日本演出者協会『チェルカスキイ 演出家育成ワークショップ』08/09-22芸能花伝舎内スタジオ

 2006年夏のワークショップ情報で紹介しておりました、ロシア国立サンクトペテルブルグ演劇大学国際関係副学長、演技・演出教授のセルゲイ D. チェルカスキイさんのワークショップ。2週間、毎日10:00~17:00(夜20時まで自主稽古可能)という、みっちりスケジュールの初日を聴講させていただきました。面白かったです!

 スタニスラフスキー・システムについて、本場の先生から教えていただける貴重な機会です。聴講可能ですので、ご興味のある方はどうぞお申し込みください(聴講のみ。参加申し込みは締め切られています)。

 ⇒日本演出者協会・事務局 TEL 03-5909-3074 E-mail=seri(アットマーク)seriseri.com
 ※一日につき5000円で当日受付のみ。聴講可能な日は限られています。必ず当日お問い合わせください。

 その他、チェルカスキイさんをお迎えしたイベントもあります。私はシンポジウムを拝聴する予定です。

●シンポジウム「演劇教育はなぜ必要か」8/16(水)18:00~
 パネラー=セルゲイ D. チェルカスキイ/永井愛/ほか 司会=村井健
 会場=世田谷パブリックシアター/セミナールーム
 参加費=500円
 
●日本演出者協会/早稲田大学演劇博物館21世紀COEプログラム共催
 特別公演「知られざるスタニスラフスキー~後期スタニスラフスキー・システムについて~」8/23(水)18:00~
 講師=セルゲイ D. チェルカスキイ
 会場=早稲田大学 大隈記念タワー(26号館)3階会議室
 参加費=500円
 お問い合わせ=演劇博物館COE事務局 TEL 03-5286-8110

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Posted by shinobu at 11:20 | TrackBack

空想組曲『シャーベット・シェルター』08/09-13明石スタジオ

 ほさかようさんが作・演出されるプロデュース・ユニット、空想組曲の第二回公演です。
 チラシのビジュアルと文字情報から、「戦争もののダーク・ファンタジーかしら?」と予想していたのですが・・・びっくりさせられました(笑)。

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 ほさかようさんの作品は何度か拝見させていただいています(レビュー⇒)。前作が泣かせるラブ・ストーリーだったので・・・油断してましたね、私(笑)。
 上演時間が約2時間あったのは長かったですね。明石スタジオはベンチシートなのでちょっとつらいですし。1時間30分で終わっていたら印象はかなり違ったのではないかと思います。

 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレしています。これからご覧になる方は読まれない方がいいかもしれません。
 戦禍の街。ヨハン(横塚進之介)は一年前に最愛の妻のルナ(長峰稔枝)を爆撃で失ってから、しっかり者のメイドのデビィ(葛木英)と、少々頭の弱い義弟のキャンベル(山本卓)との三人暮らし。
 ある日、ルナの双子の妹・エレイン(長峰稔枝)とその夫ブラッド(多門優)が突然たずねてきた。家が焼かれてしまったので数日間泊めてくれというのだ。同時にヨハンの妹のリンデ(柴村朋子)も飛び込んできて、ヨハンの家は望んでもいない大賑わいとなる。
 ルナにそっくりのエレインを見る度に、ヨハンはルナのことを思い出して悲しみに沈んでしまう。しかしヨハン以外の人々にとっては、ルナはそれほどまで愛されるべき女ではなかったようで・・・。
 ≪ここまで≫

 デカダン・ロマンティックな美術で、明石スタジオではあまり観ない(と思われる)タイプの空間でした。
 設定も展開も面白いと思ったのですが、その中に入り込むことが難しかったですね。例えばヨハンの家の中の様子が、“主人がものすごく愛していた妻を失ってから、1年経っている”という風に思いづらかったです。1年もの間に人間は笑ったり遊んだりするはずで、あんなにずっと「ただ暗い気持ちでいる」という状態が続くのはリアルに欠ける気がしました。

 ここからネタバレします。

 「ルナの本当の性格は?」「エレインは果たして本当にエレインなのか?ルナがエレインの振りをしているのではないか?」「隣人のロイド氏の妻はどこに消えたのか?」「死んだ父親の遺産はどこにあるのか?」「エレインがルナへの手紙に書いていた“シャーベット”とは何か?」・・・など、見ていく内にさまざまな疑問が生まれてきて、それらが少しずつ明かされていきます。

 もっとテンポ良く、加速度的にたたみかけるように進んでいれば、かなり引き込まれたと思います。エピソードが多すぎたのではないでしょうか。例えば国家が「外側」と「内側」に分かれていて、どんどん「外側」が「内側」に侵食しているという設定は、それほど重要じゃなかったかもしれません。“姉妹の謎”と“シャーベットの正体”という2つだけでも、充分すぎるほど面白い内容だったと思います。

 ルナとエレインの父親の仕事は、国の重要人物を暗殺して(暗殺は他の人がするのかも?)死体を処分することでした。地下室の床の下に、死体を溶かす液体が隠されていたのです。それを知った姉妹は父親を殺し、その死体を地下室で処分していました。その地下室こそ、舞台となっているヨハンの家の居間でした。床は確かに開く可能性はありそうだとは思っていましたが、本当に開いて、しかも溶けかけた人体が出て来るなんて!!怖っ!血のりも凄かった!

 ルナとエレインという双子の姉妹の正体が最後にわかります。1年前の爆撃で、二人は一人へと溶け合ってしまっていたのです。もともと手紙を頻繁に交換しあっていたので、二人ともお互いのことをよく知っていたんですね。だから一人が死んだ時に自分が誰(どちら)なのかがわからなくなって、ルナでありエレインでもある一人の女になってしまった・・・というのには納得できます。ロマンティックですよね~。

 常に空腹の太っちょさんキャラのバレンタイン役は、石沢美和さん。実は放浪者ではなく国家側の人間でした。ラストは凄みがありましたね。
 メイド役の葛木英さん。きれ~・・・!とにかく見とれました。美しい。

出演=横塚進之介/多門優(THE SHAMPOO HAT)/長峰稔枝(ペテカン)/山本卓(Afro13)/葛木英(メタリック農家)/亀岡孝洋(カムカムミニキーナ)/石沢美和(SQUASH)/柴村朋子(吉村朋子改め)
作・演出=ほさかよう 舞台監督=藤林美樹 舞台美術=松本わかこ 音響効果=天野高志(OFFICE my on) 照明=正村まさみ(RISE) 稽古場助手=門馬かおり 宣伝美術=岩根ナイル(mixed) 当日運営=松井見依子 制作協力=赤沼かがみ(G-up) 企画製作=空想組曲
全席自由 前売り3000円 当日3300円
公式=http://www.k-kumikyoku.com/

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Posted by shinobu at 01:15 | TrackBack

SPIRAL MOON『みちかける』08/09-13「劇」小劇場

 2006年度愛知県芸術劇場演劇フェスティバル グランプリ賞受賞作品です。チケット売れ行きも良いようですね。⇒残席状況
 SPIRAL MOONは秋葉正子さんが演出を手がけるプロデュース・ユニットで、今回の脚本は門肇さん。門さんはテレビドラマの脚本なども書かれているそうです。

 開演前からちょっと演出がついています。これからご覧になる方は開演10分前までには劇場に入られることをお薦めします。上演時間は約1時間25分。

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 ≪あらすじ≫ チラシより。(役者名)を追加。
 離れたくとも、放れられない。昔も今も。
 嵐の夜に、父のお葬式。喪主をつとめる姉(秋葉正子)と、二人の弟(兄=保倉大朔・弟=田中伸一)の前に現れた一人の女(最上桂子)。
 ざわざわ、ざわざわ。胸騒ぎ。姉の秘密は、弟の秘密。ざわざわ、ざわざわ…。
 ≪ここまで≫

 お葬式を舞台にしたお芝居・・・多いんですよね~。しかもワン・シチュエーション(場面転換なし)ですから演技力がものすごく問われます。でも9人の登場人物にきちんと個性と存在意義があり、安直すぎるお涙頂戴な展開もなかったので、最後まで味わって観られました。否応なしに揺れ動かされる心を描く、丁寧なお芝居だったと思います。でも、「そりゃ、ありえないよな~」と思っちゃうこともありました。いわゆるウェルメイドの作品って、比べる対象が多いしレベルも必然的に高いので、どうしても満足しづらくなっちゃうんですよね。

 ここからネタバレします。

 亡くなった父親は63歳。未成年の少年が無免許運転していたバイクに跳ねられて、突然死亡しました。従業員数百人を抱える老舗旅館を経営する社長だったので、長女のヨウコ(秋葉正子)、長男のツキオ(保倉大朔)、次男のダイチ(田中伸一)の三人兄弟は、「明日から会社をどうすれば?誰が跡継ぎに??」というのっぴきならない問題に直面します。
 信じられないほど強気なヨウコは、自分が後を継ぐのが当然だと思っていますが、次男のダイチはヨウコの経営方針に全く同意できません。長男のツキオは気が弱くていつもヨウコの言いなりなため、ダイチは「ダイビングの仕事を辞めて家に戻る。俺が継ぐ」と言い始めます。

 お葬式は誰もが経験するものすごく身近で重大な出来事です。セリフやストーリーはもちろん、ささいな仕草や間(ま)にも、リアルを積み重ねていかなければなりません。だからちょっとしたボロが出ただけで、いきなり胡散臭く感じてしまうんです。リスクが高いと思います。

 事故を起こした少年の父親(久堂秀明)が「お焼香だけでもさせて欲しい」と土下座をするのですが、ヨウコは全く許す気がありません。少年が今朝方死んでしまったというのに「ざまあみろだわ!」とまで言い切ります。これは・・・ないよねって思いました。どんな罪を犯したといっても18歳で死亡するのは悲しすぎます。息子を亡くした父親に向かってあんな罵声を放つなんて、いくら気が動転しているとはいえ、私には納得できませんでした。たとえヨウコがわざと強気を見せるために演技をしていたとしても、です。
 ヨウコがあまりに気丈なので、ツキオもダイチも「姉は父親の死を悲しんでいないのかも」といぶかしがり、色んな人に「姉は泣いていたか?」と聞きます。私は、人間は「悲しかったら必ず泣く」わけじゃないと思うので、彼らの行動に同意できなかったですね。

 帰ろうとしない女(最上桂子)の正体は、ヨウコと同じ日に同じ産院で生まれ、助産婦の手違いで入れ替わってしまった、父親の実の娘でした。つまりヨウコは血が繋がっていないということになり、弟たちとの関係も、跡継ぎ問題にも複雑さが増してきます。
 ツキオはずっと姉のヨウコを愛していたから、血が繋がっていないと知った瞬間、近親相姦の感情が生まれて・・・という流れだと思うんですが、姉と弟の間に色気が感じられなかったですね~。残念。

 ただ、最後のシーンでヨウコがツキオのことを「ツキちゃん」って呼んだ時は、二人の間に愛情は見えたような気がしました。また、ヨウコとツキオが二人で「秘密を話さない。死ぬまで持っていく」と言い合うのも良かった。照明も美しかったです。
 秘密って甘美ですよね。自分だけの秘密を持ち続けて、相手の秘密を大切にして、色っぽい生き方をしたいものです。

2006年度愛知県芸術劇場演劇フェスティバル グランプリ賞受賞作品
出演=最上桂子/久堂秀明/保倉大朔(アンクルジャム)/福岡佑美子/河嶋政規(こちらKGB)/環ゆら(ケイ・エス・プロモーション)/田中伸一(開店花火)/桑島貴洋/秋葉正子
作=門肇 演出=秋葉正子 舞台監督=田中新一 照明=南出良治  音楽=羽山尚  音響=斎藤瑠美子  チラシイラスト=秋葉陽子 チラシデザイン=岡村一也 制作=薄田菜々子(beyond) 製作総指揮=落合由人 企画製作=SPIRAL MOON
日時指定・全席自由・整理番号付き 前売:一般3,000円 グリーン2,000円 シルバー2,500円 当日:一般3,300円 グリーン2,500円 シルバー3,000円 グリーン:高校生以下。要:生徒証提示。劇団でのみ販売/シルバー:60歳以上。要:年齢を証明できるもの。劇団でのみ販売 未就学児童の入場不可。
公式=http://www.spiralmoon.jp/

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2006年08月09日

親族代表 THE LIVE『忄(りっしんべん)』08/08-13THEATER/TOPS

 今年1月に続いてまた親族代表のコントを拝見させていただきました。豪華な脚本執筆陣に演出がピチチ5の福原充則さんですから!これは見逃せない!
 ・・・で、その期待を裏切らない約95分でした♪いや~、気持ちよく笑ったし、せつなくなったり、人生の理不尽さにしみじみしたり(笑)、充実の演劇体験をさせていただきました!

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 今さら私が言う必要もないのですが、親族代表のお三方は本当に演技がお上手ですよね。登場人物のキャラクター造形がすごく細かいし、コントといっても種類の違う笑いがいっぱいあるのが凄いと思います。

 開演前には過去のコント公演の映像が流れています。そのおかげで幕開け前から笑う気持ちが準備され、すんなり本編へと誘われました。早めに会場に行かれることをお薦めします。

 ここからネタバレします。簡単な内容メモです。

1.「影響と受けた人とその友人とその友人」脚本=小林賢太郎(ラーメンズ)
 ヒマな男たちがエセ秘密結社をつくる。でも「メモをとらない」ことさえ憶えられない。

2.「男心」脚本=本田誠人(ペテカン)
 合コン初心者の男3人が、初合コンに挑む。見栄の張り合い。

3.「情熱の男たち」脚本=嶋村太一(親族代表)
 葉加瀬太郎の「情熱大陸」テーマソングを、つもりヴァイオリン演奏するおかしな男たち。

4.「泥人間」脚本=千葉雅子(猫のホテル)
 失念。何だったかしら・・・。「チキンブルース」とセット?

5.「チキンブルース」脚本=嶋村太一(親族代表)
 肉体労働者がいつもの定食屋でシケた夕食をとる。“負け組”男たちのわびしい日常。突然マイクが出てきて「チキンブルース(臆病者の哀歌)」を歌う3人。

 ※千葉雅子さん脚本の「泥人間」が定食屋さんのお話で、「チキンブルース」は嶋村太一さんの作詞・作曲の歌でした。GUEST BOOKでSTさんに教えていただきました。ありがとうございました!(2006/08/10追加)

6.「天文クラブ」脚本=福原充則(ピチチ5)
 中学校の天文クラブに所属する男子生徒2人と顧問の先生。人生には何の脈絡も、納得できる理由もない事件が起こるものだ。

7.「野間口徹と…」脚本=ブルースカイ
 野間口徹さんが「親族代表というユニット名を変更したい」と言い出して・・・。

 全部面白かったですね。かゆいところに手が届き、さらに「私の笑いのツボってここにもあったんだ?!」と、新たなツボも開発された気分です(笑)。

 「天文クラブ」では最後に顧問の先生が飛び降り自殺してしまいます。生徒達は一生それを忘れなかった・・・という結末は胸にググっと来ました。

出演=親族代表(嶋村太一・竹井亮介・野間口徹)
脚本提供=小林賢太郎(ラーメンズ)/千葉雅子(猫のホテル)/ブルースカイ/本田誠人(ペテカン)(50音順) 作=福原充則(ピチチ5)+親族代表 演出=福原充則(ピチチ5) 音楽=西山宏幸(ブルドッキング・ヘッドロック) 舞台監督=中西隆雄 照明=柳本友紀 音響効果=中村嘉宏(at Sound) 映像=保土田浩史 宣伝写真=湯澤幸一郎 美術=新族代表 演出助手=迫田環・的場久美子・本間美咲・手代木梓・杉田健介 制作=森千江子(イマジネイション) 企画製作=親族代表
前売開始7月1日(木) 前売・当日共 3,000円(全席指定)※喪服割引きあり(当日喪服着用でご来場の方に500円キャッシュバック)
公式=http://shinzoku.cool.ne.jp/

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Posted by shinobu at 23:11 | TrackBack

2006年08月08日

東宝芸能『しあわせのつぼ』08/04-13ル テアトル銀座

 福島三郎さん(過去レビュー⇒など)が作・演出される豪華キャストの新作です。メルマガ5月号ではお薦め前売情報も掲載しておりました。

 メルマガ号外まであと一歩の傑作でした!!!もーぼっろぼろの大泣きしちゃいましたよぉ~っ!ル テアトル銀座でこんなに感動できるストレート・プレイに出会えるとは・・・嬉しい誤算♪(めちゃくちゃ広い会場なのでね)
 途中休憩の時にパンフレット(1500円)を買って、公演DVD(6800円)の予約購入までしちゃった私・・・あぁ散財(汗)。でも嬉しい!演劇のDVDを買うなんて何ヶ月ぶりかしら??

 東京公演は8/13(日)まで。その後に大阪、名古屋、新潟、福岡公演もあります。上演時間は約2時間55分(途中休憩15分を含む)です。
 ⇒公式サイト
 ⇒公開リハーサル風景(舞台写真&解説が充実しています)

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 20代の息子がいる主婦が主人公の、堂々たる胸きゅんラブ・ストーリーです。笑いも涙もいっぱい。嬉しいサービスもいっぱい。役者さんれぞれの魅力が余すところなく発揮されています。歌える人は歌うし、踊れる人は踊るし、渋い演技で魅せてくれる人には、独白の見せ場があるし。作・演出の福島三郎さんの優しさが満ち満ちています。作り手も観客も一緒になってしあわせを分かち合い、夢を見られる作品だと思います。

 ≪ものがたり≫ パンフレットより。(役者名)を追加。けっこう詳しい内容が書かれています。
 「しあわせのつぼ」-順子(宮本信子)が呼んでいる本のタイトルだ。女性には、押された瞬間にすべてが幸せになるというツボがある。そのツボを押すことができる男性は、生涯でただ一人。
 人気ポップス歌手である夫の隆平(布施明)は、ジャパン・ツアーのファイナル、東京公演の真っ最中。会場に荷物を届けに来た彼女は面会をすませると、そそくさと楽屋を後にした。果たして夫はその唯一の男性だったのだろうか。家族の存在をひた隠し、不特定多数の人びとに歌で愛を注ぎ、愛を注がれる夫・隆平。私生活でも浮名を流し、自宅にはめったに戻ってこなくなっている。もう妻であることの自信がなくなってきた……。
 そこへ、隆平が倒れて意識不明のまま病院に運ばれたとの知らせが入った。事務所社長であり、隆平の実弟でもある良和(山路和弘)、付き人の駿介(東山義久)はもちろん、10年来、父親とまともに口をきいていない息子の孝一(音尾琢真)も病院にかけつけた。偶然にも、順子の友人で長年の隆平ファンである山根里子(木野花)も怪我で入院中だ。そして、隆平と熱愛中と噂のシンガー、安藤恵美(伊央里直加)も現れた。かつて隆平がヒットさせた「幸せのかたち」を譲り受けて、大きくブレイクしたばかり。しかし、その曲は、順子と隆平の二人をつなぐ大事な絆だったはず。夫への不信感を持ったまま、順子は恵美と対面してしまう。
 ≪ここまで≫

 舞台は病院・・・それだけで普段の私なら引くはずなんですが、全く平気でした。福島さんの描く病院って『LOVER SOUL』もそうなんですけど、適度にファンタジーで適度にリアルで、ちゃんとお芝居として楽しめるんですよね。
 役者さんは全員が生き生きしてました。あらすじには登場していませんが、医者(小原雅人)、看護婦(依田朋子)、安藤恵美のマネージャー・田中(池上リョヲマ)もそれぞれがピカっと光るシーンがちゃんとありました。

 恋愛、結婚、出産、子育て、浮気、病気、離婚・・・大人になるに従って多くの人が経験していく(と考えられている)出来事です。こうやって書き出してみると簡単だし、ありふれているように感じます。でもその一つ一つが、体験する人間の数と同じ種類があり、各人とって特別で、かけがえのないものなんですよね。
 その出来事から生まれた気持ちが、それを感じた人のありのままの幸せへと昇って行くのを、観て感じることができました。

 ここからネタバレします。

 パンフレットに載っているセリフは可愛らしい名言ばかり。 
 順子「知らなきゃ楽なことってたくさんあるのにね……。知っちゃうと、辛いし苦しいじゃない。でもね。……一番苦しいのはね……。知ってることを知らんぷりすること。知らんぷりして、ぜんぜん平気よ?って顔すること。」

 では、メルマガ号外を出せなかった理由を少し。順子(宮本信子)が夫(布施明)に“しあわせのつぼ”を押された時に、スポットが当たっちゃうのが恥ずかしかったのですぅ。それにあそこまでに5回以上は「それ、ツボじゃんっ!」っていう瞬間があった気がしたので(笑)。あぁ・・・あんなことをあんなに熱心に言われたら、嘘でも死ぬほど嬉しいよ!ありゃまさにツボですヨ!

 あと、宮本信子さんほどステキな女優さんは、そうはいないと思っていますが、おそらく50代であろうマダム・順子(宮本信子)が夫(布施明)、夫の弟(山路和弘)、そして20代の青年(東山義久)の三人に好かれちゃうっていうのは・・・できすぎじゃないかな~、と(笑)。
 女性客がドキドキときめいて、うっとりできるフルコースが用意されていることには、私個人としては大感謝♪ 福島さん、大好きです!

≪東京、大阪、名古屋、新潟、福岡≫
「しあわせのつぼ~What a Wonderful Happiness~」
出演=宮本信子/布施明/伊央里直加/東山義久(D☆D)/音尾琢真(TEAM NACS)/木野花/山路和弘/小原雅人/依田朋子/池上リョヲマ
作・演出=福島三郎 音楽=本多俊之 照明=中川隆一 美術=升平香織 音響=本間俊哉 衣裳=菊田光次郎/三浦将起 ヘアメイク=青木満寿子/山崎潤子 舞台監督=藤崎遊 稽古場助手=小林章一 音楽制作=アーティスト・マネージメント・オフィス/岡田こずえ 営業・票券=サンライズプロモーション東京 宣伝美術=藤田ルリ パンフレット編集=谷田尚子 制作デスク=稲葉理恵子 制作助手=中谷文 制作=栗間左千乃 プロデューサー市村朝一 企画・製作=東宝芸能
前売り開始=5月27日(土)10:00~ 料金=S席8,400円/A席6,300円 (全席指定)
公式=http://www.shiawasenotsubo.jp/

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Posted by shinobu at 01:13 | TrackBack

2006年08月05日

【情報】オーマイニュース「市民記者」募集

 先日、オーマイニュース(→会社概要)の方とお会いしてきました。オーマイニュースでは8/28(月)の創刊に向けて市民記者を募集中です(現在、申し込みに〆切はありません)。

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 インターネット、ブログが普及してきて、一個人が自分の考えを世界中に簡単に発信できるようになりました。“しのぶの演劇レビュー”もその恩恵を受けて生まれました。
 「編集局より」に書かれていることに共感します。

みなさんが市民記者として積極参加することで既存メディアが伝えないニュースや話題を掘り起こし、タブーへと果敢に挑戦していくのがオーマイニュースの目指すところ。

 市民記者になり、執筆した記事がオーマイニュースに掲載されれば原稿料が支払われます

扱いの大小によって1本につき2,000円/1,000円/300円の3段階で原稿料をお支払いします(各原稿料は、それぞれ222円/111円/33円の源泉税を引いた額です)。

 ニュースといっても「こんな柔らかい記事も募集します」とのこと。そこで見つけたのがコレ!

●観劇
 舞台やミュージカルといった“観劇”から、歌舞伎、狂言、落語などの伝統演芸の“観劇”まで、ライブで観るエンターテイメントのご意見・ご感想、さらには提言や情報などもお待ちしています。

 “観劇”って書いてあるよ、“観劇”って!市民記者登録のページ(「同意する」を選んだ後に出てきます)」の“趣味”選択欄には、「映画・観劇」だって!映画と一緒になってはいますが、“観劇”という言葉があることが嬉しい!!

 基本的に何を書いてもいいそうです。観劇感想、演劇界への提言、作り手による自分の作品の宣伝もOK!掲載前にオーマイニュース常勤記者・編集者による検討・編集作業(事実の確認、タイトル・文章の校正、レイアウトの決定など)が行われますので安心ですね。

 その他、お会いして聞いた大事なポイント↓
 ・未発表記事でなくとも可。
 ・転載可。例:ひとつの記事を自分のブログとオーマイニュースの両方に載せても良い。
 ・著作権は市民記者とオーマイニュースが半々で持つ。
 ・800字ぐらいを目安にすると量的に読まれやすいかもしれない。

 私は自分のウェブサイトがあるので、オーマイニュースに参加するかどうかは今のところ考え中ですが、演劇などの舞台芸術について、たくさんの人が実名で語り合える場ができるのは豊かなことだと思います。

 ※掲載された記事にはコメント、トラックバックができます。記事に対するコメントが書き込めるのは、市民記者と読者会員(コメントの書き込みのみができる準市民記者)のみです。
 開店準備ブログには匿名のコメントがわんさか書き込まれていますが、8/1(火)からはコメントできるのは市民記者だけになりました。

オーマイニュース=http://www.ohmynews.co.jp/

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Posted by shinobu at 21:27 | TrackBack

ひょっとこ乱舞『水』07/27-30ザ・ポケット

 チョウソンハさんをはじめ、力のある役者さんが揃っているひょっとこ乱舞。主宰・作・演出の広田淳一さんは若手演出家コンクール2004で最優秀賞を受賞されています。過去作品のレビューはこちら
 演出も脚本も部分を見ればとても魅力的なのですが、いかんせん長すぎました。1時間15~30分にまとまっていたら、全く違う印象になったのではないかと思います。

 レビュー⇒踊る芝居好きのダメ人間日記ほぼ観劇日記

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 公演が終了していますので、ここからネタバレします。

 シンプルな抽象舞台。基本イメージは黒。腰から頭までがちょうど隠れるぐらいの幅の長細い板が、舞台奥に横長に設置されています。役者はその板の下をくぐって入退場し、板の後ろで出番を待っている間は、足元だけがうっすらと見える状態です。
 黒を基調にした衣装を着た役者さんが、ものすごく長いセリフを堂々と話します。ほとんどが独白と二人の対話で構成されており、言葉による説明とパントマイム的な動きで物語が形作られていきます。音楽も少ないし、照明もそれほど奇抜な変化はしません。

 オープニングの「ハッピーエンドって何?」と問いかけるシーンを見て小鳥クロックワーク『わが町』に似てるな~と思い、口語で客席にゆるゆる話しかけるのを見てチェルフィッチュに似てるな~と思い、同じセリフを繰り返し叫ぶのを聞いて第三舞台に似てるな~と思いました。一緒に観ていた方は「昔の(早稲田時代の)双数姉妹に似てる」とおっしゃっていました。そういえばヒバリ(草野たかこ)の立ち姿を見て、カムカムミニキーナ『真昼の大回転』の明星真由美さんを思い出しました。役の配置が似てるんですよね。

 私は新規性、独自性が劇団の存在価値を決めるとは全く思っていません。でも、ここまで既存の演劇手法と被っているように感じる瞬間が多いのは、損だよな~と思います。ただ、私が以前に拝見した時よりは、作品全体のまとまりがあるように感じました。劇団の作風を模索し、一つの世界観を生み出そうとしている過渡期なのかもしれません。そういう視点で考えると、役者さんの技量も演出も、これからぐんぐんレベル・アップして面白くなる可能性が高い劇団だと思います。

 お話は二組のカップルを軸に展開していく悲劇でした。犯罪を犯して金をもらう職業、ロープウェイで移動しながら、もみがらでゲロを洗う職業、死にそうな人に死ぬことを告知する職業、水を飲みすぎると湖になってしまう奇病、お笑い芸人兼業大臣など、現実にはないものがいっぱい登場します。ありえない設定の中からドラマが生み出されるのがとても面白いと思いました。
 また、マイクロフォンの中から飛び出してお笑い芸人をたまごの殻の中に閉じ込めるなどという、アニメーションじゃないと表現できないんじゃないの?と思うようなシーンが、お芝居でも成立していたのも良かったです。

 そういった部分々々を見れば面白いんですけど・・・長いんですよね。省けるところがいっぱいあったんじゃないかな。
 湖になってしまった妻(酒井彩子)を追って、夫(チョウソンハ)がバルコニーから飛び降りるクライマックスは、何もかもが集約されてもっと感動的なシーンになるはずじゃないかしら。前置きが長すぎたせいじゃないかと思います。

 特に良いなーと思った役者さんはチョウソンハさんと伊東沙保さん。先にも書きましたとおり、他の役者さんのレベルも高い目だったと思います。

出演=チョウソンハ/伊東沙保/橋本仁/酒井彩子/高橋恵/草野たかこ/西光カイ/笠井里美/泉光典/松下仁/中村早香/遠藤径至 ※広田淳一は都合により交番。代役は遠藤径至。
作・演出=広田淳一 舞台監督=竹内磯六 舞台=高岸れおな 池谷聡史 窪田千恵 志波裕樹 森貴裕(猫ノ手) 音響=鏑木知宏( SoundGimmick ) 照明=三浦あさ子(賽【sai】) 衣装=林莉江 荒井晴香 ヘアメイク=増田加奈 写真=大倉英揮 宣伝美術=山代政一 内藤真代 Web=うさぎ事務所 演出助手=遠藤径至 制作=ツカネアヤ 砂田麻里子 清水建志 田中沙織 加茂みかん 金子優子
[前売]一般:2500円 学生:2000円 ペア:4600円 ☆平日昼間:2300円 [当日]2800円 全席自由(整理番号あり)
公式=http://hyottoko.sub.jp/index2.html

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Posted by shinobu at 19:19 | TrackBack

パルコ・プロデュース『LOVE LETTERS(長塚圭史&小島聖)』08/05パルコ劇場

 男と女の朗読劇、ラヴ・レターズ。16周年なんですね。
 長塚圭史&小島聖カップルを拝見してまいりました。全体的に大人しいめのラヴ・レターズでしたが、最後はちゃんと泣けてよかったです。

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 概要はおととしのレビューをご覧ください。ここからネタバレします。

 小島聖さんがメリッサの感情を表に出すように読まれるのに対して、長塚圭史さんのアンディは朗読している状態を重視されていたようでした。“アンディ=手紙そのもの”という状態。

 メリッサが自殺してしまった後、手紙を読むアンディを隣りのイスからメリッサが見つめます。黒いワンピースに濃い目のメイク(後半になって怖い目のメイクにされたような気がしました。髪の分け目も変わって、前髪が左目にかかっていました)で、まさに幽霊!どんどんと暗くなっていく照明の中、やつれた顔に弱々しい微笑を浮かべながら涙を流すメリッサと、ひたすら落ち着いて最後の手紙を読むアンディの対比が面白く、アンディの本音を聞きだすことができたメリッサの喜びを感じて、涙が出ました。

 全体としては前半の方が面白かったかも。特に、自分に身の破滅をもたらすことや危険で刺激のあるものに惹かれていく、若いメリッサの気持ちにすごく共感しました。小島聖さんにぴったりでした。
 メリッサ「あなたはそうじゃないかもしれないけれど、私は嫌いな人に惹かれてしまうの」※セリフは正確ではありません。

 野沢那智&池田昌子カップルを観た方が、すごく良かったと言っていました。長塚圭史&小島聖カップルとは年齢も違いますし、全然違ったみたい。再演があったら行こうっと♪

出演=長塚圭史&小島聖
作=A.R.ガーニー 訳・演出=青井陽治 企画制作=(株)パルコ
公式=http://www.parco-play.com/web/play/loveletters/

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Posted by shinobu at 18:39 | TrackBack

TOKYOSCAPE/風琴工房『子供の領分』08/04-08/06人間座スタジオ

 先週に引き続き、同じ劇場のほぼ同じ空間で、全く違う作品を上演している風琴工房。TOKYOSCAPEに参加している6劇団の中で、唯一2作品を発表しています。
 風琴工房に所属している若手役者さんの三人芝居でした。若者が精一杯体当たり!って感じでしたね。

 レビュー⇒休むに似たり。

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 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 ミツル(山ノ井史)とリュウタ(浅倉洋介)は恋人のようなただの同居人のような同性のカップル。ある日、ミツルがネット通販で買ったというトウコ(宮嶋美子)という女の子がやってきて、ふたりの微妙なバランスが崩れだす。
 ≪ここまで≫ 

 設定は楽しいし、男の子、女の子の気持ちもよくわかります。
 トウコ「ゴハンに誘われるのとホテルに誘われるのは同じ」とか。※台詞は正確ではありません。
 でも、台詞と演技とがちぐはぐしているようで、私の好みではありませんでした。

 難しい言葉の丁々発止のやりとりは、言葉だけを味わうならかなり面白いのですが、それを発する人物と言葉の内容とが噛み合っていないので、嘘っぽい芝居になってしまっているように感じました。「ああいうコがそんなこと言わないよな~」と思うことが多かったです。あと、言葉の数も多すぎるように思いました。

 若者三人はかなり大胆なラブシーンを見せてくださいます。しかも人間座スタジオですから超至近距離!ミツルとリュウタのラブシーンなんて・・・だめよ、だめだめ!ぴちぴちした男の子同士のベッドシーンなんて、私は恥ずかしくって観てらんないですタイっ!!(笑)。トウコもかなり大胆で・・・男子必見かもしれませぬ(笑)。

 ここからネタバレします。

 ミツルとリュウタのキスシーンはすごくリアルで良かったです。終演後のろばカフェでうかがったのですが、お友達のゲイのカップルにお稽古を観てもらって、沢山お話をされたそうです。

 ろばカフェは大賑わいで、500円のお食事プレートは完売していました。

出演=山ノ井史/宮嶋美子/浅倉洋介
作・演出=詩森ろば 美術・衣裳・音響=LIVESTOCK STYLE 照明プラン=木藤歩(balance,inc. DESIGN) 舞台設営=西田聖
全席指定 一般=前売2,800円/当日3,200円 学生=1,800円(前売・当日とも、要学生証提示) セット券などあり
公式=http://www.tokyoscape.org/products/index.php?C=2

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Posted by shinobu at 12:54 | TrackBack

TOKYOSCAPE/reset-N『パンセ2006』08/03-05 ART COMPLEX 1928

 東京公演に続いて京都でも初日に伺いました。ああん、もう!何もかもがレベルアップ!超良かったよぉっ!!本日13:00開演&17:30開演で千秋楽です。関西の方、どうぞお見逃しなく!!
 東京公演では間に合っていなかった上演台本(1000円)が販売されています。これは絶対に買いですよ!

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 あらすじ等は東京公演のレビューでどうぞ。

 ART COMPLEX 1928の白い空間に赤と黒のシンプルなセット、細い蛍光灯照明の青白さが引き立ちます。めちゃ渋っ!先週とは全然違う劇場になっています。

 まずオープニング・・・しびれたね~・・・コツ、コツ、と歩いて登場する役者さんがクール!暗転のタイミングも絶妙!あぁダメだ、思い出すだけで興奮するよ~。
 音楽も良かった!選曲は少ししか変わってないそうですが、演技、言葉とバランス良く溶け合っていて洗練されていました。だから東京公演の時のように音が特に気になったりすることはありませんでした。でも、音量(特に大音量)や鳴り出すタイミングなどで、音という要素の主張ははっきりと出ており、音楽に酔えた瞬間も多々あり。

 reset-Nの役者さん・・・ほんっとに演技が上手い!やっと泣けたよ、うれしーよぅっ!声が少々聴こえづらくなってたのはART COMPLEX 1928の空間のせいですね。まあそれは細かいことなので、初日以降改善されてるといいなと思います。

 ここからネタバレします。

 黒い帽子の女(町田カナ)もめちゃくちゃセクシーだったし、ヨシムラ(久保田芳之)の親友の編集者ヤノ(平原テツ)も、怒る演技に改心の一撃が出ました!

 ラストシーンの印象は東京公演と全然違いましたね。人間一人一人の生き様が現れたように感じ、私は群像劇のように観ていました。だから悲しいっていうよりは、私に触れ、そしてすれ違って去っていく人々を体に感じて、それを味わいました。


 ≪ポストパフォーマンストーク≫ 
 出演=夏井孝裕(reset-N)/山口吉右衛門(劇団飛び道具)

 う~ん、なんだかほんわかトークでしたね。やっぱり司会が必要でしょう。あと、マイクもあった方が良かったと思います。
 質疑応答でけっこうきわどい質問をされた方がいて面白かったな~。そこからもっとつっこんだ話に進んだら良かったのにと思いました。賛否両論あるのが面白い。

 カーテンコールの後は、役者さんが大勢舞台に残ったままになります。お客様全員が劇場から出られるまで、立ったままだそうです。
 夏井「僕達が先に去るのではなくて、お客様からさようならをしてもらいたいから。」
 たしかに・・・お芝居は「さようなら」で終っていました。ストーリーとしてはあまりに悲しいエンディングですものね。このトークのおかげで演出意図がわかって嬉しかったです。

 夏井さんが「演出の方が好きで、脚本執筆はできることならやめたい」とおっしゃっていたのに少し驚きました。きっと・・・執筆ってものすごくつらいことなんでしょうね。でもファンとしては書き続けていっていただきたいです。

≪東京、京都≫
出演=町田カナ/久保田芳之/原田紀行/平原テツ/長谷川有希子/奥瀬繁(幻の劇団見て見て)/勢登健雄(オフィス・ヒューリッド)
作・演出:夏井孝裕 グランドデザイン:massigla lab.(浅香実津夫/荒木まや/内野なみ/小松代暁子/福井希/宮西舞) 舞台監督:小野八着(Jet Stream) 照明協力:木藤歩(balance,inc)演出助手=あらいひろこ(夢幻サーカス) 制作:河合千佳
日時指定自由席(整理番号付) 一般=前売2,800円/当日3,200円 学生=1,800円(前売・当日とも、要学生証提示) セット券などあり
公式=http://www.tokyoscape.org/products/index.php?C=5

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今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台
   
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Posted by shinobu at 12:47 | TrackBack

2006年08月02日

【お知らせ】8月5日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します

 FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。毎月第一土曜日のレギュラーです。
 今回は前半に『蝶のやうな私の郷愁』の感想をお話して、後半は8月に観られるお薦めお芝居3本をご紹介します。ポスト・パフォーマンス・トーク出演(9/3の夜)の宣伝もさせていただきますね♪

 西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
 8月5日(土)21:30~22:00(の内の約10分間)
 FM 84.2MHz

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Posted by shinobu at 21:56 | TrackBack

燐光群+グッドフェローズ プロデュース『組曲 二十世紀の孤独 第一楽章「蝶のやうな私の郷愁」』08/01-10 SPACE雑遊

 新宿に新しくできた劇場“SPACE雑遊(スペースざつゆう)”のこけら落とし公演で、燐光群がプロデュースする『組曲 二十世紀の孤独』の第一章です。同劇場での三作品連続公演で、「さすらい」(8/16-27)、「壊れた風景」(9/3-10)と続きます。

 脚本は松田正隆さんご自身による(?)改訂版の東京初演でした。私が以前に観た時とはかなり変わっています。設定は同じですが、ストーリーも意味も全然違うんじゃないかしら。

 客席はひな壇のベンチシートで最前列は桟敷席ですので、お早目のご来場をお薦めします。上演時間は約1時間です。

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 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレします。でも読んでから観ても問題ない程度だと思います。
 若い夫婦が暮らす小さなアパート。勤めから帰ってきた夫(坂手洋二)と妻(占部房子)が質素な夕食をともにする。外は大雨。どうやら台風が来ているらしい。食事の真っ最中にいきなりの停電。ろうそくを探している時、妻が見つけたものは・・・。
 ≪ここまで≫

 予想していたよりも明るい二人芝居でした。照明や効果音の使い方がとても繊細で良かったです。仕掛けにも・・・び、び、びっくり(笑)。 

 八畳の居間には古い箪笥が二竿。ラジオはあるけれどテレビはありません。小さな食卓に上るのはコロッケと千切りキャベツ、白いご飯とお味噌汁、おから、大豆の煮物、梅干し。夫婦二人っきりの生活感溢れるアパートで、たわいのない日常会話が交わされます。仲がいいのか悪いのかよくわからない言い合いが続きましたね。ほとんどけんか腰だったり、じゃれあったり。ちょっとかみ合っていないように感じましたが、それもまた味わいだと言える坂手&占部カップルでした。

 停電になってから少しずつ落ち着いた会話が生まれてきて、お互いの心に秘めていた不安や小さな望みなどが、情感のこもったセリフとともにこぼれ出てきます。妻(占部房子)が夫に海の話をした時、せつない気持ちがするすると私の中に入ってきて、涙が流れました。

 ここからネタバレします。

 ろうそくを探していて見つけてしまったのは、大きな貝殻でした。それは昔、夫が妻の姉にプレゼントしたもので、姉はふみきり事故で既に死んでいます。夫はそもそも姉と付き合っていて、今の妻、つまり妹とは二股をかけた状態から関係が始まっていたのです。
 貝殻の登場をきっかけに、夫婦の過去が少しずつ明かされていきます。言葉で細かく説明をしてくれるわけではないので、セリフの端々から得られるヒントをつなぎ合わせて想像しました。↓下記、私が受け取った内容です。セリフは正確ではありません。

 妻「海面に光る炎にお祈りをすると願いが叶う。それも、自分では気づいていない本当の願いが。だからあなた(夫)は海に行ってはいけない。だってあなたの心の奥底の願いとは、姉が生き返ることだから。」
 近所の家々の窓から見えるろうそくの火と、海面の炎のイメージが重なる演出でした。

 結婚前に妻が病院にいた間、夫は自分がとんこつラーメンを食べに行っていたのだと告白します。「病院を出てから二人で食事に行ったけど、俺は何も食べなかった。あれは単に腹が一杯だっただけなんだ」と。妻は、自分に堕胎手術をさせたことで心を痛めていたから、夫は食事がのどを通らなかったのだと思っていたはずなんですね。
 さらに夫は、その堕胎のことを姉に話していたことも告白し、妻はショックを受けます。姉が死んだのは事故ではなくて自殺だったのかもしれない、私たちが姉を殺したのかもしれない・・・。

 妻「ものすごく高いところから飛び降りると、落ちるまでに時間が掛かる。だから落ちて行っている最中に、今自分が何処にいるのか、どういう状態なのかを忘れてしまう。」
 今の日本人、いや、地球に住む生き物のことなんじゃないかと思いました。大雨が全く降り止まない。もしかするとこのまま水没してしまうかもしれない。でもそれに気づかないで呑気にろうそくを囲み、夕飯を食べている私たち・・・。もうひとつ同じようなたとえがあったのですが失念。
 最後には、舞台の下に水が満ちていました(これには驚愕)。水面から反射する光が劇場の壁に映ります。水底に沈んだ部屋にたたずむ二人。

 改訂前の脚本との大きな違いは、“姉”が話題に登るのと、川の様子を見るために外に出て行った夫が、ちゃんと家に帰って来ることでしょうか。ものすごい違いですよね。全く別の作品だと言えると思います。

 私が役者・坂手洋二を拝見するのはこれで二度目です(一度目のレビューはこちら)。坂手さんの声って個性的ですよね。どんな反応も私にとってはすごく意外で、どっきりさせられます。突然大きな声を出されるのは演出なのかもしれませんが、少々唐突過ぎる気もしました。まあ私は大ファンなので(笑)、これからも追いかけるつもりです。
 占部房子さん。可愛いのか可愛くないのか、賢いのか賢くないのか、よくわからないゆらゆらした存在感でした(笑)。舞台上で生きているように感じました。

 ≪オープニング・イベント≫
 今日は公演初日、劇場のオープン初日ということで、終演後にオープニング・イベントがありました。劇場主、演出家、出演者のご挨拶などを聞きながらビールをご馳走になり、お友達とお話いろいろ。楽しかったです。

 SPACE雑遊のオーナーさんは、居酒屋・池林坊(ちりんぼう)を経営してらっしゃる方なんですね(他にもたくさん店舗あり)。あんなに大胆に水が使えるのって凄いな~と思います。これからこの劇場で生まれる作品に期待したいですね。ただ、ベンチシート観劇になるなら上演時間は短め希望です(笑)。

 それにしても・・・今日は上演中にがんがん話すカップルがいたことにショック。私ってば怒り心頭で(笑)注意しちゃいました。終演後に演出家の鈴木裕美さんが「酔っぱらいがいてすみません」的なお詫びをされたのですが、もしかして関係者だったのでしょうか?それは・・・・困りますねぇ(苦笑)。これから気をつけていただきたいです。

「組曲 二十世紀の孤独」第一楽章
出演=占部房子/坂手洋二
作=松田正隆 演出=鈴木裕美 美術=奥村泰彦 照明=中川隆一 音響=堀江潤(オフィス新音) 舞台監督=森下紀彦 舞台監督助手=楠原礼美子 衣裳=山下和美 演出助手=坂田恵 総合監督=坂手洋二
日時指定自由席(整理番号付) 前売券¥6,000(3作品通し券) パート券 ¥2,500(1作品分)※当日¥2,800
公式=http://www.alles.or.jp/~rinkogun/

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Posted by shinobu at 01:29 | TrackBack

2006年08月01日

劇団昴 ザ・サード・ステージ『猫の恋、昴は天にのぼりつめ』07/21-08/03三百人劇場

 昴 ザ・サード・ステージは、「企画、制作、広報、大道具作り、劇場の受付まですべて俳優が行う座内プロデュース公演」(パンフレットより)だそうです。畑澤聖悟さん(渡辺源四郎商店)の脚本を黒岩亮さん(青年座)が演出され、西本裕行さんが出演されるので観に行きました。

 も~・・・やっぱり、びょーびょー泣いちゃいましたよ~っ。『四十代前半の恋愛、「家」との関係』(パンフレットより)を描いた、猫好きにはたまんないお話かも。

 8/2(水)19:00の回と、8/3(木)14:00の回を残すのみ!三百人劇場も今年で閉館してしまいます。どうぞ千石までお運びください。上演時間は約1時間50分。
 パンフレット(500円)に坂手洋二さんと鐘下辰男さんの寄稿あり。お買い得です。

 レビューは後ほどアップ予定。

出演=遠藤英恵/西本裕行/望木祐子/竹村叔子/上領幸子/金澤君光/飯田和平/江川泰子/遠藤純一/姉崎公美/大林洋平/矢島祐果/舘田裕之/星野亘/寺内よりえ/平林弘太朗/永井誠/田村真紀/磯辺万沙子
作=畑澤聖悟(渡辺源四郎商店) 演出=黒岩亮(青年座)
6/22発売開始 当日・前売4000円※ 全席指定
公式ブログ=http://star.ap.teacup.com/3rd_stage/
渡辺源四郎商店=http://www.xbb.jp/wgs/
劇団昴=http://www.bekkoame.ne.jp/~darts/

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Posted by shinobu at 17:25 | TrackBack

メルマガ 2006年08月のお薦め舞台

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お薦めお芝居をご紹介しています

 2006年8月のお薦め舞台9本+αをご紹介します。
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 “しのぶの演劇レビュー” Vol. 27     2006.8.1  985部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/

   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
                   
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ◎長い梅雨が明けて、やっと夏らしい暑さになりましたね。
  今年はTOKYOSCAPE( http://www.tokyoscape.org/ )を観に、
  二度も京都に行けるのが嬉しい♪ ええトコどすな~、京都。

    舞台には、あなたの心を揺さぶり、
      人生の輝きを増してくれる奇跡があります。

  “今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
  お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪

 ◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
     http://blog.mag2.com/m/log/0000134861


○○ 今回のもくじ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ◆1【今月のお薦め9本+α】
   
   ◎No.1→パルコ・プロデュース『噂の男』
     08/11-09/03パルコ劇場
    http://www.parco-play.com/web/page/information/uwasa/

 ◆2【先月のベスト3】

   ◎No.1→俳優座劇場プロデュース『東京原子核クラブ』
       07/06-16俳優座劇場
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0714141424.html

 ◆3【9/3(日)夜、ポストパフォーマンストークに出演します!】

   ◎青年団リンク 二騎の会『直線』
    08/31-09/06アトリエ春風舎
     http://www.seinendan.org/jpn/infolinks/infolinks060717.html

 ◆4【2006年夏。東京6劇団、京都へ TOKYOSCAPE in 京都】

   ◎東京の6劇団が2週間にわたって京都で公演中!
    http://www.tokyoscape.org/

 ◆5【編集後記】

   ◎7月はハードでした~・・・8月はスピードダウンしま~す。
   ◎8月5日夜にFM西東京『たけがき2』に出演します。

 ◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】

   ◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆1 【今月のお薦め9本+α】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ▽★印がいちおし公演です(3本)。
 ▽初日の早い順に並べています。
 ▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・コメント・価格・URL
 ▽座種の記述がない公演は全席指定。


1.東宝芸能『しあわせのつぼ』08/04-13ル テアトル銀座
  ≪東京、大阪、名古屋、新潟、福岡≫
  ☆出演=宮本信子/布施明/伊央里直加/東山義久(D☆D)/
   音尾琢真(TEAM NACS)/木野花/山路和弘
   作・演出=福島三郎 音楽=本多俊之
   料金=S席8,400円/A席6,300円 (全席指定)
    http://www.shiawasenotsubo.jp/
   メルマガ6月号のお薦め前売り情報でもお伝えしました。
   福島三郎さんの作・演出作品は見逃せないです。


2.tpt『血の婚礼 - Bodas de Sangre』
  08/05-20ベニサン・ピット
  ☆出演=宮菜穂子/板垣桃子/パク・ソヒ/斉藤直樹/ほか
   全席指定5,250円 学生料金3,150円(TPTのみ取り扱い)
    http://www.tpt.co.jp/
   スペイン最大の劇詩人ロルカの三大悲劇を、アメリカ人の
   アリ・エデルソンさんが演出。若い役者さんの奮闘が楽しみ。


3.Piper・ネルケプランニング
  『ニコラス・マクファーソン
   奴らは彼を守れるか+奴らは彼を殺せるか 』
  08/16-22紀伊國屋サザンシアター
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演=小須田康人/みのすけ/三上市朗/六角慎司/
      平田敦子/アドゴニー/ 川下大洋
   作=後藤ひろひと 演出=竹下宏太郎 
   前売り・当日ともに5,500円
    http://www.nelke.co.jp/piper/index.html
   1999年初演。後藤ひろひとさんが書き換えて、豪華キャストの再演。


★4.ホリプロ/テレビ東京『シザーハンズ』
  08/16-09/03ゆうぽうと簡易保険ホール
  ☆演出・振付=マシュー・ボーン 美術=レズ・ブラザーストーン
   オリジナル脚本・監督=ティム・バートン
   S席12,000円 A席8,500円 B席5,500円
    http://www.scissorhands.jp/
   映画「シザーハンズ」をマシュー・ボーンが舞台化。
   マシュー・ボーンの日本公演(2005年)のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0623232954.html


★5.ペンギンプルペイルパイルズ『道子の調査』
  08/23-09/03ザ・スズナリ
  ≪東京、大阪≫
  ☆出演=小林高鹿/ぼくもとさきこ/玉置孝匡/加藤啓/他
   作・演出=倉持裕
   指定(いす席)前売3,600円 当日3,900円 
   自由(前方ベンチ、日時指定、整理番号付)前売3400円 当日3600円 
    http://www.penguinppp.com/
   倉持裕さんの新作です。ペンギンPPP初の大阪公演あり!


★6.パルコ・プロデュース『噂の男』
  08/11-09/03パルコ劇場
  ☆出演=堺雅人/橋本じゅん/八嶋智人/山内圭哉/橋本さとし
   作=福島三郎 演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ
   前売り・当日ともに8,000円 
   追加公演=8月20日(日) 19:00開演&8月27日(日) 19:00開演
    http://www.parco-play.com/web/page/information/uwasa/
    http://eee.eplus.co.jp/theatrix/special/uwasa.html

   ●お薦めポイント●

   福島三郎さんとケラリーノ・サンドロヴィッチさんとのタッグは
   実は初めてのことだそうです。キャストもものすごく豪華ですが、
   どうやら小劇場出身の方々ばかり?面白い人材は演劇界から出ています!


7.加藤健一事務所『《音楽劇》詩人の恋~Old Wicked Songs~』
  08/23-09/06本多劇場 
  ☆出演=加藤健一/畠中洋 作=ジョン・マランス 演出=久世龍之介
   前売¥5,000 当日¥5,500 
   高校生割引¥2,500(要学生証提示・当日券のみ)
    http://homepage2.nifty.com/katoken/
   2003年初演時に多数の演劇賞を受賞した二人芝居の再演。


8.tpt『BAKXAI-バッカイ』
  08/26-09/10ベニサン・ピット
  ☆出演=佐藤オリエ/中嶋しゅう/進藤健太郎/花王おさむ/
      中川安奈/月船さらら/若松智子
   作=エウリピデス 台本=木内宏昌 演出=熊林弘高 
    http://www.tpt.co.jp/
   原作は三大ギリシア悲劇の作家エウリピデスの二千数百行の詩。
   演出=熊林弘高、台本=木内宏昌、出演=佐藤オリエの作品は
   これまでに2作品拝見しました。レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0601005740.html
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0415152911.html


9.りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ
  『オセロー』08/28-31梅若能楽院
  ≪新潟、東京≫
  ☆出演=谷田歩/植本潤/市川喜之助/市川笑也/ほか
   作=ウィリアム・シェイクスピア 構成・演出=栗田芳宏
   SS席5,000円 S席4,500円 A席4,000円
    http://www.majorleague.co.jp/
   私は未見ですが評判が良いシリーズです。植本潤さんの出演が楽しみ。


 ☆☆☆―――――――――――――――――――――――――――――― 
  日本人の夏に欠かせないお芝居・イベントを2本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――☆☆☆ 

1●こまつ座『紙屋町さくらホテル』
  08/06-20紀伊國屋ホール
  ☆作=井上ひさし 演出=鵜山仁
   前売り・当日ともに5250円 学生割引3150円(こまつ座のみ取り扱い)
    http://www.komatsuza.co.jp/
   レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2001/0405013440.html


2●非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディングvol.9
  『わすれない、夏2006』08/14(月)18:00~
  全労災ホール/スペース・ゼロ
  ☆井上ひさしさんと渡辺えり子さんの対談あり。
   前売り・当日とも1500円 中高生1000円 小学生以下500円
   取り扱いは電子チケットぴあのみ。
    http://hisen-engeki.com/


 ★★★―――――――――――――――――――――――――――――― 
  3000円台以下の話題作・お薦め作品を5本ご紹介します。
 ――――――――――――――――――――――――――――――★★★ 

【1】燐光群+グッドフェローズ プロデュース
  『組曲 二十世紀の孤独 第一楽章「蝶のやうな私の郷愁」』
  08/01-10 SPACE雑遊
  ☆出演=占部房子/坂手洋二
   作=松田正隆 演出=鈴木裕美
   日時指定自由席(整理番号付) 前売券¥6,000(3作品通し券)
   パート券¥2,500(1作品分) 当日¥2,800
    http://www.alles.or.jp/~rinkogun/
   燐光群の3作品連続プロデュース公演です。
   他の2本は「さすらい」と「壊れた風景」。
   「蝶のやうな私の郷愁」は脚本改訂版の東京初演で、
   私は2003年に宮田慶子さんが演出されたもの↓を観ました。
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0803200125.html


【2】親族代表『小(りっしんべん)』
  08/08-13THEATER/TOPS
  ☆出演=親族代表(嶋村太一・竹井亮介・野間口徹)
   脚本提供=小林賢太郎(ラーメンズ)/千葉雅子(猫のホテル)/
        ブルースカイ/本田誠人(ペテカン)/福原充則(ピチチ5)
   演出=福原充則(ピチチ5)
   前売・当日共 3,000円
   ※喪服割引きあり(当日喪服着用で500円キャッシュバック)
    http://shinzoku.cool.ne.jp/
   大人が笑えるピリリとしたコント。福原充則さんの演出が楽しみ。


【3】燐光群+グッドフェローズ プロデュース
  『組曲 二十世紀の孤独 第ニ楽章「さすらい」』08/16-27 SPACE雑遊
  ☆作=坂手洋二 演出=おおこうちなおこ
   日時指定自由席(整理番号付) 前売券¥6,000(3作品通し券)
   パート券 ¥2,500(1作品分)※当日¥2,800
    http://www.alles.or.jp/~rinkogun/
   燐光群の3作品連続プロデュース公演です。
   他の2本は「蝶のやうな私の郷愁」と「壊れた風景」。
   おおこうちなおこさん演出作品のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0524231721.html


【4】モダンスイマーズ『赤木三兄弟』
  08/22-27THEATER/TOPS
  ☆作・演出=蓬莱竜太
   前売=指定席3,000円 自由席2,800円 当日3,300円
   学割2,000円(Habaneraのみ取扱い/学生証提示)
   ※24日(木)14:00の回のみ特別割引2,800円(全席指定)
    http://www.japan-pr.com/habanera/modern_swimmers/top.html 
    http://www.modernswimmers.com/ (8月OPEN)
   蓬莱竜太さんは大劇場でも活躍中の、旬の若手劇作家・演出家です。


【5】イキウメ『プレイヤー』
   08/31-09/03サンモールスタジオ
   ☆作・演出=前川知大
    自由席2,500円 指定席2,800円 当日3,000円
     http://www10.plala.or.jp/ikiume/
    今、注目の若手劇団イキウメの新作。

 ◎しのぶの今月の全予定(26本+α)はSCHEDULEに掲載しています。
   http://www.shinobu-review.jp/schedule.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆2 【先月のベスト3】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.俳優座劇場プロデュース『東京原子核クラブ』
  07/06-16俳優座劇場
   http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/pro72.html
  ☆劇場が息づき、人間の幸せに満ちました。
   これこそ演劇が生み出せる奇跡。誰にでもお薦めできる傑作でした。
  *レビューはこちら↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0714141424.html
   メルマガ号外はこちら↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0707005444.html


2.新国立劇場演劇『夢の痂(ゆめのかさぶた)』
  06/28-07/23新国立劇場 小劇場
   http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/10000104.html
  ☆日本語文法の性質から戦争責任の所在に迫る野心作。
   主語が“私”であること。それを胸に生きていきたいです。
  *レビューはこちら↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0702211236.html
 

3.劇団「木花」(韓国)『ロミオとジュリエット』
  07/16-17シアターX
   http://www.seinendan.org/jpn/info/info060606.html
  ☆舞台を韓国にし、約1時間40分に凝縮されたシェイクスピアの純愛物語。
   喜びに溢れる無邪気な笑顔の奥に、怒りと悲しみが燃えていました。
  *レビューはこちら↓(途中です)
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0720103345.html


 ◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
   http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
  メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
  7月(観劇数は35作品)は『東京原子核クラブ』で発行しました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆3 【9/3(日)夜、ポスト・パフォーマンス・トークに出演します!】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ◎青年団リンク 二騎の会『直線』
  08/31-09/06アトリエ春風舎
  ☆作=宮森さつき(青年団演出部) 演出=多田淳之介(青年団演出部)
   出演=松田弘子/永井秀樹/天明留理子/石橋亜希子/村井まどか/他
    http://www.seinendan.org/jpn/infolinks/infolinks060717.html

  青年団リンク・二騎の会は、青年団演出部に所属する
  宮森さつきさん(脚本)と、多田淳之介さん(演出)のユニットです。
  おふたりがタッグを組まれた作品のレビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1028143321.html

  私は9/3(日)18:30開演の回終了後のポスト・パフォーマンス・トークで、
  演出の多田淳之介さんとお話します。

  多田さんの作・演出作品のレビュー↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0404205211.html
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0601155534.html

  多田さんは脚本家、演出家、そして役者さんでもあります。 
  細やかな感情をリアルに描くことにも長けてらっしゃいますが、
  トリッキーで斬新な、冒険心あふれる演出も得意とされていて、
  その将来が嘱望される若手演出家の一人です。

  新作『直線』は、登場人物3人に対して、なんと出演者が5人以上!?
  いったい何が起こるのか・・・今からわくわくしちゃいます♪

 【チケットは予約受付中です】 
  
   日時指定・全席自由・整理番号付 
   予約2,000円 当日2,300円
   9/5(火)15:00の回は、平日マチネ割引:予約1,700円 当日2,000円

  ・お問い合わせ⇒青年団 03-5432-1515
   http://www.seinendan.org/ オンラインチケット予約あり

  アトリエ春風舎は小さな劇場です。ご予約はお早めに!

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 ◆4 【2006年夏。東京6劇団、京都へ TOKYOSCAPE in 京都】
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 ◎東京の6劇団が、京都市内の4つの会場で同時多発上演を行っています。
  7月26日(水)~8月6日(日)の前半がほぼ終了したところ。
   TOKYOSCAPE ⇒ http://www.tokyoscape.org/
  京都の劇団、ニットキャップシアターの劇団ブログで
  TOKYOSCAPE初日通信が始まっています。なかなか好評のようです♪
   http://blogkct.jugem.jp/

  私は8/3(木)~4(金)もさくらんぼカバン↓持って行きます(笑)。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0727142242.html
  劇場で話しかけてくださった方、ありがとうございました!

  関西の方には、仕事帰りの京都観劇も大丈夫なタイムスケジュールだとか。
  fringe blog↓をご覧ください。
   http://fringe.jp/blog/archives/2006/07/26140406.html 


 1■風琴工房
  『紅き深爪』07/27-08/01人間座スタジオ ★本日千秋楽!
    http://www.tokyoscape.org/products/index.php?C=2
   レビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0730225003.html

 2■reset-N
  『パンセ2006』08/03-05 ART COMPLEX 1928
    http://www.tokyoscape.org/products/index.php?C=5
   7月の東京公演のレビュー↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0716001507.html
   私は8/3(木)19:30開演の回を拝見します。

 3■風琴工房
  『子供の領分』08/04-06人間座スタジオ
    http://www.tokyoscape.org/products/index.php?C=2
   若い俳優による可愛らしい三人芝居だそうです。
   私は8/4(金)15:00開演の回を拝見します。

 4■劇団桃唄309
  『おやすみ、おじさん』08/04-06アトリエ劇研
    http://www.tokyoscape.org/products/index.php?C=6
   劇団の過去公演のレビュー(2002年)↓
    http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2002/0130213914.html

 【チケットは一般発売中】

   前売2,800円 当日3,200円
   学生1,800円(前売・当日とも、要学生証提示)
   未就学児童の入場不可。それぞれの公演のR指定もご参照ください。
    http://www.tokyoscape.org/ticket/

  ・公演詳細は超~充実の公式サイトでじっくりご覧ください。
    http://www.tokyoscape.org/

  ・きれいな写真がいっぱいのグリーティングカードも送れますよ♪
    http://www.tokyoscape.org/sp/card/

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 ◆5 【編集後記】
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 ◎7月は観劇本数が増えて、ちょっとハードな日々になってしまいました。
  観れば観るほどもっともっと観たくなる・・・演劇アリ地獄ですっ。
  8月はワークショップ↓の見学など、
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0618225154.html
  いつもと違ったことにチャレンジしようと思います。


 ◎毎月第一土曜日は、FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に
  レギュラー出演させていただいております。
   http://takegaki.k-free.net/
  8月5日(土)の夜に出演します。


 ◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
  「これは面白いよ!」というお薦め邦画情報モトム!
  お問い合わせフォーム↓
   http://www.shinobu-review.jp/contact/
  7月は下記の4作品を拝見しました。
  ・「男たちの大和/YAMATO」
   http://www.yamato-movie.jp/
  ・「単騎、千里を走る。」←泣きっぱなし・・・!
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0710143619.html
  ・「シムソンズ」
   http://www.sim-sons.com/
  ・「立喰師列伝」
   http://www.tachiguishi.com/top.html


 ◎fringe主催・地域の制作者のための創造啓発ツアー『PmP2006』に
  講師として参加しました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0612122554.html


 ◎2005年11月にセミナーにゲスト出演いたしました。
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/1107002836.html
  セミナー開催を希望される方は、是非ひとこと↓お寄せください!
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
   http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0331235959.html
  お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
   http://www.shinobu-review.jp/contact/


 ◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
  それが私の望みです。
  これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
  皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪


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Posted by shinobu at 00:10 | TrackBack